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アームスリング(腕つり)の目的は、負傷した腕を固定し保護することです。アームスリングは通常、腕を骨折した時に使いますが、骨折に限らず、打撲、捻挫、脱臼の際にも不可欠です。また、重症に到る可能性があるなどの緊急時にも必要です。どのような怪我であれ、アームスリングは自分の腕を保護するだけでなく、自分が怪我人であることを他人に知らせ、注意を促すサインにもなるため、癒えるまでの間の欠かせない医療用具です。アームスリングの作り方を習って応急処置のスキルを高めると、人の役にも立つでしょう。怪我人を発見した時などに、その場でアームスリングを作り応急処置ができれば、医療援助を待つ間、怪我人の腕を保護することができ、怪我人を安心させることができます。

方法 1
方法 1 の 3:
布で作る

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    適切な大きさの正方形の布を見つける 正方形の生地を実際のアームスリングのように機能させる方法を紹介します。身長や体重によってサイズを変える必要があるかもしれませんが、1メートル四方の大きさがあれば、ほとんどの場合十分でしょう。伸び縮みしない布が理想的です。弾力性があると腕が曲がったり動いたりしてしまうため、怪我を悪化させるおそれがあります。[1]
    • 1メートル四方の布切れは、古い枕カバーやベッドシーツをから簡単に作れます。鋭利なハサミやカッターナイフなどで大きさを測りカットしましょう。緊急時には、素手で適切なサイズに引き裂くこともできます。
    • 「小さすぎる」布よりも「大きすぎる」方が失敗しません。大きすぎたら、アームスリングを着けた後、首の後ろの結び目を調節すれば済みますが、短かすぎる布では緩めることが不可能です。
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    三角形になるように布を半分に折る 正三角形になるように布を半分に折ります。装着時は、三角形の中央の一番「長い」部分で腕を支え、角2つを首に巻き付け後ろで結びます。[2]
    • 折ると快適に装着できない場合は、折り目をカットして一重の三角形にすると良いでしょう。
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    傷口を消毒し包帯を巻いてからアームスリングを着ける アームスリングをそのまま着けると皮膚が布に接触します。自宅で手当てをする場合、アームスリング用の布が殺菌されているとは限りません。傷口が開いている場合は、まず傷口を消毒して乾かし、慎重に包帯を巻いた後でスリングを着けましょう。小さな傷を消毒する大まかな方法を次に紹介します。詳細については「小さな擦り傷や傷のケア」などとインターネットで検索し参照しましょう。重傷の場合、あるいは負傷した部位から骨が見える場合は、自分でアームスリングを作り手当てするのは避け、すぐに病院に行きましょう[3]
    • まず、傷口を洗います。冷水や熱湯は避け、静かにゆっくりと流れる水で洗いましょう。荒々しく扱ってはいけません。してはいけないことをすると、腕を更に傷つけます。
    • 水で洗っても汚れや破片などが取り除けない場合は、ピンセットで処理しましょう。
    • 傷口に包帯を巻きます。包帯の留め金などが傷口に直接触れないように気をつけて、完全に傷口を覆いましょう。必要に応じて、傷口に清潔なガーゼを当てその上から包帯を巻きましょう。
    • 副木が必要な場合は、副木を当ててからスリングを着けましょう。
    • 治療や応急処置の経験がない場合は、傷口に直接触れてはいけません。
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    負傷した腕に着けているジュエリーを全て外す 負傷した腕や手に、指輪、ブレスレット、腕章などを着けている場合は全て外しましょう。傷が治る過程で腫れが出てきます。その際に、ジュエリー(特にぴったりと肌に密着したもの)が腕の血流を妨げ、痛みや炎症を引き起こし、最悪の場合ジェリーを外せなくなります。[4]
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    布の一端を腕の内側に通して垂らし、もう一方の端を肩の上に当てる 負傷した腕を90度に曲げ胸の上で床と並行になるように配置します。反対の腕で、三角形に折った布の端を無傷の腕側の肩に当て、もう一方の「端」は負傷した腕の内側を通して同じ側の腰の位置に来るように調整します。[5]
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    下に垂れている端を肩まで引き上げる 負傷していない腕で、腰の位置に垂れている角をつかみ、反対側の肩まで引き上げ首の後ろに回しましょう。この時布が傷口に当たるため、ゆっくりとやさしく行いましょう。布を乱暴に引っ張ると腕がグイッと動いてしまう危険があります。腕が約90度の角度で楽に固定するように、アームスリングの長さを調節しましょう。[6]
    • 固定されていても書くなどの簡単な作業ができるように、アームスリングの「袖口」から指を少し出しておく必要があります。必要に応じて、アームスリングの長さや幅を調整しましょう。
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    首の後ろでアームスリングの両端を結ぶ 最適な長さを決めたら、首の後ろで両端を簡単に結び固定させましょう。アームスリングの長さを調節する必要が出たら、結び目を緩め最適な位置で結び直しましょう。これでアームスリング装着の準備が整いました。[7]
    • 結び目が首に食い込んで着け心地が悪い場合は、小さな当て布やタオルなどを首に当て、その上に結び目が来るように工夫しましょう。
    • 結ぶ時は、首筋から髪の毛を払いましょう。髪の毛も交えて結んでしまうと、腕を動かしたり歩いたりする時に髪が引っ張られて痛い思いをするかもしれません。
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    安全ピンで端を留めアームスリングを袋状にする 安全ピンが手元にある場合は、肘近くでアームスリングの端を留めましょう。そうすれば肘が袋にすっぽり入る形になり固定されたまま動きません。このスリップ防止策により、動いた拍子に腕がアームスリングから抜け落ちたり、布が手首の方に寄ってくるのを防げます。[8]
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    アームスリングを着用している間は良い姿勢をとる アームスリングを着けると、負傷した腕の重さを背中上部と首で支えることになるため、その負荷で背中と首が凝る可能性があります。軽い凝りでも、時間の経過とともに肩甲骨の間に疲労が溜まります。正しい姿勢を維持できれば、悪影響を最小限に抑えることができます。次に、正しい姿勢の取り方を簡単に説明しましょう。
    • 立つ時は、背筋をまっすぐにし、肩を後ろに回して引き下げリラックスした姿勢をとりましょう。顔を上げ前屈みになってはいけません。
    • 椅子に座る時は、背もたれがあれば、背もたれに背をつけましょう。背中をまっすぐにして骨盤を立たせます。首がまっすぐになるようにあごを上げましょう。床に足をしっかりとつけ、猫背や前かがみになってはいけません。椅子の肘掛けで腕を休ませられるなら、そうして楽な姿勢をとりましょう。
    • 装着中に背中や首に痛みを感じたら、医師に診てもらいましょう。また首や背中を負傷している場合は、アームスリングを着けてはいけません。
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方法 2
方法 2 の 3:
衣服でスリングを作る

