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犬が感染する寄生虫には様々な種類がありますが、回虫、犬条虫(サナダムシ)、フィラリア(犬糸状虫)、鉤虫、鞭虫には特に注意が必要です。寄生虫の種類によってライフサイクルに多少の違いはありますが、感染症の症状は種類に関わらず似通っています。そのため、症状だけでは寄生虫の種類を識別することは難しく、検査が必要な場合があります。[1] しかし、寄生虫感染の一般的な症状や感染リスク、それぞれの寄生虫の特徴を理解することで、愛犬の寄生虫感染症の治療と予防に役立てることができます。

パート 1
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寄生虫の感染を見極める

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    それぞれの寄生虫の感染リスクを知る 種類は違っても姿が似ている寄生虫がいるため、寄生虫が生息する環境や状況を知ることで、犬に寄生している種類を判別することができます。[2]
    • 回虫はしばしば、母犬から子犬へと感染します。回虫の卵や幼虫が胎盤を経由して胎内の子犬に感染し、また卵を含む母乳を介して感染します。そのため、子犬の世話の一環として駆虫することが重要です。
    • 犬条虫は、条虫が寄生している生物や、条虫の卵を持つノミを犬が口にすることで感染します。そのため、狩猟犬やノミに寄生されている犬は、感染のリスクがあります。
    • 鉤虫と鞭虫は湿った土中に生息し、草地で過ごすことが多い犬が感染しやすい寄生虫です。特に高温多湿の環境でリスクが高まります。共有の草地の遊び場があるシェルターやペットホテルなどの預かり所で、感染の危険性が高まります。
    • フィラリアは蚊などの昆虫を媒介として感染するため、昆虫が多い地域に特に発生しやすい感染症です。日本ではどの地域でも発症のリスクがあります。
    • 肺吸虫症は日本ではあまり感染例はありませんが、キツネの糞、ナメクジ、カタツムリを媒介として感染します。これらの物に接触すると、感染する場合があります。
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    感染症の症状を観察する 寄生虫感染の症状は似たものが多く、特定の寄生虫に限った症状はありません。そのため、症状だけで寄生虫の種類を判別することは困難です。しかし、寄生虫の予防をしていない犬に感染の兆候が見られたら、寄生虫感染を疑い、種類を突き止める必要があります。
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    糞の寄生虫の有無を調べる 飼い犬に寄生虫感染の症状が見られなくても、糞の中に寄生虫を確認できる場合があります。種類が不確かな場合は、寄生虫を採取してスクリュー式の蓋が付いた容器に入れ、動物病院に識別を依頼しましょう。
    • 大抵の寄生虫は肉眼では同じように見えるため、特徴を説明するよりもサンプルの採取をすることで、獣医師が種類を容易に特定できます。
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    胃腸の状態を確認する 寄生虫によってライフサイクルは異なりますが、すべての寄生虫はある時点で消化器官を通過します。寄生虫の数が少なければ、感染の症状が現れないこともあります。しかし、多数の寄生虫が腸に生息していると、腸壁を刺激し、吐き気、下痢(しばしば粘膜や血液も見られる)、食欲不振、体重減少などの症状が見られます。[3]
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    糞のサンプルを採取する 寄生虫は腸管に住み着くか、腸管を通過するため、ライフサイクルのある時点で犬の糞に紛れて外に出ます。多数寄生では、実際に糞に寄生虫が見られることがありますが、少数の場合はあまり一般的ではありません。卵や幼虫が糞に含まれている場合もありますが、肉眼で確認することは困難です。[4]
    • アイスキャンディーの棒や使い捨てのスプーンを使って糞のサンプルを採取し、スクリュー式の蓋が付いた清潔な容器に入れます。適切な容器を持ち合わせていなければ、動物病院で専用の容器を貰える場合もあります。
    • サンプルを30度以下の場所で保管し、動物病院に検査を依頼しましょう。寄生虫の有無を調べるには、特に新鮮なサンプルでなくても構いません。
    • 獣医師がプール検体を必要とする場合は、日に1度、3日間続けて糞のサンプルを採取し、同じ容器に入れます。このサンプルは、検査結果が「偽陰性」の際に必要になる場合があります。プール検体で検査することにより、検査結果の信頼性が高まります。
    • 獣医師は糞のサンプルを顕微鏡で調べ、卵や幼虫の有無を検査するかもしれません。また、外部の検査機関にサンプルを送り、検査を依頼する場合もあります。
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    獣医師に血液検査を依頼する 肺吸虫やフィラリアなどの深刻な病気を引き起こす寄生虫は、血液検査で特定されます。獣医師は犬から少量(1~2 ml)の血液サンプルを採取します。[5]
    • 検査には様々な種類がありますが、ELISA(エライザ、イライザ)法が最も一般的です。この検査では、フィラリアに対する抗体の存在を調べ、陽性の場合は試薬の色が変化します。
    • フィラリアのリスクが高い地域では、大抵の獣医師は犬の健康診断の一環として、年に1度のフィラリア検査を行い、予防薬を処方しています。
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    糞や寄生虫を避ける 回虫などの何種類かの寄生虫は、犬から人間に感染します。回虫に感染した子供は、視力に支障をきたす場合があります。
    • 子供の遊び場から、寄生虫や寄生虫を含む糞を除去する必要があります。
    • 寄生虫を含む糞の扱いには、手袋を着用しましょう。
    • 動物の糞を扱った後は、必ず石鹸と水で手を十分に洗いましょう。

