この記事の共著者 : Nicole Moshfegh, PsyD. 公認臨床心理士のニコル・モシュフェグ博士は、カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点として活躍し、執筆活動も行っています。多彩な文化的バックグラウンドの理解に基づき、気分障害や不安障害、不眠症の患者の治療を専門としています。カリフォルニア大学アーバイン校にて心理学と社会行動学の学士号を、ペパーダイン大学にて心理学の修士号と博士号を取得。カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて博士号取得前のインターンシップと博士号取得後のフェローシップを修了。米国心理学会、医療臨床心理士国内登録協会、ロサンゼルス郡心理学協会、ファミリーヘルスケア共同協会会員。著書に、ベストセラーとなった「眠りの本:不眠症を直す75の方法」。
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人生のどこかで悲しみに浸る経験をする人は多いものです。悲しみと一言で言っても、「なんとなく憂鬱に感じる」場合から、「慢性的なうつ状態」まで様々ですが、どの悲しみも人の感情や思考、行動に大きな影響を与えます。[1] 悲しみを感じること自体はいたって普通のことですが、常に悲しい状態でいると精神的・身体的な問題を引き起こしかねません。[2] 悲しみをコントロールするためには、物事に対する考え方を変える、生活習慣を変える、精神分野の専門家の助けを借りるなどの方法が効果的な場合があります。
具体的にいつ悲しみを乗り越えた方がいいかについては、ステップ4 「悲しみを乗り越えるタイミング」「で確認しましょう。
ステップ
方法 1
方法 1 の 4:考え方の癖を変える
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1反すう思考をやめる 反すう思考とは、ネガティブな事柄を何度も繰り返し考え続けることです。昔の会話やつらい思い出に執着して、何度も頭の中で繰り返すことはありませんか。[3] 反すう思考をしていると、ネガティブな思考や感情が次々と湧きあがってくるため、思考を繰り返すほどつらく感じてしまうのです。反すう思考を繰り返しすぎると徐々にうつ状態に繋がることもあります。[4] 反すう思考をやめるために、以下の方法を試してみましょう。
- 反すう思考をしている原因を解決するために行動を起こしましょう。[5] 例えば現在失業中で、心配で考えることを止められないとしたら、仕事探しのためにやることリストを作成し、一つずつこなしていきます。
- 前向きな視点で自分を省みる練習をしましょう。自分のネガティブな要素ばかり考えているのであれば、自分を褒めることで、ネガティブな思考回路を遮断します。「あのプロジェクトではよく頑張った」「あの会話の時は自分にできる努力をした」と自分に伝えてあげましょう。
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5前向きで明るい人々の中に身を置く 心の支えとなるような人々は広い視野で物事を見て、悲しみを軽減する手助けをしてくれます。できるだけ頻繁に、前向きな人やグループでの集まりに参加しましょう。[13]
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7瞑想を日課にする 瞑想は集中力の向上や心のリラックスにおいて大きな力を発揮します。毎日数分間瞑想をすれば、悲しみの軽減が見込めます。[17]
- 瞑想では、強制的に外の世界から自分を切り離します。この切り離された時間の中で、集中してリラックスすることを学ぶことができれば、幸せを感じることができるでしょう。[18]
- 毎日5~10分の瞑想から始め、慣れてきたら徐々に時間を長くしていきます。[19]
- 何にも邪魔されない、静かで居心地のいい場所で行いましょう。気が散る物をなくすと、呼吸に集中しやすくなり、悲しみや湧きあがる感情を手放しやすくなります。[20]
- 背筋を伸ばして座り、目を閉じます。正しい姿勢は瞑想の要です。姿勢を正すと、呼吸や血液が流れやすくなり、脳がその場に集中する助けとなります。また、目を閉じることで、気が散る物事を寄せ付けないようにできます。[21]
- 呼吸は楽に均等に行いましょう。呼吸をコントロールしようとせず、自然に吸って自然に吐きます。息を吸いながら「let(レー)」、吐きながら「go(ゴー)」と言って(「let go」は「手放す」という意味です)、呼吸に全集中を傾ける方法も、集中を保つための良いテクニックです。[22]
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10お酒や薬物は避ける アルコールや娯楽目的の薬物は摂取しないことが賢明です。これらを摂取すると一時的には気分が良くなるかもしれませんが、長期的には気分の落ち込みが生じ、うつ病治療の妨げとなってしまいます。[32]
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方法 2
方法 2 の 4:悲しみと向き合う
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2悲しい時の感じ方に注意を向ける 悲しみは気持ちの良い感情ではないので、じっくりと向き合うことなどは論外で、感情自体を押しやってしまいたくなりますよね。しかし、悲しみの感情をきちんと特定することで、他の感情と切り離すことができます。じっくりと悲しみに目を向けることで、その感情がいつ始まりいつ終わるのかを認識することができ、対応することが容易になります。[38]
- 悲しみを身体的な感覚として経験することもあるかもしれません。腕や脚が重く感じたり、お腹の辺りに嫌な感じがしたりする場合があります。だるさを感じることもあるでしょう。
- 悲しみを何かの形としてイメージすることも効果的です。「悲しみの波」という感情表現を聞いたことがあるかもしれません。自分にとって分かりやすい方法で、悲しみをイメージしてみましょう。そびえ立つ大波や深く暗いプールをイメージするかもしれません。イメージしたものが何か分からない場合は、悲しみが自分をどんな気持ちにするかを絵にして描いてみましょう。
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3感情を受け入れて、乗り越える 悲しみがやってきたら、まずその感情に気付くことです。そして、その感情を押しやるのではなく、思い切って受け入れます。もし悲しみが波のようであれば、波を拒むのではなく体全体で受け入れましょう。悲しみの原因が何かを考え、自分の感情がまっとうであると自覚します。[39]
- 普通の悲しみの場合、その原因によって、数分持続するだけのこともあれば、もっと長く続くこともあります。
