前立腺を検査する方法

共同執筆者 Chris M. Matsko, MD

直腸指診(DRE)は、前立腺診断に用いられる主要な検査のひとつです。医師が指を直腸内に挿入し、潜在的な異常がないか触診します。異常所見は、前立腺がん、良性前立腺肥大(前立腺が大きくなる疾患)、前立腺炎(感染による前立腺の炎症)の徴候などが挙げられます。[1]指診で正確な診断をするには知識や経験を要するため、患者による自己指診は医療者から推奨されていません。それでも、自己検診を行う場合は、医師が用いる指診の技術を詳しく知る必要があるでしょう。

パート 1 の 2:
前立腺のスクリーニング検査が必要か判断する

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    年齢を基にスクリーニングの必要性を決める 米国がん協会(ACS)は、50歳以上の男性に年1回のスクリーニング検査を推奨しています。ただし、以下の条件に該当する男性に対しては、早期にスクリーニングを開始します。[2]
    • 1親等血縁者(息子、兄弟、父親)の1人以上が65歳以前に前立腺がんを発症した場合は、40歳から開始します。
    • 1親等血縁者の1人が65歳以前に前立腺がんを発症した場合は、45歳から開始します。
    • 黒人男性は、前立腺がんの発症率が高い傾向があるため、45歳から開始します。
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    泌尿器系に症状が見られる 膀胱、尿道、陰茎に起こる障害のすべては、前立腺疾患が要因な可能性もあります。前立腺はこれらの泌尿器官に近接しているため、前立腺が肥大すると圧迫して機能障害を引き起こします。前立腺疾患が原因による症状は以下が挙げられます。[3]
    • 排尿遅延、尿勢低下
    • 排尿困難
    • 夜間頻尿
    • 排尿時の灼熱感
    • 血尿
    • 勃起障害
    • 射精痛
    • 腰痛
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    医療機関を受診する 排尿障害が生じても、多くの病気が考えられるため、直腸指診だけでは判断できない可能性があります。また、直腸指診は数ある前立腺疾患の診断法のひとつに過ぎません。
    • 経直腸的超音波検査(TRUS)を施行して、直腸内部の異常組織を検出する場合もあります。
    • 生検も、がんの有無を診断するのに欠かせない検査方法です。
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    前立腺特異抗原(PSA)検査を希望する 前立腺に異常が生じた場合、医師がPSA数値(前立腺の特異的なたんぱく質)の測定検査を提示することがあります。PSA値が4ng/mL以下であれば、正常値と判断されます。[4]
    • PSA検査は偽陽性あるいは偽陰性の結果を招くことがあるため、米国予防医学専門委員会はPSA値に基づく前立腺スクリーニングを推奨していません。[5]
    • 射精(最近の性行為)、前立腺感染症、直腸指診、自転車走行(前立腺を圧迫するため)はPSA値を上昇させる要因となります。前立腺障害の症状が無くPSAが高値の場合は、2日後に再検査する必要があります。
    • 再検査のPSA値も上昇している場合は、症状に応じて、直腸指診や前立腺の生検(針を刺入し、前立腺組織を採取して分析します)をして精密検査します。
    • PSA値が2.5ng/mL未満の男性は2年毎の検査で十分ですが、PSA値が2.5ng/mL以上の場合は、毎年検査を受ける必要があります。[6]
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パート 2 の 2:
前立腺を検査する

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    医師による検診を検討する 自己指診は比較的簡単のように思えますが、前立腺検診は正確な技術と触診の知識が必要になります。
    • 自己指診によって、嚢胞や腫瘤を爪で穿孔し出血を起こすなどの合併症を招く恐れがあります。感染症やほかの合併症を引き起こす可能性もあり、その場合、自宅治療では難しく医療機関を受診する必要が出るでしょう。
    • さらに、自己指診で異常が見つかり医師に相談すれば、診断のために医師が直指診を行うことになります。
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    正しい体位で行う 病院で検査を行う場合、直腸や前立腺の指診がしやすいように、横になり膝を曲げる姿勢、もしくは、腰を曲げ前かがみで立つ姿勢をとります。[7]
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    皮膚疾患がないか検査する 手鏡を使い自分で確認するか、配偶者やパートナーに検査してもらう必要があります。直腸部位に、嚢胞、いぼ、痔核などの皮膚疾患がないかしっかり観察しましょう。[8]
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    滅菌手袋を着用する 直腸指診を行う人(自分、パートナーなど)は、ラテックス製の滅菌手袋を着用します。また、必ず手洗いをした手で、手袋を触りましょう。人差し指のみを使用しますが、手全体に手袋は着用しましょう。
    • 手洗いや手袋着用の前に、爪が短く切ってあるか確認しましょう。ラテックス製手袋の上からでも、誤って直腸を損傷もしくは嚢胞や腫瘤を穿孔してしまう可能性があります。
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    潤滑剤を塗布する ワセリンやKYゼリーなどの潤滑剤は、ストレスを軽減させ、スムーズな挿入に有効的です。手袋着用後の人差し指に、潤滑剤を十分に塗りましょう。
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    直腸壁を触診する 人差し指を直腸に挿入します。円を描くように指を回して直腸壁を触診し、がん、腫瘍、嚢胞を示唆する腫れやしこりなどを確認します。異常のない直腸壁は、滑らかで均一な形状をしています。[9]
    • 軽く押さえる程度の力加減で行いましょう。
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    へそ側の直腸壁を触診する 前立腺は直腸壁の前面(上側)に位置しています。前立腺側の直腸壁を指診して、硬化、ゴツゴツ感、表面の凸凹、肥大化、圧痛など異常所見が認められるか確認しましょう。[10]
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    指を抜く 医療機関で行うと直腸指診は10秒程度で終了します。時間をかけすぎると、指診に対する不快感が増すだけです。[11]終了後は、手袋を破棄し、直ちに手を洗いましょう。
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    医師に相談する 医療機関を受診し、追加検査や問診を受けるようにしましょう。自己指診で異常所見が見られた場合は、早急に受診が必要です。受診前2日以内に直腸指診した場合は、PSA値が上昇している可能性があるため、その旨を医師に伝えましょう。
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注意事項

