下痢を予防する方法

共同執筆者 Chris M. Matsko, MD

下痢とは、緩く、液状に近い便が頻繁な便意とともに排出される状態のことを言います。この状態は、お腹の張りや痛みの他、ガスが溜まるなどの症状を併発することがあります。[1]時々下痢の症状があり、症状がすぐに治まる場合は、基本的にはさほど注意する必要のある状態ではないでしょう。ただし、旅行中など、公共のトイレへ行きにくい状況下で下痢の症状に対応することはストレスには違いありません。一方で、数日間以上にわたり下痢が続く場合は、深刻な病気のサインである可能性があります。このような状態を放置すると、脱水症状などが起こり体が弱ってしまいます。下痢の症状が心配な人のために、下痢の症状を予防する方法がいくつかあります。

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衛生管理による下痢の予防

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    手を清潔に保つ 急に下痢の症状が起きる理由の多くは、ウイルス、細菌、寄生虫などの何らかの微生物への感染が原因とされることがほとんどです。[2] 体内への感染経路は、衛生管理が行き届いていない手であることが多いため、頻繁に清潔な水と石鹸で手を洗うだけでも下痢を予防するのには効果的です。
    • 毎食前、そしてトイレに行った後には必ず手を綺麗に洗いましょう。子供のおむつを替えた後、ペットを触った後、お金を扱った後にもしっかりと手を洗うようにしましょう。
    • 水ですすぐ前に少なくとも20秒間は手をこすり合わせ、爪と指の間も綺麗に洗って汚れを落とします。
    • 下痢を引き起こすウイルスの多くには(子供の場合は特に)ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどが含まれます。[3]
    • 細菌感染により引き起こされる下痢の原因には、サルモネラ菌、カンピロバクター、赤痢菌、大腸菌、クロストリジウム・ディフィシル菌などが挙げられます。クリプトスポリジウム、ジアルジア症、アメーバ赤痢などの原生動物により下痢が引き起こされることもあります。[4]
    • アルコールベースの抗菌消毒剤の使いすぎには注意しましょう。耐性の強いスーパー耐性菌への感染を助長する可能性があります。このような細菌に感染すると、体に深刻な害がもたらされることが分かっています。
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    生野菜や果物はきちんと洗う 生野菜や果物の表面には細菌(大腸菌など)や寄生虫が付着していることがあります。これらの細菌は、元々は主に土壌の肥料や昆虫の幼虫に含まれていたものです。[5] 生野菜や果物は調理して口に入れる前に必ず綺麗に洗うようにしましょう。
    • 野菜や果物をぬるいお湯に30分ほど浸けておき、その後で清潔なブラシと重曹で汚れを落として、よくすすぐ方法もあります。
    • 自然由来のもので消毒効果があり、野菜や果物を洗うのに適しているものには、ホワイトビネガー、希ヨードチンキ、クエン酸、新鮮なレモン汁、塩水、コロイド銀などが挙げられます。
    • 生野菜や果物は、(病気を引き起こす)大腸菌などの病原体の媒体となることがあります。これらの病原体が消化器官に侵入すると、下痢を引き起こす毒素が生み出されてしまいます。これらの細菌(毒素原性大腸菌、またはETECと呼ばれる)は、旅行中の下痢を引き起こす原因の1つとされています。[6]
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    清潔な水を飲む あなたの居住する場所の水道水はあまり美味しくは感じないかもしれませんが、日本やアメリカなどの自治体のほぼすべての水道水は塩素などの化学物質で消毒されているため、細菌の感染源とはなりにくいと言えます。ただし、発展途上国や熱帯の国々における飲料水の消毒状況は異なります。このような国では水道水を飲むのは控えた方が良いでしょう。こういったエリアを旅行する時は、氷を作ったり歯磨きをするのにも水道水は使わないようにするのが賢明です。[7] 外国を旅行する際は、水道水ではなく店(露店は避ける)で購入したボトル入りの飲料水を常に使用するようにしましょう。
    • 発展途上国では、水が汚染されていることが未だにあります。田舎に滞在している時は特に、井戸水は慎重に使用するよう心がけましょう。井戸水は、動物や人間の排泄物や、細菌を含む可能性のあるその他の廃棄物で汚染されている可能性があります。
    • 自宅の水道水の質が気になるのであれば、多段逆浸透膜の浄水装置を購入しましょう。この装置を使うことで、腹痛や下痢の原因となり得る微小粒子状物質や寄生虫、その他の有害な化学物質を濾過することができます。
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パート 2 の 3:
食生活の改善による下痢の予防

