怒りをコントロールする方法

3 方法:怒りについて理解する慢性的な怒りをコントロールするいざという時に怒りをコントロールする

人は誰でも時々怒ります。しかし、圧倒的な激しい怒りに駆られると、精神的や身体的な健康だけでなく、他者との関係も損なうことがあります。コントロールができない怒りは、アンガーマネジメントや精神疾患などの潜在的な問題のサインかもしれません。自分自身や周りの人たちのためにも、自分の感情をコントロールして気持ちを落ち着かせることが重要です。

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怒りについて理解する

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    生理学的な怒りのサインに注意する 怒りとは当然、心理的な感情ですが、脳内化学物質の反応による生理学的な反応でもあります。 [1] 人が怒ると、情動反応を司る偏桃体が視床下部に怒りの信号を送ります。その信号は交感神経の経路を通る自律神経系に沿って副腎にエピネフリンを出す合図を送ります。すると、副腎は体中にエピネフリン (アドレナリン) を放出し始めます。アドレナリンは心拍数を上げ、感覚を研ぎ澄ませて体を脅威に対応できる状態にします。 [2]
    • この過程は生物的な目的 (脅威から闘争もしくは逃走する準備) を担いますが、怒りの問題を抱えていると心理的な反応を引き起こす閾値が低くなります。 (例えば、同僚が聞いている音楽の音がうるさすぎると言って怒るなど)
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    どんな感情が心の中にあるかをチェックする 怒りはそれ以外の感情を覆い隠します。多くの場合、怒りは傷心、悲しみ、苦悩、抑うつ、恐れなどの二次感情として表れます。[3] 怒りは他の感情よりも対応しやすいため、多くの場合は防衛本能として表れます。様々な感情を持っても良いと思うか、それとも「持つべきではない」感情を押し殺すか、自分がどちらのタイプかを考えてみましょう。
    • 日常的に怒り以外の対処し難い感情を怒りにすり替えている人は、心理療法士に相談してこういった感情への対処法や受け入れ方を学びましょう。
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    怒りは正常で健全な感情であることを受け入れる 怒りは必ずしも悪いものではありません。不正や不当な扱いが繰り返された時に自分を守るための怒りは、健全な目的を果たすものです。 [4] 人に傷つけられたと感じると、おそらく怒りがこみ上げるでしょう。そしてその怒りによって相手と対決するなどして、害になる行為をやめさせることができます。
    • 怒りをあらわにしたり、怒りを感じることは無礼であると教えられている人(特に女性) もいます。しかし怒りという自然な感情を押し殺すと、自分の感情や他人との関係に好ましくない影響が及びます。
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    自分の怒りが制御不能になるサインに注意する 怒りは健全なものですが、不健全にもなり得ます。以下の項目に心当たりがあれば、個人で、もしくは専門家の助けを借りて怒りの問題に取り組む必要があるでしょう。
    • 牛乳をこぼす、ものを偶然落とすといったささいな出来事で激怒する
    • 怒りに駆られて怒鳴る、叫ぶ、叩くなどの攻撃的な行動が出る
    • こういった問題が慢性的で、たびたび起こる
    • ドラッグやアルコールへの依存症があり、これらを服用すると特に怒りが増強したり、行動がさらに暴力的になる

