手の火傷を手当する方法

共同執筆者 Joshua Batt, DO

この記事には:状況の把握Ⅰ度熱傷の手当Ⅱ度熱傷の手当Ⅲ度熱傷や重症熱傷の処置

誰しも一度は、コンロの上で料理をしている最中に手や腕を火傷(やけど)した経験があるはずです。みなさんの中には、その瞬間どうすればよいのか分からず、その火傷がどのくらい深刻なのかさえ判断できなかった人もいるでしょう。今後は以下の手順に従い、周囲の安全を確保して適切に手当を行いましょう。

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状況の把握

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    周囲の安全を確保しましょう。火傷をしたら直ちに作業を止めましょう。周囲の人に危害が及ぶ前にガスバーナーを切り、火元をすべて断ってその場の安全を確保します。炎の勢いが激しく、鎮火できない場合は、一刻も早くその場を離れ、消防隊を呼びましょう。
    • 薬品熱傷の場合は、直ちに作業を止め、周囲を片付けて安全を確認します。できれば、肌に付着した薬剤は取り除きましょう。付着した薬剤が粉末薬品であれば、乾いたブラシを使って払い落とすか、または冷水を流してすすぎます。[1]
    • 電気熱傷の場合は、電源を切り、ケーブルから離れましょう。[2]
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    救助を呼びましょう。自宅で消火ができなければ、119番に通報して消防隊に出動を要請しましょう。肌に付着した薬剤がどのような副作用を引き起こすのか分からなければ、地域の保健所に連絡します。電気熱傷の場合、まだケーブルから出火していれば119番に通報しましょう。また、高圧電線や落雷による火傷の場合も、救急サービスに連絡を取りましょう。[3]
    • ケーブルから出火しているかどうか分からない場合は、ケーブルに直接触れてはいけません。乾いた木片やプラスチックのような絶縁体で触って出火の有無を確認しましょう。[4]
    • 電気は体内の電気信号に干渉し、深刻な副作用を引き起こす危険があるため、電気熱傷を負った人は必ず医療処置を受けましょう。[5]
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    手の火傷を調べます。手の創部(火傷を負った箇所)を見て、損傷の度合いを判断します。創部の箇所に注意しましょう。火傷の状態を見て、細かい特徴を覚えましょう。これは火傷の種類を特定するのに役立ちます。火傷は皮膚の損傷の深さ(深達性)によって、I度・Ⅱ度・Ⅲ度に分類されます。Ⅰ度熱傷は最も軽度な火傷です。Ⅲ度熱傷になると重症です。火傷の度合いによって治療法は異なります。[6]
    • 手のひらに火傷を負った場合は、迅速な医療処置が必要です。手のひらの火傷を放置していると、長期にわたって障害が残ります。[7][8]
    • 指の周囲に火傷を負った場合(創部が1本ないしは数本の指を取り巻いている場合)も、直ちに医療処置を受けましょう。この種の火傷は血行を著しく阻害するため、適切に処置が行われなければ、最悪の場合、指を切断する羽目になります。[9]

