妊娠した犬の世話をする方法

共同執筆者 Pippa Elliott, MRCVS

この記事には:妊娠の準備をする健康管理をする適切な食事を与える運動させる産箱を用意する6 出典

妊娠中の愛犬を適切な方法で世話をすることは、繁殖をする上でとても大切です。犬の妊娠期間は55~72日ほどです。この期間に徹底したケアをすること、また出産の準備をすることがポイントです。出産前の母犬には、清潔で静かな心地よい環境、適切な食事と運動、そして獣医による検診が必要です。犬の妊娠期間は短いので、短期間で出産や子犬を育てる準備をすることになるでしょう。

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妊娠の準備をする

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    繁殖に適しているか判断する 多くの場合、母犬の疾患が子犬に遺伝します。妊娠をさせる前に動物病院で検診を受けさせ、子犬に遺伝性疾患が遺伝するリスクを最小限に抑えましょう。遺伝性疾患は、体のさまざまな部分に影響を及ぼす可能性があります。例えば、骨、関節、心臓、歯、皮膚、血液細胞、腎臓、肝臓、神経系(脳と脊髄)、消化管、生殖器、免疫系などが挙げられます。遺伝性疾患の主な例として、股関節異形成、アレルギー、停留睾丸、ヘルニアなどがあります。中には遺伝性疾患を患いやすい犬種もいます。[1]
    • 母犬と父犬の性格や挙動を考慮しましょう。攻撃的な性格は遺伝することを証明した科学的研究もあります。攻撃性のない人懐こい犬を繁殖しましょう。
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    質の良いドッグフードを与える 日本のペットフード公正取引協議会では、総合栄養食を証明する基準として、世界的に認められた小動物の栄養基準であるAAFCO(全米飼料検査官協会)の分析試験による栄養基準、または給与試験プロトコールを採用しています。「AAFCOの基準を満たす」と標記しているドッグフードを選びましょう。[2] 妊娠前から質の良い食事を与えておくと、母犬だけではなく子犬の健康状態の向上にもつながります。
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    繁殖の実態を把握しておく 子犬はとても愛らしいものですが、多くの時間を費やし世話をしたり掃除をしたりする必要があります。一般的に子犬は生後8週間を母親と過ごしますが、里親が見つからない場合はそれ以上の時間を共に過ごすことになります。数匹の子犬の世話をするには、時間と体力だけでなく、高額の費用が必要になることを念頭に置いておきましょう。
    • 難産の場合、緊急で獣医にかかる必要があります。帝王切開は高額なので、緊急時に対応できるように費用面でも準備しておきましょう。
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    保健所などから犬を引き取ることを検討する 日本では各都道府県・地域の保健所で捨て犬など身寄りのない犬が収容されています。環境省の統計資料によると、平成27年度に殺処分された犬は約1万6千頭にも上ります。また、里親募集の運営会社もあるので利用を検討してみても良いでしょう。[3]
    • 子犬を産ませて里親に出すということは、それだけ保健所などに収容されている身寄りのない犬の行き場が無くなるということを念頭に置きましょう。

