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出産・育児は世界共通の重要事項です。ほとんどの場合に育児の主体となる母親は、睡眠もままならないほど多忙な育児を、身体的にも出産で消耗しきった状態でこなさなければなりません。子供の様子や安全に気を配る精神的なプレッシャーだけでも相当なものがあるでしょう。そんな母親の支えになれるのは、まず誰よりも夫であるはずです。しかし日本では夫が育児休業を取得することがいまだ定着しているとは言えず、取得率はわずか5~6%で推移しています。[1] 育児休業について定めた育児介護休業法[2] が施行されてから30年近く経過しているにも関わらず取得率が低迷しているのには、様々な理由や事情もあることでしょう。しかし、育児は人間社会の未来にとって重要な使命です。この使命を果たすためにも、現代社会においては育児休業をきちんと活用することが、親になった者の権利であり義務でもあるとも言えるでしょう。それには制度の意味や手続きに関する理解が必要ですから、まずは重要なポイントを押さえていきましょう。

方法 1
方法 1 の 3:

育児休業について知ろう

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    育児休業を知ろう 育児休業や育児休暇は、その言葉通り育児のために取得する休みを指します。育児休暇と混同しやすいですが、育児休業は「育児介護休業法」という法律で保障された休業制度であることを理解しておきましょう。育児休業とは仕事と家庭生活の両立を支援することを目的とした制度で、具体的には育児をする労働者が仕事を続けていけるようにすることに主眼が置かれています。
    • 育児休業はその名の通り「休業」ですから、一般的に会社から給料は支給されません。その代わりに、育児休業給付金など月給の5~7割相当の給付金を受けることができます。これらの給付金は国が負担するものです。「会社からもらうもの」と誤解されがちですので注意しましょう。
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    育児休暇を知ろう 育児休暇は法律で定められた休暇ではなく、実体は通常の有給または無給の休暇と同じです。出産や育児に関することが理由である場合に休暇取得をしやすくする社内の規定だと理解しておきましょう。
    • 公務員は、有給休暇の特別な取得事由として「配偶者出産休暇」や「男性職員の育児参加のための休暇」が人事院規則に明記されています。民間でも、これに準じた休暇の取得促進している企業も増えてきました。
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    育児休業を取得する条件を知ろう 育児休業は、原則として1歳未満の子供を養育する労働者に認められた権利です。ここでいう労働者には正社員や派遣社員だけでなく、1年以上の勤務実績があるパート労働者も含まれます。日雇の労働者は対象となりませんので注意しましょう。この条件を満たす労働者が育児休業を取得する申し出をした場合、事業主は原則として拒否することができません。
    • 取得できる労働者の性別は問われません。
    • 本人と配偶者以外に子の世話ができる者がいても取得することができます。
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    取得できる期間を知ろう 育児休業は、子供の出生日から1歳に到達するまでの1年間取得することができます。ただし、保育所に申し込んでいるのに入れない等の事情が発生した場合、最長2年間まで延長することができます。
    • 女性の場合は出産日の翌日から与えられる8週間の産後休業期間が優先され、この期間は育児休業期間に含まれません。
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方法 2
方法 2 の 3:

正しく理解しよう

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    必要性を理解しよう 出産・育児の大切さは誰もが理解しているにも関わらず、育児休業の必要性についての理解は十分浸透していないかもしれません。育児休業の取得率が上がらない原因のひとつには、「休みを取りづらい職場環境」があるようです。[3] これを解消するには、職場全体での理解が必要でしょう。
    • 出産・育児・復職による生産活動への復帰は、全て人間社会の営みに対する貢献だと言えます。個々がそういった自覚を持つことが、正しい理解への第一歩です。
    • 制度自体をよく知らない、という人も少なくないかもしれません。法律で定められていても、会社の規則に明文化されていないケースもあり得ます。法律で保証されている権利は共通のものですから、政府がまとめた資料などで確認しておきましょう。[4]
    • 企業が育児休業の取得を推進していく取り組みは政府主導で継続的に進められています。
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    日本の現状を知ろう 我が国の育児休業制度の状況を諸外国と比較すると、「制度は充実しているが取得されていない」という非常にアンバランスな構図になっていることが分かります。[5] 国が制度を充実させても取得率が伸びていないのは、やはり日本では「子供のために会社を休むなんて」という意識が根強いからなのかもしれません。
    • 最新の調査によると、1歳未満の子供がいる親の育児休業の取得率は女性で約83%・男性で約6%であり、男性の実に約94%が権利を行使していないという実態が浮き彫りになっています。[6]
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    法改正について知ろう 「休みを取りづらい職場環境」を改善するため、法改正も行われています。2017年の育児・介護休業法改正では、事業者に対する育児休業制度促進のための義務の追加などが行われています。
    • 事業主には、労働者やその配偶者が妊娠・出産したこと等を知った際に、当該労働者に育児休業に関する制度や条件を個別に知らせる義務が課せられました。
    • 育児休業の取得などを理由とする嫌がらせ行為(いわゆるマタハラ・パタハラ)を防止する措置を講じることが事業主に新たに義務付けられました。
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方法 3
方法 3 の 3:

取得する手続きを知ろう

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    取得の申し出をしよう 一般的に育児休業は長期にわたります。取得する際の申し出は、法律上は休業開始の1ヶ月前までが期限とされていますが、早めに申し出をしておくのが賢明でしょう。なお、申し出は口頭ではなく書面でなければなりませんので、期日の行き違いが起こらないよう十分注意しましょう。
    • 申し出は、紙の書類・FAX・メールのいずれかで良いことになっていますが、職場の指定する方法を確認しておいた方がよいでしょう。
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    給付金を受け取る手続きをしよう 育児休業中は、給与の補填とも言える育児休業給付金を受給する権利があります。この給付金は雇用保険の一種ですから、雇用保険に加入していることが受給条件になります。また、制度の主旨からも「仕事に復帰する意志がある者」だけが対象である点を正しく理解した上で申請しましょう。
    • 申請と言っても、ほとんどの場合は会社がハローワークとの間で手続きをしてくれるでしょう。しかし大事なことですから、担当の部署に任せっきりにするのではなく、わからないことなどは自分から確認するようにしておくと安心です。
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    期間延長の手続きをしよう 育児休業は基本的に子供の1歳の誕生日前日までに終了する制度です。しかし、やむを得ない事情があれば期間を延長できる場合があります。この場合、子供の1歳の誕生日から2週間前までに申し出る決まりになっています。延長する事由が発生した際には速やかに人事担当者に相談しましょう。
    • 期間延長は、保育園が決まらない・配偶者の負傷や病気・新しい子供の出産予定がある、などの理由が対象となります。
    • 予定よりも早く育児休業を終了する場合も、早めに人事担当者に相談しましょう。申し出の期限についての法律上の決まりは特にありませんが、会社側では給付金や社会保険料に関する手続等があるためです。
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ポイント

  • 父母ともに育休を取得する場合、育児休業給付金の対象期間を1歳2ヶ月まで延長することができます。具体的な金額については、会社の人事担当者などに確認するとよいでしょう。
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注意事項

  • 充実した制度が活用されていない点を打開するためには、誰もが気後れすることなく堂々と育児休業を取得できる職場の雰囲気が醸成されていくことが必要です。その意味でも、個々が正しい認識を持って理解を深めていくことが重要だと言えるでしょう。
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