犬の避妊手術後のケア方法

共同執筆者 Brian Bourquin, DVM

雌犬に避妊手術を行うことは、社会的な責任を果たすことにもなります。雌犬の子宮を摘出すると、子宮の感染症(子宮蓄膿症)にかかることもなくなります。また、2度目の発情期前に手術をすると、成犬になってからの乳がんの予防に効果があります。とはいえ、動物に手術を受けさせるのは心配なものです。手術後に適切なケアをすることで、術後合併症のリスクを減らし、回復中の生活を快適なものにすることができます。

パート 1 の 6:
手術後の迎え

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    飼い犬の移動手段の準備をする 犬が自分で立って歩けるようになるまで、家に戻ることはできません。しかし、歩けるようになっても、歩いて帰宅するのは禁物です。小型犬であれば抱きかかえたりできますが、大型犬の場合は車などの移動手段の準備をしましょう。
    • 犬が麻酔で朦朧としていたり自分で歩けない場合は、動物病院で一晩過ごす必要があるかもしれません。
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    友人に病院への同行を頼む 飼い犬を動物病院に迎えに行く際、友人にも一緒に来てもらいましょう。飼い犬に会うのが待ち遠しくて、獣医師の指示も上の空になってしまうことがあります。冷静さを失って指示を聞き逃してしまっても、友人が一緒に聞いてくれると安心です。
    • また、友人にドアを押さえてもらったり、犬の車の乗り降りの手助けをしてもらうことができます。
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    動物病院で獣医師に尋ねる質問事項を書き出す 大抵の動物病院では、詳細な術後の指示を口頭や文書で与えてくれます。それでも、術後の世話についての質問を、病院に行く前に書き出しておくとよいでしょう。
    • 質問を書き出し、ひとつずつ獣医師に確認すると、飼い犬の世話をする心の準備ができるでしょう。
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パート 2 の 6:
手術直後の世話

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    静かで落ち着いた環境づくりをする 飼い犬の帰宅後、安静にして回復に専念するための、静かで落ち着いた環境が必要です。大勢の人がいると犬はリラックスできないため、大きなディナーパーティがある日に手術の予定を入れてはいけません。
    • 犬のお見舞いは断りましょう。犬は見舞客が来ると喜びますが、人がいると起き上がったり歩き回ったりしてしまうでしょう。この時期は安静が必要です。
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    手術後24時間は家にいてようすを見る 手術後数日は家にいる必要があると思う飼い主もいますが、そうとは限りません。それでも、術後24時間は家にいて、犬が餌を食べる、意識がはっきりとしている、排泄をする、痛みがないことを確かめるのが賢明です。[1]
    • 手術後24時間以内に心配なことがあれば、必ず医師に相談しましょう。
    • 出かける必要がある時は、信頼できるペットシッターを雇うことを検討しましょう。その際、この記事の情報を共有しましょう。
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    手術後は軽い食事を与える 夕方麻酔が切れてきたら、餌を与えることができます。しかし、普段の量ではなく、軽い餌を与えましょう。麻酔で吐き気を催す犬もいるため、普段の量では嘔吐してしまうかもしれません。
    • 少量の調理した鶏むね肉、ウサギ、タラ、ターキーと少量の白米またはパスタを与えてもよいでしょう。
    • ヒルズ i/d やピュリナ プロプラン ベテリナリーダイエットなど、吐き気がある時の療法食を与える手もあります。
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    手術の翌日に普段の餌に戻す 手術の翌日には、普段の餌に戻して構いません。手術後の犬は、2~3日排便をしない場合があります。
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    手術後数日は、犬を4時間以上独りにしない 手術後3~4日は、一度に4時間程度であれば独りにしても構いません。この間に飼い犬は睡眠と休息をとることができ、この程度の時間であれば、問題が起こってもすぐに気付くことができます。
    • 犬に痛みがある時の見分け方について、パート6を参照しましょう。
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    手術後4~5日に肩の力を抜く この時点まで深刻な合併症がなければ、犬を独りで家においても問題ありません。手術の10~14日後に抜糸をするまで、これから先は回復するのを待つだけです。
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パート 3 の 6:
犬が傷を舐めるのを防ぐ