  • PSA検査および直腸指診両方の結果が正常であっても、がんが発生する可能性はあります。
  • 爪を短く切ってから行いましょう。
  • スクリーニングの信頼性は財団や医師によって賛否両論であり、推奨、非推奨と評価が二分します。[12]かかりつけ医と相談し、家族歴、年齢、症状を踏まえた上で、検査の施行を決断しましょう。
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必要なもの

  • 手術用手袋
  • 潤滑剤

出典

  1. Bickley, Lynn S. Techniques of Examination. Chapter 15 The anus, rectum and prostate. Bates Pocket Guide to Physical Examination and History Taking. sixth edition. P 262-264. © 2009 Wolters Kluwer Health- Lippincott Williams & Wilkins.
  2. http://www.cancer.org/cancer/prostatecancer/moreinformation/prostatecancerearlydetection/prostate-cancer-early-detection-acs-recommendations
  3. Bickley, Lynn S. Techniques of Examination. Chapter 15 The anus, rectum and prostate. Bates Pocket Guide to Physical Examination and History Taking. sixth edition. P 262-264. © 2009 Wolters Kluwer Health- Lippincott Williams & Wilkins.
  4. http://www.pcf.org/site/c.leJRIROrEpH/b.5802071/k.C620/PSA__DRE_Screening.htm
  5. http://www.pcf.org/site/c.leJRIROrEpH/b.5802071/k.C620/PSA__DRE_Screening.htm
  6. http://www.cancer.org/cancer/prostatecancer/moreinformation/prostatecancerearlydetection/prostate-cancer-early-detection-acs-recommendations
  7. Bickley, Lynn S. Techniques of Examination. Chapter 15 The anus, rectum and prostate. Bates Pocket Guide to Physical Examination and History Taking. sixth edition. P 262-264. © 2009 Wolters Kluwer Health- Lippincott Williams & Wilkins.
  8. Bickley, Lynn S. Techniques of Examination. Chapter 15 The anus, rectum and prostate. Bates Pocket Guide to Physical Examination and History Taking. sixth edition. P 262-264. © 2009 Wolters Kluwer Health- Lippincott Williams & Wilkins.
  9. Bickley, Lynn S. Techniques of Examination. Chapter 15 The anus, rectum and prostate. Bates Pocket Guide to Physical Examination and History Taking. sixth edition. P 262-264. © 2009 Wolters Kluwer Health- Lippincott Williams & Wilkins.
  1. http://www.pcf.org/site/c.leJRIROrEpH/b.5802071/k.C620/PSA__DRE_Screening.htm
  2. Bickley, Lynn S. Techniques of Examination. Chapter 15 The anus, rectum and prostate. Bates Pocket Guide to Physical Examination and History Taking. sixth edition. P 262-264. © 2009 Wolters Kluwer Health- Lippincott Williams & Wilkins.
  3. http://www.pcf.org/site/c.leJRIROrEpH/b.5802037/k.6B8C/Early_Detection__Screening.htm

このwikiHow記事について

家庭医(かかりつけ医)
この記事はChris M. Matsko, MDが共著しています。 クリス・M・マツコ医師はペンシルバニア州ピッツバーグ在住の元内科医です。25年以上にわたって医学研究を続け、コーネル大学最優秀指導者賞を受賞しました。テンプル大学にて栄養科学の学士号を取得後、同大学医学部にて2007年に医学博士号を取得。2016年にha
カテゴリ: 性的関心
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