アメリカ国内には数多くの種類のクモが生息していますが、ほとんどのクモの牙は、短すぎるか脆すぎて、人間の皮膚を貫通することはないでしょう。仮にクモに噛まれたとしても、致命傷を負う可能性は低く、アメリカ国内でクモに噛まれたことが原因で死亡する人は年に3人ほどしかいません。[1] ただし、クモに噛まれると確実に痛みを伴い、毒によって全身に反応が出ることもあります。アメリカ国内で最も危険なのは、クロゴケグモとドクイトグモの2種類です。[2] 他のクモや虫の噛み痕との違いを見分けることができれば、重症度や医師の診察を受ける必要があるかどうかを判断できるでしょう。

パート 1 の 2:
クモに噛まれたときの対処法

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    2本の牙による穿刺痕を探す クロゴケグモに噛まれると、
    すぐに痛みを感じる
    場合が多く、また皮膚に
    2本の穿刺痕
    が残っているため、他のクモや虫に噛まれた場合と区別できます。[3] 痛みが無い場合もありますが、クロゴケグモの牙は長くて鋭いため、噛まれると少なくとも中程度の痛みを感じるでしょう。その後、2本の牙で刺された傷口は赤くなり、炎症を起こして
    小さなコブができます。
    1時間のうちに、噛まれた部位の圧痛の痛みも増し、広がっていくでしょう。

    クロゴケグモに噛まれた場合のチェックポイント
    噛み痕の形状:2本の牙による穿刺傷です。
    主な症状:1時間以内に噛まれた部分に圧痛が生じ、その後痛みが広がります。傷口が炎症を起こしてコブになるでしょう。
    重篤な副作用:激しい筋肉のけいれん(特に腹部)・噛まれた傷の周りの異常な発汗・吐き気・頭痛・せん妄・悪寒・高血圧などの症状が現れます。すべてクモの神経毒による症状です。
    抗毒血清の有無:抗毒血清はあります。噛まれて激しい痛みなどの症状が出た場合に投与しましょう。通常は医療従事者が太ももに注射するか、静脈から(点滴)投与しますが、抗毒血清は毒の症状以上に重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
    クロゴケグモの見分け方:クロゴケグモは光沢のある丸い体形で、腹部には赤い菱形(または砂時計型)の斑紋があります。
    分布:アメリカ・オーストラリア・南アフリカ・ヨーロッパ南部・アジア南部・南アメリカなどの温帯地域に分布しているクモです。

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    噛まれた傷が「牛の目」になっていないか確認する ドクイトグモに噛まれた場合、痛みが全くないか、蚊に刺されたときのような
    軽いチクチクした感覚
    が残る程度でしょう。ただ、約30~60分以内に噛まれた部分が赤く炎症を起こし、中心部に「牛の目」と呼ばれる腫れができます。[4] 8時間以内に赤みと強い痛みを伴うようになり、中心部の腫れも大きくなるでしょう。腫れた患部に血が溜まって破裂し、
    柔らかい潰瘍(できもの)が残ります。
    この時点で、噛まれた箇所の周りが濃い青色や紫色になり、その周囲に赤いリング状の痕ができているでしょう。[5] 潰瘍が数週間以上治癒しない場合は、医師の診察を受けましょう。

    ドクイトグモに噛まれた場合のチェックポイント
    噛み痕の形状:「牛の目」と呼ばれる形状の腫れが見られます。
    主な症状:噛まれてから30~60分以内に炎症と赤みが現れるでしょう。8時間以内に激しい痛みに襲われ、噛まれた箇所に血が溜まって破裂し、柔らかい潰瘍(できもの)が残ります。
    重篤な副作用:ありません。ただし、免疫力が低下している場合は、完全に回復するまでに数ヶ月かかることがあります。これは、子供や高齢者によく見られるケースです。
    処置:傷口を中性の石けんと水で洗浄します。痛みや炎症を抑えるために保冷剤や冷却シートで冷やし、患部を高くしておきましょう。[6] 必要に応じて市販の鎮痛剤(アセトアミノフェン)や抗炎症剤(イブプロフェン)を服用しましょう。通常、潰瘍は数週間以内にかさぶたになり剥がれ落ちます。
    抗毒血清の有無:抗毒血清はありません。ドクイトグモの毒は壊死性で、噛まれた周囲の組織が死滅し黒や青に変色します。
    ドクイトグモの見分け方:ドクイトグモは、茶色や黄色がかった色をしています。頭部とつながる腹部は楕円形で、ひょろ長い脚が生えているのが特徴です。頭部にはバイオリン状の斑紋があるでしょう。
    分布:米国南部および中西部に分布しています。