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    間に合わせのアームスリングは腕つり専用の既製品よりも性能が劣る 最近のアームスリングは、素人が間に合わせで作るものに比べて遥かに着け心地がよく、人間工学に基づいていて、保護能力も長けています。しかし、腕を怪我する可能性はいつでもどこでもあり、その場にある物で即、アームスリングを作らなければならない場合があるでしょう。キャンプ中に山中で怪我をした場合など、前述のような方法でスリングを作ることは不可能かもしれません。しかし、なしで済ませるよりは、あった方が良いことは確かです。
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    長袖の衣服をスリングとして使う セーター、スウェットシャツ、ボタンアップシャツなどの長袖の衣服を使いまょう。袖を首の後ろで結び、できたループに負傷した腕を慎重に通しましょう。前腕、手首を楽にしていられる適切な箇所を探し、服が腕をしっかり支えられるように調節しましょう。[9]
    • 腕が約90度の角度で、地面と並行になるように袖の長さを調節して結びましょう。
    • 安全ピンが手元にある場合は、前述のように、腕のスリップ防止策として肘付近で袖の両端を留めて「壁」を作りましょう。
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    ベルトをスリングとして使う 身につけている物の中でアームスリングの代用品として最も相応しいのはベルトです。ベルトの穴は簡単にまた自由に、腕を通すループの大きさを調節することができます。首の後ろでベルトのバックルを固定してループを作り、その中に腕を滑り込ませましょう。前腕か手首のどこか適切な箇所で腕全体を支えるようにし、腕が90度を維持したまま動かないようにバックルを調節しましょう。[10]
    • バックルが首に当たると不快感を覚える可能性があるため、バックルの位置を腕と首の間に移動させると良いでしょう。当て布を首の後ろに当てると更に楽に着用できます。
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    ネクタイを使う 職場で、または正装時に怪我をした場合は、医療用スリングが利用できるまでのその場しのぎとして、ネクタイは便利に使えます。前述の要領でネクタイの両端を首の後ろで簡単に結び、できたループに腕を通します。腕を90度の角度で支えられるように、ネクタイの位置と長さを調節します。
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    布ガムテープを使う 布ガムテープは腕を固定するのに非常に効果的です。強度と柔軟性を併せ持ち、生地のような質感があるため、アームスリングとして十分に機能させることができます。
    • 布ガムテープをループ状にすればベルトやネクタイの代わりになり、手首、腕、肘を支えることができます。
    • 負傷した腕を布ガムテープで胴体に密着させて固定します。
    • 皮膚にガムテープが付かないように、表裏をきちんと確認した上で使いましょう。
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    直ちに医師の診察を受け、必要に応じて医療用アームスリングを求める 衣服でスリングを作らなければならない状況とは、通常、医療救助が求められない状況を指します。深刻な怪我、治りが遅い怪我を負った場合は、できるだけ早く医師の治療や医療専門家のアドバイスを受けましょう。間に合わせに作ったものは、何もないよりはましですが、実際のアームスリングの代わりにはなりません。ましてや、医師による治療の代わりにならないのは言うまでもありません。後悔しないように、安全策をとりましょう。放置したまま怪我を悪化させないように、医師にすぐに診てもらいましょう。
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方法 3
方法 3 の 3:
深刻な怪我に対処する

