伝書鳩を訓練する方法

3 方法:伝書鳩の購入と飼育伝書鳩(カワラバト)の訓練鳩レースに参加する

伝書鳩(Columbia livia)は、カワラバトまたはドバトの名で知られます。ほとんどのカワラバトは都市部で見かけます。道端で食べ残しをつついている姿は、みなさんもよく目にするでしょう。カワラバトは日本の在来種ではなく、1500年ほど前に渡来したと考えられています。人と鳩の関わりには長い歴史があります。類稀な帰巣本能を持つカワラバトは、5000年以上前から世界各地で飼い慣らされ、遠く離れた場所へのメッセージの担い手として使われてきました。第一次・第二次大戦の折にも、アメリカ軍の通信手段としてカワラバトは重要な役割を果たしました。今日でも、愛好者の手で多数のカワラバトが優秀な伝書鳩になるための訓練を受けています。また、各鳩小屋までの帰還スピードを競う伝書鳩レースも各地で盛んに行われています。[1]

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伝書鳩の購入と飼育

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    まずは懐具合を考えましょう。予算の許す限り、質の高い品種を購入しましょう。質の低い鳩をたくさん購入するのではなく、数を減らして、なるべく上質な鳩を“つがい”で購入するのがポイントです。よほど希少価値の高い血統種でもない限り、鳩はつがい(雄雌ペア)で購入しましょう。
    • レース目的で鳩を購入する場合は、何よりも運動能力が決め手になります。みなさんが購入しようとする鳩の飛行能力や血統を確認しましょう。また場合によっては、繁殖能力もその鳩のパフォーマンスを測るうえで重要なバロメーターとなります。[2]
    • 品評会に出展する場合や、単に見た目にこだわる場合は、鳩の姿形が購入の決め手になるでしょう。見た目を競う品評会では、審査員は鳩のいくつかの身体的特徴を選考基準にして入賞者を決定します。 [3]
    • 伝書鳩は、血統や飼育者(ブリーダー)によって、5000円から数万円の価格で取引されています。[4]
    • 鳩を購入する際は、購入代金と合わせて輸送料も負担しなければなりません。みなさんは生きた動物を輸送するわけですから、輸送元の所在地によっては、料金もそれなりに掛かります。[5]
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    鳩が手元に届く前に鳩小屋を組み立てましょう。到着次第、鳩には住処が必要です。準備万端で迎えましょう。鳩小屋は「鳩舎」とも呼ばれ、様々なサイズや形状があります。自作するか、または誰かに頼んで作ってもらうか、あるいは既製品を注文しましょう。つがいごとに必要な生活空間は、およそ280~300立方センチメートルです。すなわち、小屋の内側に確保できるスペースによって、飼育できる鳩の数が決まります。[6]
    • 鳩小屋を準備する際に注意すべき点がいくつかあります。まずは、外敵(近所の猫もその一つです)から大切な鳩を保護しなければなりません。さらに、鳩小屋には内部空間だけでなく外部空間(金網付)も必要です。そのうえで、十分な通気性を確保しましょう。また、生活空間とは別に、餌や備品の置き場所を確保しましょう(屋外に放置するわけにもいきません)。鳩を繁殖させる場合は、つがい同士を隔離しなければなりません。さらに、やがて生まれてくる雛鳥のためのスペースも必要です。[7]