- 悲しみと向き合う過程で、悲しみが自然と消えたら気付くようにしましょう。気持ちが軽くなったときに区切りをつければ、新しい感情へ気持ちを向けることができるようになります。
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4悲しみが訪れた時の対処法を用意しておく 今度悲しみを感じたら、今感じている悲しみは、他の感情と同様に一時的なものだと認識をしましょう。また、悲しみの中にいる時やその後にできることを計画しておくと役に立ちます。自分にはこの感情に対処する力があると思えるでしょう。[40]
- 悲しみを感じ始めたら、一人になれる場所に行きましょう。そこで、先ほど描いた悲しみのイメージ(波、プールなど思いつくものであれば何でも)を思い出します。そのまま悲しみに浸りましょう。
- 悲しみが薄れてきた時にできることを考えておきましょう。友達に電話をする、散歩に行くなど、悲しみを乗り越えやすくするために何かしら行動を起こします。
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5うつのサインを見逃さない 悲しみが消えずに他の感情を感じることができない場合は、うつのサインかもしれません。うつは、気分の落ち込みや悲しみが2週間以上続き、生活に支障をきたしている状態です。[41] うつ状態にある時は、悲しみと向き合うだけでは十分に気持ちを前向きにすることはできません。うつを治療するためには、普段の生活習慣を変え、専門家に助けを求めることが最も大切です。以下の症状に1つ以上当てはまる場合は、うつの可能性があります。
- 悲しみや不安を感じる
- 自分には価値が無いと感じる、自己肯定感が低い
- 物事をネガティブに考える、絶望を感じる
- 気力がない
- 食欲と体重に変化がみられる
- 睡眠パターンに変化がみられる
- 自殺願望がある
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方法 3
方法 3 の 4:専門家の助けを得る
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1カウンセラーや臨床心理士にかかる 悲しみを自分の力で乗り越えることが難しい場合は、メンタルヘルスの専門家と話をしましょう。訓練を受けているカウンセラーや臨床心理士は、新しい物事の考え方や取り組み方を学ぶ手助けをしてくれます。また、認知行動療法という、うつの治療法として有効性が示された手法が行われることがあります。
- この方法は、ネガティブな思考に流されるのではなく「今この瞬間」に集中するようになるためのテクニックに重点を置いています。
- 薬物療法と併用して行うことも可能です。
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2精神科医に抗うつ薬の相談をする 悲しみやうつに苦しむ人の中には、薬剤で気持ちが楽になる人もいます。[42] 抗うつ薬には慢性的な悲しみやうつを和らげる働きがあります。[43]
- 担当医師が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を処方する可能性があります。薬剤の例として、パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラムがあります。SSRIsは、一般的に他の抗うつ薬に比べて副作用が少ないと言われています。[44]
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)を処方されることもあるでしょう。例として、デュロキセチン、ベンラファキシンなどが挙げられます。[45]
- 日本では未承認のノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害薬(NDRI)は、一般的に他の抗うつ薬でみられる性機能障害の副作用があまりみられません。[46]
- 三環系の抗うつ薬は、一般的に他の抗うつ薬では効果がないときに処方されます。イミプラミン、ノルトリプチリン、アミトリプチリン、トリミプラミンなどがありますが、強い副作用が現れることがあります。[47]
- モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)は抗うつ薬の最後の砦ですが、日本では抗うつ薬としての販売はされていません。海外では他の薬剤が何も効かない際に使用されることがあります。重大な副作用があるため服用には注意が必要です。[48]
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3他の治療法を考慮する 薬物療法や生活習慣の改善で効果が見られない場合は、医師と一緒に他の治療法を考慮した方が良いかもしれません。入院や経頭蓋磁気刺激治療など様々な方法があるので、あなたの悲しみを止める方法もあるかもしれません。[49]広告
方法 4
方法 4 の 4:悲しみを乗り越えるタイミング
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1他の感情を感じたいと思えたら、悲しみを感じることをやめてみる 悲しい時は心が傷むため、悲しみを消して再び幸せを感じたいと思うのは普通のことです。言葉にするほど簡単に実行できることではないかもしれませんが、時には考え方を変えることが必要です。精神的に不調を感じているけれど、暗がりから抜け出して日の光を浴びる心の準備ができているのであれば、悲しみを感じている自分を助けるために、色々な方法を試してみましょう。
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2過ぎたことに対する悲しみは手放す 特定の出来事や問題に対して悲しみを感じている場合、その気持ちをただ手放すことは簡単ではありません。ただ、悲しみを心の底から感じる時間をしっかりと取れば、心が少し軽くなるはずです。健康的な生活を送る、悲しかったことを誰かに話す、など悲しみを止める助けとなる方法を実行すれば、悲しみがより早く薄れていきます。悲しみは、心の準備ができていれば、きっと消えていきます。
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3持続的に感じる悲しみを無視しない 時には、何を試しても悲しみの感情を止められないこともあります。他のことで気を紛らわそうとしたり、感情から逃げようとしたりすると、逆効果となってしまいます。長期間悲しみを感じているけれど理由が分からない、または悲しみをどうすることもできない、と感じたら、助けてもらえそうな人に話をしてみましょう。今の状況を手っ取り早く変えることはできないかもしれませんが、訓練を受けたカウンセラーと一緒に悲しみに取り組むことは、長い目で見て悲しみを乗り越えるための最良の選択と言えるでしょう。広告
出典
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