胸部X線画像を診断する方法

共同執筆者 Chris M. Matsko, MD

この記事には:最初にチェックすべきこと撮影状態をチェックする撮影ポジションの確認と画像の配置画像の分析22 出典

おそらくみなさんは胸部X線画像(胸部レントゲン写真)をご覧になったことがあるでしょう。あるいは、すでに胸部X線撮影をした経験のある人もいるかもしれません。それにしても、医療者は一体どのようにして胸部X線画像を診断するのでしょうか?レントゲン写真を見る際は、三次元の物体を二次元で写し出していることを忘れてはいけません。高さと幅はそのままですが、奥行きは失われます。また、左右が逆になるため、フィルムの右側は、被験者の左側になります。空洞部分は真っ黒に映り、脂肪部分は灰色に映ります。軟組織や水は淡い色に映り、骨や金属は白く映ります。すなわち、体組織の密度が高くなるほど、X線画像に陰影(白い影)として現れます。密度の高い組織は放射線透過性が低いため、フィルムに明るく映ります。一方、密度の低い組織は放射線透過性が高いため、暗く映ります。

パート 1
最初にチェックすべきこと

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    まずは患者の名前を確認しましょう。正しいX線画像を見ていなければ話しになりません。分かりきったことかもしれませんが、日頃からストレスやプレッシャーに晒されていると、つい基本事項を見落として、初歩的なミスを犯してしまうものです。間違ったX線画像を読影しているとしたら、時間の無駄以外の何物でもありません。
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    患者の病歴をチェックしましょう。X線画像の読影を始めるにあたって、患者の年齢、性別、既往歴といった必要な情報はすべて手元に用意しておきましょう。また、比較対象となる過去のX線画像があれば、忘れずに取り寄せましょう。[1]
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    レントゲン写真に記載された日付をチェックしましょう。過去のレントゲン写真を比較する際は、日付が極めて重要です(過去のレントゲン写真を入手できるのであれば、必ず参照しましょう)。レントゲン写真が撮影された日時は、病変や経年変化を読み取る際の大きな手掛かりとなります。

パート 2
撮影状態をチェックする

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    患者が深呼吸をした状態で撮影が行われたかを確かめましょう。通常、胸部X線画像は、患者の呼吸サイクルが吸気相で撮影されます。平たくいえば、息を吸い込んだ状態です。患者が息を吸い込んでいたかどうかは、X線画像の仕上がりに大きな影響を与えます。X線が前胸壁を通過してフィルムに照射される際は、フィルムに近い方の肋骨、つまり背中側にある後肋骨が最も鮮明に写し出されます。しっかりと息を吸い込んだ状態で撮影されれば、12本ある後肋骨のうちの10本は確認できるはずです。
    • 前肋骨が6本見えれば、撮影状態は極めて良好といえます。[2]
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    露出をチェックしましょう。過度に露出したフィルムは、通常に比べて暗く映るため、細かい箇所の識別がとても難しくなります。一方、露出が不足していれば、通常に比べて明るく映り、画像に白濁箇所が現れてしまいます。適切なX線量で撮影された画像を見て、椎体を確認しましょう。
    • X線量が不足していると、椎体と椎間腔を見分けることができません。
    • 胸椎が見えない場合は、X線量が不十分であると考えられます。[3]
    • フィルムに過度のX線が照射されると、椎間腔がくっきりと現れます。
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    傾きをチェックしましょう。患者の体とカセッテ(フィルムカートリッジ、カセットとも)が水平に密着していないと、X線画像に「傾き」として現れます。その場合、縦隔が極めて不自然な形で映っていることに気付くでしょう。鎖骨頭と胸椎体を見て、左右対称に映っているかをチェックしましょう。[4]
    • 両鎖骨の間で、胸椎が胸骨の中心と一直線に映っているかをチェックしましょう。
    • 鎖骨が水平に映っていることを確認しましょう。[5]