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    皮膚の内側に針のような毛が残っていないか観察する タランチュラは見た目が怖いクモの代表格ですが、北アメリカや南アメリカに生息するタイプは毒を持たず、噛まれることもほとんどありません。[7] ただし、これら「新世界」のタランチュラは動揺したり脅かされたりすると、針のような黒い毛を投げたり発射したりすることがあるでしょう。アフリカや中近東に生息するタランチュラの場合、針状の毛はありませんが、より攻撃的な性質で毒を持っています。

    タランチュラの毛で攻撃された際のチェックポイント
    患部の見た目:小さな針のような毛が皮膚の中に留まった状態になっています。
    主な症状:最初にチクチクとした感覚があるでしょう。
    重篤な副作用:じんましん、腫れ、呼吸困難などのアナフィラキシー(全身のアレルギー反応)が現れることがあります。
    処置:アナフィラキシーの症状が現れたら、エピペンを投与しましょう。
    分布:アメリカ南西部、南・中央アメリカに分布するクモです。

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    その他のクモの噛み痕を見分ける クロゴケグモやドクイトグモの毒はかなり強力で、噛まれた場合に多くの症状が現れるため見分けやすいでしょう。[8] ただし、他のクモに噛まれることのほうが多く、その場合痛みや腫れの症状も見られます。例えば、茶色の背中に黄色の模様があり、走るのが速い大型のクサチタナグモは、人を噛むと神経性の毒を注入します。これにより周囲の皮膚が壊死することがありますが、ドクイトグモの毒ほど強力ではありません。
    • クサチタナグモやフクログモ類のクモに噛まれると、ハチやスズメバチに刺されたときと同じような患部の不快感や傷が残りますが、これらのクモの牙はハチやスズメバチほど大きくも強くもないため、初期の痛みははるかに少ないでしょう。
    • 噛まれたクモの種類を特定するために、
      クモを捕獲するか、スマートフォンで写真を撮っておきます。
      それを地元の医療機関に持っていく(誰かが特定できるかもしれません)、またはインターネットで検索してみましょう。ほとんどのクモは噛まれても無害です。軽い不快感が残るだけで、それも数日後には消えているでしょう。[9]
    • クモに噛まれた場合、消毒ジェルや氷、市販の薬などで治療を行いましょう。
    • 一般的にクモは、皮膚と何かの間に挟まれて押しつぶされているときなどに、身を守る目的で噛みつくと言われています。
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パート 2 の 2:
他の虫刺されとの違いを見分ける

