甲状腺機能低下症の人の減量方法

共同執筆者 Chris M. Matsko, MD

健康な人にとって体重管理はなかなか難しいものですが、甲状腺の疾患がある人にとっては増加した体重の減量はさらに大変なことです。甲状腺機能低下症は体内の化学反応のバランスを崩す疾病で[1]、その主な症状は代謝の低下と体重増加です。[2]きちんと診断を受けることと、自分専用の治療(食事療法、運動、場合によっては投薬)を実行することで、甲状腺機能低下症があっても減量は可能です。

パート 1 の 3:
甲状腺機能低下症と体重増加について知る

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    症状を把握する 体重増加から皮膚の乾燥まで、甲状腺機能低下症には幅広い症状が見られます。突然現れる症状もありますが、体重増加のように徐々に悪化するものもあります。 [3]
    • 甲状腺機能低下症の症状には、予期せぬ体重増加、疲労、寒さに対する過敏性、便秘、皮膚の乾燥、顔のむくみ、筋肉痛、関節の腫れ、薄毛、心拍数の低下、抑うつ、月経不順、月経困難などがあります。[4]
    • 症状は人によって異なりますが、乳幼児、子供から大人まで見られる疾病です。[5]
    • 甲状腺機能低下症は、女性と50歳以上の人に多く見られる病気です。[6]
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    医師の診察を受ける 自分が甲状腺機能低下症で、それが原因で体重が増加しているということを確認するには、医師の診断を受けるしかありません。主治医が診断を下し、個人に合った治療計画を立てます。
    • 医師の診断を受けず、甲状腺機能低下症を放置すると、次第に症状が悪化します。[7]
    • 甲状腺疾患の診断には、甲状腺刺激ホルモンの検査が行われます。[8]
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    甲状腺機能低下症と体重増加の関連性を学ぶ 体重増加の原因は複雑で、必ずしも甲状腺機能低下症によるものとは限りません。[9]この病気と体重増加の基本的な関連性を知っていると、食事療法や運動計画、場合によっては投薬を完遂するのに非常に役立つでしょう。
    • 甲状腺機能低下症による体重増加の主な原因は、体内の過剰なナトリウムと水分です。しかし、食生活や運動習慣も体重増加の原因になります。[10]余分なナトリウムと水分を取り除き、食事と運動に気をつけることで体重を減らします。
    • 甲状腺機能低下症では劇的な体重の変化は見られません。多くの場合、2~5キロ程度の増加にとどまります。それ以上の増加がみられる場合は、おそらく食生活と運動不足が原因であろうと考えられます。[11]
    • 体重増加以外に甲状腺機能低下症の症状が見られない場合、体重増加の原因は他にある可能性が高いでしょう。[12]
    • インスリン抵抗性(体細胞がインスリンに反応しなくなる個人の特性)が体重増加の原因であるため、甲状腺機能低下症の人の減量は不可能であるとする医師もいます。[13]
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パート 2 の 3:
食事と運動で減量する