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    生鮮食品はしっかりと火を通す 細菌で汚染された食べ物(通常は食中毒と呼ばれる)もまた、下痢の一般的な原因の1つです。[8] 食用牛肉の様々な部位(細菌が潜むこともある腸を含む)を混ぜて作られるため、ハンバーガーは特にリスクが高い食品です。ハンバーガー、ステーキ、鶏肉、魚介類、卵にはしっかりと強火で火を通し、潜伏している可能性のある細菌を確実に死滅させるようにしましょう。
    • 電子レンジを使った調理法は、細菌を殺すという意味ではあまり効果的で確実な方法とは言えません。圧力鍋、フライパン、中華鍋、清潔に保たれたバーベキュー用のグリルなどの方が、調理には適しています。
    • 生肉の調理だけに使用するまな板を用意し、頻繁に消毒作業を行いましょう。
    • 食中毒を引き起こすサルモネラ菌は、牛肉、鶏肉、生乳、卵などの食品を汚染するケースがほとんどです。
    • 食品を調理する前、そして調理した後は必ず手を洗うよう心がけましょう。特に、生肉を調理で取り扱った場合には慎重な手洗いを行うことが大事です。
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    下痢の原因となり得る食品を避ける 食品の中には、胃腸の炎症やけいれんを引き起こす傾向があるものもあります。このような症状は短期間の急性の下痢を誘発しがちです。特に、消化器官がデリケートな人、または過敏性腸症候群(IBS)の患者などの場合注意が必要です。[9] 気をつける必要のある食品には、脂肪分の多い揚げ物、唐辛子入りの辛いソース、過剰な量の不溶性繊維(果物や野菜の皮など)、ブドウ糖果糖液糖入りの食品や甘い焼き菓子などが含まれます。[10]
    • 一度の食事中に、様々なカテゴリーの食品を一緒に食べ合わせることで下痢の症状が出る人もいます。食べ合わせが悪い時に下痢などが起きるのは、肉などの食品は、果物などの食品よりも消費に多くの時間を必要とするため、部分的に未消化の食べ物または部分的に消化が進みすぎた食べ物を消化器官に送り込んでしまうことが原因です。
    • スムーズに消化が進むように間に時間をおきながら、様々なメニュー(肉、パスタ、野菜、果物など)を食べる方法は、消化機能不全や下痢の予防につながります。
    • グルテンもまた、胃腸の炎症や下痢の原因となる成分です。グルテンに対してアレルギー反応のある人(特にセリアック病患者)は小麦、大麦、ライ麦などの穀物の摂取を避ける必要があります。
    • 下痢を引き起こす飲み物には、コーヒー、カフェインを多く含む飲み物、人工甘味料(アスパルテームやソルビトール)を含む炭酸飲料などが挙げられます。
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    乳糖不耐症の人は、乳製品を避ける 乳糖不耐症とは、適切に乳糖を消化するための酵素(ラクターゼ)が活性低下している状態のことを言います。消化されなかったラクトースが大腸に蓄積して腸内の善玉菌を活性化させ、その結果としてガスが生み出されます。乳糖不耐症による症状には、ガスが溜まる、お腹の張り、腹痛、下痢などが挙げられます。[11]
    • 乳糖不耐症の疑いがある場合は、乳製品の摂取を減らす、または控えるようにしましょう。特に、牛乳、生クリーム、アイスクリーム、ミルクシェイクなどには気をつける必要があります。
    • ラクターゼ酵素を作り出す体の機能は、大人になるにつれて急速に低下します。つまり、年齢を重ねるにつれて乳糖不耐症のリスクは増加すると言えます。[12]
    • 乳糖不耐症により下痢が引き起こされるリスクを負うことなく乳製品を楽しみたいのであれば、ドラッグストアでカプセル錠のラクターゼ酵素を購入し、食事の前に1〜2錠飲んでおくようにしましょう。このカプセルが乳糖の消化を手助けします。
    • 低温殺菌処理のされていない牛乳を飲んだり、ソフトチーズを食べたりする場合は特に注意しましょう。このような食品には、下痢の原因となる悪玉菌が含まれている可能性が高いためです。
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パート 3 の 3:
医薬品による下痢の予防