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慢性的な怒りをコントロールする

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    運動をする 運動によって放出されるエンドルフィンには気分を落ち着かせる働きがあり、体を動かすと激しい怒りを発散できます。このように、運動には怒りがこみ上げた時にそれを緩和する効果があります。さらに定期的に運動を続けると、感情全般のコントロールにも役立ちます。 [5][6] 運動中は気がかりなことではなく、運動と自分の体の状態に集中します。楽しく継続でき、怒りのコントロールにも効果がある運動は以下の通りです。
    • ランニング・ジョギング
    • ウエイトトレーニング
    • 自転車 
    • ヨガ
    • バスケットボール
    • 武道 
    • 水泳
    • ダンス
    • ボクシング
    • 瞑想
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    夜間には十分な睡眠を取る 成人は、健康に過ごすために毎晩少なくとも7‐8時間の睡眠を取る必要があります。[7] きちんと睡眠を取らないと、感情を正しくコントロールできないなどの様々な健康問題が発生することがあります。適当な睡眠を取ると気分が良くなり、怒りも軽減できます。
    • 慢性的な睡眠障害を抱えている場合は、主治医に相談しましょう。食事や生活習慣を変えると睡眠を改善できることがあります。また、ハーブ系などのサプリメントを服用するとよく眠れる場合もあります。
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    怒り日記をつける 自分の怒りについての詳細を記録しましょう。自分の感情が制御不能になった出来事があれば、それを書き留めます。自分の感じたこと、腹が立った原因、場所、一緒にいた人、自分の反応、後で感じた事を正確に記入します。[8] しばらくの間日記をつけると、出来事の中から怒りの原因となる人、場所、ものなどの共通点を見い出せるでしょう。
    • 日記は以下のように記入します。「今日、同僚にとても腹が立った。みんなのランチを店に取りに行ってくれないなんて自分勝手だ、と彼が私に言ったからだ。その時、私たちは休憩室にいた。今日はとてもストレスのたまる日で、私は隣のレストランで買ってきたチーズバーガーを食べながら一息ついていた。私は激怒して、同僚に怒鳴り返した。彼に悪態をつき、激しい勢いで休憩室を出た。オフィスに戻って、机を殴りつけた。それから罪悪感と恥ずかしさを感じ、その後はオフィスにずっと隠れていた。」
    • ゆっくりと日記を読み返すと、自分勝手などと悪口を言われたことが自分の怒りの原因であったと気付くでしょう。
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    アンガーマネジメントプラン (怒りをコントロールする計画) を立てる 自分の怒りの原因がわかれば[9] その原因に対処する計画を立てることができます。パート1で学んだ、怒りをコントロールする方法を使って「こういう場合にはこうする」と事前に筋書きを決めておくと良いでしょう。
    • 例えば、自分の子育てに批判的な意見ばかり言う義母に会いに行くとします。「もし義母が私の子育てに意見を言ってきたら、穏やかに『ご意見には感謝します。ですがあなたの意見に関わらず、どう子育てをするかは自分で決めたいと思います。』と言う」と事前に決めておきます。さらに怒りが治まらないようなら部屋を出ることや、荷物をまとめて家に帰るということも決めておきます。
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    言葉で正しく怒りを表現する練習をする[10] 言葉できちんと怒りを表現する人は、対立する双方の言い分を認めることができます。[11] きちんと怒りを表現するには感情で誇張せず、事実のみに基づいて丁寧な言い方で希望 (要求ではなく) を伝え、はっきりと言葉にして、自分の気持ちを効果的に表現する必要があります。
    • この方法は、何も言わずに黙って怒る消極的な表現や、問題に対して不釣り合いな怒りを爆発させる攻撃的表現とは異なります。 [12]
    • 例えば、毎日仕事中に大音量で音楽をかける同僚に対して腹が立つ場合は、以下のように言うことができます。「君が仕事中に音楽を聴きたいのはわかるんだけど、音楽が鳴っていると僕は仕事に集中できないんだ。悪いけどスピーカーじゃなくて、ヘッドフォンで音楽を聴いてもらえないかな。そうすれば他の人の邪魔にならないし、みんなが楽しく働ける職場環境になると思うんだ。」
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    アンガーマネジメント講座に参加する アンガーマネジメント講座に参加すると、怒りに対処する方法や感情を適切にコントロールする方法を学べます。 [13] また、講座に参加すると、このような状況にあるのは自分一人ではないことが分かるでしょう。自助グループへの参加も、個人でセラピーを受けるのと同様に効果があると感じている人も多くいます。
    • 自分に合ったアンガーマネジメント講座を見つけるには、オンラインで「アンガーマネジメント 講座」と都道府県名などで検索してみましょう。キーワードに「中高生」などを加えて検索すると、個別の状況に合った講座が見つかるでしょう。
    • 主治医や心理療法士に相談したり、地域のコミュニティーセンターなどで自己啓発セミナーが開催されるかどうかを尋ねるなどして自分に合った講座を探しましょう。
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    精神衛生の専門家に相談する 怒りが日々の生活や人との正常な関係性を妨げるほどになったら、専門家に相談しましょう。心理療法士は問題の根源を見すえて心理療法か投薬、あるいはその両方が必要かどうかを判断します。また、心理療法士は怒りがこみ上げた時に使えるリラックス方法や、感情に対処する技術、コミュニケーション方法などを指導します。 [14]
    • アンガーマネジメント専門の心理療法士をオンラインで検索してみましょう。

