胃潰瘍の治療方法

共同執筆者 Sarah Gehrke, RN, MS

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は痛みを伴う、胃や小腸上部の損傷です。食べ物を消化する時に分泌される胃酸が胃壁や腸壁を損傷し、潰瘍となります。潰瘍にはストレス、食生活、生活習慣など様々な原因が考えられますが、現在ではヘリコバクターピロリと呼ばれる菌によってその多くが引き起こされることが知られています。多くの場合、放置すると潰瘍は悪化し続けます。そのためきちんと診断を受け、完治に向けて食生活や生活習慣を見直すことが重要です。

パート 1 の 3:
医学的治療を受ける

  1. 1
    胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状を特定する 腹部の疾患は、胃炎、膵炎、クローン病などの一つの疾患が他に多くの問題を引き起こすため特定が困難です。[1]胃潰瘍・十二指腸潰瘍かもしれないと思う場合は、医師の正しい診断を受けて正しい治療を受けることが大切です。胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状は以下の通りです。
    • しつこく続く、または繰り返し起こる胃や腹部の痛み
    • 腹部の不快感や膨満感
    • 吐き気や嘔吐
    • 食欲不振
    • 茶褐色の吐血
    • 茶褐色やタール状の黒い便(小腸上部からの出血による)
    • 体重減少、顔面蒼白、浮遊感、衰弱(持続的な出血による)
  2. 2
    医師の診察を受け、他の疾病の可能性を除外する 胃の症状があるからと言って、必ずしも胃潰瘍とは限りません。患者の病歴、食生活、身体検査の結果に基づいて、医師は他の病気の可能性を除外することができます。また、病名を確定するためにさらに検査を勧められる場合もあります。
    • 症状がひどくなければ、痛みを緩和し、胃酸を抑える投薬治療が始められます。
    • 吐血、タール便が続いたり、症状が悪化している場合は、その旨を医師に伝えましょう。治療が必要な、他の疾病が隠れているかもしれません。その場合は、出血の原因を調べる検査が必要です。
  3. 3
    診断を受ける 胃潰瘍・十二支潰瘍の診断に必要な検査を受ける段階で、かかりつけ医から専門の胃腸科を紹介されるかもしれません。
    • その他の疾病の可能性を排除するためには、腹部超音波検査とMRIの2種類の非侵襲性(生体を傷つけない)検査が用いられます。これらの検査では潰瘍は確認できませんが、それ以外の疾病の可能性がないかを調べることができます。[2][3]
    • 上部消化管X線検査で潰瘍を確認することができます。バリウムという白い物質を飲み、レントゲン写真を撮って胃の内部に潰瘍がないかを調べます。
    • 潰瘍が発見されたら、潰瘍の正確な位置と範囲を確認するために内視鏡検査を行います。軽い麻酔をかけ、先端に小さなカメラのついた細いチューブを喉から胃まで挿入します。医師はカメラを通して胃の内部の様子を観察し、また、胃内部のサンプルを採取して組織検査をすることもできます。簡単で、ほとんど痛みのない検査です。
    • 今現在、ピロリ菌による潰瘍があるかをしらべるために尿素呼気検査が行われます。ピロリ菌は検査薬に含まれる尿素を二酸化炭素に分解するため、呼気の中の二酸化炭素を調べることでその存在が分かります。
    • 潜血とピロリ菌の存在を確認するため、培養検査も含めて検便が行われます。
    • ピロリ菌の増殖と抗体の有無を調べるため、血液検査も行われます。血液検査はピロリ菌の存在を確かめるだけで、潰瘍の有無を調べるものではありません。[4]
  4. 4
    根本的な疾患に対処する  潰瘍には、各患者の基礎疾患に合わせた治療が必要です。そのため、正しい診断を受け、医師の勧める治療方針に従うことが重要です。多くの場合、治療は投薬、潰瘍の原因の除去、さらに食生活の改善によって行われます。
    • ピロリ菌が胃潰瘍の原因であることは少なくありません。その場合は、ピロリ菌を除菌する抗菌薬が処方されます。この治療には併用療法が用いられるため、同時にオメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬(オメプラール、オメプラゾン)、または胃酸の生成を抑え、治癒を促すヒスタミンH2受容体拮抗薬(通称H2ブロッカー:ガスター、アルタットなど)が処方されます。[5]
  5. 5
    潰瘍の治療にはスクラルファートもよく用いられる [6]
    • 特に、長期間放置されて潰瘍が合併症を併発してしまったなどの極端なケースでは、手術が必要な場合もあります。
  6. 6
    非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)やアスピリンの服用は避ける 非ステロイド性抗炎症薬やアスピリンは潰瘍の原因になったり、症状を悪化させることがあります。今現在潰瘍がある人や、潰瘍の治療後の人はこういった薬の服用をしばらく避けましょう。
    • 痛み止めの鎮痛薬を服用する必要があれば、医師に相談しましょう。場合によっては、非ステロイド性抗炎症薬と制酸薬を同時に服用するよう指示されたり、別の種類の鎮静剤を処方してもらえるかもしれません。
  7. 7
    症状を抑えるため、市販の制酸薬を試してみる 胃潰瘍があると、 消化不良、胸やけ、腹部上方のあばら骨の下あたりで胸やけや吐き気を覚える人が多いでしょう。制酸薬は症状の一時的な緩和に役立ちますが、結局のところ潰瘍そのものを治すわけではありません。また、制酸薬は投薬の効果を阻害することがあるため、注意が必要です。市販の制酸薬には以下のような製品があります。
    • 沈降炭酸カルシウムがおそらく市販の制酸薬として最も一般的です(沈降炭酸カルシウム「三和」など)。
    • 炭酸水素ナトリウム(重曹)も胃の不快感を和らげ、幅広く用いられます(炭酸水素ナトリウム「NikP」など)。
    • 水酸化マグネシウムも一般的に制酸薬として勧められています(ミルマグなど)。
    • 水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムを配合した制酸薬もあります(マーロックスなど)。
    • あまり知られていない制酸薬に水酸化アルミニウムがあります(乾燥水酸化アルミニウムゲル原末「マルイシ」など)。
    広告

