この記事の共著者 : Jerry Ehrenwald. ジェリー・アーレンウォルドはニューヨーク市に住む宝石鑑定士です。GG(Graduate Gemologist)とASA(American Society of Appraisers)の認定資格を持ち、International Gemological Institute(インターナショナル・ジェモロジカル・インスティテュート。世界最大の宝石鑑別、鑑定機関)の代表取締役を務めるジェリーは、生涯にわたり宝石業界に携わってきました。ジェリーはLaserscribe℠(レーザー刻印技術。DINと呼ばれるダイヤモンドの個体識別番号など、その石を特定する符号をダイヤに刻印する。米国特許取得済み)の発明者でもあります。IGIの宝石研究機関、そして鑑定部門はジェリーの責任下にあります。ジェリーはASAの上級会員、そしてニューヨーク市に拠点を置くTwenty-Four Karat Club(社交クラブ。会員数を200人に限定しており、宝石業界で成功をおさめている者のみ入会可能)の会員という、稀にみる名誉な地位を手に入れています。
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金が本物か、金メッキか、偽物か、どうやって見分ければよいでしょう?大抵の場合、国際的な基準では、金の含有量が41.7%または10カラット以下のものは偽物とみなされます。手持ちのジュエリーや金の真贋は、水、酢、磁石など、大抵家にあるものを使って家庭で簡単に確かめることができます。宝石商の資格がなくても金が本物かどうかは確認できるので、この記事では今すぐ金を検査するための手順をご紹介します。
ステップ
家庭にあるもので検査をする
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1金を水中に落とし、沈むかどうかを確認しする 水と金が入る大きさの容器を用意します。水の温度はあまり関係ありませんが、ぬるま湯程度で問題ありません。本物の金は密度の高い金属なので、底に沈みます。偽物の金は本物より軽いので、浮いてきます。[1]
- また、本物の金は水に濡れても錆びたり変色したりしないので、変色が見られる場合は、おそらく金メッキということでしょう。
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2金に酢を数滴垂らす ジュエリーや金を平らな所に置きます。スポイトで酢を少し垂らし、15分ほど放置します。本物の金は変色しませんが、偽物であれば変色します。[2]
- また、ガラス容器に酢を入れて、金を15分間沈めてもよいでしょう。ただし、この方法は、金のジュエリーについている半貴石が酢によって損傷する可能性があるため、若干リスクが高くなります。
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3金が摩耗した部分の変色を調べる 金は金属にしてはかなり柔らかいため、時間が経つと金メッキが擦れて剥がれることがあります。硬貨やジュエリーの縁を観察してみましょう。この部分は肌や衣服に触れる機会が多いため、メッキが剥がれやすくなります。金の下に異なる金属が見えたら、それはメッキ加工されたもので本物の金ではないことが分ります。[3]
- 銀色の金属であれば、銀またはチタンの可能性があります。赤色の場合は、銅または真鍮かもしれません。
専門家情報International Gemological Institute代表、宝石鑑定士Jerry Ehrenwald
International Gemological Institute代表、宝石鑑定士専門家の意見:疑わしい刻印や縁周りの変色は、金が偽物であることを示す典型的な証拠です。しかし、純金である24金以外のものは、ベースとなる金属が酸素に触れて徐々に変色することがあります。
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4製品を身に付けたり触ったりすると、肌に色が残るかを確認する 純金は肌についた汗や油には反応しないため、肌に黒や緑の色がついている場合は、金以外の金属である証拠です。銀であれば黒、銅であれば緑色の跡が残ります。このような跡が肌に残っていたら、金の純度が高い製品とは言えないでしょう。[4]
- ほとんどの金製品には、他の金属が混合されています。金の含有率が58.3% の14金のジュエリーでも、肌に跡が残ります。他のテストも併用して、手持ちの金が本物であるかを確認しましょう。
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5強力な磁石を近づけ、くっつくかを調べる このテストでは、合金でも引き寄せるほどの強力な磁石が必要です。金に磁石を近づけ、反応を調べましょう。金は磁性を持たないため、磁石にくっつく製品は純金ではありません。磁石を近づけて引き寄せられたら、その製品は合金か偽物です。[5]
- 一般的な磁石はこのテストには磁力が弱すぎるため、ホームセンターで強力なネオジム磁石を購入しましょう。
- また、化粧品のファンデーションを肌に塗り、乾いた後にその上をゴールドを引きずるという方法もあります。通常、偽物の金はファンデーションと反応し、緑や黒の筋を残します。