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いざという時に怒りをコントロールする

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    怒りを感じたら直ちに一休みする その時にしていることを中断する、原因に関わらずその場から離れる、一休みするなどして一旦休憩します。怒りの原因から離れると、大幅に楽に気持ちを落ち着けることができます。
    • 腹が立つ状況に即座に反応する必要はありません。10まで数を数えたり、必要ならば「ちょっと考えてからお返事します。」と言って、落ち着く時間を取るのも良いでしょう。[15]
    • 職場で怒りを感じたら、少しの間別室へ行くか外へ出ます。車で出勤の途中ならば、自分だけの空間にいられるように、しばらくの間車内に座っていましょう。
    • 家庭で怒りを感じたら、トイレなどの一人きりになれる場所にこもるか、一人で、あるいは信頼できる人や助けてくれる人と一緒に散歩に出かけると良いでしょう。
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    怒りを開放する 怒りという感情を覚えることは極めて正常です。少しの間、一人きりの場所で怒りを開放すると、怒りの感情を受け入れ、気持ちを切り替えることができます。気持ちの切り替えができれば、再び怒りに駆られたり、その原因を思い出すことはないでしょう。[16]
    • 怒りを自分で意識するには、体のどこにそれがあるのかを特定してみましょう。お腹に怒りを感じますか?握りしめたこぶしでしょうか?怒りの場所を見つけたら、そのままにして放っておきます。
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    深呼吸をする 怒りで心臓が激しく打つときは、呼吸を調整すると動悸を治めることができます。感情のコントロールには瞑想が最適で、その際に深呼吸は大変重要な役割を果たします。 [17] 完全な「瞑想」ではなくても、深呼吸をすると同等の効果を得られます。 [18]
    • 3まで数えながら息を吸い、肺にしっかりと空気をためて3秒間息を止め、また3まで数えながら息を吐きます。この間は、数を数えることだけに集中します。
    • 毎回肺がいっぱいになるように息を吸い込み、胸とお腹が膨らむことを確認します。毎回しっかりと息を吐き切り、吐き終えたら次に吸い込むまでには少し間をあけます。
    • 感情がコントロールできるようになったと感じるまで深呼吸を続けましょう。
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    「楽しい場所」を思い浮かべる 上記の方法を試しても気持ちを落ち着けるのが難しい時は、とてもリラックスできると思う光景を想像してみましょう。子供の頃に住んでいた家の庭、静かな森林、無人島や想像上の場所など、ゆったりと落ち着けると思う場所ならどこでも構いません。光、音、気温、天候、匂いなど、その場所の詳細まで集中して思い浮かべます。そこに完全に入り込んだと思えるまで楽しい場所のことを考え、数分もしくは気分が落ち着いたと思うまで空想にふけりましょう。
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    前向きな独り言を練習する ものの考え方を後ろ向きから前向きに変える練習 (認知の再構築) [19] をすると、怒りに健全に対処することができます。まずは時間を取って気持ちを落ち着け、その後に怒りを感じた状況について、前向きで穏やかな言葉を使って「自分と話し合い」をします。
    • 例えば、運転中に無理な割り込みや追い越しをされて頭にきた場合は「あのバカに危うく殺されるところだった!あいつを殺してやりたいよ!」ではなく、「あの人はもう少しで私の車をこするところだったけれど、きっと何か緊急事態だったんだろうし、あの人に会うことはおそらくもうないだろう。私は無事だったし、車も傷つかなくてラッキーだった。まだ落ち着いて運転に集中できているから、私は運がいいな。」と言い換えることができます。
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    信頼できる人に助けを求める 親しい友達や親友に心配事を打ち明けると、怒りの発散に役立つことがあります。その際には、その人にして欲しいことをはっきりと説明します。ただ単に話を聞いて欲しいだけなら、助けや助言が必要なのではなく、ただ共感して欲しいということを最初に伝えます。解決策が必要ならそのように頼みます。
    • 制限時間を決めます。自分の怒りを発散する時間を決め、必ずその時間を守ります。制限時間いっぱいになったら、発散を終了します。その状況について延々と文句を言い続けることなく、気持ちを切り替えることができます。
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    怒りの原因にユーモアを見い出す 怒りの原因について落ち着いて考えられるようになったら、明るい面に目を向けてみましょう。怒りの原因にユーモアの光を当てると、実際に体内での化学反応を怒りから笑いへと変えることができます。 [20]
    • 例えば、運転中に無理な追い越しをされたら、「私に先を譲らずに目的地に15秒早く着いたところで意味があるかな、ばかばかしい」と考えます。割り込みをした人の価値観がおかしいことをちょっと笑って、気持ちを切り替えることができるでしょう。

