子ども(1歳以上)にCPRを行う方法

共同執筆者 Harrison Lewis

この記事には:状況を判断するCPRを行う18 出典

CPR(心肺蘇生法)は本来、認可を受けた応急手当講習を受講した人が行うべきものですが、その場に居合わせた未経験者が行っても、心停止状態にある子どもの生存率を大幅に上昇させることができます(1歳未満の子どもおよび成人へのCPRは、ここで紹介する方法とは手順が異なります)。基本的なCPRでは、胸骨圧迫および気道の確保、人工呼吸を行います。CPRの訓練を正式に受けたことがない人は、胸骨圧迫だけを行うほうがよいでしょう。

パート 1
状況を判断する

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    周囲の安全確認を行いましょう。意識を失っている人を発見し、その人を救助する意思があるのであれば、まずは自身に対する危険の有無を迅速に判断しなければなりません。エンジンをかけたままになっている自動車はありませんか? 火災は発生していませんか? 火のついたガスコンロや垂れ下がった電線の有無は? 自分や要救助者にとって危険となりそうな事物があれば、それに対して何か打てる対策があるかどうかを考えましょう。可能であれば、を開ける、コンロの火を消す、消火するなどの処置を行います。
    • 危険に対処のしようがなければ、要救助者を移動させます。要救助者の体の下に毛布や上着などを敷き、敷いたものを引っ張って移動させるのが最善です。
    • 背骨を損傷した恐れのある要救助者の移動は、頭部や首をひねることがないように、二人がかりで行いましょう。[1]
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    意識の有無を確認します。要救助者の肩を軽く揺するか叩くなどしながら、大きくはっきりとした声で「大丈夫ですか? 大丈夫ですか?」と呼びかけます。呼びかけに対して反応があれば、意識があります。眠っていただけの可能性もあれば、実際に意識を失っていたとも考えられます。この時点でもなお緊急事態であると思われるとき、例えば、呼吸困難が続く、意識の消失と回復を繰り返しながら次第に衰弱していくなどといった場合には、助けを呼んで基本的な応急手当を開始し、ショック状態(極度の血圧低下に伴う全身の血流不足により、生命に危険が及んでいる状態)の回避または処置を行います。
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    脈拍を調べます。子どもが呼びかけに反応を示さないときには、何よりもまず脈拍の確認を行います。[2]呼びかけに反応しない子どもには、すぐにCPRを施さなければなりません。脈拍の計測時間は10秒以内に留めます。脈拍がない場合は心停止を起こしており、胸骨圧迫を行う必要があります。[3]
    • 首(頸動脈)の脈拍を確認するには、要救助者の喉仏の横に人差し指と中指の指先を当てて、首の横(自分に近いほう)の拍動を感じ取ります。(女児の喉仏は表面に現れないことが多く、男児の場合も思春期を終えるまではあまり目立たないことに留意しましょう。)
    • 手首(橈骨動脈)の脈拍を確認するには、子どもの手首の親指側に自分の人差し指と中指を当てます。
    • その他にも、鼠径部(大腿部)や足首で脈を確認できます。鼠径部の脈を確認するには、内腿の中央に2本の指の指先を押し当てます。足首(後脛骨)の脈拍は、足首の内側に人差し指と中指を当てて測定します。
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    迅速な行動の重要性を認識しましょう。心臓や呼吸が停止している人を見かけたときには、すぐに行動を起こし、人工呼吸やCPRを行うことで救命できる可能性があります。救急車が到着する前にCPRを開始した場合、要救助者の蘇生率は大幅に上昇します。[4]酸素を多く含む血液を脳に送り返す効果があるCPRを迅速に行える対応力が必要不可欠です。
    • 脈はあるものの呼吸をしていない要救助者に対しては、胸骨圧迫ではなく、人工呼吸だけを行います。
    • 人間の脳が無酸素状態でも後遺症を伴うことなく機能できる時間は、通常、およそ4分間です。
    • 脳が無酸素状態に陥ってから4~6分が経過すると、脳損傷の確率は高まります。
    • 6~8分間にわたって無酸素状態が続くと、脳損傷を起こすケースがほとんどです。
    • 脳が10分以上にわたって無酸素状態になると、ほぼ確実に脳死に至ります。[5]