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健康管理をする

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    出産前の準備をする 愛犬が妊娠する前に、必ずワクチン接種を受けさせ、母犬と子犬を疾患から守りましょう。母犬がワクチン接種を受けていないと、生まれたての子犬は重篤で時には命に関わる疾患にかかる危険性があります。
    • 多くの獣医が、妊娠中の犬へのワクチン投与は危険だとしています。ワクチンは前もって接種させるのが良いでしょう。
    • 回虫や鉤虫といった寄生虫は母犬から胎児に感染することがあるので、虫下しをしましょう。動物病院で適切な薬を処方してもらいましょう。
    • 動物病院でフィラリア検査を受けさせ、適切な予防を行いましょう。ミクロフィラリアは母犬の胎盤から胎児へ感染することがあります。
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    妊娠の兆候があれば、動物病院に連れて行く 動物病院では、妊娠の有無、出産予定日、薬の要否、または胎児の頭数までも診断することができます。妊娠していないのにしているかのように見える、または振舞う想像妊娠の場合も、病院で判断することができます。
    • 妊娠3週目ほどになると、エコー検査で胎芽が確認できます。妊娠20~30日前後になると、触診で胎児を確認できるようになります。妊娠5週目(45日)を超えると、レントゲンで胎児が確認できます。
    • レントゲンを撮ると、胎児の頭数を調べることができます。事前に胎児の数を把握しておくと、出産時に全ての子犬が分娩されたかを確認することができます。例えば、レントゲンで6頭生まれてくると診断されたのに、4頭しか出産しなかった場合、緊急で病院に連れて行くなど適切な対応ができます。
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    服用薬の全情報を獣医と共有する 中には胎児に先天性欠損や死産など危険な影響を及ぼす薬もあります。例えば、多くの動物病院で月ごとのフィラリア予防薬の投与を推奨していますが、念のために妊娠の可能性を獣医に伝え、胎児への悪影響を防ぎましょう。
    • 愛犬にノミやダニが付いていないか、またその治療法について獣医と相談しましょう。治療が必要な場合は、妊娠中の犬にも使える適切な薬が処方されます。例えばフロントラインプラスやフロントラインスポットオン(フロントラインスプレータイプは使用してはいけません)、レボリューション、プログラム、キャプスターなどが挙げられます。[4]
    • 妊娠期間を3分の2ほど過ぎた犬には、寄生虫駆除を勧める獣医もいるでしょう。一般的に妊娠中の犬にはフェンベンダゾールが安全で、母犬から胎児に感染する恐れのある寄生虫も治療できると考えられています。
    • 獣医に安全性を確認せずに、処方箋以外の薬やサプリメントを与えてはいけません。
    • 妊娠中の犬にワクチンを接種させてはいけません。妊娠した犬のワクチン有効期限が切れている場合は、獣医に相談しましょう。
    • 愛犬が慢性疾患のため長期で治療を受けている場合は、薬投与の継続可否をすぐに獣医に相談しましょう。
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    最寄の動物緊急センターの場所を把握する 動物緊急センターは、一般の動物病院とは異なり24時間体制で受付可能です。母犬が夜間に出産して合併症を引き起こしたときのために、念のため場所を確認しておきましょう。

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適切な食事を与える

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    ドッグフードのラベルを確認する 必ず「AAFCOの基準を満たす」と標記しているドッグフードを選びましょう。[5]
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    妊娠4週目までは質の高い市販のドッグフードを与える ドッグフードはペットショップや食料品店で購入することができます。一般的に市販のドッグフードには、適正量の中に必要な栄養素すべてがバランスよく含まれています。
    • 愛犬の食事を手作りするのは控えましょう。必要な栄養素をバランスよく含ませることが難しくなります。
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    妊娠5~6週目には質の良い子犬用のドッグフードに切り替える この時期の母犬には、栄養価の高い食事が必要です。子犬用のドッグフードには、タンパク質、脂肪、エネルギー、ミネラルが多く含まれています。
    • この時期の母犬には、通常より2~2.5割多めの量のドッグフードを与えましょう。
    • 母犬が大型犬であっても、大型犬用または大型犬の子犬用のドッグフードを与えてはいけません。妊娠中の犬に十分なエネルギーやカルシウムが含まれていない場合が多いからです。
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    妊娠8~9週目の出産間近の犬にはさらに量を2.5割増やして与える この時期の母犬には、妊娠前に比べて5割も多いドッグフードを与えることになります。例えば、妊娠前に一日2回2カップのフードを与えていた場合は、出産間近の母犬には一日6カップ与える必要があります。
    • 出産予定日が近い母犬は胎児により腹部が圧迫され、一度に多くのフードを食べられないこともあるでしょう。一度に与える量を減らして食事の回数を増やし、確実に必要な栄養が摂れるように工夫しましょう。また、フードを出したままにしておき、食べたいときに食べさせるようにしても良いでしょう。
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    獣医の指示がない限り、ドッグフードにビタミン、ミネラルまたは肉を混ぜない 妊娠中の犬にはカルシウムを追加で与えることが必要だと考えがちです。また、そのように推奨する不適切な記事がインターネットに載っていることもありますが、カルシウムを追加で与えてはいけません。カルシウムを過剰に与えると、体内でカルシウムの調節機能が働かなくなり、子癇と呼ばれる命に危険を及ぼす低カルシウム状態に陥ります。[6]
    • ドッグフードに肉を混ぜると、炭水化物の摂取量が減るのでエネルギー摂取量が減ってしまいます。

