虫垂炎(盲腸)の症状を見分ける方法

共同執筆者 Julia Bowlin, MD

この記事には:症状を確認する医療処置を受ける14 出典

現在みなさんの中で、下腹部付近に炎症を覚えている人は、虫垂炎にかかっている可能性があります。虫垂炎は10~30歳の年齢層で発症しやすい疾患ですが、一方で、10歳以下の子供や50歳以上の女性の場合、虫垂炎が引き起こす症状を早期に自覚できないケースもあります。診断の結果、虫垂炎と分かれば、おそらく手術によって盲腸の先から突起した「虫垂」を切除することになるでしょう。これは救急処置となるため、日頃から兆候を見落とさず、疑いのある時は早急に助けを求めることが大切になります。

緊急の症状

以下に挙げる症状の中で、複数の症状が併発した場合は、直ちにかかりつけの医師に連絡を取るか、または救急治療室へ急ぎましょう:

  • 38度以上の高熱
  • 背中(または腰)の痛み
  • 食欲不振
  • 吐き気や嘔吐
  • 下痢または便秘
  • 排尿障害(放尿時の痛み)
  • 直腸、背部、または腹部の痛み

パート 1
症状を確認する

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    虫垂炎の主な症状を覚えておきましょう。最も一般的な症状が、へその付近から右下腹部にかけて広がる、または移行する鈍い痛みです。他にもそこまで一般的ではない症状がいくつかあります。複数の症状を自覚した場合は、かかりつけの医師に相談するか、または病院へ行くのが賢明です。自身で症状を特定した時点で、速やかに医師に連絡を取るか、または病院へ直行しましょう。医療処置が遅れると、虫垂が破裂し、命の危険もあります。[1] 通常は発病してから12~18時間以内に自覚症状が現れるはずですが、そのまま放置しておくと、その後一週間でさらに症状は深刻になるでしょう。[2]虫垂炎の初期症状には以下のようなものがあります:
    • 食欲不振
    • 胃の不調:吐き気、下痢、便秘など(特に嘔吐の頻発を伴う場合)[3]
    • 発熱: 40度以上の高熱がある場合は直ちに病院へ行きましょう。38度前後の発熱であっても、その他の症状があれば、できるだけ早急に病院へ行きましょう。さらに、37度前後の微熱も虫垂炎の主な症状の一つです。
    • 悪寒や震え
    • 背部の痛み
    • 放屁困難
    • 迫便感: 排泄の際に伴う不快感または残便感
    これらの症状の大半はウィルス性胃腸炎にも共通します。ただ、胃腸炎の場合、痛みが局所的ではなく、腹部の広範囲に現れます。[4]
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    あまり一般的ではない症状にも注意しましょう。症状によっては、虫垂炎との関係が疑われにくいものもあります。上記のような頻度の高い症状に加えて、以下のような症状にも注意が必要です: [5]
    • 排尿障害
    • 腹部の痛みが現れる“前に”嘔吐が起こる
    • 直腸、背部、上腹部または下腹部に起こる鋭いまたは鈍い痛み
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    腹部の痛みに注意しましょう。一般的な成人の場合、虫垂は右下腹部、へそと骨盤を結んだ線上の3分の1の地点にあります。ただし、妊婦の場合、虫垂の位置が変わることもあります。虫垂炎を発症した場合は、痛みの“軌跡”に注意しましょう。症状を感じ始めて12~24時間後に、へその周辺に生じた鋭い痛みが右下腹部、ちょうど虫垂の真上に移行することがあります。このような症状に気付いた時は、直ちに救急治療室へ向かいましょう。
    • 成人の場合、虫垂炎の症状は4~48時間で悪化します。ひとたび虫垂炎の診断結果が出れば、救急処置が必要になります。[6]
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    腹部を押さえてみましょう。特に右下腹部を触るだけで激痛が走る場合は、救急治療室へ行った方が良いでしょう。自身で下腹部を押さえた時にも、おそらく痛み(圧痛)を感じるはずです。[7]
    • 「反跳痛」の有無を調べましょう。右下腹部を押さえ、手を素早く離した瞬間に鋭い痛みを覚える場合は、虫垂炎の疑いがあるため、しかるべき医療処置が必要になります。
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    腹部に“硬さ”がある場合にも注意が必要です。圧迫した際に、指はいつも通りお腹に食い込むでしょうか?もしくは、お腹が異常なほど硬くなってはいないでしょうか?腹部に硬さを感じるのは、腹壁が膨張しているせいかもしれません(筋性防御)。これもまた虫垂炎の症状の一つです。
    • 腹部に痛みを覚えるものの、吐き気や食欲不振といった症状がない場合は、虫垂炎ではない可能性もあります。腹部の痛みの原因は様々で、必ずしも救急治療室へ行く必要はないでしょう。ただし、痛みが3日以上続くようであれば、かかりつけの医師に連絡を取って診断を仰ぎましょう。
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    真っ直ぐに立って歩いてみましょう。その際に深刻な痛みを感じる場合は、虫垂炎の疑いがあります。救急外来の待合室などで治療を待つ間は、膝を抱えて横向きの体勢を取り、少しでも痛みを和らげましょう。
    • 小刻みに体を揺すったり、咳をした際に、痛みがひどくならないかをチェックしましょう。
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    妊婦や子供では症状が異なる場合があります。妊婦の場合、虫垂が通常よりも高い位置にあるため、痛みが別の箇所に出ることがあります。2歳以下の幼児の場合、通常、嘔吐や腹壁の膨張と共に、腹部の痛みはかなり低い位置に現れます。虫垂炎を発症した幼児は摂食に支障を来たし、一見常に眠そうにしていることもあります。きっと大好物のお菓子ですら食べるのを嫌がるでしょう。
    • 年長の子供になると、痛みの症状は成人のそれと似通ってきます。へそにあった痛みはやがて右下腹部へと移ります。横になっても痛みが和らぐことはなく、少しでも体を動かせば痛みは悪化します。
    • 子供の場合、虫垂が破裂すると高熱が出ることになります。

