痔の出血を止める方法

共同執筆者 Laura Marusinec, MD

人間の体内には、動脈と静脈が複雑な交通網のように張り巡らされています。動脈は体全体に血液を運び、静脈は血液を収集して心臓へ戻す役割を担います。直腸や肛門に血液供給する静脈が、血液で拡張し膨張することがあります。この状態が痔核です。痔核の症状として、痛み、破裂すると出血を伴います。痔核の原因を知り、出血性の痔核を自宅療法で治療しましょう。出血や症状が続く場合は、医療機関を受診すべきタイミングを理解しましょう。

方法 1 の 3:
自宅療法で出血性痔核を治療する

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    入浴もしくは坐浴をする 1日3回15~20分ほど患部をお湯に浸すことで、痔の炎症や痛みを緩和し、静脈を縮小する効果があります。お湯は熱くしすぎないように気をつけましょう。[1]浴槽にお湯を張らなくても、便座の上にお湯を張った容器を置き、座った状態でお尻を浸す坐浴も手軽で効果的です。入浴や坐浴は、炎症、かゆみ、括約筋のけいれんを軽減させるのに役立ちます。[2]
    • 坐浴に約60gの海塩を入れて30分患部を浸してもいいでしょう。塩は抗菌作用に優れており、創傷の治癒や感染症の緩和に有効です。[3]
    • ウィッチヘーゼルの坐浴も効果的です。ウィッチヘーゼルは、痔核の症状を鎮静する治療剤として認知されています。1日最低1回は、15~20分ほどウィッチヘーゼルの坐浴を行うといいでしょう。[4]
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    アイスパックを患部に当てる アイスパックを冷凍庫で完全に凍らせます。アイスパックは痔に直接当てず、清潔なタオルや布で包んでから優しく押し当てましょう。長時間当てると、周辺の皮膚を損傷させる恐れがあるため、数分当てて外します。皮膚が常温に戻ったら再度冷やしましょう。
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    局所用クリームを塗布する[6] 塩酸フェニレフリンが配合された局所用クリームは血管の収縮作用があるため、出血を抑えます。もしくは、鎮痛、鎮痒、抗炎症作用のクリームを塗布して、症状の緩和を図ることもできます。かゆみは出血を引き起こす要因となります。ただし、鎮静クリームには、止血作用はありません。主な成分として、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、アロエ、ウィッチヘーゼル(ハーブ植物エキス)、ビタミンEなどが含まれています。
    • ヒドロコルチゾン酢酸エステル配合のクリームは、通常朝と晩に1回ずつ塗布します。1週間以上の長期連用はしないようにしましょう。[7]過剰の吸収は、視床下部・下垂体ホルモンの機能を不安定にし、皮膚の菲薄化を引き起こす恐れがあります。
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    柔らかいトイレットペーパーを使い、強く擦らない 硬いトイレットペーパーは、肛門の皮膚を強く擦過または刺激してしまいます。モイストティッシュや薬用ウェットティッシュを使用して、痛みや炎症を抑制しましょう。ウィッチヘーゼル、ヒドロコルチゾン、アロエ、ビタミンEを浸透させたコットンで拭いても効果的です。強い力でゴシゴシ拭くと、患部の炎症や出血を悪化させます。軽くたたいて拭き取る程度にしましょう。
    • 患部を擦ると、出血や炎症を悪化させ、敏感な痔核の皮膚に余計な負担をかけるため、感染症の悪化につながります。
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    サプリメントを摂取して、出血を軽減する 止血作用のあるサプリメントは薬局よりも、オンラインやハーブ専門店で見つけやすいでしょう。サプリメントは、医師に相談の上摂取し、ほかの常用薬との相互作用に気をつけます。また、サプリメントは妊娠中や授乳中の女性に対する影響試験を行っていないことが多く、該当する女性は、医師に相談してからサプリメントを摂取しましょう。出血性痔核に効果的なサプリメントや漢方薬は以下があります。
    • 田七人参:中国南部の標高約1200m~1800mの限られた地域で生育するウコギ科の多年草で、中国では古来より、静脈を強化し止血作用がある生薬として用いられています。摂取方法は、説明書に従いましょう。[8]
    • フラボノイド:痔核による出血、痛み、かゆみの症状、および、再発の抑制作用を有することが示されています。また、血管緊張を高める作用があり、毛細血管の漏出を防ぎます。[9]
    • ドベシル酸カルシウム(ドキシウム)錠剤:説明書に記載されている用法・用量に従い、2週間摂取しましょう。毛細血管漏出の低下、血栓の防止、血液粘性の改善の作用を有しており、痔核の要因である組織の腫れを抑制するのに効果を発揮します。[10]
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    痔核への負担を減らす 痔核の予防もしくは負担軽減に、次のことを心がけましょう。食物繊維を多く摂取し、便を柔らかくして、便秘を解消させます。果物、野菜、全粒穀物、もしくは、サプリメントを摂取して、食物繊維の目標量を満たしましょう(成人女性1日18g以上、成人男性1日20g以上)。また、十分な水分補給を行い、規則正しい排便習慣を身につけ、排便時にいきまないよう気をつけることも重要です。長時間座り続けることは痔の静脈に強い負荷をかけ、出血を引き起こす要因となります。適度な運動やウォーキングを行い、負担を軽減させましょう。[11]
    • ドーナツ・クッションを活用して、患部にかかる圧力を緩和させましょう。肛門がクッションのくぼみに来るように、クッションの中央に座ります。ただし、ドーナツ・クッションは肛門に余計な圧力をかけることもあるため、症状が悪化したり、出血が生じたり、続く場合は使用をやめましょう。[12]
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方法 2 の 3:
治療を受ける