パート 2
CPRを行う

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    CPRを2分間行います。状況を素早く判断し、要救助者の意識と血流の有無を確認した後は、迅速な行動が要求されます。脈がなければすぐにCPRを開始しなければなりません。CPRを2分間(5サイクル程度)継続した後に、救急車を呼びます。[6]その場に自分しかいないときには、助けを呼ぶ前にCPRを開始することが重要です。
    • 他に人がいる場合は、その人に助けを呼んでもらいましょう。他に誰もいなければ、CPRを2分間行った後で助けを呼びます。[7]
    • 119番に通報します。
    • 建物内または近くにAED(自動体外式除細動器)が備えてある場合は、可能であれば、指示を出して誰かに取りに行ってもらいましょう。
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    「CAB」の法則を覚えておきましょう。CABとはCPRの基本手順のことで、「Chest Compressions(胸骨圧迫)」、「Airway(気道確保)」、「Breathing(人工呼吸)」の頭文字を取ったものです。2010年に、気道確保と人工呼吸の前に胸骨圧迫を行うように推奨手順が変更されました。心拍リズムの異常(心室細動または無脈性心室頻拍)の正常化に重要な役割を果たすのが胸骨圧迫であり、圧迫30回(1サイクル)の所要時間はわずか18秒であることから、胸骨圧迫を先に行っても気道確保と人工呼吸に大幅な遅れは生じません。[8]
    • CPRの正式な訓練を受けたことがない人や、見ず知らずの人への口対口人工呼吸に抵抗がある人は、胸骨圧迫のみの「ハンズオンリーCPR」を行うほうがよいでしょう。[9]
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    胸骨圧迫を行うために、両手の位置を決めます。子どもの体は成人ほど頑丈ではありません。したがって、子どもに対してCPRを行う際は、両手の位置決めが特に重要となります。2本の指を肋骨の最下部に移動して、胸骨を探します。体の中央にある肋骨の合流点を特定したら、その指の上にもう一方の手のひらの付け根を重ねます。この手のひらの付け根だけを使って、胸骨圧迫を行いましょう。[10]
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    胸骨圧迫を30回行います。ひじを固定し、5 cmほどの深さまで胸部を真下に圧迫します。成人に比して体が小さい子どもには、圧力もそれだけ軽減します。骨が鳴る音や感触がしたら、強く圧迫しすぎているサインかもしれません。力をやや緩めた上で圧迫を継続しましょう。[11]その場に自分しかいない場合は、この胸骨圧迫を少なくとも1分間に100回のペースで30回行います。
    • 胸骨圧迫の際は、胸が完全に元の位置に戻るまで、1回ごとに圧迫を解除します。[12]
    • 救助者の交代や除細動の準備の間に生じる胸骨圧迫の中断は、最小限(10秒以内)に抑えましょう。
    • 救助者が2名いる場合は、一人15回を1セットとして胸骨圧迫を行いましょう。
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    気道を確保しましょう。要救助者の額に片手を、もう一方の手の指2本をあごに当てます。片手で額をゆっくりと下方へ押し下げながら、2本の指であごを優しく持ち上げます。首の損傷が疑われる場合は、あごの先端を突き上げるのではなく、下あご全体をゆっくりと上方へ(いわゆる「受け口」になるように)引き上げます。[13]ここまで行った後は、目や耳、感覚を駆使して呼吸の有無を確認します。
    • 自分の耳を要救助者の口と鼻の近くに当て、呼吸音を注意深く聞き取りましょう。
    • 胸の動きを観察し、自分の頬に当たる呼気を感じ取ります。[14]
    • 呼吸をしていないようであれば、感染防護具(入手可能な場合)を要救助者の口にかぶせます。
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    人工呼吸を2回行います。気道を確保したまま、要救助者の額に当てた手の指で要救助者の鼻をつまみます。自分の口で要救助者の口を塞ぎ、約1秒間息を吹き込みます。空気が胃ではなく、確実に肺へと届くように、息は必ずゆっくりと吹き込みましょう。この間も、目では常に要救助者の胸の動きを観察します。
    • 息が正しく吹き込まれると、胸がわずかに盛り上がるのがわかり、空気が入る感覚もあるはずです。息が入ったら、2回目の人工呼吸を行います。[15]
    • 息が入らなければ、頭の位置を調整した後にもう一度吹き込んでみましょう。[16]それでも入らないようなら、要救助者の気道が塞がっている可能性があります。この場合は、さらに胸骨圧迫を行う必要があります。腹部突き上げ法(ハイムリック法)は、意識のない人には行ってはいけません。その点は覚えておきましょう。
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    胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を1サイクルとして繰り返し行います。CPRを2分間(胸骨圧迫と人工呼吸のセットを5サイクル)行った後で生命反応や脈拍、呼吸の有無を確認します。CPRを中止するのは、1)他の人に引き継ぐ、2)救急隊員が到着した、3)疲労によりCPRを継続できない、4)AEDの装着と充電が完了し、要救助者の体から離れるように救助者から指示を受けた、5)脈拍と呼吸が回復したときです。[17]
    • 最初の2分間のCPRの後には、忘れずに119番通報をします。
    • 119番に通報した後は、救急隊員が到着するまでCPRを継続します。
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    AEDを使用します。AEDを入手できたら電源を入れ、指示に従って(一方を右胸に、もう一方を左側に)パッドを当てます。AEDによる心電図解析を待った後、ショックを与えるように指示が出たら、周囲の人に要救助者の体から離れるように告げて(「離れて!」と大声で叫んで)から、ショックを1回与えます。ショック1回ごとにすぐに胸骨圧迫5サイクルを再開し、その後、容体を観察します。[18]
    • 呼吸が回復したら、要救助者の体をゆっくりと動かして回復体位を取らせます。

