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速度は、ある方向に進む物体の速さとして定義されます。[1] 一般的に、速度を求める場合は、式「v = s/t」を用います。ここで、vは速度、sは物体の初期位置からの変位の合計、tは経過時間を表します。しかし物理学的には、この式からは、全運動における物体の「平均」速度しか分かりません。微分を利用すると、任意の時点における、軌道上の物体の速度を計算することができます。この速度を「瞬間速度」と言い、式「v = (ds)/(dt)」で定義されます。これは、平均速度の式の導関数とも呼ばれます。[2]
ステップ
瞬間速度を求める
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1変位についての式から始めて速度を求める 瞬間速度を求めるには、まず始めに、ある時点における物体の位置を表す式(変位についての式)を立てなければなりません。つまり、以下のように、左辺に変数sが単独で来て、右辺にt(単独である必要はありません)が来るように式を立てます。
s = -1.5t2 + 10t + 4
- 式中の変数については以下の通りです:
- 変位 = s :物体が運動を開始した位置からの移動距離を表します。[3] 例えば、物体が前方に10 m進んで、後方に7 m戻った場合は、物体の合計変位は「10 - 7 = 3 m」となります(10 + 7 = 17 mではないことに注意しましょう)。
- 時間 = t :これは自明です。通常は、秒単位で測定されます。
- 式中の変数については以下の通りです:
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2式の導関数を求める 式(関数)の導関数とは、任意の時点におけるその関数の傾きを表すための関数です。変位の式の導関数を求めるには、「y = a*xnの微分はa*n*xn-1である。」という微分の一般則にしたがって関数を微分します。この規則を式中の「t」がある側の辺(右辺)の全ての項に適用します。
- 別の表現をすれば、「t」のある右辺の項を左から右に微分していくということです。「t」を含む各項について、指数から1を引いて、項全体に元の指数を掛けます。定数項(「t」を含まない項)には0が掛かるため、定数項は全て消滅します。実際にこれを行ってみると、思うほど難しくはありません。例として、上の手順で式を微分してみましょう。
s = -1.5t2 + 10t + 4
(2)-1.5t(2-1) + (1)10t1 - 1 + (0)4t0
-3t1 + 10t0
-3t + 10
- 別の表現をすれば、「t」のある右辺の項を左から右に微分していくということです。「t」を含む各項について、指数から1を引いて、項全体に元の指数を掛けます。定数項(「t」を含まない項)には0が掛かるため、定数項は全て消滅します。実際にこれを行ってみると、思うほど難しくはありません。例として、上の手順で式を微分してみましょう。
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3「s」を「ds/dt」に置き換える 新しい式が元の式の導関数であることを示すために、「s」を「ds/dt」という表記に置き換えます。数学的には、この表記は「tに関するsの導関数」を意味します。単純に言えば、ds/dtとは、元の式(関数)の任意の点における傾きです。例えば、t = 5 における、式「s = -1.5t2 + 10t + 4」の傾きを求めるには、この関数の導関数のtに5を代入すればよいだけです。
- ここで取り上げている変位の式の導関数は、次のようになります。
ds/dt = -3t + 10
- ここで取り上げている変位の式の導関数は、次のようになります。
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4導関数のtに値を代入して瞬間速度を求める[4] 導関数が求まれば、式中のtに値を代入するだけで、簡単に任意の時点における瞬間速度を求めることができます。例えば、t = 5における瞬間速度を求めたい場合は、導関数「ds/dt = -3t + 10」のtに5を代入するだけです。すると、次のように式を解くことができます:
ds/dt = -3t + 10
ds/dt = -3(5) + 10
ds/dt = -15 + 10 = -5 m/s- ここで、m/sという単位が用いられています。この物体の運動に関して、変位についてはメートル、時間については秒で考えており、一般的に速度とは時間に対する変位であるため、この単位は適切です。
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グラフから瞬間速度を推定する
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1時間に対する物体の変位をグラフに描く 前のセクションで、導関数によって、元の式(関数)の任意の点における傾きを求めることができると説明しました。[5] 実際に、物体の変位をグラフに描いてみると、任意の点におけるグラフの傾きは、その点における瞬間速度と等しくなります。
- 物体の変位をグラフにするには、x軸を時間、y軸を変位にしましょう。変位の式のtに値を代入し、その値に対するsを求めて、そのtとsをそれぞれグラフ上の点(x,y)として描いていきます。
- グラフはx軸の下に伸びる場合があることに注意しましょう。物体の運動を表すグラフの線がx軸の下に来る場合は、物体が運動開始地点の後方に動いていることを表します。一般的に、時間を過去に遡りながら速度を測定することはないため、グラフはy軸の左側には伸びません。
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2グラフ上の点Pとその近傍の点Qを選ぶ グラフ上の点Pにおける傾きを求めるには、「極限を取る」という考え方を用います。極限を取るにはグラフ上の2点(Pとその近傍点Q)を選び、QをPに近づけながら何度も何度もPとQを結ぶ線の傾きを求めます。
- 例えば、変位のグラフ上に点(1,3)と点(4,7)があるとします。点(1,3)における傾きを求めたいならば、(1,3) = P、(4,7) = Qと定めます。
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3PとQを結ぶ直線の傾きを求める PとQを結ぶ直線の傾きとは、PとQの間のxの変化量に対するyの変化量です。つまり、この2点を結ぶ直線の傾きをHとすると、式「H = (yQ - yP)/(xQ - xP)」で表すことができます。ここで取り上げている例では、PとQを結ぶ直線の傾きは、以下のように求められます。