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    内痔核もしくは外痔核の痔核切除術を受ける この手術療法は一般的に、大きい痔核や、ほかの医療措置に反応しない場合の外痔核に対して用いられます。外科用ハサミ、メス、リガシュア(電流を流し出血性痔核をシールする医療用機器)など多様な器具を使って痔核を切除します。手術は、局所麻酔薬と鎮痛剤の併用、脊椎麻酔薬、全身麻酔薬のいずれかを用いて鎮静状態の下で行われます。[13][14]
    • 痔核切除術は、重度の痔核や再発性の痔核に対して、最も有効性の高い根治療法です。手術後は痛みを伴いますが、処方薬、坐浴、軟膏などで、術後の不快症状を緩和させます。
    • 痔核切除術と比べて、自動縫合器を用いた切除法は痔核の再発や脱肛(肛門から直腸の一部が飛び出す症状)のリスクが大幅に増加します。[15]
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    内痔核の治療に、ゴム輪結紮術を行う 肛門内視鏡(肛門に挿入して直腸内を観察するプラスチック製の機器)を介してプローブを挿入し、痔核の根元に輪ゴムを取り付けます。輪ゴムが血液供給を遮断するため、痔核は縮小し、しばらくすると壊死脱落します。[16]
    • 手術後に不快感を伴うことが多いため、坐浴、湯浴、局所軟膏などを使用して緩和させましょう。
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    内痔核の治療に、注射療法(硬化療法)を受ける プラスチック製の機器を肛門に挿入して直腸内を観察します(肛門内視鏡)。肛門内視鏡を介して、5%フェノールオイル、ベジタブルオイル、キニーネ、尿素塩酸塩もしくは高張食塩水を混合した化学溶液を痔核の根元に注入します。この化学溶液には静脈瘤を縮小させる作用があります。
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    内痔核の治療に、レーザー・高周波による療法(レーザー凝固術)を使う 赤外線レーザーや高周波を使用して、痔核付近の静脈を凝固させる手術療法がとられる場合もあります。赤外線光凝固術は、レーザープローブを痔核の根元に照射して凝固させます。高周波療法では、高周波発生装置に接続された球状の電極を、痔核の組織にあてて、凝固し蒸発させます。
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    内痔核の治療に、凍結療法を行う 痔核の根元に極低温プローブをあてて、組織を壊死させ除去する方法ですが、再発率が高いため殆ど施行されません。[19]
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    内痔核の治療に、自動縫合器を用いた切除法(PPH法)を行う 脱出した内痔核を専用機器を使用して肛門管内に戻し固定する手術法です。痔核への血液供給が遮断されるため、組織を壊死させて止血します。[20]
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方法 3 の 3:
痔核について理解する・痔核の検査を受ける

