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新たに利用する介護施設を選ぶ際、多くの場合最終決定を下すのは、入居する当事者ではなく、その家族です。入居者が第二の我が家として、より快適に日々を過ごせる環境とサービスを提供してくれる施設を、誰もが見極めたいと考えて当然でしょう。しかしながら費用、立地条件、医療体制、そこで働くスタッフの質(人柄)など、数多くの要着目点を確認し比較検討する作業は、決して簡単ではありません。入居者と家族の希望を最大限満たす、悔いのない介護施設選びには、必要な正しい知識を活用した、より効率的な一連の流れを踏まえた作業が求められます。[1]

方法 1
方法 1 の 2:
準備する

  1. 1
    希望する条件を整理する 介護施設を選ぶ作業の第一歩として、まずは現在の在宅介護の生活を通じて感じている、不満、不安、不便などを洗い出しましょう。高齢者の中には、自分の思いを上手に言葉にできなかったり、家族に気を遣うあまり、本当の気持ちとは真逆のことを口にする人が少なくありません。娘・息子世代だけでサクサクと作業を進めることなく、当事者が理解納得していることを逐一確認の上で、しっかりと思いを引き出してあげましょう。こうした作業を通じ、当事者と家族が介護施設に何を求め、どのような生活環境の提供を望んでいるのかを確かめましょう。ちなみに高齢者と当事者が主に抱える現状と、入居先となる介護施設に提供を求めるサービスや環境として、以下が挙げらることを知っておきましょう。
    • 他界、転居などで、近所に友人がいなくなってしまった高齢者の場合、介護施設で同世代の新たな友達作りは、生きる上での大きな心の支えとなることでしょう。
    • 適応能力の低下により、それまでできていたことが難しい、新しいことが覚えられないなど、単独行動に不安がある場合、必要に応じた介助が求められます。
    • 単独で通院できなくなり、医師の往診の依頼が難しい場合、定期的な検診が受けられる施設内での生活環境は、当事者と家族双方の不安感の軽減につながります。
    • 体力の低下で趣味のお稽古事に行けなくった場合、趣味を続けられる環境が整った介護施設は、入居者が生き甲斐を感じられる生活環であると言えるでしょう。
    • 家事を含めた日常の動作全般に支障が顕著となり、家族の負担が大きくなった場合、介護施設に入居することで、家族の負担と当事者の怪我などのリスクの双方が軽減されます。
    • 発作など体調急変のリスクが無視できず、家族が片時も目を離せない場合、24時間見守り態勢が整った介護施設を利用が望まれます。
    • 引きこもりが顕著で鬱の症状の進行が見られる場合、部屋にこもらない工夫と対応がある介護施設の利用は、家族にとって心強い選択肢です。
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    施設ごとの特徴を知る 利用者が入居する介護サービスを提供する施設は、それぞれの特徴から、以下のそれぞれに大別されます。利用先の選択に際しては、それぞれの特徴を正しく理解のうえ、入居予定の当事者と家族双方にとって、より最適であると思われる施設を見極めましょう。
    • 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人福祉施設とも呼ばれる、公的介護保険施設で、民営の有料老人ホームなどと比較して費用が安いのが特徴です。65歳以以上で要介護3以上である、40~64歳で特定疾病が認定された要介護3以上であるなど、入居条件が定められています。入居希望者が常に待機状態で、待期期間は地域別に異なり、短ければ1~2ヵ月程度ですが、数年待ちの地域も見られます。看護師の24時間配置は義務付けられておらず、見取り希望者や感染症を持ち集団生活が難しい人の入居は難しい施設です。[2]