パート 2
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寄生虫の種類を見分ける

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    飼い犬に当てはまる症状とリスク要因を記録する 飼い犬の感染リスク要因から寄生虫の種類を特定できる場合もあります。犬の生活環境、気候、習慣などを書き留めておきましょう。また、病気の症状の程度や持続期間も記録し、寄生虫感染が疑われる場合は、獣医師にその情報を提供します。
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    寄生虫の特徴を見極める 犬の糞や吐瀉物に寄生虫や寄生虫の一部が確認できる場合は、種類を特定できるかもしれません。姿が似ている寄生虫はたくさんいますが、それぞれの種類に特徴があり、判別の参考になります。[6]
    • 回虫は茹でたスパゲティーのような姿をしています。平均体長は8~10 cmですが、18 cmほどに成長する場合もあります。成虫は円柱状で、滑らかな外皮を持っています。
    • 犬条虫は片節が連なる平たい姿が特徴的です。体長は種類によって異なり、平均で50~250 cmほどです。糞や吐瀉物に犬条虫を発見した場合、それは条虫全体ではなく、片節の一部と考えられます。
    • 鉤虫と鞭虫は、回虫や犬条虫に比べかなり小さめです。体長は通常0.5~2 cmで、毛髪のような非常に細い体をしています。小さいため発見しにくく、顕微鏡での検査が必要な場合があります。
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    呼吸や心臓の状態を観察する 肺吸虫やフィラリアは血管および、心臓または肺に寄生します。そのため、咳、荒い呼吸、活力不足などの症状が見られ、失神したり命に関わる場合もあります。[7]
    • 肺吸虫やフィラリアは血液の凝固を妨げることがあり、軽傷でも出血が止まらず危険な状態に陥る場合もあります。
    • このような症状があれば、直ちに獣医師の診察を受ける必要があります。高額な治療費がかかる場合もありますが、迅速な治療により良好な治療結果が期待できます。
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    卵胞をチェックする 犬の肛門付近の被毛に卵胞が付着していたら、犬条虫が寄生している確かなサインです。条虫の成虫が腸管腔に産卵し、卵が肛門から排出されるためです。これにより、肛門の周りに痒みが生じる場合もあります。[8]
    • ゴマや米粒に似た卵胞は、肛門付近の被毛に付着します。
    • 注意深く観察すると、クリーム色の小さな種のような卵が、うごめいているのが見える場合があります。
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    犬の体型をチェックする 寄生虫の中でも特に犬条虫は、犬の餌を栄養源とするため、犬は栄養を十分に摂取することができません。犬条虫に感染した犬は、骨の周りの脂肪が少ない割に、腸内の多数の寄生虫により腹部が膨張しています。寄生虫に感染した子犬の典型的な体型は、骨ばって肋骨が露出し、太鼓腹で毛艶がありません。
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    寄生虫や卵のサンプルを動物病院に持ち込む 寄生虫の種類を特定するには、獣医師に検査を依頼するのが一番確実な方法です。獣医師は寄生虫や卵を顕微鏡で検査し、それぞれの寄生虫の微細な違いを豊かな経験から見極めることができます。[9]
    • 寄生虫の卵には、形が球状か楕円形か、卵栓が卵の片端か両端にあるかなどの僅かな違いしかありません。

