蘭を育てる方法

6 方法:蘭を選ぶ肥料と水遣り鉢植え刈り込みと手入れ換気室内で栽培できる蘭の品種

蘭は昔から愛と美の象徴とされてきました。その優美さと魅力から蘭は多くの愛好家に育てられ、パーティーや特別なイベントではコサージュとしてドレスの胸元や手首を飾ります。結婚式から会議まで幅広い行事で、蘭の花はテーブル上の美しい飾りになります。


蘭の種類には750属、3万品種以上あり、毎年新しい品種が紹介されています。愛好家は膨大な品種の中から蘭を選びます。実際、蘭は南極以外の全ての大陸に自生し、栽培者は入手できるかどうか、適応力があるかどうかによって、在来種、外来種のどちらからも蘭を選ぶことができます。本当の愛好家は多大な時間を割いて、蘭の育て方や手入れの方法に関するすべての学術書を読むのでしょうが(読むべきですが)、初心者はとにかく始めてみることが大切です。ここでは比較的丈夫で手入れのしやすい蘭の育て方の基本をご紹介します。基本をつかんだ後にさらに蘭に対する情熱が高まったら、もっと難しい蘭に挑戦して、自信をつけてください。

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蘭を選ぶ

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    家の栽培環境に合った蘭を選ぶ 蘭を正しく育てることは環境に適した蘭を選ぶことから始まります。ここでご紹介する蘭は、どんな環境にも適応し、育てやすく、簡単に手に入り、美しい花を咲かせるという点から家庭での栽培に向いています。後にもっと難しい品種を育ててみたいと思っている方には、より繊細で手入れの大変な蘭の育て方をじっくりと調べてみることをお勧めします。蘭を選ぶ際には次の点を考慮してください。
    • 成長した蘭を置く場所があるかどうか。蘭を別の場所に移す必要があるかどうか。蘭の中には成長すると極めて大きくなり、家の中よりも温室栽培が適しているものがあります。
    • 蘭の育成に必要な温度を保つことができるかどうか。蘭は栽培温度によって低温、中温、高温の3タイプに分けられます。蘭を育てるためには一定の夜間最低気温を保つ必要があります。
    • 温室、またはサンルームの有無。蘭には室内やベランダよりも温室やサンルームのような環境でよく育つものが多くあります。温室やサンルームがない場合は、室内で育てられる品種を選びましょう。(下記リスト参照)
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    開花した株を買う 既に開花している株はお得です。蘭を種から育てると開花するまでに5年ほどかかるからです。よほど気長な人、または既に温室が蘭でいっぱいになっている人でなかったら、そんなに長く待つのは厭でしょう。
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    栽培条件を考慮する 家の条件に適応した蘭を選びましょう。蘭は原産地によって栽培条件が異なります。必ずラベルに書かれている栽培方法を読んで、自分の家や庭の条件に合うかどうかを確認してください。普通の屋内での栽培に適した一般的な品種をご紹介します。
    • ファレノプシス 一般的には「胡蝶蘭」と呼ばれていますが、室内での栽培に適した優雅な蘭です。長い枝に並んで咲く花は何ヶ月も持ちます。開花は冬または早春に始まります。この蘭はカトレア(下記参照)より光を必要とせず、室内でよく育ちます。
    • カトレア この蘭はコサージュに使われることや花が2週間から6週間も長持ちすることでよく知られています。一年に一度、春または秋に開花しますが、室内で育てるには胡蝶蘭の二倍の光を必要とします。
    • デンドロビューム この美しい蘭は長く優美な花枝を伸ばし、通常は白や紫、またその混合色の花を秋から冬にかけて咲かせます。花は3-4週間咲き続け、手入れの簡単な蘭のひとつです。

    • パフィオペディラム この蘭の俗名は「レディースリッパ」と言います。三枚目の花弁が女性の履くスリッパを思わせる形を作っているからです。袋のような形は昆虫を捕まえるためのもので、昆虫は外に出るために仮雄しべを上り、花粉を集めたり受粉を助けます。葉は美しく、緑や緑と白の斑模様のものがあります。この蘭は明るい光を必要としますが、直射日光は好みません。家庭では東窓、西窓、カーテン越しの南窓(北半球の場合)に置くのが適しています。葉が垂れ下がったものではなく、ほぼ直立して固いものを選びましょう。栽培には室温が適しています。

