自閉症の人を落ち着かせる方法

自閉症の人は知覚情報や強い感情に圧倒されてしまうことがあります。このような状態に陥った時は静かな場所へ連れていき気持ちを落ち着かせることが大切です。この記事を参考に、手を差し伸べる方法を学びましょう。

方法 1 の 3:
準備をする

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    自分自身を落ち着かせる まず自分自身が落ち着いて行動することができると、自閉症の人も落ち着きやすくなります。[1]
    • 我慢強く、理解を示しながら接することが大切です。自分がこのような状態に陥った時、周囲からどのように接してもらいたいのかを考え行動しましょう。
    • 大声を上げたり叱ってしまうのは禁物です。また、気を高ぶらせた自閉症の人を罰するような行為も控えましょう。相手も、わざとこのような振る舞いをしているのではありません。優しさに欠けた対応をすると状況は悪化する一方でしょう。まず自分自身を制御できないのであれば介入しないほうが賢明です。
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    相手が話せるのであれば、どうしたのか尋ねる 圧倒されてパニックになり、静けさを必要としていることもあれば、何か困難な状態に直面し(学校の成績や友達との口喧嘩など)、自分の感情にどう対処すればよいのか分からずに困っているということもあります。
    • 著しい感覚過負荷の状態に陥ると、普段は言語を用いてコミュニケーションをとることができても話すことができなくなります。これは過剰な刺激を受けたことが原因となっていて、心が落ち着くことで元に戻ります。相手が話せなくなってしまっている時は、「はい・いいえ」や首を縦や横に振るだけで答えることのできる質問を投げかけましょう。
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    静かな場所へ連れていく これが困難である場合は、周囲の人にその場を立ち去るようお願いしましょう。予期せぬ雑音や動きが、この自閉症の人に大きな負担をかけているということを説明すれば快く応じてくれるはずです。[2]
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    その場に残ってほしいか尋ねる 落ち着くまであなたに残ってほしいと思う人もいれば、一人になることを必要としている人もいます。いずれの場合も気を悪くせずに応じましょう。
    • 相手が話すことができない状態に陥っている場合は、首を縦や横に振らせることで、あなたからの問いに答えるよう促しましょう。あるいは、「私もこの部屋から出て行った方が良いかな?」と問いかけながら扉の方を指さし、相手が指さす方向を確認しましょう。
    • 一人になる必要があるのが小さな子供である場合は、大人が不在にならないよう、部屋の反対側などに距離を置いて腰掛け、静かにしていましょう(ケータイをいじる、本を読むなど)。[3]
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    何かに苦労している様子を見せている時は手を貸す 圧倒されてパニックになっていると、しっかりと考えることが出来なくなり、着心地の悪いセーターを脱ぐ、あるいは水を飲むといった単純な動作を行うことが難しくなります。こうした場合は、相手のパーソナルスペースを侵害しないよう気をつけながら手を貸しましょう。
    • 服を強く引っ張っている時は脱がせてあげる必要があるので、手を貸しても良いか本人に確認しましょう。[4] (本人の許可なしに脱がそうとしてはいけません。恐れおののいたり、驚いてしまう可能性があります。)
    • 水道の蛇口から水を飲もうとしている様子を見せているのであれば、コップを渡しましょう。
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    転げまわったり、体を激しく揺らしている場合、あるいは物を投げつけたりしている場合は怪我を防ぐ 危険なもの、壊れやすいものは片づけましょう。枕や、丸めたジャケットなどを頭の下に敷いて保護するか、自分の膝枕で相手を寝かせましょう。
    • 物を投げつけている場合は、こうした体の動きを行うことで気持ちを落ち着けようとしている可能性もあります。クッションのように投げても安全なものを渡してみましょう。自由に投げさせ、床に落ちたら拾い、再び手渡して投げさせます。徐々に落ち着きを見せるようになるかもしれません。
    • 危険で近寄ることができない場合は、無理に近づかないようにしましょう。気のすむまで投げさせ、疲れさせましょう。
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    どうすべきか分からない時は助けを呼ぶ 両親、教師、世話をする人(あるいは介護人)など、対処方法を心得ている人を呼びましょう。目の前の自閉症の人が必要としていることが分かるかもしれません。
    • 一般的に、 警察官はパニックに陥った自閉症の人の対処に関する訓練は受けていません。逆に状況が悪化したり、自閉症患者の人が怪我をしてしまう原因となる恐れもあります。警察ではなく、自閉症患者を個人的に知っていて信頼されている人物を呼びましょう。
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方法 2 の 3:
知覚を落ち着かせる