    • 介護老人保健施設(老健) 医療ケアやリハビリが必要な要介護者を対象とする施設で、入居者の毎日は復帰を見据えたリハビリが中心になります。公的介護施設のため、民営施設で負担が求められる初期費用は不要ですが、食費や居住費など、月額9~15万円程度の費用負担が必要であるとされています。65歳以上で要介護1以上であることが入居条件で、入院の必要がない、感染症にかかっていないなどの付加条件を設定している施設も見られます。[3]
    • 有料老人ホーム 民営の入居型介護施設で、入居対象者、目的、介護サービスの提供方法の違いから、次に挙げる3種類に大別されます。『介護付き有料老人ホーム』は、食事や洗濯などの生活支援、排せつや入浴などの身体介護、身体機能訓練、レクリエーションなどのサービスが受けられる、介護保険制度上の特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設です。『住宅型有料老人ホーム』は食事、選択、清掃などの生活支援サービスが受けられますが、それらを提供するのはホームの職員ではなく、提携する在宅サービス事業所の訪問介護スタッフです。『健康型有料老人ホーム』は身の回りのことは自分でできる高齢者を対象とした、元気な状態を維持する目的で、家事のサポートや食事などのサービスを提供する施設のため、要介護状態となれば契約解除となり、退所しなければならないのが特徴です。[4]
    • サービス付き高齢者住宅(サ高住) 介護不要もしくは要介護度が低い高齢者を対象とした施設で、介護職員による見守りや生活相談サービスを活用しながら、入居者は自由度の高い毎日を過ごすことができるのが特徴です。当事者は元気でも、在宅での見守りが不安な家族にとって、心強い施設と言えるでしょう。[5]
    • グループホーム 地域密着スタイルの介護サービスを提供する、認知症の高齢者が少人数で共同生活をする施設です。入居条件は65歳以上で要支援2もしくは要介護1以上の認知症患者で、施設と同一地域内に居住していることを証明する住民票の提示が求められます。自治体の中には住民票取得から一定期間の経過が必要である場合もあるため、注意が必要です。入居一時金や保証金など、いわゆる敷金に相当する初期費用の負担が必要で、施設間で設定金額に大きな差が見られます。[6]
  3. 3
    見極め方を知る 大まかな介護施設ごとの特徴が把握できたのであれば、実際の選択作業に着手する前に、この時点で今一度、見極め方のポイントを再確認しておきましょう。以下の作業を流れにそって順にクリアしていく中で、入居する当事者の気持ちをないがしろにしない、後々の家族の負担を無用に大きくしないなど、リスク(デメリット)回避を心がけましょう。
    • 入居者の心身の状態や家族の経済力など、冷静に現状と今後想定される展開を見据え、最適と思われる施設の種類を見極めましょう。
    • 希望する条件を今一度家族全員で話し合い、それぞれの考えを共有して方針を統一しましょう。当事者との意思疎通が難しい場合にも、決して蚊帳の外にはせず、根気よく本音を聞き出してあげる、思いを察してあげる姿勢で接しましょう。
    • 不安や不明点がある、家族だけでは最終的な判断が下せないなどの場合には、介護施設選びの専門家に相談しましょう。とりわけ身体が元気で認知症の場合、中長期的な介護が必要となる可能性があり、先を見据えたより冷静な判断が求められます。[7]
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方法 2
方法 2 の 2:
利用先を選ぶ