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肥料と水遣り

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    蘭の水遣り方法を学ぶ ラン科は顕花植物の中でも最大な科のひとつです。そのため無数の亜科または品種があり、それぞれに水遣りの方法が異なります。ある品種には乾きすぎでも、別の品種には遣りすぎであることがあります。普通は品種、気温、季節などを考慮して5日から12日間隔で水遣りを行います。夏は普通より多く、冬は少なくします。苗木販売店や生花店から詳しい情報を得ることもできますが、最適な水遣りの方法を決めるガイドを以下に示します。
    • 下記の品種は常に湿った状態(濡れるほどではなく)に保ってください。
      • パフィオペディラム
      • ミルトニア
      • シンビジューム
      • オドントグロッサム
    • 次の品種は成長期には常に湿った状態に保ち、それ以外は乾ききってから水遣りをします。
      • カトレア
      • オンシジューム
      • ブラッシア
      • デンドロビューム
    • 次の品種はほぼ乾ききってから水遣りをします。
      • ファレノプシス
      • バンダ
      • アスコセンダ
    • 水遣りをする時に葉に水がかからないように注意してください。もしかかってしまったら、ティッシュまたはコットンでやさしく拭いてください。
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    培養土を手入れする 飾り鉢から中の鉢を取り出して、シンクまたはお風呂の中に置きます。水の入ったじょうろまたは水遣り用の容器に液肥を加え、根元全体に水を与えます。飾り鉢に戻す前に完全に水気を切ってください。絶対に水に浸けたままにはしないでください。株が枯れてしまいます。
    • 注意: 着生蘭(木の枝などに生える蘭)は地生蘭とは違って土に植えることはなく、ヤシ殻や樹皮、コルクなどに植えます。その他には板張りのバスケットや木片をつないだ物などに着生させることもできます。地生蘭が上に向かって伸びるのとは逆に、着生蘭は下向きに伸びます。
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    蘭に肥料を与える 一般的に肥料は月に一度与えます。窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)に微量の鉄分が含まれた肥料を選びましょう。新芽が出る時期には窒素を多く含む肥料を与え、成長期の後半ではリン酸とカリウムを多く含む肥料を与えます。肥料を与えすぎると株が傷むので注意してください。
    • 樹皮に着生させた蘭には窒素含有量の多い肥料(30[N]-10[P]-10[K]の割合)を与えてください。腐食した樹皮に付いたバクテリアが窒素を多く取り込むからです。
    • 肥料を与える前に十分に水遣りをしてください。