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6素焼きの陶器に擦りつけ、跡が残るかを調べる 釉掛けされた陶器では正確な判定ができないため、釉薬が塗られていない陶器を使いましょう。陶器の皿などに、跡が残るまで製品を擦りつけます。皿に黒い痕が残っていれば、その製品は本物ではありません。金色の跡が残る場合は、本物と言えるでしょう。[6]
- インターネットまたはホームセンターで、素焼きのタイルまたは皿を購入しましょう。
- このテストでは金に多少の傷がつきますが、目立った傷にはなりません。深い傷をつけたり薬品を使ったりして調べる方法よりはるかに安全です。
- 他にも、肌にファンデーションを塗り広げ、乾燥てから金を擦りつけるという方法もあります。偽物の金であれば、通常ファンデーションと反応し、緑や黒の跡が残ります。
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製造元の刻印を調べる
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1金の刻印を探す 刻印を見ると、その製品の金の含有率が分かります。刻印は一般的にジュエリーの留め金や指輪の内側に刻まれています。硬貨や金塊の場合は、表面に打刻されています。金の純度を表すには、1~999または0K~24Kのどちらかの方式が使われています。[7]
- 拡大鏡を使って刻印を調べましょう。指輪などの小さな製品の場合、肉眼で確認するのは難しいかもしれません。
- 古いジュエリーの場合は、刻印は確認できないかもしれません。時間が経って刻印が摩耗しているか、初めから打刻されていない場合もあります。刻印は1950年代に一般的になった国もありますが、インドでの義務付けは2000年になってからです。[8]
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2刻印の数値で金の純度を判定する 大抵の硬貨やジュエリーは純金ではなく、他の金属が混合されています。金の純度を表すには、2通りの単位が使われています。欧州では、1~999の数値で表記され、999が純金であることを意味します。米国では、0~24Kで示され、24Kが純金となります。[9]
- 数字での表記は、カラット表記よりも明確です。例えば、375の評価であれば、その製品には37.5%の金が含まれていることを意味します。
- 金の純度の評価基準は国によっても異なります。例えば、米国では9金以下の製品は金とは認められていません。そのため、9金のブレスレットは37.5%の金を含有しているにもかかわらず、金製品ではありません。
- 偽造品にも本物のような刻印がされている場合があるため、本物の金であることが確かな場合を除き、刻印だけに頼らないほうがよいでしょう。
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3純金ではないことを示す刻印を調べる 刻印のなかには、GP、 GF、そして GEPなどの印字もあります。これらの文字は、製品に金メッキ加工がされていることを示しています。金メッキとは、銅や銀などの他の金属に薄い金の膜を付着させたものです。製品に金は使われていますが、本物の金とは言えません。[10]
- GPは金メッキ、GFは金張り、GEPは電気式金メッキを表しています。
- 刻印は、製品の生産国によって多少異なります。例えば、インドで生産された製品には、政府審議会によって評価された証の小さな三角形が打刻されています。そして、純度を示す数値やKなどの文字コードの刻印があります。
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比重を調べる
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1はかりで重さを量る 正確なキッチンスケールがあれば、金の重さを量ってみましょう。はかりがなければ、無料で測定してくれる宝石商や鑑定士もいます。宝石店や鑑定機関に電話し、このサービスを実施しているか問い合わせてみましょう。重さはオンスではなくグラムで量ります。[11]
- 後でグラムを使って比重を計算します。オンスでは、正確な結果を得られません。
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2メスシリンダーに半分まで水を入れる 金を入れられる十分な大きさのシリンダーを用意しましょう。ミリリットル(mL)または立方センチメートル(cc)の目盛りのついたシリンダーを使います。メスシリンダーがない場合は、一般的な計量カップでも代用できます。[12]
- 側面にmLの目盛りがついたバイアル瓶を使うと、さらに正確な計量ができます。
- 金が入るだけの大きさがあれば、水の量は関係ありません。シリンダーの縁まで水を満たすと、金を入れた時に水が溢れるため注意しましょう。
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3金を入れる前の水の量を調べる シリンダーの目盛りを読み、水の量を記録しましょう。この数値はテストを行ううえで大切なため、必ず書き留めておきましょう。できるだけ正確に計量するために、シリンダーは水平で滑らかな面に置きましょう。[13]