ポイント

  • 怒りは時に理にかなった、表現されるべきものではあります。しかし人に暴言を浴びせるのではなく、しかるべき表現方法があることを理解しましょう。
  • 人に怒りをぶつけるとしたら、その人は本当に怒られるべき人なのか、それとも無関係な人や問題に苛立って、自分が勝手にその人をサンドバッグにして怒りを発散しようとしているだけなのかを自問自答しましょう。
  • エネルギーを消費できるクリエイティブな手段 (文章を書く、絵を描くなど) を見つけましょう。自力での解決が不可能な問題に常に費やしているエネルギーを趣味によって発散でき、気分が良くなります。自分が怒りに費やすエネルギーを他のことに向けると何ができるのかを考えてみましょう。
  • 瞑想はストレスや不安、怒りの前兆を発散するのに効果的です。
  • 気持ちが落ち着くまで、怒りの原因に関連する事柄から離れましょう。誰もいない、何もない静かな場所へ行き、充分に落ち着くまで深呼吸をします。
  • 怒っている時に自分が発する言葉に注意しましょう。気持ちが落ち着いてからその状況を思い返してみると、必ずしも同じようには思っていないはずです。
  • 心を落ち着ける、心地よい音楽を聞いてみましょう。
  • すぐに激怒して自分でコントロールするのが難しい場合は、人から離れて静かな場所へ行きましょう。毛布やまくらなどで消音して叫ぶと怒りの発散に役立つでしょう。誰もいなければ大声を出しても構いません。
  • 怒りの原因となる場所や状況を避けましょう。
  • 怒りに駆られたら、一呼吸ついてその場では怒りを見せないようにするか、後で友人や家族にそのことを話して発散します。しかし、あくまで穏やかに、第三者の視点を意識して話しましょう。

注意事項

  • 自分の怒りが爆発する、あるいは暴力的な行動に出ると感じたら、直ちにその場を離れましょう。
  • 自分や他人を傷つける行為が頭に浮かんだら、直ちに助けを求めましょう。
  • 怒りは、周りの人への暴力、身体的虐待、暴言の言い訳には絶対になりません。


出典と引用

  1. http://www.health.harvard.edu/staying-healthy/understanding-the-stress-response
  2. http://www.health.harvard.edu/staying-healthy/understanding-the-stress-response
  3. http://www.creducation.org/resources/anger_management/anger__a_secondary_emotion.html
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カテゴリ: 心の健康・心理バランス

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