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鉢植え

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    着生種と地生種の必要条件の違いを理解する 蘭の多くは着生種(木や枝に生える)で、地生種とは異なる培養床を必要とします。実際、土に植えるべきではない蘭を土に植えて枯らしてしまうケースがよくあります。着生蘭の根は太く肉厚で、木や樹皮に絡み付いてそこから水分や栄養分を吸収します。他の根は気根で着生することなく伸びます。着生蘭は土を含まない培養材または樹皮やコルクに着生させて栽培するのに適しています。着生蘭には通気性と水はけが極めてよい培養床が必要です。
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    蘭の種類に適した培養材を選びましょう。一般的な培養材にはモミの木の樹皮、ヤシ殻、水苔、木生シダの繊維、パーライト、それらの混合材などがあります。また蘭の種類によって使用する培養材は異なります。地生種は同量の水苔、湿ったピートモス、砂利を混ぜた土壌から作った培養床を使います。着生種は同量の水苔、細かい樹皮、バーミキュライト、湿ったピートモスからなる培養床を使います。一定の品種用にミックスされた市販の培養土を購入するのが簡単ですが、蘭の必要条件はそれぞれ異なるので、事前にきちんと調べておきましょう。
    • 市販の培養土も購入できますが、細かく切った木生シダの繊維、軽石、炭、少量のピートモス、モミの木の樹皮などを混ぜて自家製の培養土を作ることもできます。
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    必要に応じて植え替えを行う 培養床の状態を改善して成長を促すために、時々植え替えを行います。普通は春に植え替えを行います。留意する点を次に示しました。
    • 樹皮に植えた蘭は一般的に18ヶ月‐24ヶ月ごとに植え替えます。
    • 根の大きさに従って鉢のサイズを選びましょう。蘭は小さめの鉢を好みます。必要以上に大きな鉢に植えると、蘭は根を伸ばすことにエネルギーを使うため、何ヶ月も新しい芽や葉を出さなくなってしまいます。そのため鉢は小さめのものを選びます。蘭はどの種類もしっかり根を張って培養土から根がはみ出している状態(気根ならば空中に垂れ下がった状態)を好みます。しかし新しい茎や枝が伸びてくると、そのうち現在の鉢では手狭になるでしょう。
    • 鉢の種類によって水遣りの回数が変わります。土器のような通気性の良い鉢(蘭栽培には最適です)に植えた蘭はプラスチックの容器に植えた蘭よりも頻繁に水遣りが必要です。
    • 必ず底に排水穴のある鉢を使ってください。株が水に浸かったままにすると、根腐れが起きて蘭が枯れてしまいます。
    • 大型の鉢では培養土の中心が完全に乾くまでに時間がかかります。これは蘭にとってよくありません。これを防ぐために、鉢の底に割れた土器の破片などを入れて水はけをよくしましょう。
    • 土器の鉢を使う場合は排水穴を広げるか、底に近い横側に穴を開けましょう。
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    蘭の品種に従って植え替えを行う 株を今のものより少し大きな鉢または容器に注意深く植え替えます。この時、前述した通気性のよい培養土を使います。必ず水はけが良いことを確認してください。
    • 地生蘭:株をもとの鉢から取り出し、古くなった培養土を慎重に落とします。汚れていない鉢に株を入れ、新しい培養土を根の周りにふりかけます。棒などを使ってしっかり土を固めます。鉢の縁と培養土の間に隙間を作り、水が流れやすくします。隙間は1.2cmほどが適当です。
    • 着生蘭:緩くなった古い培養材を取り除きます。枯れた根を切り落として捨てます。株を逆さに持ち、根の周りに新しい培養材を詰めて固い球状にします。株を立てて容器に戻します。着生蘭には植え替え後1週間は水を与えません。根を十分に張らせるためです。その後は控えめに水遣りを行い、根が傷んでいないか確かめます。
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    植え替え後は培養土を適度に湿らせておく これは特に春から夏にかけて重要です。

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刈り込みと手入れ

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    花の手入れ 開花の最盛期は北半球では2月から3月の冬の終わり頃です。開花は4週間から12週間続きます。開花が終わったら、葉の出ているところから1.2cmほど上で枝を切りましょう。また枯れた葉や枝や根なども同時に取り除きます。
    • カビや病気などが発生した場合、感染した部分の少し下から切り落とし、それ以上感染が広がらないようにします。
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    低木の刈り入れのように切らない 蘭は葉の一部を切ると、その葉全体が枯れてしまうことがあります。また偽鱗茎(バルブ)を切ると蘭に大きなダメージを与えます。
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    蘭を切る時には殺菌消毒した道具を使う そうすることで株から株への病気の感染を防ぎます。使った後は道具を漂白剤に浸けるか、使い捨てのカミソリを使いましょう。
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    新芽に注意する 新芽とは古い茎の根元から新しい茎が出てきたものです。適切な環境では、新しい茎は開花する頃には古い茎よりも大きくなります。
    • 夜間の低気温は開花を助けます。各品種の正しい育成方法に従って栽培すれば、蘭は毎年新しい茎を成長させて花を咲かせます。

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換気

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    適切な温度を維持する 温度は18-30ºCが適温です。蘭は短期間ならば16-37ºCまで耐えられますが、温度の急激な変化を嫌います。冷気に当たると葉が黄色く変色し、最終的には散ってしまいます。そうなってしまった場合は黄色くなった葉を取り除き、通常の手入れを続けましょう。
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    適切な換気を行う 適度な空気循環は蘭の育成状態によい影響を与え、カビや害虫の被害から蘭を救います。また、換気を行うと葉や花がいつも乾いた状態になり、カビや害虫の繁殖を防ぎます。
    • 夏は窓を開けて自然風が室内を循環するようにします。これは水分の蒸発と二酸化炭素の流入を促します。穏やかな風は蘭が葉を焼かずに上手に日光を取り入れる手助けをします。
    • 冬(または夏の穏やかな日)は首振り扇風機で空気をゆっくり動かしましょう。時々場所を換えて風が一箇所に集中しないようにします。