パート 2
医療処置を受ける

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    治療前の薬剤の服用は避けましょう。虫垂炎の疑いがある時は、待合室で治療を待つ間に病状を悪化させるようなことがあってはいけません。医療処置を受けるにあたって、事前に避けるべきことがいくつかあります:
    • 下剤や痛み止めを服用してはいけません。下剤は腸管に無用の刺激を与え、炎症を悪化させる危険があります。また、痛み止めによって痛みを緩和してしまうと、腹部の症状を把握しにくくなります。[8]
    • 制酸薬を服用してはいけません。制酸薬によって胃酸を中和しようとすると、かえって痛みが悪化します。[9]
    • 患部に温湿布を当てるのも禁物です。すでに炎症を起こしている虫垂を破裂させる危険があります。[10]
    • 検査が終わるまでは食べ物や飲み物を摂取してはいけません。手術の最中に食べ物が気管や消化器官に流れ込む危険性が高くなります(誤嚥)。[11]
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    速やかに救急治療室へ行きましょう。虫垂炎の確信がある時は、もはやかかりつけの医師に数日後のアポイントメントを取りつけている場合ではありません。一刻も早く病院へ向かいましょう。治療が遅れ、虫垂が破裂すれば命に関わります。
    • 清潔なパジャマや歯ブラシといった“お泊りセット”を準備しましょう。虫垂炎の場合、手術を受けて一晩は入院することになるはずです。
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    救急治療室で症状を説明しましょう。トリアージを受ける際、救命看護師に虫垂炎の疑いがあることを伝えましょう。その後、病状の緊急性に応じて、みなさんの名前が傷病者の優先順位のリストに登録されます。つまり、頭部外傷の患者が緊急搬送されてくれば、少しくらいは待たされるかもしれません。
    • 待たされたからといって慌ててはいけません。自宅にいるよりはずっと安心です。たとえ待合室で虫垂破裂が起こったとしても、直ちに緊急手術を受けることができます。できる限り痛みから意識を逸らして辛抱強く待ちましょう。
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    検査の流れを覚えておきましょう。担当の医師を前にして、もう一度症状を説明します。消化器官に異常があれば(例えば、便秘や嘔吐)その旨を伝え、いつごろ痛みに気付いたのかを説明しましょう。医師はみなさんに虫垂炎の疑いがあるかどうかを判断していきます。
    • 触診を受けます。担当医はみなさんの下腹部をかなりの力で押さえつけるでしょう。そのようにして、虫垂破裂による腹膜炎または感染症の有無を調べていきます。腹膜炎を併発している場合、圧迫した際に下腹部の筋肉が痙攣を起こすはずです。場合によっては、この段階で直腸の簡易検査も行われるでしょう。
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    さらに検査は続きます。実験室での臨床検査や画像検査は虫垂炎の診断に不可欠です。それらの検査結果に基づき、医師は最終的な診断を下します: [12]
    • 血液検査: 白血球数を測定して数値が高ければ、たとえ微熱が出なくても、感染症にかかっていることが分かります。また血液検査では、電解質のアンバランスや脱水症状といった、虫垂炎以外の痛みの要因についても調べることができます。さらに、患者が女性の場合、医師は可能性を絞り込むために妊娠テストを行うかもしれません。
    • 尿検査: 尿路感染症や腎臓結石の有無を調べます。これらの疾患もまた腹部の痛みを引き起こします。
    • 超音波検査: 超音波画像診断によって、虫垂内の糞石、虫垂破裂、虫垂の肥大、またはその他の痛みの要因を特定することができます。放射線の最も安全な形態である超音波は、往々にして画像検査の第一選択肢として用いられます。
    • MRI検査: MRIは、X線を使うことなく、臓器のさらに詳細な撮影を可能にします。ただ、閉所恐怖症のみなさんは少し覚悟が必要かもしれません。MRI装置はかなり狭いスペースです。不安のあるみなさんは、医師に軽度の鎮静剤を投与してもらうこともできます。MRI装置は超音波検査装置と同じ目的で使用されますが、三次元画像によってさらに高度な画像診断ができます。
    • CTスキャン: CTは、X線でスキャンした対象をコンピューターで解析し、数ミリ単位で断面の画像をモニターに映し出していきます。被験者は検査の前に「造影剤」を飲みます。造影剤を吐き出さずに飲むことができれば、装置の寝台に仰向けになり、検査が始まります。検査時間は比較的短く(5~20分)、装置の内部はMRIほど狭くはありません。虫垂に炎症、破裂、閉塞物などがあれば、詳細に撮影することができます。CTスキャンは、現在ではほとんどの医療現場で利用されています。
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    手術を受けます。担当医は検査結果を判断して虫垂炎の診断を下します。虫垂炎と認められれば、「虫垂切除術」と呼ばれる手術を受ける以外に治す方法はありません。現在では、大半の外科医が腹腔鏡を利用した手術を好みます。従来の開腹手術に比べて切開の範囲が狭く、傷跡を極めて小さくすることができます。
    • 手術の必要がないと判断された場合、自宅に帰された後も12~24時間は気を抜くわけにはいきません。その間、抗生剤や痛み止め、または便秘薬の服用は控えましょう。また、症状が悪化した場合は、担当の医療者に連絡を取りましょう。ひとりでに症状が和らぐだろう、などと考えてはいけません。病院へ戻る際は、尿のサンプルを持参する必要があるかもしれません。再検査を受ける場合は、前もって、食べ物や飲み物を口にしないようにしましょう。手術中に合併症を引き起こす危険があります。
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    回復を焦ってはいけません。最近の虫垂切除は体への負担も少なく、日常生活に戻るまでにほとんど合併症を経験することはないでしょう。しかし、そうはいっても、手術を受けたことに変わりはありません。無理をせず、適切に予後の管理をしましょう。術後から本復までの間は、以下のポイントを心がけましょう:[13]
    • 時間をかけて固形食に戻りましょう。みなさんは消化器官の手術を受けたばかりです。術後24時間は食べ物や飲み物の摂取は禁物です。頃合を見て、担当医や看護師から最初は少量の飲み物、それからしばらくして固形食の許可が出るでしょう。やがて普段の食生活に戻ることができるでしょう。
    • 術後1日目は無理に体を動かしてはいけません。この際じっくり休んで回復に専念しましょう。その後2、3日は、軽めの作業や運動にいそしみましょう。適度な運動を通して体は徐々に快方に向かいます。
    • 術後の経過が思わしくない時は担当医を呼びましょう。痛み、嘔吐、めまい、立ちくらみ、発熱、下痢、血尿や血便、便秘、手術跡付近の膿や腫れなどの症状が現れた時は、迷わず担当医に連絡しましょう。虫垂を切除したにもかかわらず虫垂炎の症状が出るとなれば、担当医を呼ぶ以外にありません。