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    絆創膏を24時間貼っておく 傷口にプリマポアなどのパッド付絆創膏が貼られている場合があります。その場合は、傷口を細菌感染から守る膜ができるまで、絆創膏を24時間貼ったままにしておきます。
    • 剥がす際に皮膚を刺激することがあるため、絆創膏を使わない動物病院もあります。
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    犬にエリザベスカラーをつけ、傷口を舐めるのを防ぐ 細菌感染のリスクが高まったり、傷口が開いたりすることがあるため、自分で、あるいは他の動物が傷口を舐めらないよう注意しましょう。これにはエリザベスカラーが効果的で、さまざまな種類から選ぶことができます。エリザベスカラーは、ランプシェードや底のないバケツなどと言い表されることもあります。ほとんどの場合、透明なプラスチック製です。
    • 飼い犬に会うサイズのカラーを選びましょう。幅が狭い方を首輪につけ、犬の首の周りに装着します。幅が広い方は、口が傷口に届かないように、鼻より5~8cmほど大きいものが理想的です。
    • 空気で膨らませるタイプのカラーを使い、犬が頭を回さないようにすることもできます。このカラーは浮き輪のような形をしており、犬の首の周りにフィットします。
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    他の犬を飼っている場合は、古いTシャツを着せる 複数の犬を飼っている場合は、回復中の傷口を舐めてしまうかもしれません。この対策として、傷口まですっぽり隠れる大きめのTシャツを着せましょう。Tシャツは10~14日間着せておきます。通気性のあるコットンのTシャツが適しています。[2]
    • Tシャツを頭から被せて引っ張り、それぞれの袖に前足を通します。傷口が隠れるようにTシャツを引っ張り、犬が歩き回れるように裾を縛ります。Tシャツに十分な長さがあれば、裾に穴をふたつ開けて後足を通すこともできます。
    • Tシャツが汚れたら、きれいなものに取り替えましょう。
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パート 4 の 6:
傷の手当て

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    毎日朝と夜に傷口をチェックする 傷口は触らずに確認します。回復中の傷は、液体が滲み出すことなく乾いています。治癒過程として傷口が多少腫れる場合がありますが、それによって傷が押されて塞がります。
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    感染症の兆候を探す 傷口の熱、腫れ、分泌物を注意深く観察しましょう。傷口に出血や膿が見られたら、直ちに獣医師に連絡しましょう。大抵の場合、これは大量の内出血ではなく、細い血管からの出血が皮膚の下にある脂肪層に漏れ出していると考えられますが、獣医師に連絡して深刻な事態ではないことを確認しましょう。[3]
    • 同様に、通常膿は腹部の感染症ではなく、皮膚表面または表皮直下の感染のサインです。とはいえ、傷の治癒が遅れないように、抗生物質を服用して感染症を治療する必要があるかもしれません。
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    傷口は汚れた時のみ洗浄する 獣医師の指示がない限り、傷口に触れてはいけません。しかし、外出時に犬の腹部に泥が付いたら、傷口の汚れをやさしく洗い流すのは問題ありません。以下の要領で洗浄しましょう。
    • 沸騰させた500mlのお湯に塩小さじ1杯を混ぜて食塩水を作り、触っても安全な温度まで冷まします。綿球を食塩水に浸して傷口をやさしく押さえ、泥や汚れを取り除きます。
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    犬のベッドを清潔に保つ 傷口が露出し空気にさらされている場合は、傷口が汚れないようにベッドを清潔で乾燥した状態に保ちましょう。
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パート 5 の 6:
安静にできる手助けをする

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    安静の重要性を知る 手術後に安静が必要なのは、傷口が引っ張られたり、血圧が上がったり、縫合糸がとれたりするのを防ぐためです。ただ安静にすることに専念し、ベッドで十分に休み、階段の昇り降り、ジャンプ、散歩などを避けるのが理想的です。
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    飼い犬に無理をさせてはいけません。走ったり、フリスビーをしたり、何かをキャッチするのは禁物です。また、階段の駆け上り・駆け下り、家具の飛び乗り・飛び降りも厳禁です。飼い犬の回復期間はベビーゲートを借り、階段をブロックすることも検討しましょう。
    • 普段一緒に寝ている大型犬であれば、寝室までの階段を上がるのも禁物です。飼い犬の体調が心配であれば、階下の犬の側のソファで休みましょう。
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    排泄時はリードをつける 排泄のために庭に連れ出す際、首輪とリードをつけ、自由に歩き回らないようにします。リードをつけて動きを制限し、犬が何かを追いかけて怪我をするのを防ぎましょう。
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    車の乗り降りを手伝う 車の飛び乗り・飛び降りをさせてはいけません。必要であれば、動物病院への通院などの外出時、大型犬の車の乗り降りを友人に手伝ってもらいましょう。
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    散歩を再開する際はリードをつける 家の中に長期間いることで、飼い犬のエネルギーが有り余ってドアの側で飛び跳ねたりする場合は、短い散歩は問題ないかを獣医師に尋ねましょう。散歩中は必ずリードをつけましょう。
    • 手術から3~4後に散歩の再開を検討しましょう。まずは平らな道を5分程度散歩させます。
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    激しい遊びは控える 家に他の犬がいて、回復中の犬と激しい遊びをしそうな場合は、飛びついたりしないように常に監視しましょう。綱引きなどの動きの激しい遊びをさせてはいけません。
    • 他の犬をコントロールする自信がない場合は、傷口の抜糸が済むまで友人に他の犬を預かってもらってもよいでしょう。
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    特に活発な犬の場合は獣医師に相談する 飼い犬が活発で普段からおとなしくさせることが困難な場合は、獣医師に伝えましょう。飼い犬を落ち着かせるために、獣医師は弱い鎮静剤の服用を勧めるかもしれません。
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パート 6 の 6:
痛みを緩和させる