    • 鳩小屋はできるだけ障害物の少ない場所に設置しましょう。当然ながら、鳩は空中を飛び回ります。電線や樹木そして街灯柱などがあると、訓練の際に鳩の注意を逸らしてしまいます。[8]
    • レース鳩用の鳩小屋は、レースの目的に合わせて設計しましょう。つまり、鳩が長時間屋根の上に留まるようなことがあってはいけません。できれば、平坦な屋根は避けましょう。必要とあれば、屋根にバードスパイクを設置して、鳩が着地できないようにしましょう。[9]
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    飼育者や販売者を探して鳩を注文しましょう。世界中に鳩の飼育者や販売者がいます。送料が心配な人は、できるだけ自宅近くの飼育者を探しましょう。通常は、希望する鳩の運動能力や血統に基づいて飼育者を選びたいところです。[10][11]
    • ほとんどの飼育者は、雛鳥のうちから鳩に脚環(標識バンド)を取り付けます。鳩を受け取った時点で、みなさん自身が脚環装着の作業をする必要はないでしょう。[12]
    • みなさん自身で飼育者を探すのが難しい場合は、お住まいの地域の競翔団体(管轄は日本鳩レース協会)に連絡を取って、信頼のおける飼育者や愛鳩者を紹介してもらいましょう。
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    購入した鳩を新たな住まいに入れましょう。初めて飼う鳩であれば、すんなりと鳩小屋に入れることができるでしょう。しかし、新たにつがいを加える場合は、向こう2週間ほど、他のつがいと隔離させる必要があります。[13]
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    手塩にかけて世話をしましょう。鳩には毎日清潔な水が必要です。通常、鳩は与えられた餌を15~20分で食べ尽します。餌を与えて15~20分経ったら、床を掃除して、食べ残しもすべて片付けましょう。また、消化吸収の助けとなる粗砂も必要です。鳩は粗砂やその他の鉱物飼料からミネラルやビタミンを補います。[14] 鳩には1日2回の餌やりが必要です(上記の15-20分方式で行いましょう)。
    • 鳩小屋はこまめに掃除しましょう。とりわけ床部分は入念な清掃が必要です。
    • 鳥専門のオンラインストアがたくさんあります。中には、鳩の飼育に明るい運営者も少なくありません。初めて鳩を飼うみなさんは、積極的に愛鳩家の助けを借りましょう。[15]
    • 産卵中の鳩は、普段以上にタンパク質を必要とします。その一方で、レースに臨む鳩には、さらなるエネルギー(脂肪や炭水化物)の蓄えが必要です。市販の餌に含まれるタンパク質の割合は、パッケージに記載されている通りです。産卵期には、粗タンパク16~18%の配合飼料を与えましょう。鳩レースや訓練のシーズンには、粗タンパク14~15%の配合飼料を与えましょう。シーズンオフの換羽期(羽毛が生え変わる時期)になれば、粗タンパクの割合を16%に戻しましょう。
    • 獣医はみな研修の段階で鳥の世話について学びますが、日常的に鳥を診察しているとは限りません。みなさんのかかりつけの獣医が鳩にも精通していればいうことはありませんが、場合によっては、推薦状や紹介状を書いてもらい、近隣の鳥専門の獣医を訪ねましょう。あるいは、お住まいの地域の競翔団体や飼育者を通して、信頼のおける獣医を紹介してもらいましょう。

