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偉大な作家は、最初の数行で読者の心をつかみ、最後まで飽きさせません。では、彼らはどのようにして、その最初の数行を生み出しているのでしょう?また、そもそもどうやって物語を書き始めるのでしょうか。印象に残る最初の数行を生み出し、インパクトのある冒頭文を書く方法を紹介していきます。物語を書き始める方法と、書き出しの数行を生み出し、推敲するテクニックを学びましょう。

パート 1
パート 1 の 4:
書き始める

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    プロットのアウトラインを作成する 執筆を始める際に、物語がどのように展開するのかがわかる、プロットのアウトラインを作成しましょう。多くの作家は、物語の世界観やストーリー展開が制限されるように感じるためか、アウトラインを作成したがりませんが、主人公、設定、ストーリー展開をしっかりと決めておいたほうが、執筆に入りやすくなるでしょう。[1]
    • まず物語が目指すものを決めましょう。主人公が達成したいことや解決したい問題をはっきりさせます。これらが物語全体の大きな「目標」となり、主人公が自分自身や他のキャラクター、チームなどの力を合わせて目指すものになります。
    • 主人公が目標を達成できなかった場合の結末も用意しましょう。これらは「物語のステークス」(ステークスの直訳は「掛け金」)とも呼ばれ、目標を達成できなかった場合、主人公は何らかの形で苦しむことになります。物語のステークスが高いほど、読者は主人公の運命を気にかけ、物語を読み進めたくなるでしょう。
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    ライティング・プロンプトを利用する 物語のアイディアが浮かばない場合、ライティング・プロンプト(文章を作成するためのお題)を利用し、何か書いてみましょう。これにより、あなたの創造力が刺激され、物語のテーマを絞り込むことができます。また、今まで考えもしなかったことや、自分だけでは思いつけなかったアイディアが浮かんでくるかもしれません。[2]
    • 大抵の場合、ライティング・プロンプトを使ったライティングには、制限時間が設けられています(例:このプロンプトについて5分間書くこと)。物語のテーマにつながるアイディアが浮かんできている場合には、制限時間を延長してもよいでしょう。また、文章が別の方向に進み、プロンプトから外れた内容になっていっても構いません。プロンプトは、あくまで物語を書き始めるための手段なので、あまり囚われないようにしましょう。
    • ライティング・プロンプトは、「私は覚えている・・・」などのフレーズが指定されるものから、「子供の頃の寝室に閉じ込められていると想像してみましょう」など、特定のイメージをもとに発想させるものまで様々です。好きな詩や本のフレーズ、好きな歌の歌詞をプロンプトとして、文章を書いてみてもよいでしょう。
    • いずれも英語サイトですが、Writer's Digest http://www.writersdigest.com/promptsDaily Teaching Tools http://www.dailyteachingtools.com/journal-writing-prompts.html などに、ライティング・プロンプトのリストが掲載されています。また、ランダムに1行目が表示される、first line generator http://writingexercises.co.uk/firstlinegenerator.php を利用してみてもよいでしょう。
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    主人公の設定を考える 物語の素地ができたら、少し時間をかけてそれを読み返し、その物語の主人公の設定を考えましょう。主人公は、物語の中でその運命が最も重要視されるキャラクターですが、必ずしもヒーローや根っからの悪人とは限りません。主人公というのは、読者にとって最も気になり、共感できるキャラクターである必要があります。[3]
    • 主人公は、必ずしも物語の語り手となる必要はありませんが、物語を前に進める意思決定を担う人物となります。主人公は物語の中で起こる出来事を動かし、彼らのたどる運命によって物語に深みが生まれます。
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    本編を一気に書き上げる 座って本編を書き始めましょう。物語の細部まで一気に書き上げてしまいます。この段階では、友達に話す分にはいいけど、短編小説としてまとまるかどうかはわからないような、ちょっと突飛で面白い物語になるかもしれません。物語の細部など原稿の問題点については、後から整えていきましょう。[4]