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    骨折や脱臼をしたら医師の診察を受ける 間に合わせのアームスリングは軽度の怪我には良いかもしれませんが、深刻な骨折や脱臼を確実に治すには、適切な処置とは言えません。医師にレントゲンを撮って診てもらい、治療方法についてのアドバイスをきちんと受けましょう。最終的にアームスリングを使うことを勧められることがありますが、ギプスや手術が必要な怪我もあります。手作りのアームスリングで骨折や手足の脱臼の治療を試みても、完全に治らない場合があります。不快感が持続し、更に医師の診断が必要になる場合があります。
    • 腕の骨折でよくある症状は次の通りです。[11]
      • 強烈な痛み
      • 圧痛
      • 腫れ
      • 動かせないか感覚の低下
      • 傷口から骨が見える状態
      • 変形(負傷していない腕と外観が異なる)
    • 腕の脱臼(最も一般的には肩関節脱臼)の一般的な症状は次の通りです。[12]
      • 腕、肩、鎖骨の痛み
      • 変形(肩またはその近くの隆起)
      • 腫れ
      • 青あざ
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    傷口から骨が見える場合は、救急外来に直行する 骨折した骨が皮膚から突き出ている場合、つまり、骨折後に傷口から骨が見える状態ですが、これは「開放骨折」または「複雑骨折」と呼ばれます。このような骨折は酷い痛みを伴う上、危険で治療が困難です。複雑骨折を引き起こす怪我は深刻な心的外傷も起こす可能性があるため、更なる注意が必要です。[13] 素早く効果的な治療を受けることが不可欠です。
    • 有資格の医療専門家の助けなしに複雑骨折を治そうとしてはいけません。すぐに医療関係者の助けを求められない場合にのみ、例外として認められますが、そういったケースは非常に稀です。ただし、そのような状況に置かれたら、何もせずに放っておくよりは、自分で処置をする方が望ましいでしょう。
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    手足を失うリスクがある場合にのみ骨の整復を行う 骨折した骨を元の位置に戻す(整復する)のは、血行不良の兆候が現れた場合にのみ行いましょう。繰り返しますが、医師に手当てしてもらうのが原則です。例外は、骨折によって血液の循環が妨げられているように思われる場合です。骨折部分から先の手足が青白くまたは青くなる、脈拍がなくなる、感覚がなくなる、冷たくなるなどの症状が出たら、手足に血液が行き届いていない可能性があります。その場合、自分でも医療従事者以外の人でもできる人が骨を整復しなければ、手足をなくす危険があります。[14]
    • そのような状況に陥ったら、インターネットなどで「複雑骨折の整復の仕方」を参照しましょう。
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ポイント

  • アームスリングが固定しておくには、長い包帯でアームスリング及び負傷した腕を巻き、負傷していない腕の下で安全ピンで留めると良いでしょう。歩いたり動いたりする際に、腕の振れを防ぐのに役立ちます。
  • 実物大のアームスリングが作れない、またはそのサイズが理想的ではない場合は、手首だけを固定するスリングを作りましょう。
  • 別の方法としては、布、シーツ、ズボン、パンスト(手元にあるものは何でも)で輪を作り、実物大のアームスリングを着用するように、その中に手首を通して首に巻きつけましょう
  • アームスリングを着けて負傷部分をかばっているにも関わらず、腕や肩が良くならない場合は、必ず医師の診察を受けましょう。
  • 怪我が悪化する前に、氷や冷凍野菜が入った袋などを患部に当てて腫れが大きくならないように最善を尽くしましょう。しかし、患部に直接当ててはいけません。悪化する恐れがあります。キッチンペーパーなどで傷口を保護してから冷やしましょう。
  • フード付きパーカーも長袖の代用として使えます。フードのない裾を結び両端をピンで留め、フードを巻き上げて手を保護しましょう。
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注意事項

  • 腕、手首、ひじを骨折したらすぐに医師に診てもらいましょう。
  • 例えば「四十肩」や五十肩」などの治癒にスリングを使うと、症状が悪化します。1日で痛みが消えない場合は、すぐに医師に診てもらいましょう。
  • アームスリングは、敏感な人や高齢者の首の症状を悪化させる場合があります。
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必要なもの

  • 1メートル四方の布、シーツ、枕カバー
  • 安全ピン
  • 柔らかな当て物(任意)

このwikiHow記事について

Luba Lee, FNP-BC, MS
共著者 ::
治験審査委員
この記事の共著者 : Luba Lee, FNP-BC, MS. ルーバ・リーはテネシー州に住む家庭医療を専門とするナース・プラクティショナー(一定レベルの診断や治療を行うことが許可されている上級看護師)です。2006年にテネシー大学にて 看護学修士号を取得しています。 この記事は3,449回アクセスされました。
カテゴリ: 全般的健康
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