- シリンダーの目盛りは、mLまたはccのどちらでも構いません。どちらも同じ量であるため、このテストではどちらの単位も使えます。
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4金をシリンダーに入れ、水の量を記録する 水がこぼれないように、金をシリンダーにゆっくりと落とします。水が飛び散ったり、指が濡れたりするのを防ぐために、水面のすぐ上で手を離しましょう。そして、再び水の量を調べます。[14]
- 2度目に測定した数値を記録しましょう。これは最初の数値ではなく、2度目の数値です。
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5数値を差し引いて変位を算出する 簡単な引き算をして、金を入れて変位した水の量を求めます。2度目の数値から1度目の数値(小さいほうの数値)を差し引きます。これで、シリンダーの目盛りによって、何mLまたは何ccの変位であるかが分かります。[15]
- 例えば、最初の計量時の水量が17mLで、金を入れた後が18mLとすると、変位は1mLとなります。
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6金の重さを変位の値で割る 金の比重は、質量を体積で割ったものです。比重を割り出したら、標準的な金の比重(19.3g/mL)と比較してみましょう。数値が大幅に異なる場合は、それは偽物である可能性が高いと言えます。ただし、混合された金属によっては、本物の金に近い比重になる場合もあります。[16]
- 例えば、38gの重さの金製品で、水量の変位が2mLとします。38を2で割ると、比重は19g/mLとなり、金の比重に極めて近い数値となります。
- 標準的な比重は、金の種類によって異なります。14金のイエローゴールドであれば、比重は12.9~13.6g/mLで、14金のホワイトゴールドの比重は、約14g/mLとなります。
- 18金のイエローゴールドの平均比重は15.2~15.9g/mLで、18金のホワイトゴールドは14.7~16.9g/mLです。
- 22金の比重は、17.7~17.8g/mLです。
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硝酸テストを行う
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1金の硝酸テストキットを購入する 日本では一般人・個人が硝酸を入手するのは難しいため、このテストはできないかもしれませんが、金の硝酸テストキットが販売されている国もあります。テストキットには、さまざまな種類の金をテストする、何種類かの硝酸の小瓶が含まれています。金を削り落とすための、試金石と呼ばれる平たい石が含まれている場合もあります。また、先端にイエローゴールドとホワイトゴールドのサンプルがついた、試験ニードルが含まれていることもあり、手持ちの金と比較できます。[17]
- 米国では、硝酸テストキットはインターネットで販売されています。また、宝石店で扱っている場合もあります。大抵の宝石商は、正確な判定のためにこの検査を行っています。
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2鋭い道具で金に小さな傷をつける 傷をつけるのは留め金の裏側や指輪の内側など、ジュエリーの目立たない箇所を選びましょう。ジュエリー用の彫刻ツールなどの鋭い道具を使い、金に傷をつけます。表面の層を削り、その下の金または他の金属を露出させましょう。[18]
- 硝酸テストでは、金に傷をつける必要があります。大切な製品や保持しておきたい製品であれば、自分でテストを行うのではなく、宝石商に依頼したほうがよいでしょう。
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3傷に1滴の硝酸を落とす 危険な酸の害を防ぐために、ラテックス手袋を着用し、換気の良い部屋で作業を行いましょう。準備ができたら、「18K gold」と書かれた硝酸のボトルを取り出します。ステンレスの容器に金を入れ、傷をつけた部分に直接硝酸を1滴落とします。そして、その部分が緑色に変色するか確認しましょう。緑色になれば、その製品は偽物です。[19]
- 一般的な金は硝酸には反応しないため、変色する場合はメッキ製品または金の含有率が低い合金です。
- 金メッキが施されたスターリングシルバーであれば、通常乳白色に変色します。硝酸が金色になった場合は、それは真鍮に金メッキ加工をした製品です。
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4金を試金石に擦りつけて純度を判定する 本物の金である可能性が高い場合は、金を試金石に擦りつけて跡をつけます。そして、12K、14K、18K、そして22Kの硝酸を異なる箇所にかけ、20~40秒後に結果を確認します。硝酸に溶けなかった部分を調べ、何金であるかを判定します。[20]
- 数値が大きいほど酸が強くなり、22Kの硝酸は12Kより強力です。18Kの硝酸で金が溶けたけれど、14Kでは溶けなかった場合、その金は14Kに近いということが分ります。