パート 3
撮影ポジションの確認と画像の配置

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    マーカーを探しましょう。撮影状態に問題がなければ、撮影ポジションを確認し、画像を正確に並べます。まずはレントゲン写真に印刷されたマーカーを確認しましょう。Lという印は左側を表します。Rは右側を表します。正面像の場合、X線が照射された方向によって、PA(背部から腹部)、あるいはAP(腹部から背部)というマーカーが記載されます。仰臥位(仰向け)、立位(直立)、側臥位(横向き)といった、撮影時の患者の姿勢も重要です。胸部X線画像の左右をチェックして、正確に全体像を把握しましょう。
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    PA像および側面の画像をシャウカステンまたはディスプレイ上に並べます。通常の胸部X線画像診断では、PA(背腹)像と側面の画像を両方合わせて読影します。患者の真正面に立っているつもりで、患者の右側がみなさんの左側と向き合うように配置しましょう。[6]
    • 過去に撮影した画像があれば、隣に吊るしましょう。
    • PAというマーカーは、撮影の際に、X線が患者の「背部から腹部」に向けて照射されたことを示します。
    • APというマーカーは、撮影の際に、X線が患者の「腹部から背部」に向けて照射されたことを示します。
    • 横側のレントゲン写真は、患者の胸部左側面にカセッテを密着させて撮影します。
    • 正面と側面の撮影ポジションの間で、患者の体を特定の角度に傾けて撮影する方法もあります。このように、あえて斜め方向から撮影した画像を斜位像といいます。臓器などの構造物が重なり、標準的な正面像や側面像では病変が特定しにくい場合は、斜位撮影が行われます。
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    AP像を識別しましょう。時としてAP(腹背)像も撮影されますが、通常は患者の病状が重く、直立の姿勢でPA像が撮影しにくい場合に限ります(この場合、患者はフィルムの上に仰向けになり、真上からX線を照射します)。一般的に、AP像の撮影では、PA像の撮影に比べて、フィルムとX線管の距離は近くなります。通常は、X線管から距離を取るほど、X線の“発散力”が低下するため、X線管に近い構造物(心臓や縦隔など)の拡大を抑えることができます。[7]
    • AP像は近距離で撮影されるため(約100cm)、標準的なPA像に比べて、拡大され、不鮮明な仕上がりになります。ちなみに、PA像の撮影距離は約180cmです。
    • AP像では、心臓は拡大され、縦隔の幅は広くなります。[8]
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    撮影時の患者の姿勢が、側臥位かどうかを確かめましょう。患者を横向きに寝かせてX線撮影を行う場合があります。患者に胸水貯留の疑いがあれば、側臥位撮影によって、胸腔内に流出した液体が滲出性か、または漏出性かを調べることができます。右側臥位撮影の場合は左胸郭を、左側臥位撮影の場合は右胸郭を見て、気胸の有無を確認しましょう。
    • 横向きに寝る際、下側にある肺は濃度が高くなります。これは肺が縦隔の重さに圧迫されて無気肺となるためです。
    • 肺胞濃度に変化が見られない場合は、肺に空気が閉じ込められている可能性があります(閉塞性肺疾患など)。[9]
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    左右を揃えましょう。左右正しく画像を見ていることを確認しましょう。画像の左右を確認する手っ取り早い方法は、胃泡を探すことです。胃泡は左側にあるはずです。[10]
    • 胃泡(胃内のガス溜り)の濃度を調べましょう。さらに、胃泡の発生箇所にも注意が必要です。通常は、左肺のすぐ下に現れます。
    • 一般的な気泡は、右結腸曲(肝湾曲部)および左結腸曲(脾湾曲部)にも発生します。