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    獣医師が処方した鎮痛剤を与える 大きな手術後は、犬に痛みがないかを確認することが重要です。大抵の動物病院では、手術日には複合鎮痛剤(オピオイドおよび非ステロイド)を用い、帰宅時に家で服用する経口鎮痛剤が渡されます。
    • 犬は他の動物より痛みに敏感で、より強く痛みを感じます。鎮痛剤が必要な日数は平均で4~5日ですが、期間は犬によって異なります。
    • 獣医師に相談せずに、処方されてない鎮静剤を使用してはいけません。
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    痛みのサインを見極める 痛みに対する反応は犬によって異なり、鳴き声をあげる犬もいれば、痛みを隠して元気がなくなる犬もいます。一般的な傷みのサインは以下の通りです。[4]
    • 落ち着きがない:歩き回る、じっとしていられない、立ったり座ったりを繰り返すなどが不快感のサインです。
    • 声を出す:鼻を鳴らしたり鳴き声をあげたりする。このような仕草は、痛みはなくても注意を引こうとしている際に見られます。飼い犬が鳴いている時は構いすぎないようにしましょう。鳴いても構ってもらえないことを知りつつさらに鳴き続ける場合は、痛みがあるのかもしれません。
    • 姿勢:犬は痛みがある時、耳を倒す、悲しげな目をする、頭を垂れるなどの「哀れ」な表情をすることがあります。猫背になったり、いつもの姿勢で横になることができない場合もあります。
    • 行動:痛みがあると、いつもとは違う行動をする犬もいます。例えば、噛みつく素振りを見せたり、攻撃的になったりします。または、痛みを隠そうとして元気がなくなる場合もあります。
    • 飲食をしない:どのような時でも食欲がある犬(特にラブラドール)はいますが 、不快感がある時には餌を食べない犬もいます。
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    深刻な痛みが疑われる場合は獣医師に連絡する 鎮痛剤の効果がないようであれば、獣医師に連絡しましょう。NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)と併用して痛みを緩和させる、トラマドールなどの鎮痛剤があります。
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    深刻な症状に気付いたら獣医師に連絡する 大抵の獣医師は、手術後3~10日後に経過観察を行います。それでも、その前に心配事があれば、獣医師に相談しましょう。以下のようなサインを観察しましょう。
    • 手術後48時間経っても飲食をしない:この時点までに通常食欲は戻るはずです。餌を食べないのは、痛みのせいかもしれません。先延ばしせずに直ちに獣医師に連絡しましょう。
    • 傷口からの分泌物が見られる:治癒中の傷は通常乾いています。分泌物(特に血液や膿)が見られたら、獣医師に相談しましょう。
    • 吐き気または下痢の症状がある:麻酔薬に敏感に反応し、胃の調子を崩す動物もいます。しかし、手術後に吐き気がある場合は、動物病院に連れて行きましょう。
    • 元気がない、無気力である、または腹部が腫れている:飼い犬に元気がなく、気力の回復が見られない、または体型が変わり腹部が腫れているように見える場合は、直ちに獣医師に連絡しましょう。
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ポイント

  • 飼い犬が活発であったり、安静にしない場合は、体壁が伸びて縫合糸が引っ張られることがあります。こうなると、炎症が起こりやすくなり、炎症に反応して炎症細胞が患部に集まり、「縫合糸反応」が起こります。

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出典

  1. BSAVA Textbook of Veterinary Nursing. Cooper, Mullineaux, and Turner. BSAVA Publications.
  2. BSAVA Textbook of Veterinary Nursing. Cooper, Mullineaux, and Turner. BSAVA Publications.
  3. BSAVA Textbook of Veterinary Nursing. Cooper, Mullineaux, and Turner. BSAVA Publications.
  4. BSAVA Textbook of Veterinary Nursing. Cooper, Mullineaux, and Turner. BSAVA Publications.

このwikiHow記事について

獣医師、Boston Veterinary Clinic経営者
この記事はBrian Bourquin, DVMが共著しています。 ペットの飼い主たちから「ドクターB」の名で親しまれているブライアン・ボークウィン獣医師は、コーネル大学にて獣医科学の博士号を取得後、19年以上にわたり獣医療に従事してきました。現在、マサチューセッツ州のボストンにある「ボストン動物クリニック」を経営しています。同クリニックではサウスエンド・ベイビレッジとブルックリンの両市にて獣医療(健康管理・予防治療、救急治療、軟部組織外科手術、歯科医療)を実践しているほか、躾や栄養管理、またレーザー治療や針治療などの代替医療を用いた疼痛管理のサービスを行っています。また、同クリニックはボストン唯一の認定恐怖軽減動物病院でもあり、全米動物病院協会(AAHA)より認定病院の資格を与えられています。
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