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伝書鳩(カワラバト)の訓練

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    訓練は生後6週間から始めましょう。生後6週間になれば、鳩小屋の「落とし戸」の仕組みを理解させることができます。鳩はいつでも落とし戸から小屋に入ることができますが、一度中に入れば、飼い主であるみなさんが落とし戸を上げない限り、外に出ることはできません。[16] 最初のうちは、鳩は落とし戸に戸惑うかもしれません。落とし戸を出入りするのに慣れるまでは、みなさんの介助が必要になるでしょう。[17]
    • 訓練スケジュールを作成しておけば、毎日決まった予定に従って訓練ができるでしょう。訓練にあたっては、鳩だけでなく、みなさんにも根気が必要です。その日に消化すべきメニューが分かっていれば、長期にわたって一貫した訓練ができます。[18] 毎日最低一度は訓練ができるようにスケジュールを組みましょう。また、1週間ごとに訓練メニューおよび飛行距離を変更しましょう(例えば、1週目は毎日落とし戸の出入りの練習、2週目は毎日2km先から鳩小屋に帰巣する訓練、など)。
    • 競翔団体や愛鳩家のブログを読みましょう。とりわけ、お住まいの地域の競翔団体のブログはこまめにチェックしましょう。地域の事情や気象条件に関する情報がたくさんあるはずです。
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    鳩が必ず鳩小屋に戻って来るように動機付けをしましょう。良質な餌と居心地の良い住処を用意したうえで、最大限の敬意と愛情を持って世話をすれば、みなさんの鳩はますます鳩小屋に戻りたくなるはずです。[19] 予算の許す限り、最高の食事と住まいを提供しましょう。
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    いよいよ鳩を放して帰巣訓練を始めます。鳩の帰巣訓練は生後6~8週間で始めることができます。[20] まずは鳩を小屋から1~2km離れた場所に連れて行って放しましょう。この訓練を週に数回行います。[21]
    • 鳩は檻や籠に入れてリリース地点(放鳩地)まで連れて行きましょう。
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    1週間ごとに訓練距離を8kmずつ延ばしていきましょう。毎週徐々に小屋から距離を取るとともに、[22]その都度、別の方角から放鳩しましょう。 [23]
    • 急いで距離を延ばしてはいけません。少しでも帰巣に支障を来たす場合は、無理をせず、しばらくは前回帰巣に成功した距離で訓練を続けましょう。
    • 鳩レースによっては、1回の飛行距離が1000km以上におよびます。訓練を積んだ伝書鳩は、それほどの長距離をものともせずに帰巣することができます。しかし、まずは短い距離で、あらゆる方角から確実に小屋に戻れるように訓練するのが先決です。
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    鳩が迷子になるケースもあります。迷い鳩は不幸な出来事ですが、決して珍しくはありません。一羽でも迷い鳩が出たら、訓練距離を縮めるとともに、しばらくの間は訓練回数を減らしましょう。[24] 例えば、15kmの距離で訓練をしていたとすれば、向こう数週間は7~8kmまで戻しましょう。
    • 各地域の競翔団体は、迷い鳩に関する問い合わせを受け付けています。また、日本鳩レース協会のウェブサイトや「迷い鳩照会専用フリーダイヤル」を利用することもできます。[25] 発見者は迷い鳩の脚に巻かれた標識バンド(脚環)を頼りに、日本鳩レース協会または日本伝書鳩協会のウェブサイトやフリーダイヤルに通報します。その後、飼い主であるみなさんは発見者と連絡を取り、鳩を連れ戻す手続きに入ります。
    • みなさんの鳩は、帰巣途中で疲れて休息を取っているだけかもしれません。通常鳩はその日のうちに鳩小屋に帰巣しますが、どこかで羽を休めた挙句、2、3日経ってから戻って来る場合もあります。
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    “別荘”を作りましょう。自宅の鳩小屋に帰巣する訓練とともに、もう一か所別の場所に鳩小屋を建て、2つの鳩小屋を行き来する訓練をしましょう(みなさんの自宅と別宅、または自宅と友人の家、など)。定期的に両方の鳩小屋で餌やりを行い、それぞれの小屋に戻って来るように動機付けをします。お腹を空かせた鳩は、餌を求めてもう一方の鳩小屋へ飛んで行くでしょう。[26]