ポイント

  • 体質によっては、虫垂炎の従来の症状が現れず、ただ何となく体調が悪い、または気分がすぐれないといった感覚だけが続く場合があります。これは以下のような特殊な条件によって起こります:
    • 肥満
    • 糖尿病
    • H.I.V感染者
    • 癌患者および化学療法を受けている患者
    • 臓器提供を受けた患者
    • 妊娠(28週目以降であればリスクは高くなります)
    • 乳児および幼児
    • 高齢者
  • また「虫垂疝痛」と呼ばれる病状もあります。虫垂の痙攣または収縮によって下腹部が深刻な筋痙攣を起こします。現在では、糞石、腫瘍、瘢痕組織、または異物が原因とされていますが、かつて医師達にとっては、虫垂が自ら“声を上げる”などというのは受け入れがたい事実でした。痛みの症状が断続的に現れ、差し込むような痛みが長期間続きます。診断が難しい場合もありますが、後になって本格的な虫垂炎に進行することも珍しくありません。[14]

注意事項

  • 医療処置が遅れると、数か月あるいは下手をすれば生涯、人工肛門を装着することにもなりかねません。
  • 虫垂炎の疑いがある時は、決して医療処置を先延ばしにしてはいけません。 虫垂破裂は命に関わります。救急外来へ行って治療をせずに帰された場合は、症状が悪化した時点で必ず戻って再検査を受けましょう 。時間の経過と共に、手術適応まで症状が進行することも少なくありません。

記事の情報

この記事はJulia Bowlin, MDが共著しています。 ボウリン医師はオハイオ州に住む家庭医です。1993年にライト州立大学の医学部、「Boonshoft School of Medicine」から医学博士号を授与されています。

カテゴリ: 健康

他言語版:

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