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    クモ以外の虫に噛まれたときのほうが、クモの場合よりも強い痛みがあると覚えておく クモに噛まれたら(実際に負うダメージ以上に)大ケガをするという思い込みがあるため、強い痛みを感じるとクモに噛まれたと誤解してしまうことがあります。[10] 例えば、ハチスズメバチなどは強靭な針で皮膚に傷をつけるため、クモの小さな牙で噛まれた場合よりも、最初のダメージははるかに大きいはずです。ハチは針を皮膚に残してその後すぐに死んでしまいますが、スズメバチの仲間(スズメバチ、イエロージャケットなど)は何度も刺すことができます。[11]
    • ハチやスズメバチに刺された場合、小さな皮膚の腫れや赤み(小さな挫傷やあざのようなもの)などの症状で済む場合もありますが、敏感な人の場合は重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)が現れて医師の診察が必要になることもあるでしょう。ハチやスズメバチの場合毒はありませんが、アナフィラキシーに対する治療が間に合わずに死亡する人の数は、年間を通し、クモに噛まれて死亡する人の数よりも多くなっています。
    • アナフィラキシーの症状は、エピネフリン(アドレナリン)注射をしてコントロールします。
      これにより体のアレルギー反応が抑えられるでしょう。医師に注射してもらうこともできますが、エピペンを持っている場合は自宅で注射することも可能です。
    • クサチタナグモやフクログモ類のクモに噛まれた場合、ハチやスズメバチに刺されたと勘違いすることがよくあります。また、クロゴケグモに刺された場合も同様の重篤な症状が現れますが、2本の牙による穿刺痕は、ハチやスズメバチに刺された場合の傷とは全く違います。
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    痛みを伴うサソリの刺し傷に注意する サソリはカニのようなハサミを持っていますが、つまんだり噛んだりすることはなく、尻尾で刺して攻撃してきます。サソリに刺されると痛みがあり、局所的な赤みや炎症も見られますが、重症化することはほとんどないため通常は医師の診察を必要としません。ただし、
    バークスコーピオンに刺されると致命傷になることがあります。
    これはバークスコーピオンの強力な毒の作用によるものです。
    • サソリに刺された傷痕は、クロゴケグモの2本の牙による穿刺痕とは大きく異なりますが、どちらも神経毒を注入されるため、痛みなどの症状はよく似ています。
    • 抗毒血清(Anascorp)はありますが、アメリカの場合はサソリの毒による死亡率は低く、あまり使われていません。
    • 多くのクモに刺された場合と同様に、サソリに刺された場合も、大抵は消毒用のジェルや氷、市販の薬で治療できます。
    • バークスコーピオンは、アリゾナ州、ニューメキシコ州、カリフォルニア州の一部に分布しています。
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    ダニの噛み痕をクモのものと混同しないようにする ダニに噛まれると、皮膚に牛の目のような痕が現れることがあり、ドクイトグモに噛まれたと勘違いすることがあります(その逆もあるでしょう)。[12] 中には
    (シカダニなど)ライム病を媒介するダニもいる
    ため、油断は禁物です。ライム病を媒介するダニに噛まれた場合、1ヶ月以内に同心円状の発疹が現れるほか、発熱・倦怠感・頭痛・筋肉や関節の痛みなどの症状が見られます。
    • 噛まれても最初は痛くないこと、噛まれた周囲の皮膚が潰瘍化(壊死)しないことがドクイトグモに噛まれた場合との差です。
    • ダニは通常、皮膚の中に潜り込んでから宿主を噛むため、皮膚の表層の下に入り込んだダニを確認できる場合があります。一方、クモは人の体内に潜り込んだり、そこで巣を作ったりすることはありません。
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ポイント

  • ガーデニング用の手袋や長靴、衣類など、しばらく使わずに放置していたものは必ず点検しましょう。いずれもよく振ってから着用するようにします。
  • 衣類や履物に虫除けスプレーを噴霧しておけば、クモの侵入を防ぐことができるでしょう。
  • クモに噛まれて痛みを感じても、医療機関などが遠く、すぐに治療が受けられない場合は速やかに傷口を氷で冷やしましょう。その後、抗菌ジェルなどの救急用品で傷口を処置し、感染を防ぎます。
  • 庭の物置・ガレージ・地下室・屋根裏・暗いクロールスペース(床下の狭いスペース)などを掃除する際には、クモに噛まれないよう、長袖シャツ・帽子・手袋・長靴を着用します。シャツの袖やパンツの裾を手袋や靴下の中に入れて、虫が侵入する隙間を極力減らしましょう。
  • 世界には多くの種類のクモが生息しているため、海外、特に南米・アフリカ・東南アジア・オーストラリアなどへ旅行する際には注意が必要です。他に世界的に危険性が指摘されているクモとしては、クロドクシボグモ、ジョウゴグモ、マウススパイダー、セアカゴケグモなどが挙げられます。
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注意事項

  • クモが破傷風に感染していた場合、噛まれたときに感染する危険があります。破傷風の予防接種は10年ごとに受けておくようにしましょう。[13]
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このwikiHow記事について

Anthony Stark, EMR
共著者 ::
救急救命士
この記事の共著者 : Anthony Stark, EMR. アンソニー・スタークはカナダのブリティッシュコロンビア州在住の認定救急救命士です。救急搬送サービスを提供する会社「British Columbia Ambulance Service」を経て、現在では「Mountain View Safety Services」に勤務しています。ジョージア工科大学にて電気・電子工学および通信工学の学位を取得。
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