    • シンプルに、物語を書き上げることに集中しましょう。この作業には1時間から数時間はかかるかもしれません。仲の良い友人とコーヒーを飲みながら話をしているときの気分で書き進めましょう。
    • 下手にリサーチをして、ストーリーに関係のない情報まで集めないようにしましょう。物語の特定の章や部分にこだわりすぎて、書くスピードが落ちないようにします。物語の中の気になる部分については、再読の際に考えましょう。
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パート 2
パート 2 の 4:
物語の始め方を考える

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    重要なシーンから始める 短編小説家の多くは、重要かつ読者を惹きつけるようなシーンから、物語を始めようとします。そうすることで、一気に読者の心をつかみ、物語の世界に引きずり込むことができるからです。[5]
    • 主人公や語り手にとって重要なシーンを選び、彼らの行動を描写しましょう。後の出来事の伏線になるような行動や、プロットを考えます。例えば、「ウォルターはいつも通りの1日になると思っていた。」よりも、「悪夢から目覚めたウォルターは、今日はいつもとは違う1日が待っているとわかった。」としたほうが読者の心をつかめるでしょう。
    • 過去形よりも現在形を使用することで、物語に切迫感を与えることができ、読者が続きを読むように促す効果があります。例えば、「昨日、俺は銀行を襲った」と書くよりも「今日、俺は銀行を襲う」と書く方が効果的です。後者は現在形のため、読者もリアルタイムで展開を見守ることができます。読者が、物語の中のメインイベントを、キャラクターと一緒に体験できるように書きましょう。
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    物語の設定を語る 設定そのものが重要で、それによりある種の雰囲気を作り出したい場合には、このパターンで物語を始めます。プロットに重きを置いた物語ではなく、明確な設定によって、読者を一気に物語に引き込むタイプの作品になるでしょう。キャラクターの視点で設定を語り、読者にとってインパクトのある、あるいは興味をそそられる1点に焦点を当てていきます。[6]
    • 例えば、グレッグ・イーガンの短編小説『祈りの海』では、最初の数行で、海に浮かぶボートに乗っているという設定をはっきり打ち出しています。「波のうねりがボートを優しく上下させていた。船体のきしむ音に合わせて、私の呼吸もゆっくりとしたものになり、船室のかすかでリズミカル動きと、肺を満たし空にする感覚の違いが、よくわからなくなるまでになっていた。」イーガンは、具体的で感覚的な描写によって、読者がまるで船室に座っているかのように感じさせると同時に、ある特定の瞬間から物語を始めることに成功しています。[7]
    • すぐに設定を明らかにしたくなければ、物語の後半で設定を語っても構いません。テーマやプロットが設定よりも重要な場合は、テーマやプロットに関わる描写から書き始めましょう。ただし、読者を物語に引き込むために、重要なシーンから物語を始めるようにします。
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    語り手や主人公を紹介する もう1つの選択肢は、インパクトのある語り手や主人公の描写から始めることです。これは、プロットがメインではなく、キャラクターが中心となって進む物語に向いています。多くの場合、一人称の物語は、その語り手のセリフから始まります。語り手の目線で物語の世界を描写し、彼らの語り口から、このあとどんな物語が展開されるのかを読者にイメージさせましょう。[8]
    • J.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』は、短編ではなく長編小説ですが、書き出しの1行から早速、語り手の独特の語り口が展開されていきます。「君が本当にこの話を聞きたいとしたら、きっと最初に知りたいのは、僕がどこで生まれて、どんなお粗末な子供時代を過ごしたか、そして僕が生まれる前に父さんと母さんが何をしていたのかみたいな、『デビッド・カッパーフィールド』に出てくるようなくだらないことだと思うけど、正直言って、そういう話はしたくないんだ。」[9]
    • 語り手の口調はきつくぶっきらぼうに聞こえますが、彼の世界に対する苛立ちと、古臭いストーリーを軽蔑する態度が垣間見え、読者を引き込みます。語り手が独特の視点を持っていることも感じられ、このあとに続く物語に対する期待も高まるでしょう。