H = (yQ - yP)/(xQ - xP)
H = (7 - 3)/(4 - 1)
H = (4)/(3) = 1.33 -
4QをPに近づけながら同じ計算を繰り返す ここで目標とすることは、Qを限りなくPに近づけることです。QとPの距離が近ければ近いほど、この2点を結ぶ直線の傾きは、点Pにおける傾きに近づきます。例として、点Pを(1,3)、Qを(2,4.8)、(1.5,3.95)、(1.25,3.49)と近づけていった場合の傾きを求めてみましょう。
Q = (2,4.8): H = (4.8 - 3)/(2 - 1)
H = (1.8)/(1) = 1.8
Q = (1.5,3.95): H = (3.95 - 3)/(1.5 - 1)
H = (.95)/(.5) = 1.9
Q = (1.25,3.49): H = (3.49 - 3)/(1.25 - 1)
H = (.49)/(.25) = 1.96 -
5極限に近づけた場合の傾きを推定する QがPに近づくにつれて、HはPにおける傾きへと近づいていきます。最終的に、PとQが限りなく近づくと、HはPにおける傾きと等しくなります。限りなく近づいたPとQの距離を測ることはできないため、試行を繰り返してHが収束していることが分かったら、Pにおける傾きを推定します。
- この例では、QをPに近づけていくと、Hの値は1.8、1.9、1.96となります。これらの値は2へと収束しているように見えるため、Pにおける傾きを2と推定するのが適切です。
- グラフ上の任意の点における傾きは、その点におけるグラフの式の導関数と等しくなることに留意しましょう。ここで描いたグラフは、時間に対する物体の変位を表しており、前のセクションで説明したように、物体の瞬間速度は、任意の点における変位の導関数であるため、「t = 1における瞬間速度は、2 m/sであるという推定は妥当である」とも言えます。
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例題を解く
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1変位の式「s = 5t3 - 3t2 + 2t + 9」において、t = 4のときの瞬間速度を求める この問題は、2次方程式が3次方程式になったことを除けば、パート1の例と同じであるため、同様の方法で解くことができます。
- まずは、この式の導関数を求めます。
s = 5t3 - 3t2 + 2t + 9
s = (3)5t(3 - 1) - (2)3t(2 - 1) + (1)2t(1 - 1) + (0)9t0 - 1
15t(2) - 6t(1) + 2t(0)
15t(2) - 6t + 2 - 続いて、tに4を代入します。
s = 15t(2) - 6t + 2
15(4)(2) - 6(4) + 2
15(16) - 6(4) + 2
240 - 24 + 2 = 218 m/s
- まずは、この式の導関数を求めます。
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2変位の式「s = 4t2 - t」において、点(1,3)における瞬間速度をグラフを用いて求める この問題では、点(1,3)をPとしますが、近傍点Qを何個かを見つける必要があります。 そうすれば、あとはHの値を求めて推定をするだけです。
- まずは、t = 2、1.5、1.1、1.01におけるQを求めましょう。
s = 4t2 - t
t = 2: s = 4(2)2 - (2)
4(4) - 2 = 16 - 2 = 14、ゆえに Q = (2,14)
t = 1.5: s = 4(1.5)2 - (1.5)
4(2.25) - 1.5 = 9 - 1.5 = 7.5、ゆえに Q = (1.5,7.5)
t = 1.1: s = 4(1.1)2 - (1.1)
4(1.21) - 1.1 = 4.84 - 1.1 = 3.74、ゆえに Q = (1.1,3.74)
t = 1.01: s = 4(1.01)2 - (1.01)
4(1.0201) - 1.01 = 4.0804 - 1.01 = 3.0704、ゆえに Q = (1.01,3.0704) - 次にHの値を求めます。
Q = (2,14): H = (14 - 3)/(2 - 1)
H = (11)/(1) = 11
Q = (1.5,7.5): H = (7.5 - 3)/(1.5 - 1)
H = (4.5)/(.5) = 9
Q = (1.1,3.74): H = (3.74 - 3)/(1.1 - 1)
H = (.74)/(.1) = 7.3
Q = (1.01,3.0704): H = (3.0704 - 3)/(1.01 - 1)
H = (.0704)/(.01) = 7.04 - Hの値は7へと収束しているように見えるため、点(1,3)における瞬間速度を7 m/sと推定することは適切であると言えます。
広告 - まずは、t = 2、1.5、1.1、1.01におけるQを求めましょう。
ポイント
- 加速度(時間に対する速度の変化)を求めるには、パート1の方法で変位の関数の導関数を求めます。さらに、その導関数の導関数を求めます。こうして求めた導関数に任意の値を代入することで、その時間における加速度を求めることができます。
- Y(変位)とX(時間)の関係式は、「Y= 6x + 3」などのように、とてもシンプルである場合があります。この例は、いわゆる直線の方程式「Y = mx + b」であることから、傾きは「6」で一定であるため、これを求めるために微分をする必要はありません。
- 変位は距離に似ていますが、方向も含んでいます。このため変位はベクトルとなり、速さはスカラーとなります。変位は負の値になることもありますが、距離は正の値にしかなりません。
出典
- ↑ http://www.physicsclassroom.com/class/1dkin/u1l1d.cfm
- ↑ http://formulas.tutorvista.com/physics/instantaneous-velocity-formula.html
- ↑ https://www.khanacademy.org/science/physics/one-dimensional-motion/displacement-velocity-time/a/what-is-displacement
- ↑ https://sciencestruck.com/instantaneous-velocity
- ↑ https://sciencestruck.com/instantaneous-velocity