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室内で栽培できる蘭の品種

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    下記のリストは室内で栽培できる一般的な蘭の品種です。室内栽培では、適切な場所、十分な照明、温度調節などが必要となります。
    • ブラソレリオカトレア ノーマンズ・ベイ
    • カトレア・ボーリンギアナ
    • セロジネ・クリスタータ
    • シンビジューム・デボニアナム
    • シンビジューム・タッチストーン
    • デンドロビューム・ノビル
    • エピデンドルム・コクレアツム (別名:エンサイクリア・コクレアタム
    • レリア・アンセプス
    • マキシラリア・テヌイフォリア
    • ミルトニア・クラウシー
    • パフィオペディラム・カローサム
    • パフィオペディラム・ハニーゴース
    • タイリントキソウ
    • バンダ・クリスタータ

ポイント

  • 肥料やり:蘭の正しい育成と開花には定期的に肥料を与える必要があります。しかし肥料を与えすぎると株を傷めてしまいます。蘭の育成用に特別に調合された液肥は大抵の園芸店で購入でき、使い方も簡単です。
  • 水分を大量に含んだ鉢に株を入れたままにしておくと、蘭はすぐに枯れてしまいます。水遣りの頻度は蘭の品種、栽培土、日照、容器や鉢の特徴、気温によって異なります。
  • 開花後に葉の成長が止まったら、新しい葉が出始めるまで水と肥料を与える頻度を減らします。
  • ファレノプシスには水遣りが絶対不可欠です。ファレノプシスには水を蓄えておく器官(偽鱗茎)がありません。ファレノプシスを完全に乾かさないように気をつけましょう。十分に水を与え、鉢の中がほぼ乾くまで次の水遣りを待ちます。葉や葉腋に水を付けたままにしないで下さい。病気や枯死の原因になります。
  • ラベルに書かれている頻度に従って毎月液肥を与えましょう。生育期には水で薄めた液肥を毎週与えることもできます。月に一度は鉢に溜まった液肥の結晶を水で洗い流しましょう。
  • 樹皮に着生した蘭には30-10-10 または15-5-5のような窒素の割合の多い液肥を与えます。樹皮に着生したものではなく、植え込んだ蘭は20-20-20.のような調合された液肥で十分に成長します。開花を促すタイプの調合液肥は10-30-20のようにリン酸(真ん中の数字)の割合が高く、秋に与えることができます。
  • 土器や小型の鉢を使う場合、または樹皮に植えつけた場合は水遣りの回数を増やします。通常は週2回水遣りをします。開花を終えた蘭は休息期に入るので、水遣りの回数を減らします。
  • 通常、蘭が活発に成長している時は週1回水遣りを行い、次の水遣りまでにある程度乾燥させます。水遣りをする時は鉢の下から水がしみ出すまで十分に水を与えましょう。
  • 3-4個の氷を週に一回鉢の上に置きます。身長が15cm以下の株には週に一個以上の氷を置かないでください。

注意事項

  • 蘭によくある病気は斑点病、灰色かび病や黒斑病などのかびによる病気です。また花が咲かないという問題もありますが、これは普通は劣悪な育成条件、特に日照不足や肥料不足などが原因です。
  • 虫が付いてしまった株は、カイガラムシを手で取り除き、未成熟期に化学スプレーで害虫を駆除することもできます。カタツムリやナメクジも新芽や花、葉、柔らかい枝などを食べることがあります。
  • 一般的な害虫にはコナカイガラムシ、ハダニ、カイガラムシ、アザミウマなどがいます。カイガラムシは葉の裏側に付きます。害虫がひどく付いてしまった株は処分しましょう。
  • ウイルスは現在対処できない問題で、かび感染と見分けるのが非常に難しい病気です。よく判らなかったら、専門家の意見を聞いてみるのも一つの手です。株がウイルスに感染してしまったらすぐに処分して、鉢を再利用する場合は完全に消毒してから使いましょう。
  • 蘭は様々な害虫や病気の被害を受けやすい植物です。


出典と引用

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カテゴリ: インテリア・ガーデニング

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