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Ⅰ度熱傷の手当

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    Ⅰ度熱傷を見分けましょう。Ⅰ度熱傷の場合、上側の皮膚(表皮)のみが損傷を受けます。Ⅰ度熱傷は皮膚に軽度の腫れや赤みを引き起こします。それに伴い、痛みも現れます。創部を抑えて手を放すと、しばらくは白く変色するでしょう。皮膚に水ぶくれや裂け目がなく、赤みだけが現れるのであれば、その火傷はⅠ度熱傷です。[10]
    • たとえ軽度であっても、手とともに顔や気道に火傷を負った場合や、手の大部分、足、鼠径部、臀部、関節部分といった箇所に火傷を負った場合は、医師の診察を受けるのが賢明です。[11]
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    手当をしましょう。創部の見た目や肌触りでⅠ度熱傷と判断できれば、落ち着いて速やかに流し台へ向かいましょう。手や腕を蛇口の下に置き、15~20分間冷水を流します。冷水を当てることによって皮膚の熱を冷まし、炎症の悪化を防ぎます。[12]
    • ボウルに冷水を注ぎ、数分間患部を浸すのも効果的です。できる限り早い段階で皮膚を冷やして炎症を抑えれば、瘢痕(火傷の跡)が残りにくくなります。
    • 氷を使ってはいけません。長時間氷を当てると、創部の凍傷につながります。また、創部の周りの皮膚に氷が触れると、その箇所まで損傷を受けてしまいます。[13][14]
    • さらに、創部にバターを塗ったり、風を当ててはいけません。そのようなことをしても効き目はなく、むしろ感染症を引き起こす危険があります。[15]
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    アクセサリーは外しましょう。火傷は腫れを引き起こすため、火傷を負った手にアクセサリーを付けていると、皮膚を締め付けて血行を阻害したり、または肌にアクセサリーが食い込む場合もあります。火傷を負った手に付けている指輪やブレスレットはすべて外しましょう。[16]
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    アロエまたは火傷軟膏を塗りましょう。自宅でアロエベラを栽培しているみなさんは、下側に生えている葉を葉柄の真ん中辺りで切り取りましょう。棘を削ぎ落とした後、葉を縦に割り、中のゼリーを創部に直接塗ります。すぐにひんやりとして気持ち良くなるでしょう。これはⅠ度熱傷にはとても効果的な手当です。[17]
    • 手元にアロエベラがない場合は、市販のアロエ100%のジェルを使いましょう。
    • 開いた傷口にアロエを塗ってはいけません。
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    必要に応じて痛み止めを服用しましょう。アセトアミノフェン(タイレノール)、ナプロキセン(アリーブ)、イブプロフェン(アドビル、モトリン)といった市販の鎮痛剤は、短期間の服用であれば、いずれも安全性が認められています。[18]
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    経過を見守りましょう。火傷は数時間のうちに悪化する可能性があります。創部をすすいで手当をした後は、経過を観察してⅡ度熱傷に発展しないかを確かめましょう。Ⅱ度熱傷に発展する場合は、本格的な医療処置を検討しましょう。[19]

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Ⅱ度熱傷の手当

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    Ⅱ度熱傷を見分けましょう。Ⅱ度熱傷の場合、創部が表皮を通過して下側の皮膚(真皮)まで到達するため、Ⅰ度熱傷に比べて事態は深刻です。[20] もっとも、必ずしも医療処置が必要なわけではありません。Ⅰ度熱傷と比べると、患部はさらに腫れ上がり、斑点が現れ、赤みが増します。また、表面が湿ってテカテカした見た目になるでしょう。創部自体は白くなるか、または水ぶくれや色素沈着によって変色します。[21]
    • Ⅱ度熱傷であっても、火傷の範囲が直径10cmを超える場合は、Ⅲ度熱傷と判断して直ちに医療処置を受けましょう。[22]
    • Ⅱ度熱傷の主な原因として、熱湯、炎、熱い物体との接触、極度の日焼け、薬品熱傷、電気熱傷などが挙げられます。C[23]
