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フルタイム勤務と比較して拘束時間が短く、家事や育児との両立がしやすいなど、とりわけ主婦・主夫にとって、パートタイマーは理想的な働き方と言えるでしょう。一方で「〇〇万円の壁」「扶養控除内」など、言葉として認識しつつも、正しく十分に理解できないままパートの仕事を続けている人も、潜在的に少なくないでしょう。パートタイム労働法の対象者(パートタイム労働者)として、そのメリットを確実に活かし、より効率良く収入を確保するうえで大切な知識ですが、苦手意識を持つ必要はありません。これから主婦・主夫としてパートで働く際には、自身の勤務状況(累計労働時間や収入額、今後の勤務シフトなど)を常時把握する、自己管理の習慣が求められることを、まずは知っておきましょう。[1]

方法 1
方法 1 の 3:

準備する

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    目的を自己確認する パート勤務を始めようと考えた理由は人それぞれ、各家庭ごとにさまざまです。自身のお小遣いは自分で稼ぎたい、生活費を稼ぎたいなど、現実を見据えた動機ばかりではありません。育児が一段落したので職域に復帰したい、自身の持つ資格や培った技術をこのまま錆びつかせたくない、スキルアップしたいなど、やりがいを求める主婦・主夫は数えきれません。「周囲のママ友や同世代の主婦・主夫もみんな働いているから」など、周囲に触発されてのパート勤務チャレンジも少なくありませんが、やはり自分なりの目的を見据えておくべきでしょう。
    • 無理矢理模範的な目的意識を掲げる必要はありません。今後仕事と主婦・主夫業の両立が求められる生活スタイルを続けるうえで、自分なりの決意を自己確認しておきましょう。
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    家族の理解を得る それまで専業主婦・主夫だった自分が働きに出る以上、家族の1日の生活サイクルに、なんらかの影響が出ることは避けられません。夫を始めとする家族全員の理解と協力なくして、新しい仕事をより早く確実に覚えて職場に馴染み、同時により効率よく家事をこなすことは期待できません。夫とは夫婦として、今後の生活設計を見据えた話し合いを、留守番を頼む時間が生じる子ども(たち)には、それぞれの年齢目線で、しっかり自分の考えを伝えましょう。母親が仕事を始めることは、家で待つ子どもにとっても、実社会の仕組みを学び精神的に成長する上で、絶好のチャンスです。
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    候補となる職種を考える 雇用形態に限らず、自らが興味を持ち積極的にチャレンジでき、やりがいが期待される職種の選択が、自身と家族にとってもより好ましい働き方のへの第一歩です。たとえば独身時代に培った知識と経験を活かしたいのであれば、同業種への復職が第一候補です。一方で新たなスキルを身につけたい、さらなるスキルアップを目指すのであれば、資格取得につながる事務仕事や、働きながら手に職をつける仕事が適しているでしょう。日々の仕事にその都度達成感を確かめたいのであれば、販売職、営業職、イベントスタッフなど、結果が数字で明確に示される仕事が候補に挙がります。職種はさておき、確実に稼ぎたい最低金額のクリアが最優先であれば、勤務可能な時間帯や勤務地など、通勤を続けられるか否かを重視した選択が望まれます。[2]
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方法 2
方法 2 の 3:

課税の仕組みを知る

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    103万円の壁の意味を知る 自ら確定申告している世帯であれば、妻の年収による控除(税金がかからない)規定が適用されます。世帯主(夫)の控除後年間合計所得が38万円以下、すなわち妻の年収が103万円以下であれば、所得税はかかりません。103(万円)÷12(ヵ月)≒85,833(円/月)の支給額内でパート勤務すれば、税金を納める必要はない、との計算です。これがいわゆる「103万円の壁」です。[3]
    • 自治体によって多少の差が見られますが、妻が年収100万円以下であれば住民税もかからない規定も適用されています。
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    130万円の壁の意味を知る 妻の年収が103万円以上130万円以下の場合、所得税や住民税は課税される一方、配偶者特別控除が適用され、社会保険料の負担は免除される規定が適用されています。ただし年収130万円以下でも、年間勤務時間が正社員の3/4以上の場合、社会保険料を負担するケースもあります。年収が130万円超となると、住民税と所得税の双方が課税され、103万円と比較して課税額が高くなるため、労働時間に対して実質的な損が発生すると捉えられます。130(万円)÷12(ヵ月)≒108,333(円/月)の支給額内でのパート勤務が目安となる計算です。[4]
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    106万円と社会保険加入の関係性を知る 2016年10月の法改正に伴い、以下の条件に該当する、学生を除くパートタイム労働者は、社会保険に加入する規定が適用されています。社会保険加入のメリットに対し、手取り金額は保険料相当分減額されます。従業員数501名以上の会社が勤務先のパートタイマーの場合、年収103万円ギリギリ、106万円以上130万円以下の場合、社会保険料の負担額が大きく、手取り額の減額が懸念されます。[5]
    • 1週間の労働時間が20時間以上
    • 月額賃金8.8万円(年額106万円)以上
    • 継続勤務1年以上
    • 従業員数501名以上の会社
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    長時間のパート勤務と手取り減額の関係性を知る 「パートでフルタイム勤務すると、手取りが減って損」と言われている理由も、応募前の段階で理解しておきましょう。年収次第では103万円以下に抑えた働き方よりも手取り額が少なくなり、実質的には収入減となってしまう一例です。パートの長時間勤務の場合、年収130万円を大きく超えなければ、手取りが減ってしまう計算が成り立ちます。目安として年収150万円以上であれば、課税額を差し引かれたとしても、労働時間に準じて手取りが増えていく計算になるとされています。以下に時給900円と仮定した計算例を紹介しますので、一連の流れを確認してみましょう。
    • 時給900円で1日7時間×週5日勤務の場合、6,300(円/1日)×5(日)=31,500(円)
    • 31,500(円)×4(週間)=126,000(円/月)
    • 126,000(円)×12(ヵ月)=1,512,000(円/年)>1,300,000(円/年)
    • 130万円超のため、所得税、住民税、社会保険料、年金などで、年額20~30万円以上が引かれてしまい、実質的に損を被る。
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方法 3
方法 3 の 3:

応募する

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    求人情報を集める インターネット上の複数の求人情報サイト、無料配布の求人誌、募集中の企業(店舗)の公式サイト、店頭や事業所に掲示された募集告知など、求人情報源には事欠きません。ここで大切なのが、新鮮かつ安全性と信頼性の高い情報を見極める作業です。無料情報誌に毎週のように同一告知が掲載されている場合、仮に希望する職種であったとしても、慎重な下調べを行いましょう。採用された人材が長続きしない、慢性的に人手不足で、なし崩し的な残業や休日出勤を強いられるなど、なんらかの負のリスクが潜んでいないとも限りません。
    • 応募候補先は必ず下見しましょう。スマホの画面内の道案内や所要時間は、必ずしもその限りとは言えません。当日道に迷って遅刻してしまっては、その時点ですべてが水の泡です。店舗であれば職場の雰囲気が、事務職に応募した会社であったとしてもその社屋の雰囲気が、自分に合っているかどうかがある程度察せられます。
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    履歴書を作成して面接に臨む 学生時代のアルバイトや就職活動を通じ、履歴書の書き方に窮することは基本ないでしょう。それでも時代と価値観の推移とともに、基本とされる書式やお手本とされる文章表現もまた、随所で変化を見せています。専業主婦・主夫の期間が長く、久々の応募であれば、直近の履歴書の書き方を再確認しましょう。面接に臨む心構えと注意点は、時代を問わず共通しています。かつて採用された記憶を辿り、十分に予行演習を含めた準備を整え、時間に余裕を持って臨みましょう。[6]
    • 当時の記憶のまま、定型文的な記載を用いてしまうと、採用担当者の目に陳腐な書式と映ってしまいかねず、注意が求められます。現在50歳以上の世代の場合、若き日の志望動機の典型的な文例が「貴社の業務が自己の性格に最適」だったことをご記憶でしょう。今日の陳腐な文面の一例です。
    • 添付する顔写真も、一昔前はモノクロで硬い表情が良いとされていましたが、今日ではより自然で明るい印象の、自身の好感度が伝わるカットが望まれます。ただし歯が見えるほどの笑顔は行き過ぎです。肩肘張らず穏やかながら、姿勢を正した撮影を心がけましょう。
    • 無理矢理とってつけたような志望動機は、どれだけ達筆かつ巧みな文章であったにせよ、採用担当者に一目で見抜かれます。たとえば「家から近くて通勤が楽だから」という理由の場合も、自分目線だけでなく、「家から近いのでより多くのシフトに入ることができます」と綴ることで、積極性と好印象を伝えられます。
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    働き始める 晴れて採用となれば、初出勤日までの限られた時間内になすべきことは少なくありません。まずは家族にこれまでの理解と協力に対する感謝の気持ちを伝え、引き続いての協力をお願いしましょう。新人(研修生)としての職場デビューに際しての注意点は、これまでの記憶と経験から十分理解できていることでしょう。久しぶりの懐かしい緊張感に包まれて、新たな職場デビュー当日の朝を迎えましょう。
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ポイント

  • パートで働き始めるに際しては、自身と家族にとってベストな職種と働き方を見極め、家族の理解と協力を仰ぎ、感謝の気持ちをしっかり伝えましょう。
  • 課税の仕組みに関する最低限の正しい知識を確かめ、103万円の壁、130万円の壁を意識した働き方を意識しましょう。
  • 長時間パート勤務の場合、労働時間に対して税金や社会保険料が引かれる金額の比率が高く、結果として損となってしまうケースが見られ、注意が必要です。
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注意事項

  • 労働基準法や税法に関する法律は、、今後も改訂あるいは新施行される可能性が見過ごせません。常に直近の正確な情報を確認する習慣をつけましょう。
  • スーパーなど複数の同僚で勤務シフトを構築する職場の場合、繁忙期の残業や同僚の欠勤のカバーなどで、短時間勤務のはずが長時間化してしまう傾向が見られます。自己管理に留意するとともに、時間超過が顕著になった場合、速やかに上司に報告相談する対応が望まれます。
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カテゴリ: 仕事
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