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寄生虫の予防と治療

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    寄生虫を確認して直ちに治療する 寄生虫の感染症は放置するほど悪化します。多数の成虫に寄生された場合は重度感染とされ、犬の全般的な健康に悪影響を及ばします。そのため感染が重症化する前に、寄生虫を見つけることが大切です。
    • 犬の寄生虫感染症は、下痢などの胃腸疾患を引き起こす場合があります。
    • 肺吸虫症やフィラリア症などの感染症は、犬の命に関わる場合もあります。
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    フィラリアの予防薬を毎月投与する 蚊が大量に発生する感染リスクの高い地域にお住いの場合は、特にフィラリアの予防薬を毎月投与する必要があります。フィラリアの予防薬には、処方箋が必要です。
    • 大抵の獣医師はフィラリア検査が陰性の場合に限り、予防薬を処方します。
    • フィラリア予防薬の大半は、投与しやすい肉味のチュアブルタイプです。
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    犬のノミ対策をする ノミによって伝播される寄生虫もいるため、定期的にノミの予防をすることで寄生虫も防ぐことができます。
    • 一粒でフィラリアとノミの両方を予防できる、チュアブルタイプの薬もあります。
    • スポットタイプのノミの予防薬も販売されています。この薬は通常、犬の首筋(首の後ろ)に滴下します。
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    感染の危険がある場所への立ち入りを制限する 寄生虫感染のリスクがある環境から犬を遠ざけることで、駆虫の必要がなくなります。
    • 寄生虫の有無が不確かな犬が立ち入る草地に、飼い犬を近づけないようにしましょう。
    • 飼い犬が野生動物や被食動物(ネズミやウサギなど)に接触しないように注意しましょう。
    • 高温多湿の気候では、ノミや蚊などが大量発生するため注意が必要です。
    • 飼い犬が、他の犬や野生動物の糞に体を擦り付けないようにしましょう。
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    必要に応じて駆虫薬を投与する 犬が寄生虫に感染している場合は、駆虫薬を投与する必要があるでしょう。詳しい駆除の方法は犬の状態によって異なるため、獣医師の指示に従いましょう。 [10]
    • 大抵の駆虫薬は粉末で、餌やプレーンヨーグルトなどに混ぜて与えます。人間の食べ物を犬に与える際は、獣医師に問い合わせましょう。
    • 駆虫薬は大抵一度の投与で済みますが、獣医師がフェンベンダゾールを処方する場合は、数日間続けて投与する必要があります。フェンベンダゾールは穏やかな駆虫薬で、しばしば子犬に用いられます。
    • 駆虫薬の使用上の注意を読み、どのような薬でも、与える前に必ず獣医師に相談しましょう。
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    定期的に獣医師の診察を受ける 獣医師による定期検診を受け、犬の全般的な健康を維持しましょう。深刻になる前に問題を発見することで、愛犬の健康被害を防ぐことができます。

ポイント

  • 散歩の際、飼い犬の糞を拾いましょう。
  • ノミの予防は年間を通して行いましょう。
  • 飼い犬が糞の臭いを嗅いだり、糞や土を食べたりするのを止めさせましょう。この行為は子犬によく見られ、寄生虫感染の原因になります。

注意事項

  • 寄生虫感染症を長期間放置すると、命に関わる場合があります。
  • 回虫や鉤虫は犬から人間に感染する場合があるため、犬の糞を適切な方法で慎重に処理する必要があります。自分や家族が寄生虫に接触した恐れがある場合は、医師に問い合わせましょう。
  • フィラリア感染症は、早期発見・治療が行われない場合、犬が心臓発作を起こす恐れがあります。
  • 犬に倦怠感、下痢、嘔吐などの症状がある場合は、直ちに獣医師に問い合わせましょう。

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出典

  1. Prevalence of canine parasites based on fecal flotation. Iagburn, Lindsay, Vaughan et al. Comp Cont Ed Pract Vet 18, 483-509
  2. Diagnostic Parasitology. Conboy. Can. Vet J 37 (3), 181-182
  3. Veterinary Parasitology. Taylor, Coop, and Wall. Publisher: Wiley-Blackwell
  4. Prevalence of canine parasites based on fecal flotation. Iagburn, Lindsay, Vaughan et al. Comp Cont Ed Pract Vet 18, 483-509
  5. Veterinary Parasitology. Taylor, Coop, and Wall. Publisher: Wiley-Blackwell
  6. Veterinary Parasitology. Taylor, Coop, and Wall. Publisher: Wiley-Blackwell
  7. Veterinary Parasitology. Taylor, Coop, and Wall. Publisher: Wiley-Blackwell
  8. Diagnostic Parasitology. Conboy. Can. Vet J 37 (3), 181-182
  9. Prevalence of canine parasites based on fecal flotation. Iagburn, Lindsay, Vaughan et al. Comp Cont Ed Pract Vet 18, 483-509
  1. Veterinary Parasitology. Taylor, Coop, and Wall. Publisher: Wiley-Blackwell

このwikiHow記事について

Pippa Elliott, MRCVS
共著者 ::
獣医
この記事の共著者 : Pippa Elliott, MRCVS. 獣医であり、Royal College of Veterinary Surgeons(王立獣医師会)のメンバーでもあるエリオット医師は、30年以上にわたり、かかりつけ獣医、そして獣医外科医として獣医療の実践に努めてきました。1987年にグラスゴー大学にて獣医科学と獣医外科学の学位を取得してます。エリオット医師は生まれ故郷の町にある動物診療所に20年以上勤務しています。 この記事は2,223回アクセスされました。
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