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鳩レースに参加する

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    お住まいの地域の競翔団体(競翔連合会)に加入しましょう。日本では、主な鳩レースは日本鳩レース協会(JRPA)が主催しています。大抵の場合、各地域の競翔団体は日本鳩レース協会の所属になります。ちなみに、日本で購入する伝書鳩には、日本鳩レース協会または日本伝書鳩協会が発行する脚環(標識バンドまたは所有権証)の装着が義務付けられています。まずは日本鳩レース協会のウェブサイトにアクセスして入会案内をチェックしましょう。レース参加の手続きは、各地域の競翔団体を通して行います。[27]
    • レースによって参加資格は様々です。中には、全日本ジュニア選手権レースなど、18歳未満の競翔連合会員のみによって行われるレースもあります。 また、会員が自身の鳩(生後30日以上)を委託鳩舎に預けて行うレースもあります(八郷国際委託鳩舎レースなど)。最寄りの競翔団体に加入する前に、まずは日本鳩レース協会の会員になりましょう。
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    鳩レースを見学しましょう。ウェブサイトやフェイスブックページまたは回報をチェックして、お住まいの地域の競翔団体が毎年主催するレースの日程を調べましょう。鳩レースには、大きく分けて、成鳩レース(満1歳以上の鳩のレース)と若鳥レース(原則としてその年に脚環を装着した鳩のレース)があります。
    • 経済的に余裕があれば、年会費を支払い、国際委託鳩舎参加会員(幇助会員)になりましょう。日本鳩レース協会が毎月発行する機関誌を受け取るとともに、毎年開催される国際委託鳩舎レースに参加することができます。
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    経験豊富な会員に助言を求めましょう。初心者の場合、少なくとも最初のシーズンは、経験を積んだ愛鳩家や飼育者と協同で飼育や訓練を行うのが賢明です。鳩の飼育・訓練・交配 についてしっかりと学び、優れた愛鳩家を目指しましょう。
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    みなさんの鳩をレースにエントリーしましょう。お住まいの地域の競翔団体に加入したら、晴れて鳩レースに参加することができます。最初は、競翔団体が主催するレースの中で、最も初心者向けのレース(通常は、最も飛行距離の短いレース)を探しましょう。短いものであれば、100~200kmのレースから、長いものになると、1000kmを超えるレースまであります。また、多数の競翔団体が合同で行う全国規模のレースや、団体同士の対抗レースも盛んに行われています。みなさんが飼っている複数の鳩を、運動能力に合わせて、それぞれ別のレースに参加させてみましょう。
    • すでに2シーズン以上のレース経験を積んだ会員は、おそらく初心者向けのレースへの参加は認められないでしょう。ちなみに、日本で最も人気の高い鳩レースの一つは、春季と秋季に開催される、各地域の競翔団体によるレジョナルレースです。地域によっては、毎回2万羽以上のレース鳩が参加します。[28]
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    鳩レースに参加しましょう。レースの主催者によって決められた放鳩地点から、みなさんの家の鳩小屋に向けて鳩を放します。主催団体は放鳩地から各鳩小屋までの距離を測定したうえで、鳩が帰巣するまでの所要時間を計測し、平均飛行速度(通常は分速)を算出します。[29]最も速い鳩が勝者です!

ポイント

  • 伝書鳩は、かつて北アメリカに生息していたリョコウバトとは別物です。リョコウバトは、数十年にわたる乱獲によって、1914年に絶滅が宣言されました。 リョコウバトは大群をなして移動し、巣作りの際には上空で回遊するため、銃を携えた人間の格好の標的となりました。[30] 今日では、リョコウバトの絶滅は、すでに個体数が激減しているタイセイヨウマダラの乱獲と比較されています。[31]
  • 伝書鳩が一体どのようにして巣の位置を知るのかについては諸説ありますが、興味のある人は、伝書鳩についての書籍をチェックしましょう。それらの本は非常に興味深い内容であるだけでなく、訓練の手順や方法についても異なる視点からヒントを与えてくれるでしょう。[32][33]

注意事項

  • 農業資材店で餌を購入する際は、それが種子穀物ではなく、飼料用穀物であることを確認しましょう。種子穀物は、作物の植付けを目的に精製されるため、鳩を始め動物に有害な化学物質を含んでいます。一方、飼料用穀物は高価になりますが、本格的な家畜の餌として製造されています。
  • 伝書鳩を購入する前に、自宅の裏庭または屋根の上に鳩小屋を建てましょう。場所によっては、飼育可能なペットの種類に制限が設けられています。お住まいの地域の条例をチェックし、その区域で鳩を飼っても問題がないかを確かめましょう。

出典と引用

  1. http://www.allaboutbirds.org/guide/Rock_Pigeon/lifehistory
  2. http://www.barnhartlofts.com/value.htm
  3. http://www.barnhartlofts.com/value.htm
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English: Train a Homing Pigeon, Português: Treinar um Pombo Correio, Русский: обучить почтового голубя, Italiano: Addestrare un Piccione Viaggiatore, Deutsch: Eine Brieftaube trainieren, Français: entraîner un pigeon voyageur, Bahasa Indonesia: Melatih Merpati Pos, Español: entrenar a una paloma mensajera

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