心臓発作を自覚する方法

共同執筆者 Carmen W. Landrau, MD

この記事には:救急処置が必要となる場合他の初期症状を自覚する救急車を待つ間にできること心臓発作以外の要因危険因子を知る43 出典

心臓発作は、突如血流が阻害され、心臓に十分な酸素が行き渡らなくなった場合に発症します。心臓発作が起こると、心筋が適切に血液を排出できず、やがて急速な筋肉組織の「壊死」が始まります。[1] アメリカ国内では、毎年約735,000人が心臓発作にかかります。[2] しかしながら、発作時の急激な症状を自覚している人は、そのうちの約27%にすぎません。[3]誰しも、無自覚な患者の一人にはなりたくないでしょう。典型的な心臓発作の症状として、押しつぶされるような胸の痛み、および上半身のヒリヒリした痛み(たとえ肉体を酷使しない場合でも)が挙げられます。しかし、それ以外にも、注意すべき兆候がいくつかあります。心臓発作が発症した場合は、いち早く前兆を自覚し、直ちに病院へ駆け込めるかどうかが生死の分かれ目です。処置が遅れれば、たとえ一命を取り留めたとしても、壊死した心筋組織は二度と元には戻りません。痛みを感じた際に少しでも心臓発作の疑いがあれば、一刻も早く医療者の助けを求めましょう。

パート 1
救急処置が必要となる場合

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    胸の痛みに注意しましょう。鋭い痛みから鈍い痛みまで、胸の痛みは心臓発作の最も一般的な兆候です。心臓発作に襲われた人は、胸の中心または左側に、圧迫感、詰まり感、締め付け感、重圧感、あるいは刺すような痛みを覚えます。そのような感覚が数分間続いた後、症状が収まる場合もあれば、時間が経って再び痛みが起こる場合もあります。[4]
    • ドラマや映画で心臓発作のシーンを見かけることはよくあります。しかし、現実には、心臓発作による胸の痛みは、必ずしもあのように、押しつぶされるような重苦しい痛みとは限りません。実際、痛みそのものは軽い場合も少なくありません。したがって、どのような胸の痛みであっても、注意を怠るわけにはいきません。[5]
    • 「胸骨胸後痛」も心臓発作の一般的な症状です。肋骨の中心に位置する胸骨の裏側に痛みが生じます。この種の痛みは、しばしば腹部不快感(例えば、消化器官のガス溜まり)と混同されます。わずかでも心臓発作の疑いがあれば、医師に連絡しましょう。
    • 発作時に胸に痛みが現れない場合もあります。実際、心臓発作の患者の半分以上が胸の痛みを経験しません。したがって、胸部に痛みがないからといって、心臓発作ではないと決めつけてはいけません。
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    上半身の不快感をチェックしましょう。時として、胸に生じた心臓発作の痛みが上半身全体へ広がり、首、顎、腹部、上背部、および左腕に不快感を覚える場合があります。[6] 通常これらの箇所に生じた痛みは鈍痛です。最近取り立てて激しい運動や、上半身が筋肉痛を起こすような活動をした覚えがない場合、この種の痛みは心臓発作の前兆となる可能性があります。[7]
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    めまい、立ちくらみ、および失神に注意しましょう。[8] これらは心臓発作の極めて一般的な兆候です。もっとも、すべての心臓発作の患者が、めまいや立ちくらみを覚えるわけではありません。
    • その他の心臓発作の症状と同様に、めまい、立ちくらみ、および失神は、他の疾患の兆候である場合も少なくありません。そのため、つい見過ごされがちになります。これらの症状も見落とさないように注意しましょう。とりわけ、胸の痛みを併発している場合はなおさらです
    • 女性の場合、男性に比べて、頻繁にこれらの症状が現れます。もっとも、すべての女性に現れるわけではありません。
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    呼吸をチェックしましょう。息切れもまた、見過ごされがちな心臓発作の症状の一つです。息切れを甘く見てはいけません。他の疾患による息切れとは違い、心臓発作の場合、息切れは何の前触れもなく突然起こります。心臓発作が原因で息切れを起こした経験のある人々は、たとえ腰を下ろしてくつろいでいる最中であっても、激しいエクササイズを行っているような感覚を覚えると言います。[9]
    • 息切れ以外にこれといった症状が現れない場合もあります。決して息切れを甘く見てはいけません! とりわけ、息切れを起こすほどの運動を行っていないにもかかわらず、息切れを覚える場合は、直ちに医療処置を受けましょう。
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    吐き気や“むかつき”に注意しましょう。吐き気を放置していると、冷汗が出始め、やがては嘔吐を引き起こします。これらの症状とともに、他の症状が現れた場合は、心臓発作を発症している可能性があります。[10]
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    不安をチェックしましょう。心臓発作の患者の大半が、いわゆる「迫りくる恐怖」を感じ、極度の不安状態に陥ります。このような心理状態もまた危険な兆候です。極度の不安や恐怖といった、感情の昂ぶりを覚える場合は、直ちに医療処置を受けましょう。
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    みなさん自身や知り合いに心臓発作の疑いがあれば、直ちに救急サービスに電話をしましょう。発作が起こった場合は、医療処置が早いほど、助かる確率は高くなります。病院に行かなくて済むように自分自身に言い訳をしたり、救急車を呼ぶべきか迷っている間に、病状はさらに悪化します。
    • 調査によると、心臓発作を抱える人の半数以上が、発作が起こって4時間以上も経ってから助けを求めていたことが分かっています。[11] 実際、心臓発作による死亡者のほぼ半数が、病院の外で亡くなっています。[12] たとえ大した痛みや不快感がなくても、いかなる症状も見過ごしてはいけません。大至急助けを求めましょう。