  1. 1
    候補先の情報を集める 候補先に挙げた複数の施設それぞれに関し、公式ホームページを隅々まで熟読する、資料を取り寄せる、可能であれば現地に足を運んでみるなど、より鮮度の高い、信頼に値する情報を収集しましょう。匿名で書き込みが可能な、運営者が曖昧な口コミサイトの情報などは鵜呑みにせず、参考程度に参照するにとどめておきましょう。
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    比較・検討する 収集した情報を参考に比較・検討作業に着手しましょう。以下に挙げるポイントに着目の上、外部の主観的な情報に過度に惑わされず、あくまで自分(たち)で冷静に判断しましょう。たとえば問い合わせ時の担当職員の対応も、提供されるサービスの質を推察するヒントとなります。
    • 提供される介護サービスの内容 食事、排せつ、入浴、移動、移乗などの介助ならびに外部の医療機関などへの移送対応の有無など。
    • 医療ケアの詳細 服薬管理、血圧・検温チェック、怪我の処置、容態急変時の医師への連携、在宅酸素の使用など。
    • 経営状況 経営母体の企業の信頼度、異業種から新規参入で十分なノウハウが確立できていない、急速な事業展開で資金繰りや人材育成が追いついていないリスクなど。
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    見学・体験入居する 収集した情報や1度だけの現地訪問だけで、候補先に挙げた介護施設の良し悪しを見極めることは容易ではありません。体験入居はその身を施設内に一定時間置くことを通じ、入居者目線でさまざまなポイントを確認できるチャンスであり、ぜひ活用すべき判断方法と言えるでしょう。とりわけ以下のそれぞれに着目することで、実際の入居者の生活がどの程度心地良いのか、不自由を覚えるリスクが想定されるのかなど、多くの気づきとの遭遇が期待されます。[8]
    • 部屋・食堂 異臭、食堂のテーブルや椅子、床などの食べかすの付着の有無などを注意深くチェックしましょう。
    • 入居者の外見・特徴 髪型が画一化されていないか、服装の爪、髪、服装の汚れや乱れの有無や程度を観察しましょう。
    • 提供されるサービスの質 尊厳に配慮した排せつ、入浴介助がなされているか、身体拘束の有無などを確認しましょう。
    • 施設内の雰囲気・人間関係 プライバシー遵守への配慮の程度、勤務中の私語や怠慢な動作、疲弊して覇気が見られぬスタッフの存在、入居者や家族が嫌がる乱暴な怒鳴り声の有無などをチェックしましょう。
    • 立地条件・周辺環境 入居者が落ち着き馴染める環境であるか否か、施設外の雰囲気も視野に入れましょう。
    • 食事 食事の雰囲気と実際に提供される食事を確かめるべく、可能であれば試食希望を申し出ましょう。
    • 設備面 認知症の入居者の場合、新しい環境下で使用方法を覚え辛いため、使い慣れたアイテムの持ち込みが可能か否か、私物持ち込み制限に関しても確認しましょう。
    • イベント 季節感が感じられ、日々の楽しみとなるイベントが用意されているか、それぞれの内容と入居予定者との相性を確かめましょう。
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    最終判断を下す どれだけ当事者自らが望んだ、あるいは納得しての入居であったとしても、住み慣れた我が家と家族から離れる新生活は、高齢者にとっては心細さばかりが先に立つ、大きな環境の変化です。介護施設に入所したその瞬間に、それまでの人生をはく奪されてしまったと感じてしまっては、強烈なストレスから、一気に心身の健康を損なってしまいかねません。当事者も家族にとっても、これは最も回避すべき展開であり、なにより介護施設を利用する意味がありません。最終決定権を有する家族が最重要視すべきは、その施設が入居者の希望と人格を、どこまで尊重してくれるのか、この一点に他なりません。全幅の信頼を寄せて大切な家族を委ねられる、最適な介護施設の選択を通じ、入居する当事者と家族それぞれが、安心して心豊かな毎日を過ごすことができる環境を整えましょう。[9]
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ポイント

  • 介護施設の利用に際しては、家族全員で希望する条件を整理し、その内容を共有しましょう。
  • 介護施設はそれぞれの特徴から、いくつかの種類に区別されます。選択作業に着手する前に、それぞれに関する正しい基礎知識を確かめておきましょう。
  • 利用先の最終決定に際しては、見学・入居体験を通じ、入居者目線での確認作業を徹底しましょう。
  • 入居者の希望と人格を尊重してくれる施設を選びましょう。
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注意事項

  • 入居者となる当事者は、高齢ゆえに自身の希望を上手に言葉にできない、家族への気遣いなどから、本意とは異なる内容を口にする場合があります。
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カテゴリ: 家族
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