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    アクセサリーを外しましょう。火傷は腫れを引き起こすため、火傷を負った手に付けているアクセサリーが皮膚を極度に締め付けて血行を阻害する恐れがあります。また、アクセサリーが肌に食い込む場合もあります。着用している指輪やブレスレットはすべて外しましょう。[24]
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    創部を水ですすぎます。Ⅱ度熱傷の手当はⅠ度熱傷の手当とほとんど同じです。火傷を負ったら、慌てず速やかに流し台まで行き、15~20分ほど手や腕に冷水を当てます。冷水で皮膚の熱を取り、炎症を抑えます。水ぶくれが現れても潰してはいけません。水ぶくれは皮膚の回復を助けます。水ぶくれが潰れると、そこから感染が起こり、回復に時間が掛かる場合があります。[25][26]
    • 創部にバターを塗ったり、氷を当ててはいけません。また、ドライヤーや扇風機で風を当てるのも禁物です。感染症を引き起こす危険があります。[27]
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    抗生剤クリームを塗りましょう。Ⅱ度熱傷の場合、創部が皮膚の奥深くまで浸透しているため、Ⅰ度熱傷に比べて感染症の危険が高くなります。[28]創部に抗生剤クリームを塗り、包帯を巻いて感染症を予防しましょう。
    • 火傷用の抗生剤軟膏として人気が高いのがスルファジアジン銀(ゲーベンクリーム)です。スルファジアジン銀は、大抵の場合、処方箋なしで購入できます。[29] できるだけ長時間皮膚に浸み込むように、軟膏はたっぷりと塗りましょう。[30]
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    潰れた水ぶくれをきれいにしましょう。水ぶくれが自然に破れたり、または不注意で水ぶくれを潰しても、慌てる必要はありません。洗顔石鹸と清潔な水で洗いましょう。その後、創部に抗生剤軟膏を塗り、新しい包帯を巻きます。
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    毎日新しい包帯を巻きましょう。感染症の予防のために、患部のガーゼや包帯は毎日取り換えます。取り外した古い包帯は処分しましょう。石鹸は使わずに、創部を冷水ですすぎます。皮膚を擦ってはいけません。数分間水を流し続けましょう。その後、清潔なタオルで軽く叩きながら乾かします。創部が乾いたら、火傷クリーム、抗生剤軟膏、またはアロエベラを塗って回復を早めましょう。最後に、新しい滅菌ガーゼを被せます。[31]
    • 傷が消えれば、または傷がほとんど目立たなくなれば、包帯は必要ありません。
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    ハチミツ軟膏を自作しましょう。医師の間では代替医療の一つに過ぎないと考えられていますが、ハチミツの使用が火傷の治療に有効であることは複数の研究によって証明されています。小さじ1杯分のハチミツを創部に塗りましょう。傷口に軽く擦り込みます。ハチミツには天然の防腐効果があり、傷口への細菌の侵入を防ぎます。しかも創部周辺の健康な皮膚に損傷を与えることもありません。PH(ペーハー)が低く、モル浸透圧濃度の高いハチミツが皮膚の回復力を高めます。できれば日頃トーストに塗っているハチミツではなく、メディハニーのような薬用ハチミツを使いましょう。[32]
    • いくつかの臨床結果によれば、処方薬であるスルファジアジン銀軟膏(SSD)と比較しても、ハチミツには創部への高い殺菌効果が認められます。[33]
    • 包帯は毎日交換しましょう。傷口から体液が流れる場合は、さらに頻繁にガーゼを取り換える必要があります。
    • 創部をカバーするガーゼが手元にない場合は、6時間ごとにハチミツを塗りましょう。ハチミツには火傷を冷やす効果もあります。[34][35]
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    経過を見守りましょう。数時間のうちに創部の状態が悪化する場合もあります。創部を水ですすぎ、手当をした後は、経過を観察してⅢ度熱傷に発展しないかを確かめましょう。Ⅲ度熱傷に発展すれば、直ちに医療処置を受けましょう。[36]
    • 回復の最中は感染症のサインや症状に注意しましょう。創部からの排濃、発熱、腫れ、皮膚の赤みの増大といったサインが現れた場合は医療処置を受けましょう。[37]