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    医師に相談する 甲状腺疾患のある人の減量は、運動と食事がポイントです。そのため、薬が不要な場合もあります。主治医が個人の症状をよく診察し、各自に合った減量方法を決めてくれます。食事・運動療法を始める前に、自分に最適な減量方法を医師に相談しましょう。
    • また、自分の体重の変化を記録すると良いでしょう。記録することで、自分の食事内容や、それがどのような影響をもたらしたかを意識できるようになります。
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    あまり期待をし過ぎない 治療に関して医師に相談したら、自分の減量計画を実行に移しましょう。ただし、すぐに痩せられるなどと期待しすぎないことが大切です。
    • すぐに体重が落ちることを期待してはいけません。多くの場合、診断後であっても、減量には大変な努力が必要です。[14]少しずつ減量し、その後それを長期間維持することが最善の減量法です。
    • 中には、まったく減量できない人もいます。[15]なかなか体重が減らない場合は、食生活を改善し、運動治療を始めると減少が望めるでしょう。
    • 1日の摂取カロリーを1800~2000kcalに抑えましょう。1日に1200kcalを下回ってはいけません。1週間で摂取カロリーを3500kcal減らすと、450g程度の減量につながります。そのため、1日あたり500kcalを減らすと良いでしょう。 [16]
  3. 3
    健康的な食事を定期的にとる 身体に良く、バランスの取れた食事を規則正しくとると、甲状腺疾患による体重増加だけでなく、不健康な食生活と運動不足による増加分も減らすことができます。[17]例えば、適当な脂肪分、複合糖質、低塩分を含む食品は、甲状腺疾患にも全般的な健康にも良い食品です。
    • 栄養分の豊富な食品を1日に約1200kcal摂取することを目標にしましょう。甲状腺関連ではない増加分も減量できます。[18]
    • 鶏肉、脂肪分の少ないひき肉、枝豆などの脂肪分の少ないタンパク質を頻繁に食べましょう。代謝をわずかに活性化し、カロリー消費を促します。[19]また、体重増加のもととなる余分な脂肪も燃焼させます。
    • でんぷん質のパンなどのかわりに、全粒小麦、オートミール、キヌアなどの全粒穀物を食べましょう。[20]
    • 単糖は避けましょう。インスリン値に悪い影響を及ぼします。
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    不健康な食品は避ける 減量したければ、ジャンクフードなど塩分の多すぎる不健康な食品は避けるのが賢明です。[21]ポテトチップス、スナック菓子、ピザ、ハンバーガー、ケーキ、アイスクリームなどは過剰な水分とナトリウムを減らす働きが全くない、減量の敵です。
    • パン、クラッカー、パスタ、米、シリアル、焼き菓子などのでんぷん質の精製炭水化物は避けましょう。こういった食品を避けると減量に効果があります。[22]
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    塩分を減らす 甲状腺機能低下症による体重増加は、多くの場合過剰な水分とナトリウムが原因です。そのため、塩分を極力減らした食生活をしましょう。塩分が多すぎると水を飲みたくなり、体重が増加します。[23]
    • 1日に500mg以上のナトリウムを摂取してはいけません。[24]
    • ナトリウムを多く含む食品は避けましょう。[25]例えば、加工食品や調理済み食品には塩分が多く含まれます。 [26]
    • 体内の過剰なナトリウムを減らすには、バナナ、アプリコット、オレンジ、サツマイモ、ビーツなどのカリウムを多く含む食品を食べるという方法があります。[27]
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    水をたくさん飲む 過剰な水分によって増加した体重を減らすには、水分を十分に摂ることが最善の方法です。1日を通して充分に水を飲むと、必要な水分量を補えるため、身体が過剰に水分を溜め込んで体重が増えることがなくなります。
    • 糖分の多い飲み物、特に炭酸飲料や加工済みの果物果汁などは避けましょう。[28]
    • 毎日、水240mlを8回、合計で2リットル弱の水を飲みましょう。しかし、米国医学研究所はさらに多く、男性は1日に約4リットル、女性は約3リットルの水を飲むことを推奨しています。[29]
  7. 7
    サプリメントで栄養を摂る 血液検査で甲状腺の生産が「正常」の範囲内の人は、機能低下症の症状があっても、服薬の必要はありません。こういった場合は、食生活の改善と運動に加えて、セレニウムなどの栄養素のサプリメントを摂ると減量の一助となる場合もあります。[30]
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    規則正しく排便をする 規則正しいお通じによって、余分なナトリウムや水分を身体から排出します。 [31]ナトリウムや水分、それ以外の老廃物を取り除くと、減量にも全般的な健康維持にも効果的です。
    • ナトリウムと水分を排出するため、規則正しく排便をするには、食物繊維が必要です。1日に水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をあわせて35~40㎎摂ることを目標にしましょう。[32]
    • 水溶性食物繊維はオーツ、豆類、リンゴ、洋梨、亜麻などに含まれます。不溶性食物繊維は全粒粉や玄米などに含まれます。また、ブロッコリー、ズッキーニ、ニンジン、ケールなどの野菜にも不溶性食物繊維が含まれています。[33]
    • 定期的な運動も腸の活動を促進するため、規則正しい排便につながります。[34]
  9. 9
    運動をする 有酸素運動は、減量と全般的な健康に効果的です。始める前に、主治医に有酸素運動の計画について相談しましょう。
    • 1日1万歩、つまり約5キロ歩きましょう。[35]
    • 万歩計をつけると1日に必要なだけ歩けたかがわかります。
    • 減量と健康増進にはどの有酸素運動も有効です。散歩だけでなく、ランニング、水泳、ボート、自転車なども検討してみましょう。
    • 毎週2時間半、適度な運動をしましょう。ゆっくり自転車をこぐ、カヌーを漕ぐなどの運動は、ランニングや水泳など比較的ハードな運動と較べると、疲労も少なく、適度な運動として行えます。[36]
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    筋力を鍛える 有酸素運動に加えて、筋力トレーニングも減量に効果を発揮します。筋力トレーニングをするとカロリーを燃焼させる筋肉がつき、健康増進にも役立ちます。[37]
    • トレーニングを始める前に、主治医と、できれば資格のあるトレーナーに相談しましょう。個人の能力と必要性に見合ったトレーニングプランを作成してもらえます。
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パート 3 の 3:
投薬、食事、運動で減量する