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    知覚的情報を減らす 自閉症の人は感覚入力に問題を抱えています。つまり、一般的に人が聞き、感じ、見る以上の情報が押し寄せています。あらゆるものの音量が最大になっているような状態に近いでしょう。
    • テレビやラジオを切りましょう(消さないよう本人から求められた場合は除きます)。
    • 照明を落としましょう。
    • 本人が望むのであれば、狭い場所に隠れさせましょう。例えば、クローゼットの中に隠れたり、電話を持って戸棚の中に入りたい、と希望するのであれば、その通りにさせましょう。(ただし、必ず好きなように外に出られるようにしておきましょう。)
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    体に触れる(本人がそれを許す場合) 抱きしめ、背中をさすり、愛情を示しましょう。軽く触れるのではなく、しっかりと触れましょう。この方が安心感を与え、落ち着きやすくなります。触れられることを拒む場合は気を悪くせずに、本人の意志に従いましょう。触れられる感覚も負担になっているというだけです。 [5]
    • 頼られた場合は、両腕を広げて抱きしめる仕草を見せてみましょう。
    • 抱きしめてみて、相手が体をこわばらせたり、あなたのことを押しのけた場合は、それ以上強要しないようにしましょう。抱きしめられることによる感覚も負担になっているのかもしれません。あるいは、抱きしめられることで衣類が肌に触れることを不快に感じていることもあります。[6]
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    触れられても大丈夫な相手であればマッサージを試みる マッサージ療法が自閉症患者に効果的に作用することも少なくありません。楽な姿勢に体を調整し、こめかみを優しく押してみましょう。同様に肩や背中、さらに足をマッサージしてみても良いでしょう。優しく、落ち着かせるように手を動かし、注意深く行いましょう。[7]
    • 肩を指さしたり、顔に手を押し当てたりすることで、 触れてほしい場所をあなたに示すかもしれません。
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    自己刺激行動は安全である限りは好きにさせる 自己刺激行動とは、自分を落ち着かせるために自閉症患者が何度も同じ行動を繰り返す状態を指します。手をパチパチとたたく、指を鳴らす、あるいは体を揺らすという動きが例えば見られます。これは、パニックに陥っている時に気持ちを落ち着かせるうえで重要な要素です。
    • ただし、怪我をしそうな行動をしているのであれば、より安全な動き(頭をたたいているのであれば、クッションを殴らせるなど)に変えるよう促してみましょう。
    • 何をしている場合でも、体を押さえつけないようにしましょう。攻撃・逃避反応状態に陥っている時であれば尚更です。あなたも、逃げようとした自閉症患者本人も深刻な怪我を負う恐れがあります。[8] 自閉症の人の体を無理やり掴んだり押さえるのは危険な行為です。
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    体に優しく圧力を加える 自閉症の人が体を真っすぐにして腰掛けている場合は、その後ろに立ち、後ろから両腕を回して体を包んであげましょう。自分の頭を相手の頭の横に並べ、頬を相手の頭にあてます。ギュッと抱きしめ、力を強めるべきか弱めるべきか聞いてみましょう。ディーププレッシャーと呼ばれていて、自閉症の人の心を落ち着かせる方法です。[9]
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方法 3 の 3:
言葉で落ち着かせる

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    心を落ち着かせる手助けが必要か尋ねる パニックの原因が知覚情報過多によるものでなく感情による可能性がある場合は、心を落ち着かせる「リラクゼーション」を行うと、話せる程度まで落ち着きを取り戻すかもしれません。こうしたリラクゼーションを行うことに相手が同意した場合は、下記のいずれかを試してみましょう。
    • グラウンディング: 今、視界にある5つのもの、触れられる4つのもの、聞こえる3つの音、そして鼻に入ってくる匂い(あるいは普段から好きな香り)を2つ挙げます。1つ挙げる毎に指で数えます。
    • タクティカルブリージング: 4秒数えながら息を吸い、4秒間息を止め、4秒数えながら息を履きます。4秒休憩し、再び同じ方法で呼吸をします。これを繰り返します。
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    聞くことに徹し感情を肯定する  とにかく誰かに話を聞いてもらいたいという場合もあります。本人が望むのであれば気の済むまでしゃべらせましょう。話に耳を傾けながら、次のような言葉をかけてみましょう。
    • 「必要であれば私が話を聞くから」
    • 「ゆっくりでいいよ、私はどこにも行かないから」
    • 「そんなことがあったなんて、大変だったね」
    • 「それは辛いね」
    • 「動揺するのも無理ないよね。難しい状況だもの。ストレスを感じて当然だよ」
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    好きなだけ泣くことを許す 思い切り泣いて感情をすべて出し切ってしまうしか方法がないこともあります。
    • 「泣いても全然良いんだよ」、「泣きたいだけ泣いていいよ、ここにいるから」といった言葉をっけましょう。
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    必要とされているならば慰める 相手を慰めたり、お気に入りの音楽をかけることもできます。愛情を示し、自閉症の相手の気持ちを落ち着けられるような方法は何でも試しましょう。
    • 最も効果的な方法とは、その場の状況によって異なります。抱きしめられるよりも、お気に入りの音楽を聴きながら体を揺らしたいのであれば、気を悪くせずに、その通りにさせましょう。今何を必要としているのか、本人が一番良く分かっています。
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ポイント

  • 言葉を発さない相手でも、話しかけることはできます。安心させるように優しい口調で話しかけましょう。少しずつ落ち着きを取り戻すかもしれません。[10]
  • 安心させるような言葉をかけることもできますが、あまり効果が見られないようであれば話しかけることを止め、静かに座っていましょう。[11]
  • 外的な刺激過多の状態によってパニックに陥っているので、さらに要望や指示を出さないようにしましょう。静かな場所が必要であるのも、このためです。[12]
  • 気が高ぶっている時、抱えられたり、体を揺らしてもらうことを好む子供もいます。
  • しばらくして十分落ち着いた際に何が原因だったのかを聞いてみましょう。詳細を把握することができれば、それに合わせて周辺環境を調整することも可能です。

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注意事項

  • パニックになっている自閉症患者を叱ってはいけません。公共の場でこのように取り乱すことは好ましくないと本人も理解している可能性が高い一方で、ストレスが蓄積し、神経がぷつんと切れることでパニック状態になることも少なくありません。
  • 構ってほしいからという理由でこのような行動をしているのではありません。かんしゃくのような扱いはしないようにしましょう。制御が非常に難しく、自閉症患者本人が後で恥ずかしく思ったり、罪悪感に苛まれることもあります。
  • 安全で本人も馴染みのある環境でない限り、パニック状態の自閉症患者を一人にしないようにしましょう。
  • 自閉症患者を絶対に殴ってはいけません。
  • 自閉症患者に怒鳴らないようにしましょう。自閉症患者にとって、パニックを起こすことが不快感を周囲に伝える唯一の方法である可能性もあります。
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このwikiHow記事について

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