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Ⅲ度熱傷や重症熱傷の処置

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    重症熱傷を見分けましょう。火傷の度合いに関わらず、関節部分や身体の大部分に火傷を負っている場合は重症熱傷とみなされます。また、火傷を負った後に生命兆候(心拍数・呼吸数・血圧・体温)に関わる合併症が現れたり、火傷が原因で日常の動作に支障を来たす場合も重症です。そのような場合は、直ちにⅢ度熱傷と判断して救急医療処置を受けましょう。[38]
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    Ⅲ度熱傷を見分けましょう。創部から出血したり、創部が薄黒く変色している場合はⅢ度熱傷の疑いがあります。Ⅲ度熱傷では、表皮から真皮そして皮下脂肪に至るまで、皮膚組織のすべてが損傷を受けます。創部は皮膚組織の壊死によって白、黄色、茶色または黒に変色します。皮膚は乾燥してガサガサになるでしょう。さらに、神経がすでに損傷しているか、または破壊されているため、Ⅰ度・Ⅱ度熱傷ほどの痛みを感じることはありません。[39] このような火傷には早急な医療処置が必要です。救急サービスに連絡するか、または救急治療室へ直行しましょう。
    • Ⅲ度熱傷が起こると感染症にかかりやすくなり、皮膚が元通りに回復しない場合もあります。[40]
    • 創部に貼り付いている衣類を無理に剥がそうとしてはいけません。救助を求めるのが先決です。
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    迅速に対応しましょう。みなさんの近くにいる人がⅢ度熱傷を負った場合は、直ちに119番に通報しましょう。救急隊が到着するまでの間、被害者に反応があるかを確かめましょう。被害者の体を軽く揺さぶって応答ができる状態かどうかを見極めます。反応がない場合は、体の動きまたは呼吸の有無を確認します。呼吸がなければ、一刻も早く心肺蘇生(CPR)を施す必要があります。救急処置の経験のあるみなさんは直ちに作業に入りましょう。[41]
    • 心肺蘇生の手順が分からない場合は、救急サービスのオペレーターから電話越しにアドバイスを受けましょう。[42] 心肺蘇生についての知識がなければ、下手に気道確保や人工呼吸を試みてはいけません。代わりに、心臓マッサージに全力を注ぎましょう。[43]
    • 被害者を仰向けに寝かせます。被害者の肩の真横に跪きます。そして被害者の胸の上に自身の両手を置きます。できる限り肘を中心に腕が垂直になるように、自身の肩を重ねた両手の真上に移動させましょう。その体勢のまま、真っ直ぐに被害者の胸を圧迫します。毎分100回のペースで圧迫しましょう。[44]
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    被害者の手当をしましょう。救急隊の到着を待つ間に、被害者の体を締め付けている衣類やアクセサリーを取り除きましょう。ただし、創部に貼り付いている衣類またはアクセサリーを剥がそうとしてはいけません。そのままにして救助が来るのを待ちましょう。無理に剥がすと、皮膚まで剥がれ、被害者をさらに傷つけてしまいます。また、深刻な火傷はショック症状を引き起こすため、体を温めることも大切です。[45]
    • 軽度の熱傷とは違い、Ⅲ度熱傷の場合は創部を水に浸してはいけません。水に浸すと低体温を引き起こす危険があります。できれば創部を心臓よりも高い位置に上げて腫れを抑えましょう。[46]
    • 被害者に痛み止めを服用させてはいけません。後で正式に救急医療者が鎮痛剤を投与します。医療処置と競合するような薬剤の服用は避けましょう。[47]
    • 水ぶくれを潰したり、壊死した皮膚を削ってはいけません。また、アロエを塗るのも禁物です。[48]
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    創部を覆いましょう。感染を防ぐためにも、できれば創部にカバーをしましょう。軽量のガーゼや湿布といった粘着性のない素材を使いましょう。包帯が創部に貼り付いたとしても、そのままにして救急隊の到着を待ちましょう。[49]
    • サランラップを使うこともできます。極めて短時間の使用であれば、食品用のラップフィルムは十分に包帯の代わりになります。患部を保護するとともに、傷口への細菌の接触を最小限に抑えることができるでしょう。[50]
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    病院で治療を受けます。みなさんが病院に到着次第、医療チームはすぐさま診断を下し、てきぱきと火傷の処置にあたります。まずは点滴や静脈注射を使ってみなさんの体から失われた電解質を補充します。創部の汚れを落とす際に大きな痛みが伴う場合は、鎮痛剤が投与されるでしょう。創部に軟膏またはクリームを塗り、滅菌ガーゼを被せます。必要とあれば、室内の温度と湿度を上げて創部の回復を促進する措置が取られるでしょう。[51]
    • 回復を早めるために、嘱託の栄養士から高タンパク食についての説明があるかもしれません。
    • 皮膚の損傷が激しい場合、医師は救急処置の後に皮膚移植を勧めるかもしれません。植皮術と呼ばれる手術によって、体の他の箇所から皮膚の一部を切除し、創部に移植します。
    • 包帯の交換の仕方について担当の医師や看護師から説明を受けます。包帯は退院後に交換しなければなりません。退院後も経過観察は続きます。定期的に通院して、予定通りに回復していることを確認しましょう。[52]

ポイント

  • 火傷について不安や疑問があれば、医師に連絡を取って診断を仰ぎましょう。
  • とりわけ、傷口が深ければ、傷跡が残りやすくなります。


出典

  1. http://www.mayoclinic.org/first-aid/first-aid-chemical-burns/basics/art-20056667
  2. http://www.mayoclinic.org/first-aid/first-aid-electrical-burns/basics/art-20056687
  3. http://www.mayoclinic.org/first-aid/first-aid-electrical-burns/basics/art-20056687
  4. http://www.mayoclinic.org/first-aid/first-aid-electrical-burns/basics/art-20056687
  5. http://www.medicinenet.com/burns/page4.htm
  6. https://www.urmc.rochester.edu/encyclopedia/content.aspx?ContentTypeID=90&ContentID=P01744
  7. http://www.woundsresearch.com/article/1179
  8. http://www.emedicinehealth.com/chemical_burns/page4_em.htm#when_to_seek_medical_care
  9. http://www.medicinenet.com/burns/page3.htm
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カテゴリ: 救急処置・緊急医療

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