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    痔核の原因を知る 慢性的な便秘、いきみ、長時間トイレに座ることが痔核を引き起こす原因となります。静脈内の圧力が高まり、うっ血状態になることで、血流障害が生じるためです。また、妊娠中も肛門の静脈を圧迫させます。特に、出産時のいきみで痔核を発症しやすい傾向があります。
    • 痔核は加齢や肥満が要因で発症率が高くなります。
    • 痔核は内痔核(直腸内)もしくは外痔核(肛門外側周辺)の2種類に分けられます。内痔核は痛みが少なく、外痔核は強い痛みを伴います。両痔核ともに、破裂が起きると出血が生じます。[22]
  2. 2
    痔核の症状を把握する 内痔核は、通常痛みを伴わないため、出血するまで気づかないことが多くあります。一方、外痔核を有する場合は、以下のような症状を呈します。[23]
    • 排便時の無痛性出血。少量の出血で真っ赤な色をしています。
    • 肛門部位のかゆみ、炎症
    • 痛み、不快感
    • 肛門周辺の腫れ
    • 刺激もしくは痛みを伴う肛門組織のしこり
    • 便失禁
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    痔核があるか確認する 鏡に背を向けて立ち、肛門周辺にしこりや瘤状の突起物がないか鏡で確認しましょう。しこりは、通常の皮膚の色から暗赤色までさまざまであり、圧痛を伴います。症状を認めたら、外痔核の可能性があります。排便後のトイレットペーパーに血液が付着しないか注意して観察しましょう。痔核による出血は一般的に鮮血です。色が暗い場合は、消化器官の上部からの出血を示唆します。
    • 内痔核の確認は、検査機器が必要となるため自宅では難しくなります。医療機関を受診しましょう。詳細な病歴聴診が行われ、出血の症状を呈する結腸がんやポリープなどの疾患が出血の原因ではないか見極めます。
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    医療機関を受診するタイミングを見極める 家庭療法を1週間行っても症状や痛みが改善しない場合は、医療機関を受診して診察を受けましょう。出血は、炎症性腸疾患や結腸がんなどほかの疾患の発症リスクが高い人や罹患者にとって、懸念すべき症状になります。出血の色が暗赤色、便が黒色・タール状の色の場合も、医療機関を受診する必要があります。消化器官の上部、あるいは、出血性腫瘍からの出血の可能性があります。[24]
    • 失血量を推定しましょう。出血に伴い倦怠感や不安感、青白い顔、手足の冷え、心拍数の上昇、錯乱の症状を認めたら、早急に医師の診察を受けましょう。血液量が増加した場合も検査が必要になります。[25]
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    検査方法について知る 肛門外側の視診および直腸指診によって痔核の診断を行います。直腸指診とは医師が潤滑剤をつけた人差し指を直腸内に挿入し、直腸壁を触診して、しこり、瘤、出血がないか調べる検査法です。視指診の結果、内痔核の疑いがある場合は、肛門内視鏡(プラスチック製の管)を肛門から直腸に挿入し、内視鏡の先端から光を照らして、腫れ、拡張、出血を伴う静脈がないか検査します。
    • 便潜血検査(グアヤク検査など)を施行する場合もあります。試験紙に便を塗布して、便内の微量の血液細胞を検出します。陽性の場合は、痔核、結腸がん、ポリープなどの疾患が考えられます。
    • グアヤク便潜血検査を行う場合は、赤身肉、カブ、ダイコン、ホースラディッシュ、カンタロープ(メロン)、生のブロッコリーなどを検査の3日前から摂取しないようにしましょう。偽陽性反応が起きる原因となります。[26]
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出典