パート 2
他の初期症状を自覚する

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    狭心症の医療処置を受けましょう。狭心症は、軽度の圧迫感や灼熱感、または詰まり感を伴う胸の痛みです。狭心症はしばしば“胸やけ”と間違えられます。また、狭心症は、心臓発作の主な原因となる「冠動脈心疾患」の兆候として現れる場合があります。胸部に少しでも痛みを覚えたら、直ちに検査を受けるのが賢明です。[13]
    • 大抵の場合、狭心症による痛みは胸部に現れます。ただし、場合によっては、腕、肩、首、顎、喉、または背中にも痛みが現れます。痛みの正確な箇所が特定しにくい場合も少なくありません。[14]
    • 狭心症による痛みは、数分間安静にしていれば収まる場合があります。[15] 一方、数分経っても胸の痛みが引かない場合や、休息を取ったり、狭心症治療薬を服用しても症状が改善しない場合は、救急処置が必要になります。[16]
    • 人によっては、運動後に狭心症が起こる場合がありますが(労作性狭心症)、これは必ずしも病気または心臓発作の兆候ではありません。最も注意すべきことは、日常生活での体調の変化です。
    • 痛みとともに消化不良の自覚がある場合は、狭心症を発症している可能性があります。かかりつけの医師の診察を受け、痛みの原因を特定しましょう。
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    不整脈の有無を確認しましょう。不整脈とは、不規則な心拍(脈拍)のことです。心臓発作の患者の少なくとも9割が不整脈を抱えています。これといった理由もなく胸が高鳴り、動悸または“ドキドキ感”を覚える場合は、不整脈の可能性があります。[17] 医療者の下で検査を行い、症状の原因を特定しましょう。
    • 時として不整脈は、めまい、立ちくらみ、失神、 急激な心拍数の増加、激しい動悸、息切れ、胸の痛みといったさらに深刻な症状を伴います。不整脈とともに、いずれかの症状が現れた場合は、直ちに救急処置を受けましょう。[18]
    • 特に高齢者の間では、不整脈はごく一般的な症状ですが、その一方で、不整脈は心筋梗塞や心不全といった深刻な疾患の兆候ともなります。不整脈を軽視してはいけません。かかりつけの医師に相談し、大きな健康問題が起きていないかを確かめましょう。[19]
  3. 3
    方向感覚の喪失、錯乱、および卒中と思しき症状に注意しましょう。高齢者にとっては、これらの症状が心疾患の前兆となる場合も少なくありません。正体不明の意識障害に襲われる場合には、医療処置が必要です。
  4. 4
    異常な疲労感にも注意しましょう。女性の場合、男性に比べて、頻繁に突発性の、または説明のつかない異常な疲労感が心臓発作の症状として現れます。[20] 場合によっては、このような疲労感が、本格的な発作の数日前に現れます。[21]日常の行動パターンに変化がなく、それでいて突如として異常な疲労感を覚える場合は、直ちに医師の診断を仰ぎましょう。