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    頻繁に下痢の症状が見られる場合は医師に相談する 下痢が時々起きるのはいたって普通のことだと言えますが、定期的に下痢になるようであれば何か健康に問題を抱えている可能性もあります。次のような場合は医師に相談するようにしましょう。[13]
    • 2日以上下痢が続いている
    • お腹または腸に強い痛みを感じる
    • 38.8度以上の熱が出ている
    • 便に血または膿が混じっている、または便が黒っぽくタールのような見た目である
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    抗生物質の服用について医師に尋ねる 抗生物質の服用が下痢を誘発する場合と、下痢を予防する手助けとなる場合の両方があります。その効果は、下痢の原因によって異なります。一方で、抗生物質を過剰に服用すると、大腸の善玉菌が殺されてしまい、消化機能のバランスを崩したり機能不全を引き起こしたりして下痢の症状につながることがあります。[14] ただし、消化器官に影響を与えて慢性的な下痢を引き起こすような細菌に感染している場合、短期間だけ抗生物質を服用することで感染からの回復の手助けとなることもあります。医師の指示を慎重に守るようにしましょう。
    • 食中毒の症状は、通常は数日(最長1週間程度)で症状が収まるものです。このため、患者の免疫力が低下しているのでない限り、抗生物質が処方されることはあまりないと言えます。
    • 節度を守って抗生物質を使用しているにもかかわらず下痢が引き起こされてしまうようであれば、プロバイオティクスのサプリメント(通常は大腸に生息する、人体に良い影響を与える善玉菌を含む)を摂ってみるのも良いでしょう。抗生物質を服用している間、そして服用を終えた後の1週間ほど、続けてサプリを摂取します。[15]
    • 下痢を引き起こす原因として知られる医薬品には、便秘薬、血圧の薬、抗がん剤、ダイエット用医薬品、制酸剤(マグネシウムの入っているもの)などが含まれます。[16]
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    市販の医薬品を試してみる 処方箋なしで買えるロペラミド(ロペミン)や次硝酸ビスマスなどの下痢止め薬は、下痢の症状を鎮静化したり予防したりするのに役立ちます。ただし、これらの医薬品を乳幼児に与えることは推奨されていません。ロペラミドは、食べ物や水分が腸を通過するスピードを遅くすることで腸がより多くの水分を吸収し、便が緩くなるのを防ぎ、下痢の症状に対処します。一方、次硝酸ビスマスは直接腸内の水分や毒素を吸収し、細菌やウイルスの成長・繁殖を妨げます。[17]
    • 次硝酸ビスマスは、水分を吸収するだけでなく、炎症を抑える抗生物質のような機能も持ち合わせています。[18] ただし、このアスピリンにアレルギー反応のある人はこの医薬品を使用すべきではありません。
    • 下痢どめ薬は、細菌や寄生虫への感染を悪化させる可能性があります。これはなぜかというと、体が微生物やそれに付随する毒素を排出するために下痢という症状を起こしている可能性もあるためです。
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    漢方薬を試してみる 自然由来の漢方薬は、下痢の予防と治療に効果的な製剤の代替品として知られています。漢方薬は副作用などの体への負担が一般的に見て少ないと言えます。例えば、植物の葉にはタンニンが多く含まれるものがあります。ブラックベリー、ブルーベリー、ラズベリーの葉などから摘出されるタンニンには収斂性の成分が含まれており、水分を吸収して腸のけいれんを抑える働きがあります。[19]
    • ハーブティーもまた、下痢の予防と治療に効果を発揮することがあります。アールグレイなどの紅茶の葉にもタンニンが豊富に含まれています。ただし、含有するカフェインは、下痢の予防に逆効果となることもあるので気をつけましょう。安全な下痢の治療薬として効果的なハーブティーには、カモミールティー、生姜茶、フェンネルティーなどが挙げられます。
    • 一度にあまりたくさんのベリー類を食べるのは避けましょう。ベリー類の果物には果糖や繊維質が多く含まれるため、下痢を悪化させてしまう恐れがあります。
    • センナ、ターメリック、アロエベラなどのハーブは下痢を引き起こす可能性があるということも覚えておきましょう。
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ポイント

  • 細菌により引き起こされる下痢の症状(食中毒)は、消化機能に影響を与えるウイルス感染の症状よりも多いと言われています。食中毒の場合には、突発的な液状の下痢や嘔吐、発熱、ひどい腹痛などの症状を併発することがほとんどです。
  • サルモネラ菌による食中毒は、汚染された食品を食べてから12〜24時間以内に発症し、回復までに4〜7日間を要します。
  • 発展途上国や熱帯の国々では、レストランで生野菜(特にサラダ)や果物を食べる時には十分に注意しましょう。レタスなどの野菜が汚染された水で洗われている、または全く洗われていない可能性もあります。しっかりと火の通ったアイテムをメニューから選ぶようにしましょう。
  • 下痢の症状がある時は、脱水症状を避けるためにも、水分を十分に摂る必要があります。体内から失われた電解物質(ポタシウムやナトリウムなどの無機塩類)を補給するのを怠らないようにします。

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警告

  • 口の乾き、目のくぼみ、極端な喉の乾き、混乱状態、倦怠感、排尿量の低下など、下痢による深刻な脱水症状が見られる場合には、患者の年齢にかかわらずただちに医療機関を受診しましょう。

このwikiHow記事について

家庭医(かかりつけ医)
この記事はChris M. Matsko, MDが共著しています。 クリス・M・マツコ医師はペンシルバニア州ピッツバーグ在住の元内科医です。2007年にテンプル大学医学部かにて医学博士号を取得し、コーネル大学最優秀指導者賞を受賞しました。
カテゴリ: 健康
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