パート 2 の 3:
食生活を改善する

  1. 1
    症状を悪化させる食品を避ける 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状は人によって違うため、どの食品が良いか、悪いかは一概には言えません。刺激物は何の問題もないのに、オリーブや菓子パンを食べると耐え難い痛みに襲われるという人もいます。潰瘍の治療中は比較的刺激の少ない食品を食べ、症状を悪化させる食品を特定しましょう。
    • 多くの場合、糖分の多い食品、加工食品、揚げ物、塩漬け肉、アルコール、コーヒーは潰瘍を悪化させます。[7]
    • 水分の摂取を増やしましょう。
    • 「食事日記」をつけ、その日に食べたものをすべて書き出すと、何を食べると痛みが悪化するかがわかります。
    • 将来の完治に向けて、少しの間おとなしく我慢をしましょう。ちょっとした自制心があれば潰瘍は早く治り、制限の少ない食生活や生活習慣に戻ることも可能です。
  2. 2
    食物繊維を多く摂る 平均的な人は一日に14グラムの食物繊維を摂取しているという試算があります。 消化管を正常に働かせるには、1日におよそ28~35グラムの食物繊維を摂るように心がけましょう。[8]新鮮な果物や野菜など多くの食物繊維を含む食品は胃潰瘍の危険性を減らし、できた潰瘍の治癒を促します。[9]以下の食品で食物繊維を摂りましょう。
    • リンゴ
    • レンズ豆、グリーンピースなどの豆類
    • 芽キャベツ、ブロッコリーなどアブラナ科野菜
    • ベリー類
    • アボカド 
    • ブランフレーク
    • フラックスシード
    • 全粒粉パスタ
    • 全粒大麦などの全粒穀物 
    • オートミール
  3. 3
    フラボノイドの豊富な食品を摂る  天然由来のフラボノイドを含む食品は潰瘍の治癒を早めるという研究結果があります。[10] フラボノイドは多くの果物や野菜に生来含まれるため、野菜や果物を多く食べると食物繊維も摂れて一石二鳥です。フラボノイドは以下の食品に多く含まれます。
    • リンゴ
    • セロリ 
    • クランベリー 
    • ブルーベリー 
    • プラム 
    • ホウレンソウ 
  4. 4
    カンゾウ(甘草・リコリス)の根を試してみる カンゾウのサプリメントやハーブティー(リコリスティー)は胃潰瘍・十二指腸潰瘍を治し、再発を防ぐ効果があるとされています。[11]甘いお菓子のリコリス(胃の症状を悪化させる)とサプリやお茶に使われるカンゾウの根を混同しないように注意しましょう。潰瘍の治療の助けとして使えるのは後者だけです。
  5. 5
    トウガラシやスパイスの効いた食品は避ける こういった刺激物の摂取は控えましょう。
    • 刺激物は潰瘍の原因にはならないと医学的には考えられていますが、刺激物を食べると症状が悪化するという胃潰瘍患者もいます。[12]
  6. 6
    問題があれば、柑橘類は避ける オレンジジュース、グレープフルーツやその他柑橘系のジュースなどの酸性の強い果物の果汁は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状を悪化させる可能性があります。 あまり気にならない人もいれば、柑橘類のジュースで非常な痛みを感じる人もいます。潰瘍に良くないと思う人は、柑橘類の摂取を制限しましょう。
  7. 7
    コーヒーや炭酸飲料は避ける コーヒーは強酸性で胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状を悪化させます。コーラなどの炭酸飲料も胃の内壁に刺激を与え、潰瘍を悪化させます。潰瘍がある人は、しばらくの間はモーニングコーヒーは控えましょう。
    • カフェイン自体が潰瘍に悪いわけではありませんが、酸性の飲み物、濃い紅茶、コーヒーは潰瘍を悪化させます。潰瘍がある人は、代わりに刺激が少なく、胃に優しいハーブティーなどを飲みましょう。[13]
    広告