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運動させる

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    疲れさせすぎない 特に妊娠6週目を過ぎた犬は、疲れさせすぎないことが重要です。妊娠しているだけで体力を消耗するので、必要なだけ休ませましょう。
    • 使役犬(探知犬など)の場合、適切な運動量を獣医と相談しましょう。
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    毎日の散歩を続ける 妊娠中の犬にとって、毎日の散歩はそれほど体力を奪われずにできる運動です。ほとんどの犬が妊娠をしていても散歩は続けられるでしょう。
    • 季節に合わせて、適切な散歩の時間を選びましょう。(例えば、夏は早朝、冬は午後3時頃など)
    • 妊娠前に定期的に走っていた犬の場合は、妊娠4~6週目まで続けられます。6週目以降は走らずに歩きましょう。
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    母犬は出産前後各3週間(計6週間)は他の犬と引き離す この期間は、母犬をドッグランや散歩をしている犬の多い通りなどに連れて行ってはいけません。こうすることで、母子共に危険な感染症から守ることができます。
    • また、妊娠中の犬や幼い子犬を持つ母犬は行動に変化が見られます。子犬が危険にさらされていると感じたら、他の犬に攻撃的になることもあるでしょう。

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産箱を用意する

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    産箱を購入するまたは作る 産箱は母犬が出産する際に安心できる場所、または「巣」の役割を果たします。産箱として、比較的高い塀に囲まれた柔らかい寝床を用意しましょう。ベニヤ板や硬いプラスチックで作るか、市販の産箱を購入しても良いでしょう。
    • 産箱は母犬がゆったりと体を伸ばせるだけではなく、子犬のスペースも確保できるように十分な大きさが必要です。
    • 産箱の壁は、産後6週間の子犬が這い上がれないほどの高さにしましょう。同時に母親が産箱の外に自由に行き来できるような高さが理想的です。
    • 壁は崩れて子犬が押しつぶされないように、頑丈で安全に作りましょう。
    • 飼い主が産箱を用意しないと、出産には適さない場所で出産する可能性があります。
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    母犬・子犬にとって快適な環境の産箱を作る 産箱の床にタオルを敷き詰めて、出産後は頻繁に取り替えて洗いましょう。出産でも汚れますが、出産後子犬がタオルを汚すので、状況に応じて計画的に管理しましょう。
    • 新聞紙には柔軟性も保温性もないため、産箱に敷くには適しません。また、新聞の印刷に使われるインクで子犬が汚れることがあります。
    • 産箱の床の温度は、ワット数の低い電球を使用して摂氏24度程度に保ちましょう。母犬・子犬の安全のために、床が熱すぎたり冷たすぎたりしないようにしましょう。
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    産箱は人気がなく、犬が慣れている場所に設置する 愛犬の出産を補助するために、飼い主も産箱のある場所に頻繁に通う必要がありますが、同時に出産時に母犬の気が散らず、他のペットが近寄れない場所に設置する必要があります。最低でも出産の1~2週間前から母犬に産箱の位置を教えて慣れさせると、安心して産箱で出産を迎えることができるようになります。

ポイント

  • 小型犬は一度に出産する子犬の数も少なく、大型犬になるほど数は多くなります。大型犬は一度に平均で8~12頭出産するのに対して、小型犬は1~4匹です。
  • 犬の妊娠期間は63日間ですが、実際には交配から55~72日間です。
  • 妊娠中の正常な体重増加は1~1.5割増程度です。例えば、10キロの犬は1~1.5キロしか増えません。とは言え、妊娠中の犬にダイエットをさせるのはやめましょう。妊娠中の犬の体重増加については、獣医と相談しましょう。
  • 出産前の犬は花火などの大きな音に敏感で、出産の妨げになりかねないので注意しましょう。

注意事項

  • ノミやダニの予防薬の中にも妊娠中の犬に悪影響を及ぼす薬があるので、獣医に投薬中止を勧められることがあります。
  • 犬に何か異常が見られた場合は、なるべく早く近くの獣医にかかりましょう。専門的な知識がない限り、自己判断で対処しないようにしましょう。

記事の情報

この記事はPippa Elliott, MRCVSが共著しています。 Royal College of Veterinary Surgeons(王立獣医師会)のメンバーでもあるピッパ・エリオット獣医師は、30年以上にわたり、かかりつけ獣医師、そして獣医外科医として獣医療の実践に努めてきました。1987年にグラスゴー大学にて獣医科学と獣医外科学の学位を取得し、生まれ故郷の町にある動物診療所に20年以上勤務しています。

カテゴリ:

他言語版:

English: Care for a Pregnant Dog, Español: cuidar de una perra preñada, Português: Cuidar de uma Cadela Prenhe, Italiano: Prendersi Cura di una Femmina di Cane Incinta, Русский: ухаживать за беременной собакой, Deutsch: Eine trächtige Hündin versorgen, Français: s'occuper d'une chienne enceinte, Bahasa Indonesia: Merawat Anjing Hamil, Nederlands: Voor een zwangere hond zorgen, 한국어: 임신한 애완견 케어하는 법, العربية: الاهتمام بالكلبة الحامل

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