専門家情報International Gemological Institute代表、宝石鑑定士Jerry Ehrenwald
International Gemological Institute代表、宝石鑑定士正確な判定を得るには、信頼できる専門家に依頼するとよいでしょう。
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ポイント
- 大抵の判定テストは完全ではないため、正確な鑑定をするにはいくつかのテストを併せて行う必要があるかもしれません。
- 金を噛んで歯形がついたら本物である、といった方法を耳にしたことがあるかもしれません。ほとんどの金製品にはより硬い金属が混合されているため、歯を傷つけないためにもこのテストは避けたほうがよいでしょう。
- 宝石商が24金であると判定した場合、その金は99.9%の純度で、他の金属がごくわずかに混合しているということです。22金であれば、金が91.7%で混合物が8.3%の合金です。[21]
- 純度が24金以下の金は、混合物の種類によって硬さと色が異なります。金そのものは柔らかいため、銀や銅などの金属を混合することで耐久性が向上します。
- ホワイトゴールド、イエローゴールド、レッドゴールド、ローズゴールドのジュエリーは、すべて他の金属との合金です。
- 金の真偽を確かめる助けが必要な場合は、信頼できる宝石商または鑑定士に依頼しましょう。
注意事項
- 硝酸は強力な酸化剤であり、貴重な金製品を傷つけるとともに、皮膚に触れると薬傷が生じます。硝酸の取り扱いに不安がある場合は、酸性の弱い酢を使うか、宝石商や鑑定士などの専門家に硝酸テストを依頼しましょう。
必要なもの
家庭にあるもので検査をする
- 金
- 容器
- 水
- 酢
- スポイト
- ネオジム磁石
- 素焼きの陶器皿またはタイル
製造元の刻印を調べる
- 金
- 拡大鏡
比重を調べる
- 金
- はかり
- メスシリンダーまたは計量カップ
- 電卓
硝酸テストを行う
- 金
- 金の検査キット
- 硝酸
- ステンレスの容器
- 試金石
- ラテックス手袋
出典
- ↑ https://www.dumblittleman.com/how-to-tell-if-its-real-gold/
- ↑ https://learnaboutgold.com/blog/how-to-tell-if-gold-is-real/
- ↑ https://sciencing.com/causes-gold-discoloration-6158003.html
- ↑ https://sciencing.com/causes-gold-discoloration-6158003.html
- ↑ https://terpconnect.umd.edu/~wbreslyn/magnets/is-gold-magnetic.html
- ↑ https://sciencing.com/tell-fools-gold-real-gold-4735330.html
- ↑ https://www.gold.org/about-gold/about-gold-jewellery/gold-hallmarks
- ↑ https://bis.gov.in/?page_id=247
- ↑ https://theassayoffice.com/anatomy-of-a-hallmark
- ↑ https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/568906/hallmarking-guidance-notes-october-2016.pdf
- ↑ https://sciencing.com/much-gold-10-karat-ring-6866358.html
- ↑ https://sciencing.com/tell-pure-using-water-displacement-8109592.html
- ↑ https://sciencing.com/much-gold-10-karat-ring-6866358.html
- ↑ https://sciencing.com/tell-pure-using-water-displacement-8109592.html
- ↑ https://www.encyclopedia.com/articles/how-to-test-for-real-gold/
- ↑ https://www.encyclopedia.com/articles/how-to-test-for-real-gold/
- ↑ https://www.youtube.com/watch?v=WC5NK4cB-Nc&feature=youtu.be&t=23
- ↑ https://www.youtube.com/watch?v=INrJuXPzaH4&feature=youtu.be&t=193
- ↑ https://www.youtube.com/watch?v=ThLxTG7Wg24&feature=youtu.be&t=225
- ↑ https://thesciencegeek.org/2014/05/12/the-acid-test/
- ↑ https://www.scientificamerican.com/article/is-24k-gold-pure/