パート 3 の 3:
生活習慣を改善する

  1. 1
    禁煙する 喫煙によって潰瘍の発症率が増加し、その治癒はより困難になります。喫煙しない人に比べて喫煙者の潰瘍の発症率は2倍に上ります。潰瘍をきちんと治したければ、禁煙は不可欠です。[14]
    • 煙の少ない電子タバコなども胃の疾病を発症する危険性は同程度、もしくはより高いと言えます。[15]潰瘍ができたら、 頑張って禁煙しましょう
    • ニコチン依存から抜け出す処方薬の使用も含めて、禁煙について医師に相談してみましょう。市販のニコチンパッチやニコチンガムも効果的です。
  2. 2
    潰瘍が完全に治るまでは アルコールを避ける アルコールを摂取すると胃の内壁に刺激を与え、 潰瘍が完治するまでに時間がかかってしまいます。潰瘍やその他の胃の疾病の治療中は、アルコールを避けることが大切です。ビール1,2杯でも潰瘍を悪化させます。[16]
    • 治療が完全に終わってから適度のアルコールをたしなむ程度であれば問題ありませんが、少量であっても、飲む前には主治医に相談しましょう。
  3. 3
    頭を少し持ち上げて就寝する 夜になると潰瘍が悪化する患者もいます。人によっては、仰向けで真っすぐに横たわると痛みが悪化し、夜間に最も痛みがひどくなる場合があります。枕などで頭と肩を敷布団から少し持ち上げて、上体を少し起こした状態にしてみましょう。こうすることで痛みが楽になり、ぐっすり眠れるという人もいます。[17]
  4. 4
    決まった時間に少な目の食事を取る 日中に大量の食事を取ると潰瘍が悪化することがあります。一度にドカ食いをするのではなく、一日を通して規則正しく、 少な目の食事を数回に分けて取りましょう。少量の食べ物であれば、胃は無理なく消化することができます。
    • 就寝直前にものを食べることは避けましょう。夜間に痛みが起こり、熟睡できなくなります。
    • 食後に潰瘍の症状が悪化する人もいれば、食べると痛みが和らぐ人もいます。[18]自分はどのパターンか、実験してみましょう。
  5. 5
    服用する薬に注意する 医師の診察を受ける際には、今後必ず、過去に胃潰瘍・十二指腸潰瘍の既往があること、投薬に際してそれを考慮してもらいたいことを告げる必要があります。潰瘍が完治して数年経ったとしても、胃を刺激し、悪影響を及ぼす薬剤はあります。薬を変えたり、新しい薬を服用する前に、必ず医師に相談しましょう。
  6. 6
    焦らない 胃が完全に治るまでには時間がかかります。多くの医師は回復までにかなり厳格なアプローチをとり、完全に「治る」まで2,3か月は見ておくことを推奨しています。治ったとしても、潰瘍ができる前の食生活や生活習慣に一気に逆戻りしてしまうと、再発(おそらくさらに悪化して)する可能性があります。自分の健康には充分に留意し、胃が完治するまで焦らずに待つことが重要です。
    • 完治するまでの期間は人によって違いますが、症状がきちんと治まるまで、食生活と生活習慣の改善を続けることが大切です。数杯アルコールを飲んでも胃が痛くならないからといって調子に乗ってはいけません。そんなことを続ければ、痛みが再発してしまいます。
    広告

ポイント


広告

注意事項

  • どのような治療であっても、開始前に必ず医師に相談しましょう。
広告

このwikiHow記事について

正看護師
この記事はSarah Gehrke, RN, MSが共著しています。 セーラ・ゲールケはテキサス州在住の正看護師、および認定マッサージ療法士です。患者の身体、精神、気持ちのサポートを重視した静脈切開術と点滴療法の指導・実践を10年以上行っています。2008年にアマリロマッサージセラピー協会にてマッサージ療法士の資格を取得後、2013年にフェニックス大学にて看護学の修士号を取得しています。
カテゴリ: 健康
このページは 2,554 回アクセスされました。

この記事は役に立ちましたか?

広告