パート 4
画像の分析

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    最初に全体像を把握しましょう。特定の箇所に着目する前に、画像のすべての箇所を読影する習慣を身に着けましょう。患部以外の重要な箇所を読み飛ばしてしまうと、基準となる法線を間違える可能性もあります。また、全体像を見ている最中に、他の細かい異常に気付く場合も少なくありません。専門家はしばしばABCDE法と呼ばれる手法に従い、一定の順序で読影を行います: 気道(Airway)→骨(Bones)→心陰影(Cardiac silhouette)→横隔膜(Diaphragm)および肺野→その他(Everything else)。
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    まずは、胸腔チューブ、静脈ライン、心電図用誘導リード、ペースメーカー、手術用クリップ、排液管といった医療器具が体内に挿入されていないかをチェックしましょう。
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    気道をチェックします。気道が正中線に沿ってはっきりと映っているかを確かめましょう。[11] 例えば、緊張性気胸の場合、胸腔内の空気に圧迫された気道が左右いずれかの方向に曲がっているのが見えるはずです。気管をなぞり、左右気管支の分岐点である竜骨(気管支基部)を探しましょう。
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    骨をチェックします。骨折、病変、または欠陥を探しましょう。まずは各骨のサイズ・形状・輪郭を確認しましょう。引き続き、骨密度または石灰化(骨粗しょう症の場合、骨は薄く、半透明に映ります)をチェックします。さらに、髄腔と皮質の厚みを比較します。骨梁パターンをチェックして、骨びらん(リュウマチなど)、挫傷、溶解性病変または芽球の有無を調べましょう。合わせて、半透明の骨病変および硬化性病変を探しましょう。
    • 骨密度が低下している箇所は、半透明の骨病変として現れます。周辺箇所と見比べると、黒く穴が開いているのが分かるでしょう。[12]
    • 骨硬化症(強膜骨)を起こしている箇所は、骨密度が高くなるため、さらに白く映ります。[13]
    • 関節部分を読影する際は、関節腔の閉塞や拡張、軟骨部分の石灰化、関節腔内の気泡、および異常な皮下脂肪(脂肪腫など)を見落とさないように注意しましょう。
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    心臓のシルエットサインを探します。基本的に、シルエットサインとは、輪郭の消失のことです。例えば、腫瘤や肺内の浸出液によって、肺および軟部組織の境界が不鮮明に映る場合は、「シルエットサイン陽性」となります。 [14] まずは心臓の陰影を見て、サイズを確認しましょう(両肺の間に映る白い部分が心臓です)。通常の心陰影が占める幅は、胸郭の半分以下です。
    • PA単純撮影で、心陰影が「きんちゃく型」に肥大している場合は、心嚢液貯留の疑いがあります。引き続き、超音波検査または胸部CT検査で疾患を確認しましょう。[15]
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    横隔膜をチェックします。平坦な横隔膜、またはせり上がった横隔膜には、いずれも注意が必要です。平坦な横隔膜は肺気腫の可能性を示唆します。一方、横隔膜がせり上がっていれば、肺炎などの炎症性疾患が原因で、肺胞腔の一部が硬化している疑いがあります。硬化が起こると、腹部に比べて組織の密度が高くなり、べったりとした陰影(浸潤影)が映るため、下肺野の輪郭が識別しにくくなります。[16]
    • 右横隔膜は真下の肝臓に押し上げられているため、通常は左横隔膜よりも高い位置にあります。[17]
    • 通常は鋭角であるはずの肋骨横隔膜角(下肺野の外側で肋骨と横隔膜が接する角、CPアングルとも)が鈍化していれば、胸水貯留の疑いがあります。[18]
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    心臓をチェックします。心臓の角を注意深く見ましょう。異常がなければ、心臓の陰影の縁がはっきりと見えるはずです。[19] 右肺の中葉や左肺の小舌が炎症を起こしている場合などは、放射線不透過像が心臓の境界を覆い隠します。さらに、外側の軟部組織に異常がないかを確かめましょう。
    • 心臓の直径が胸郭の直径の2分の1を超える場合は、心筋が肥大していることを示します。[20]
    • リンパ節にも注意が必要です。皮下気腫(外傷や肺の損傷によって、皮下組織に空気が溜まる症状)やその他の病変がないかを確かめましょう。
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    肺野をチェックします。まずは左右の対称性をチェックし、透明度の高い箇所(空気溜りなど)または濃度の高い陰影(硬化など)がないかを調べます。日頃から心臓および上腹部を通して肺の裏側を透視する練習をしましょう。さらに血管の分布状態を見て、腫瘤または小結節の有無を確認します。
    • 肺野を見て、浸潤または浸出液がないかを調べましょう。撮影前に造影剤を注射した場合は、気管支造影をチェックします。[21]
    • 肺胞が浸出液、血液、粘液、または腫瘍などで満たされると、肺は放射線不透過となり、画像に白く映ります。そのため、通常であればはっきりと見えるはずの間質性陰影が識別しにくくなります。
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    肺門部を読影しましょう。左右の肺門を見て、結節や腫瘤を探します。正面像の場合、肺門の大部分は、左右肺動脈の陰影として現れます。左肺動脈は常に右肺動脈の上位にあるため、左側の肺門は右側の肺門よりも高い位置に映ります。
    • さらに、肺門部でリンパ節の石灰化が起こっているかどうかをチェックしましょう。患者に結核感染の病歴があれば、なおさら注意が必要です。[22]

ポイント

  • 「習うより慣れよ」という言葉もあります。あらゆる症例のX線画像を読影し、その道の専門家を目指しましょう。
  • 傾き: 鎖骨頭と棘突起の位置関係をチェックしましょう。通常の正面像では、左右の鎖骨頭は棘突起から等距離でなければなりません。
  • 胸部X線画像の基本的な読み方として、最初に画像全体を見て、その後に特定箇所に移ります。
  • 胸部X線画像のすべての箇所を順番に読影し、些細な異常も見落とさないように心掛けましょう。
  • 過去のX線画像を入手できる場合は、必ず現在の画像と比較しましょう。新たな疾患を発見したり、経年変化を調べるのに役立ちます。
  • PA像では、心臓の直径は胸郭の直径の50%未満でなければなりません。


出典

  1. https://www.med-ed.virginia.edu/courses/rad/cxr/interpretation1chest.html
  2. https://lane.stanford.edu/portals/cvicu/HCP_Respiratory-Pulmoanry_Tab_2/Chest_X-rays.pdf
  3. https://lane.stanford.edu/portals/cvicu/HCP_Respiratory-Pulmoanry_Tab_2/Chest_X-rays.pdf
  4. http://www.med-ed.virginia.edu/courses/rad/cxr/technique7chest.html
  5. https://lane.stanford.edu/portals/cvicu/HCP_Respiratory-Pulmoanry_Tab_2/Chest_X-rays.pdf
  6. http://www.med-ed.virginia.edu/courses/rad/cxr/technique1chest.html
  7. http://www.med-ed.virginia.edu/courses/rad/cxr/technique3chest.html
  8. http://www.med-ed.virginia.edu/courses/rad/cxr/technique3chest.html
  9. http://www.med-ed.virginia.edu/courses/rad/cxr/technique4chest.html
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記事の情報

この記事はChris M. Matsko, MDが共著しています。 マイケル・R・ルイスはテキサス州在住の企業幹部(引退済み)起業家、そして投資アドバイザーです。

カテゴリ: 仕事・職業 | 人間医学 | 学び・コミュニケーション

他言語版:

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