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    医師に相談する 甲状腺の状態を診断できるのは医師だけです。疾患について心配なことがあれば、医師に相談するとおそらく検査をしてもらえます。必要があれば、最低投与量の甲状腺機能低下症の治療薬が処方されます。[38]
    • 診断結果によっては、投薬は不要かもしれません。[39]
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    処方薬を受け取る 多くの場合、治療薬としてレボチロキシンが処方されます。[40]処方箋をお近くの薬局へ持っていくと、投薬治療を開始できます。
    • 治療薬について質問があれば、医師や薬剤師に聞いてみましょう。
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    規則正しく服用する 毎日同じ時間に薬を服用すれば、飲み忘れを防げます。他の薬やサプリメントを服用する場合は、薬の相互作用を避けるために、先に甲状腺の薬を飲みましょう。
    • 甲状腺の薬は空腹時、他の薬よりも1時間前に服用するのが最適です。[41]
    • マルチビタミン、食物繊維のサプリメント、制酸剤などは、甲状腺の薬を服用してから4時間後に服用しましょう。[42]
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    医師の許可なく服薬を中止しない 自分で症状が良くなったと思っても、医師の診察を受けるまでは規則正しく服薬を続けましょう。多くの場合、甲状腺機能低下症の薬は一生服薬する必要があります。[43]
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    減量効果に期待しすぎない レボチロキシンなどの治療薬を服用していると、若干の体重減少が見られることがあります。[44] この体重減少は大抵余分なナトリウムと水分によるものです。[45]
    • 体重がすぐに落ちることを期待してはいけません。甲状腺機能低下症の診断を受けた後でさえ、多くの場合減量には大変な努力が必要です。[46]場合によっては、甲状腺が原因で増えた分に加えてそれ以上に増量しているかもしれません。上述の食事改善・運動治療法に従えば、それ以外の増量分の減量にも役立ちます。
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    投薬と医師の認可を受けた運動・食事療法を併用する 投薬治療中の人に最も効果的な減量法は投薬と運動・食事療法の併用です。始める前に医師に相談しましょう。
    • 甲状腺機能低下症の薬を服用していない場合、減量には上述の運動・食事の改善を行いましょう。
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  1. http://www.thyroid.org/weight-loss-and-thyroid/
  2. http://www.thyroid.org/weight-loss-and-thyroid/
  3. http://www.thyroid.org/weight-loss-and-thyroid/
  4. https://www.verywell.com/losing-weight-with-hypothyroidism-3231599
  5. http://thechart.blogs.cnn.com/2011/03/11/how-can-i-lose-weight-if-i-have-hypothyroidism/comment-page-6/
  6. http://www.thyroid.org/weight-loss-and-thyroid/
  7. http://www.webmd.com/diet/guide/calories-chart
  8. http://thechart.blogs.cnn.com/2011/03/11/how-can-i-lose-weight-if-i-have-hypothyroidism/comment-page-6/
  9. http://thechart.blogs.cnn.com/2011/03/11/how-can-i-lose-weight-if-i-have-hypothyroidism/comment-page-6/
  10. http://thechart.blogs.cnn.com/2011/03/11/how-can-i-lose-weight-if-i-have-hypothyroidism/comment-page-6/
  11. http://thechart.blogs.cnn.com/2011/03/11/how-can-i-lose-weight-if-i-have-hypothyroidism/comment-page-6/
  12. http://www.totalbeauty.com/content/gallery/10-ways-to-drop-5-pounds/p100942/page2
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  17. http://www.totalbeauty.com/content/gallery/10-ways-to-drop-5-pounds/p100942/page2
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  19. http://www.totalbeauty.com/content/gallery/10-ways-to-drop-5-pounds/p101022/page10
  20. http://www.webmd.com/diet/news/20160426/americans-getting-adequate-water-daily-cdc-finds#1
  21. https://www.womentowomen.com/thyroid-health/hypothyroidism-thyroid-issues-and-weight-gain/
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このwikiHow記事について

家庭医(かかりつけ医)
この記事はChris M. Matsko, MDが共著しています。 クリス・M・マツコ医師はペンシルバニア州ピッツバーグ在住の元内科医です。25年以上にわたって医学研究を続け、コーネル大学最優秀指導者賞を受賞しました。テンプル大学にて栄養科学の学士号を取得後、同大学医学部にて2007年に医学博士号を取得。2016年にha
カテゴリ: 健康
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