パート 3
救急車を待つ間にできること

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    直ちに救急サービスに連絡を取りましょう。発作の症状が出た患者の介助について、救急センターから電話越しに指示があるはずです。必ずオペレーターの指示に従って行動しましょう。症状に対処する“前に”、まずは助けを求めましょう。[22]
    • 自ら車を運転して救急外来へ駆け込んではいけません。緊急通報用電話番号(日本では119番)に電話をすれば、いち早く病院側の受け入れ態勢が整うため、迅速な入院手続きが期待できます。救急車を呼びましょう。よほどの事情でもない限り、自らの運転で病院へ行くのは最後の手段と心得ましょう。 [23]
    • 心臓発作の治療は、発症から1時間以内が最も効果的とされています。[24]
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    体を動かさずにじっとしましょう。腰を下ろして安静にし、できるだけ呼吸を安定させて気分を落ち着けます。[25]
    • シャツの襟やベルトなど、体を締め付けている衣類はすべて緩めましょう。
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    心臓疾患のための処方薬を服用しましょう。ニトログリセリンのような処方薬を常備している場合は、救急車が到着するまでの間、指定された用量に従って服用しましょう。[26]
    • 医師が正確にみなさんに処方した薬剤でなければ、たとえ処方薬であっても服用は禁物です。他人に処方された薬剤は、みなさんの病状を悪化させる危険があります。[27]
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    アスピリン(鎮痛剤)を服用しましょう。アスピリンをかじって飲込み、固まった血や心臓発作の要因となる血栓を少しでも解消しましょう。[28]
    • アレルギーがある場合、または医師から服用を止められている場合は、アスピリンを服用してはいけません。[29]
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    症状が改善したとしても、予定通り病院には行きましょう。5分以内に症状が回復したとしても、必ず医師に診てもらいましょう。心臓発作は血流に血栓を残すため、将来的には、さらなる心臓発作や卒中といった健康問題を引き起こします。医療者に詳しく検査してもらいましょう。

パート 4
心臓発作以外の要因

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    消化不良の症状を自覚しましょう。消化不良は、「胃弱」または「胃のむかつき」としても知られます。総じて消化不良は、慢性的な、または周期的な上腹部の痛みとして現れます。[30] 場合によっては、軽い胸の痛みまたは圧迫感を引き起こします。以下の症状のいずれかを伴う場合、胸の痛みは消化不良によるものと考えられます: [31]
    • 胸やけ
    • 膨満感または詰まり感
    • げっぷ
    • 胃酸の逆流
    • 胃の痛みまたは“むかつき”
    • 食欲不振
  2. 2
    胃食道逆流症(GERD)の症状を自覚しましょう。「胃食道逆流症」は、食道の平滑筋が正しく収縮せず、胃に入ったはずの食物が食道に逆流する疾患です。この疾患にかかると、胸やけとともに、食物が胸に“詰まった”感覚を覚えます。とりわけ食事の後は、吐き気を催すでしょう。[32]
    • 通常胃食道逆流症の症状は食後に現れます。横になったり、前屈姿勢を取ると、症状はさらに悪化します。夜間に悪化する場合もあります。
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    喘息の症状に注意しましょう。喘息もまた、胸が痛い、圧迫される、または引っ張られる、といった感覚を引き起こします。これらの症状は、総じて咳や喘鳴(呼吸の際のゼーゼーという音)を伴います。[33]
    • 軽い喘息発作であれば、通常は数分程度で収まります。数分経っても呼吸に支障が出る場合は、医療処置を受けましょう。
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    パニック発作に注意しましょう。日常的に極度の不安を抱えている人は、パニック発作の危険と隣り合わせといえます。パニック発作の初期症状は心臓発作のそれと似通っています。 動悸、発汗、ふらふらする、気が遠くなる、胸の痛み、または呼吸困難といった症状が現れます。[34]
    • パニック発作の症状は、極めて短時間で発症するものの、往々にして、短時間で収まります。10分以内に症状が改善されない場合は、医療処置を受けましょう。[35]