ポイント

  • 必ず119番に通報しましょう。
  • 要救助者を動かす必要がある場合は、できるだけ本人の体に負担をかけないように気を付けましょう。
  • CPRの正しい方法がわからないときには、緊急サービス機関のオペレーターが指示を出してくれます。
  • 人工呼吸を行えないまたは行いたくない人は、胸骨圧迫だけのCPRを行いましょう。これだけでも、心停止状態からの蘇生には有効です。
  • お住まいの地域の認可団体で適切な訓練を受けましょう。緊急事態に備えるには、経験豊富な講師の指導を受けるのが最も効果的です。
  • 両手は必ず胸骨の中央、乳頭を結んだ線上に当てましょう。

注意事項

  • 身の危険が迫っていたり、生命を脅かすような場所にいるのでない限り、要救助者を動かしてはいけません。
  • 要救助者が成人か小児か、あるいは乳児かによって、CPRの実施方法はそれぞれに異なります。本記事で紹介したCPRは小児を対象とするものです。
  • 可能であれば手袋や防護具を着用して、感染症のリスクを低減しましょう。
  • CPRを開始する前に、必ず周囲の安全確認を行いましょう。
  • 通常の呼吸や咳、動きが見られる人に対しては、胸骨圧迫を行ってはいけません。これを行うと、心停止を起こす恐れがあります。[19]

記事の情報

この記事はHarrison Lewisが共著しています。 ハリソン・ルイスはカリフォルニア州在住の救急救命士です。2014年にNREMT(救急救命士の国家資格)と、CPR/First Aid for Professional Rescuers(心肺蘇生と応急処置を行う資格)を取得しています。

カテゴリ: 救急処置・緊急医療

他言語版:

English: Do CPR on a Child, Español: hacer la reanimación cardiopulmonar en un niño, Italiano: Eseguire la RCP su un Bambino, Português: Fazer a Reanimação Cardiorrespiratória em Crianças, Русский: сделать искусственное дыхание ребенку, Français: effectuer la RCP sur un enfant, Tiếng Việt: Thực hiện hồi sức tim phổi (CPR) cho trẻ em, Bahasa Indonesia: Melakukan CPR pada Anak, Deutsch: Wiederbelebung bei Kindern, العربية: إجراء الإنعاش القلبي الرئوي للأطفال

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