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    強烈なやり取りで幕を開ける 強烈なやり取りで物語を始めるのは効果的ですが、その内容はわかりやすく、要点を押さえたものでなければなりません。一般的に、物語の中でのやり取りには複数の役割があります。単なる会話として登場させてはいけません。効果的なやり取りは、キャラクターがどんな人物かを示し、重要な出来事やプロットを前に進める役割を果たします。[10]
    • 多くの短編小説は、1行のセリフから始まり、それが誰のセリフなのか、あるいはどんな状況で話しているのかを読者に伝えるために、ズームアウトしていきます。一般的にそのセリフは、主人公や物語の中心人物のものである場合が多いでしょう。
    • 例えば、エイミー・ヘンペルの短編小説『In the Cemetery Where Al Jolson Was Buried』では、印象的なセリフから物語が始まります。「「忘れてもいいことを教えて。」と彼女は言った。「くだらないことでもいいし、端折ってもいいわ。」」[11] 滑稽で奇妙なセリフと「彼女」の存在感に、読者は一気に物語に引き込まれてしまいます。
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    小さな葛藤や謎を投げかける 読んだ人を惹きつける冒頭文では、小さな葛藤や謎にスポットを当て、読者の心に疑問を投げかけます。最近実際に起こった出来事や、その出来事に対する思いをキャラクターに反映させるという、シンプルな方法でもいいでしょうし、未解決の殺人や犯罪など、より複雑なミステリーを題材にしてもいいでしょう。ただし、読者がすんなり理解できないような、大掛かりで複雑な謎にはならないようにします。最初の1行で大きな謎を示唆し、読者を葛藤の渦へと巻きこんでいきましょう。[12]
    • 例えば、シャーリー・ジャクソンの短編小説『Elizabeth』では、書き出しでいくつかの疑問を投げかけています。「アラームがオフになる直前、彼女は炎天下の庭に横たわっていた。彼女の周囲には緑の芝生が生い茂り、それは見渡す限り遠くまで広がっていた。」読者は、なぜこの登場人物が炎天下の庭の夢を見ているのか、彼女は何のために目覚めたのか、そしてその夢がそのキャラクターにとってどんな意味を持つのかを考えます。これらは些細な葛藤ではありますが、物語の中のより大きなテーマや思想に読者をいざなう効果的な手法です。
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パート 3
パート 3 の 4:
書き出しの推敲を行う

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    物語を最後まで書き終えたら、もう1度書き出しを読む 物語にふさわしい完璧な書き出しが書けたと思っているかもしれませんが、物語を最後まで書き上げた段階で冒頭部分を再読し、本当に完璧かどうか確認してみましょう。物語は書き進めるうちに変更が加わり、プロットも大きく変わることがあります。それにより、完璧だったはずの書き出し部分の効果も薄れてしまっているかもしれません。後に続く物語の流れを受けて、もう1度書き出しを読み、しっくりくるかどうかを検討しましょう。[13]
    • 書き出しの部分を、物語全体のトーン、雰囲気、語り口に合わせて手直しするか、物語の内容に合うように新たに書き直す必要があるかもしれません。ボツにした書き出しは、将来書く別の物語のために取っておきます。特にインパクトが強い文章で、単に今書いている物語には合わないと感じるような文章は、別の作品で活かしましょう。
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    言葉をそぎ落とす 書き出しでは、余計な言葉やフレーズを使わないようにしましょう。読んだ時のインパクトが弱まってしまいます。冒頭部分に目を通し、言葉に力があるか、言葉はギリギリまでそぎ落とされているかを確かめましょう。決まり文句やおなじみのフレーズについては、より興味を引くような言い回しに書き換えます。不要な描写については削除し、キャラクターや設定の説明はまとめましょう。[14]
    • 最初の1行で、インパクトの弱い動詞や形容詞を使ってしまっていたら、それらを印象的なものに置き換えましょう。その1文のインパクトが終盤まで影響し、物語全体に登場する言葉や描写の印象もワンランクアップするでしょう。
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    客観的な視点で書き出しを読んでもらう 自分で書いた文章を推敲するのは難しいので、信頼できる読み手に冒頭部分を読んでもらいましょう。最初の1文または段落を読んでもらい、物語の残りの部分を読みたくなるような書き出しになっているか聞いてみます。また、キャラクターや設定に良い印象を抱いたかも尋ね、改善するための意見ももらいましょう。[15]
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パート 4
パート 4 の 4:
書き出しの役割を理解する

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    短編小説における書き出しの役割を理解する 短編小説の書き出しには、読み手を引き込み、興味を掻き立て、読み進めたいと思わせるという重要な役割があります。最初の文章や段落で、今後の展開を予感させる思想や状況が説明されることが多いのは、読者に物語全体のトーンやスタイル、語り口などを明確に示すためです。また、登場人物や物語のプロットについて読者に伝える役目も果たしています。[16]
    • 作家がよく参考にする、カート・ヴォネガットの短編小説のルールに倣い、「できるだけ結末に近いところから物語を始める」ようにします。[17] できるだけ早い段階で、読者を物語の流れに巻き込み、続きを読みたいと思わせましょう。
    • 大抵の場合、編集者は物語の最初の数行を読んで、最後まで読む価値があるかどうかを判断しています。つまり多くの短編小説は、書き出しのインパクトによって、出版されるかどうかが決まっているのです。だからこそ、どのくらい読者にインパクトを与えられるか、どのように最初の1~ 2行で印象を残すかを考えることは、とても大切になります。[18]
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    いろんな小説の書き出しを読んで参考にする どう書き始めたらよいかわからない場合は、いくつかの小説の書き出しを読んで参考にします。作家がどのように読者を引き込み、使われている言葉がどんな効果を果たしているかに注意しながら読みましょう。以下にいくつか紹介します。[19]
    • 「障がいのある娘を入浴させるスプリットリップの姿を見たとき、私は初めて偉大な愛の行為を目の当たりにした。」ジョージ・サンダース著『Isabelle』より
    • 「この物語が世に出た時、私は史上最も有名な両性具有者になるかもしれない。」ジェフリー・オイゲニデス著『The Obscure Object』より
    • 「アラームがオフになる直前、彼女は炎天下の庭に横たわっていた。彼女の周囲には緑の芝生が生い茂り、それは見渡す限り遠くまで広がっていた。」シャーリー・ジャクソン著『Elizabeth』より
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    それぞれの書き出しを分析する いろいろな小説の書き出しを読んだら、以下の質問の答えを考え、内容を分析してみましょう。
    • 書き手はどのようにして、物語のトーンや雰囲気を作り出していますか?例えば、オイゲニデスの『The Obscure Object』では、最初の1行で語り手が両性具有者であることを明かし、彼女の人生が語られようとしていることを伝えます。これにより、語り手が有名な両性具有者としての自分の人生を語るという、内省的な雰囲気を作り出しています。
    • 書き手は主要な登場人物や設定をどのように紹介していますか?例えば、サンダースの『Isabelle』では、最初の1文で「スプリットリップ」という人物と、彼の障がいのある娘を紹介しています。それと同時に、物語の重要なテーマが父と娘の愛であることも示唆しているのです。ジャクソンの『Elizabeth』の1文目では、「炎天下」や「緑」などの感覚的な情景描写を用いることで、読者が頭の中で物語の世界を具体的にイメージできるようにしています。
    • 書き出しを読んで、読者としてどんな展開を期待しますか?優れた冒頭文は読者の中にある何かに語りかけ、読者が興味を抱くような情報を盛り込んで物語に引き込みます。例えば、サンダースの物語の書き出しを見てみましょう。「スプリットリップ」という名前のキャラクターと障がい者の女の子という設定から、読者は少し風変わりで怪しい展開のストーリーを予想します。独特の語り口で、物語がどのように語られていくのかを読者に示す、大胆なオープニングです。
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Lucy V. Hay
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ライター
この記事の共著者 : Lucy V. Hay. 作家、脚本編集者、そしてブロガーのルーシー・V・ヘイは、執筆講座や自身のブログ、「Bang2Write」を通じて作家志望の人達にライティングのアドバイスを提供しています。これまでにイギリスのスリラー映画を2本プロデュースした他、初の犯罪小説「The Other Twin」は、現在Agatha Raisin(Free@Last TVにて放送中のエミー賞受賞犯罪ドラマ)の製作者による映像化が検討されています。 この記事は1,886回アクセスされました。
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