パート 5
危険因子を知る

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    年齢を考慮しましょう。年齢を重ねるにつれて心臓発作の危険性は高くなります。年齢層で比較すると、45歳以上の男性および55歳以上の女性で心臓発作の発症率が増加します。[36]
    • 高齢者層と若年層では、心臓発作の症状が異なる場合があります。高齢者の場合、特に注意すべき症状として、意識の喪失、呼吸困難、吐き気、衰弱などがあります。
    • 高齢者の場合、記憶の欠如、不規則または異常な行動、および認知機能の低下といった痴呆症の症状も、心臓発作の“静かな”前兆となり得ます。[37]
  2. 2
    体重を考慮しましょう。過体重または肥満は、みなさんを心臓発作の危険に晒します。[38][39]
    • 座りがちな生活スタイルもまた、発作のリスクを高めます。[40]
    • 飽和脂肪を多分に摂取する食生活は、「冠動脈疾患」のリスクを高め、やがては心臓発作を引き起こします。
  3. 3
    喫煙を止めましょう。喫煙および二次喫煙によって、心臓発作の危険はさらに増大します。[41]
  4. 4
    その他の慢性的な健康問題についても考えましょう。以下のいずれかの疾患または医学的条件を抱えている場合は、心臓発作のリスクが高くなります: [42]
    • 高血圧
    • 高コレステロール
    • 家族や自身に心臓発作または卒中の病歴がある
    • 糖尿病
      • 糖尿病患者には、心臓発作の症状が、それほど深刻な形では現れない場合もあります。少しでも疑わしい症状があれば、直ちに医療処置を受けましょう。[43]

ポイント

  • 気恥ずかしさや、「本当は心臓発作ではないかもしれない」などという心配は無用です。疑いがあれば、速やかに医療者の助けを求めましょう。医療処置が遅れれば命に関わります。
  • 決して心臓発作の症状を甘く見てはいけません。腰を下ろし、安静にして、5~10分経過しても容体が変わらない場合は、救急処置が必要になります。

注意事項

  • 一度心臓発作にかかると、将来、高い確率で2度目の発作が起こります。
  • しかるべき訓練を受けた人でない限り、除細動器(AED)を使用してはいけません。
  • 「無症候性心筋虚血」の場合、前兆となる症状または予兆もなしに、心臓発作が起こります。


出典

  1. http://www.nhlbi.nih.gov/files/docs/public/heart/heart_attack_fs_en.pdf
  2. http://www.cdc.gov/heartdisease/facts.htm
  3. http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5707a3.htm
  4. http://www.cdc.gov/dhdsp/data_statistics/fact_sheets/fs_heartattack.htm
  5. http://www.webmd.com/heart-disease/features/recognizing-heart-attack-stroke-angina
  6. Domino, F. (n.d.). In The 5-minute clinical consult standard 2015 (23rd ed.)
  7. http://www.nhlbi.nih.gov/files/docs/public/heart/heart_attack_fs_en.pdf
  8. http://www.heart.org/HEARTORG/Conditions/HeartAttack/WarningSignsofaHeartAttack/Heart-Attack-Symptoms-in-Women_UCM_436448_Article.jsp
  9. http://www.nhlbi.nih.gov/files/docs/public/heart/heart_attack_fs_en.pdf
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記事の情報

この記事はCarmen W. Landrau, MDが共著しています。 ランドロー医師はテキサス州の「Memorial Hermann Hospital 」に勤務する心臓血管外科専門医です。2009年にヒューストンにある「University of Texas Medical Center」で専門医の研修を修了しています。

カテゴリ: 全般的健康

他言語版:

English: Recognize a Heart Attack, Español: reconocer un ataque al corazón, Italiano: Riconoscere un Attacco di Cuore, Português: Reconhecer um Ataque Cardíaco, Русский: распознать инфаркт, Deutsch: Einen Herzinfarkt erkennen, Français: reconnaitre une crise cardiaque, Bahasa Indonesia: Mengenali Serangan Jantung, العربية: التعرّف على الأزمة القلبية, Nederlands: Een hartaanval herkennen, Tiếng Việt: Nhận biết Cơn đau tim, 한국어: 심장마비를 알아보는 방법, Türkçe: Kalp Krizi Nasıl Anlaşılır

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