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リクガメは2億年以上も前から生息し、恐竜時代にも地球上を闊歩していました。[1] 楽しく世話や観察ができるリクガメは、ペットとして魅力的な動物です。しかし、大昔から存在しているリクガメは、長い時間をかけて独自の進化を遂げたため、他の動物にはない嗜好を身に着けています。そのため、リクガメの世話は思った以上に大変な作業になります。リクガメを健康で強く育てるためには、時間と根気が必要です。ぜひ以下のステップに従って、この素晴らしい生き物の飼育を始めましょう。

パート 1
パート 1 の 5:

リクガメを選ぶ

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    リクガメを選ぶ リクガメには多くの種類があり、ペットとして選ぶ際には、見た目、生育環境、予算など、考慮すべき点がいくつかあります。どのような品種を選ぶにしても、責任を持って世話をすれば、みなさんの家族にとって素晴らしいペットになるでしょう。代表的なリクガメには、ケヅメリクガメ、ヒョウモンガメ、キアシリクガメ、ギリシャリクガメ、ロシアリクガメ、ヘルマンリクガメ、インドホシガメなどがあります。リクガメを選ぶ際に覚えておきたい点は以下の通りです。[2]
    • 始めてリクガメを家に連れて帰った時は小さく、かわいらしくても、種類によっては5年から10年で全長60㎝以上にまで成長します。1匹のリクガメを長期間、手塩にかけて育てるつもりなら、見かけにとらわれてはいけません。自分の生活スタイル、経済力、生活環境を考慮したうえで、飼育可能な品種を選びましょう。
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    信頼できる店でリクガメを購入する 過去に健康な個体を販売してきた実績があり、信頼できる店でリクガメを購入することが大切です。爬虫類イベントでリクガメを入手するのは避けましょう。購入後にリクガメを売った業者と再度連絡が取れないことがあるためです。そうなってしまえば、販売者にも、売却したリクガメがきちんと世話を受けているかを確かめる術はありません。
    • ペットショップまたはオンラインショップのいずれで購入する場合にも、アフターサービスを自慢にしている販売者を探しましょう。「購入後いつでも連絡してくるように」と言われた場合は、その店は信頼できる可能性が高いでしょう。
    • チチュウカイリクガメ属などのように、リクガメの中には飼育や繁殖が法律で禁止されているものがあります。飼いたいリクガメがこれに含まれる場合は、業者がワシントン条約 (CITES) に基づいてしかるべき認可を受けているかを確認しましょう。[3]
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    長期間の飼育をする覚悟をする 1、2年世話をしただけで投げ出してしまうのであれば、リクガメを飼う資格はありません。リクガメは30年から100年も生きる動物です。すなわち、飼い主よりも長生きする可能性があるということです。臆することではありませんが、リクガメを飼うのに適した環境にあることを確認し、転居などで連れていけない場合は代わりに飼ってくれる人を見つける覚悟をしてから飼育を始めましょう。[4]
    • 同じ場所に50年も住まなければならないわけではありませんが、この先何十年も世話をするつもりでリクガメを迎えましょう。
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パート 2
パート 2 の 5:

リクガメの飼育と取扱い

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    リクガメに餌を与える リクガメの種類によって、食べるものは大きく異なります。主食として何を与えるべきかを、リクガメを購入した店に確認しておくことが重要です。一般的に、リクガメは葉野菜(どこの食料品店でも販売されているミックス野菜サラダなど)を食べます。幼体の時はまだ下あごが小さく、硬いものを噛みちぎることが難しいため、柔らかい餌や、パリッとした食感の餌を準備する必要があります。リクガメは、ブロッコリー、さやいんげん、ケールなど、大抵の野菜を食べることができます。特に、これらの野菜をミックス野菜サラダに混ぜるのが効果的です。ただし、飼っているリクガメの好みを正確に把握しておくことは大切です。
    • リクガメを強く健康に育てるために、サプリメントが必要な場合もあります。サプリメントとしてカルシウムは必須ですが、紫外線の当たらない屋内で育てる場合は、ビタミンAやビタミンD3も必要です。
    • タンポポの葉、セロリ、レタス、果物などを好むリクガメもいます。
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    リクガメに水を与える リクガメがたっぷり水分を摂って健康に過ごせるように、充分な水を与えることが大切です。カメが躓いてひっくり返さないように、水を入れたトレイや皿は、飼育ケージの床材や土に固定しておきます。カメが入り込んで立てる深さの皿を選び、水を飲む際に頭が完全には沈まないように水量を調整しましょう。[5]
    • 水は毎日取り換えましょう。室内でも屋外でも、リクガメには専用の水飲み皿が必要です。
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    リクガメの取り扱いに注意する 絶対にリクガメを落としてはいけません。甲羅が割れると、感染症で命を落とすことがあります。どうしても持ち上げたいと思っても、自分で持つのも、人に持たせるのも我慢しましょう。持ち上げられることは、リクガメにとって大きなストレスになります。
    • 周りに小さなお子さんがいる場合は、リクガメは観察してかわいがるもので、触るのはどうしても世話が必要な時だけだということを説明しましょう。
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    幼体は週に数回水浴びをさせる 成体はもちろん、特に幼体は充分に水分を摂る必要があります。家に来たばかりのリクガメは、週に数回の水浴びで充分に水分を吸収することができます。水浴びの際は、頭が水面上に出るように注意しましょう。大抵の場合、健康なリクガメに水浴びをさせると、すぐに水を飲み始めます。これは、リクガメが順調に育っているというサインです。ただし、リクガメの水浴びに関しては、多ければ良いというわけではありません。せいぜい一日置きが適当です。
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    シェルター(隠れ家)の種類を選ぶ 庭にリクガメ用のシェルターを用意して屋外飼育をするのが最も理想的です。リクガメを室内だけで飼育するのはかわいそうだという人もいます。サイズの小さな品種や屋内で飼育可能な品種でない限り、本気でリクガメを飼うつもりなら、屋外にもシェルターを用意しましょう。リクガメを屋内でのみ飼育したい場合は、きちんとリサーチをしたうえで、室内環境に適応できる品種を選びましょう。[6]
    • 寒い時期には室内で飼育し、暖かい時期には屋外で放し飼いにするのも良いでしょう。リクガメの幸せと健康のために、どちらでも飼育できるように準備をしましょう。
    • 屋内・屋外を問わず、リクガメの正しい世話の仕方についてはパート3以降を参照しましょう。
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パート 3
パート 3 の 5:

リクガメの屋内飼育

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    適切な飼育容器を用意する リクガメを屋内で飼育したい場合は、ガラスの水槽やテラリウムなど、飼育ケージとして何を用意すべきかを考える必要があります。幼体でも90㎠以上の飼育スペースが必要になることを覚えておきましょう。幼体ならば38~75リットルの水槽で充分ですが、リクガメはすぐに大きくなるため、成長しても充分な広さが確保できることを確認しましょう。
    • ガラスの水槽も使用できますが、リクガメはガラスを通り抜けようとしてストレスを感じます。リクガメを混乱させないために、水槽の外面には紙を貼っておきましょう。
    • 幼体の飼育ケージには、プラスチック製の衣装ケースやセメント容器などを利用しても良いでしょう。これらはガラスと違って外が見えにくいため、リクガメのストレスになりません。
    • リクガメが脱走しないように、充分な高さのある飼育容器が必要です。
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    適切な照明を用意する 屋外飼育の場合は、光の問題は気にしなくても良いでしょう。屋内飼育では、健康維持のために、リクガメに充分な光を当て、ビタミンDを与える必要があります。以下の点を考慮して、大切なリクガメに最適な照明を選びましょう。[7]
    • 保温には100W以上の卓上電気スタンドも使用できます。さらに、日光浴用の紫外線ライトを用意しましょう。また、水銀灯を使えば、熱・紫外線の両方を供給できます。
    • ライトの温度は30~35℃の間で調整する必要がありますが、リクガメの種類によって適温は異なります。
    • リクガメがライトにあたって体を温めたり、離れたところで涼んだりできるように、ケージの適切な位置にライトを設置しましょう。
    • 保温ライトと紫外線ライトは、リクガメの身体の健康だけでなく、心の健康にとっても大切です。リクガメは日向ぼっこが大好きです!
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    リクガメに最適な床材を用意する 飼育ケージの底に敷き詰める床材には、リクガメの健康と安全ン配慮した素材を選ぶ必要があります。最も大切なのは、屋内飼育でも屋外飼育でも、床材や庭土が過度に湿気を帯びないことです。さもないと、切り傷を負った場合や、脱皮の際に出血した場合に感染症を起こす危険があります。リクガメの種類によって使用すべき床材は異なります。考慮する点は以下の通りです。[8]
    • ある程度高い湿度を好むリクガメには、保湿性の高い床材が必要です。その場合はココナッツ繊維(ココヤシ) やミズゴケ、ピートモスなどを含む素材を選びましょう。
    • 乾燥した気候を好むリクガメには、乾燥したココナッツ繊維や刈り取った草などを床材にします。
    • 床材に砂を使用するのは避けましょう。リクガメがそれを食べてしまい、体に深刻な害を及ぼすことがあります。
    • 屋外飼育の場合はそのままの環境で充分です。床材については、それほど気にする必要はありません。ただ、リクガメに刺激を与えるために、ピートモスくらいは加えておきましょう。どのような素材を使う場合でも、化学薬品や殺虫剤などが含まれていないことを確認しましょう。
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パート 4
パート 4 の 5:

リクガメの屋外飼育

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    防護柵を作る 過ごしやすい気候であれば、リクガメは屋外で育てるのが理想です。しかし、庭でリクガメを好き勝手にさせておくわけにもいきません。リクガメが敷地から脱走しないように防護柵を設置する必要があります。モルタルで固めたコンクリートブロックや、ペンキを塗った木板を使って隙間のない壁を作りましょう。
    • リクガメは穴を掘って身を隠したり、飼育ケージの隅を掘り返すことがあります。そのため、しっかりとケージの守りを固める必要があります。リクガメが穴を掘る場合は、防護柵の下に金網を埋め込み、リクガメの安全を守りましょう。
    • リクガメは寒さに強くはありません。そのため、冬季に15°C以下になる地域であれば、屋外飼育であっても、一時的にリクガメを室内に入れる必要があります。気温が極めて高い地域であれば、常時屋外飼育でも問題はありません。ただし、常に日影を確保しておく必要はあります、特に湿気のある場所や水飲み場には直射日光が当たらないように注意しましょう。
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    リクガメ用のシェルター (隠れ家) を用意する 暑さ、雨、外敵などから身を守るためのシェルターがあれば、リクガメも一安心です。冬の寒さや夏の暑さからリクガメを守るために、快適な住まいを提供しましょう。できれば、専用の小屋を自作しましょう。リクガメはいつでもその中で眠ったり、悪天候を凌ぐことができます。木製のシェルターに3~5cm程度土をかぶせ、必要であれば、寒い季節にヒーターなどを入れましょう。
    • まず、大きな穴を掘ります。床部分にベニヤ板を敷くのも効果的です。
    • 屋根部分を取り付けてシェルターを作ります。
    • シェルターを土で覆います。
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    植物を用意する 屋外飼育の場合は、適度な量の植物を庭に植えて、餌や隠れ場所を提供します。飼っているリクガメの食性を調べ、食用に適した植物や毒になる植物を見分けましょう。一般的に、リクガメの多くはタンポポやクローバーなどの広葉雑草を食べます。
    • また、植物は土中のアンモニアや窒素の量を調整する役割を果たします。そのため、屋内飼育の場合も、ケージ内に植物を植えておくと、床材を頻繁に交換せずに済みます。
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    リクガメの刺激になるものを与える リクガメが活発に忙しく過ごせるように、刺激のある環境を用意しましょう。雑草群を植えれば、リクガメに日影や隠れ家を提供できます。また、プライバシーを確保できるように、大きな石(鋭くないもの)を置くのも良いでしょう。さらに、低木を植えると日陰や隠れ場所ができ、庭も美しく見えます。
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パート 5
パート 5 の 5:

リクガメの健康を守る

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    リクガメを他の動物から守る 屋外飼育の場合は、猫などの捕食動物からリクガメを守る予防措置が必要です。犬を飼っている場合は、犬をリクガメに近付けてはいけません。普段はおとなしい犬が、いきなりリクガメに襲い掛かるケースが報告されています。リクガメを鳥やキツネなどの外敵から完全に守ることは不可能ですが、なるべくたくさんのシェルターや隠れ場所を用意し、飼育ケージの安全を確保したうえで、外の環境に常に気を配りましょう。[9]
    • 幼体のリクガメを外敵から守るために、シェルターを金網で囲うことを推奨する飼育者もいます。
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    リクガメが目を閉じていたら手当てをする リクガメが目を閉じていれば、体調が悪いのではないかと考える人も少なくありません。実際のところ、深刻な状態であることはめったにありません。リクガメが目を閉じていたら、少し水浴びをさせましょう。室内飼育であれば、シェルターに覆いをして湿気の高い環境にします。ただし、慢性的に目を閉じていれば、感染症の疑いがあります。大抵は外部感染で、その主な原因はビタミンA不足と脱水です。塩水を1日に1、2回、再び目が開くようになるまで点眼しましょう。さらに、ビタミンA補給のために、1日1回の割合で、1日おきにホウレンソウを少量ずつ与えます。家庭で手当てをしても症状が1週間以上続く場合は、爬虫類専門の動物病院を受診しましょう。
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    基本的な欲求を満たし、リクガメを健康に保つ 幼体のうちは、リクガメは一日のほとんどを寝て過ごしますが、あまりにも元気がない場合はその原因を探り、治療を始める必要があります。考えられる原因は以下の通りです。
    • 体調不良の主な原因は低温です。本来の生息環境に近い気温で飼育ができているかを確認しましょう。
    • 屋内飼育の場合は、ケージ全体に充分な光が当たっているかを確認しましょう。充分な明るさがあれば、リクガメは活発に活動します。
    • 幼体であれば、一日を通して定期的に水浴びをしているかを確認しましょう。元気がない場合は、水分不足が原因として考えられます。
    • ストレスで元気をなくすこともあるため、リクガメを触るのは極力控えましょう。
    • 食生活のバランスをチェックしましょう。緑の葉野菜ミックスやサプリメントで、リクガメに必要な栄養素をすべて供給できているかを確かめましょう。
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    甲羅の硬度に注意する リクガメの甲羅が柔らかい場合、光とカルシウムの不足が考えられます。屋外飼育のリクガメではめったに起こりませんが、屋内飼育では安定してライトを浴び続けることが難しく、甲羅が柔らかくなることがあります。その場合、リクガメが紫外線ライトから少なくとも20~25㎝の距離にいることを確認しましょう。また、光線が弱くならないように、9ヶ月から12か月ごとに忘れずに電球を交換しましょう。
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注意事項

  • リクガメを落としてはいけません。甲羅が割れると、命に関わる感染症を起こすことがあります。
  • リクガメにカルシウムを与えない場合は、甲羅がしっかりと発達するように、餌に含まれるカルシウム:リンの比率はきちんと把握しましょう。
  • 緑色野菜に含まれるシュウ酸塩には注意しましょう。リクガメがシュウ酸塩とカルシウムを摂取すると、消化されずに残ったカルシウムが尿酸となります。特定の野菜に含まれるシュウ酸塩を摂り過ぎると、排泄できる量を超えて尿酸が蓄積し、膀胱結石となります。また、シュウ酸塩の割合が高くなると、カルシウム欠乏の原因にもなります。
  • ロシアリクガメなど、いくつかの品種は野生環境で捕獲されたもので、これはリクガメにとって大きなストレスであり、リクガメを傷つける行為です。こういった行為を助長してはいけません!繁殖個体の方が、安価で人道的です。
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必要なもの

  • 充分な広さのある飼育ケージ 
  • 温熱用ライトと紫外線ライト(室内飼育の場合)
  • 栄養バランスの取れた餌 
  • 入浴用・飲用の水(床材に湿気を与え、ケージ内の湿度を保つ)
  • シェルター (隠れたり眠ったりする場所)
  • 水を入れる容器
  • 床材

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カテゴリ: ペット
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