  1. Hemorrhoids. Lifestyle and Home remedies. Mayo Clinic. June 19, 2013 http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/lifestyle-home-remedies/con-20029852
  2. Hemorrhoids and what to do about them. Harvard Health publications. http://www.health.harvard.edu/diseases-and-conditions/hemorrhoids_and_what_to_do_about_them
  3. Jacoby C. Sitz Bath Recipe. Health Guidance. http://www.healthguidance.org/entry/14749/1/Sitz-Bath-Recipe.html
  4. Jacoby C. Sitz Bath Recipe. Health Guidance. http://www.healthguidance.org/entry/14749/1/Sitz-Bath-Recipe.html
  5. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/lifestyle-home-remedies/con-20029852
  6. Lohsiriwat V. Hemorrhoids: From basic pathophysiology to clinical management. World Journal of gastroenterology. 2012 May 7; 18(17): 2009–2017.
  7. Bleday R. Patient information: Hemorrhoids (Beyond the Basics). UptoDate. Jan 8, 2015. http://www.uptodate.com/contents/hemorrhoids-beyond-the-basics
  8. Kecskes A. Soothing, Natural cures for hemorrhoids. Pacific College of Oriental Medicine. 2014.
  9. Lohsiriwat V. Hemorrhoids: From basic pathophysiology to clinical management. World Journal of gastroenterology. 2012 May 7; 18(17): 2009–2017.
  1. Mentes BB. et al. Efficacy of calcium dobesilate in treating acute attacks of hemorrhoidal disease. Diseases of the colon and rectum. 2001 Oct;44(10):1489-95.
  2. Prevention. Hemorrhoids. Mayo Clinic. June 19, 2013. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/prevention/con-20029852
  3. Health Education. Hemorrhoids. Hartford Healthcare Medical Group. http://www.hartfordmedicalgroup.com/ed_colorectal_hemorrhoids.php
  4. Lohsiriwat V. Hemorrhoids: From basic pathophysiology to clinical management. World Journal of gastroenterology. 2012 May 7; 18(17): 2009–2017.
  5. Treatments and Drugs. Hemorrhoids. Mayo Clinic. June 19, 2013. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/treatment/con-20029852
  6. Treatments and Drugs. Hemorrhoids. Mayo Clinic. June 19, 2013. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/treatment/con-20029852
  7. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/treatment/con-20029852
  8. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/treatment/con-20029852
  9. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/treatment/con-20029852
  10. http://www.surgery.ucsf.edu/conditions--procedures/hemorrhoids.aspx
  11. Lohsiriwat V. Hemorrhoids: From basic pathophysiology to clinical management. World Journal of gastroenterology. 2012 May 7; 18(17): 2009–2017.
  12. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/treatment/con-20029852
  13. Hemorrhoids and what to do about them. Harvard Health publications. http://www.health.harvard.edu/diseases-and-conditions/hemorrhoids_and_what_to_do_about_them
  14. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/symptoms/con-20029852
  15. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/symptoms/con-20029852
  16. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hemorrhoids/basics/symptoms/con-20029852
  17. Stool Guaiac test. MedlinePlus. October 14, 2013. http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/003393.htm

このwikiHow記事について

学会認定小児科医
この記事はLaura Marusinec, MDが共著しています。 マルシネック医師はウィスコンシン小児科病院の小児科医で、病院内の臨床実務評議会に参加しています。1995年にウィスコンシン医科大学医学部にて医学博士号を取得後、1998年に同大学病院小児科にて臨床研修を修了。全米医療ライター協会と小児緊急治療学会の会員です。
カテゴリ: 健康
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