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この記事の共著者 : Rocco Lovetere. ロコ・ラブティアは、カリフォルニア州の自動車修理所、「Rocco's Mobile Auto Repair」の共同経営者、そしてASE公認自動車技術士の資格を保有する熟練整備士です。1999年より自動車修理の仕事に従事しています。
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ウォーターポンプは車の重要な部品の一つです。エンジンにクーラント(冷却水)をポンプで常に送りつづけて車がオーバーヒートするのを防ぎます。ウォーターポンプに液漏れやベアリングの欠陥が生じるとエンジンに大きな損傷を与えます。自動車の下にクーラントが漏れて溜まっていた、あるいは水温計が高温を示した場合はウォーターポンプの交換が必要かも知れません。
ステップ
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1ガレージ(車庫)の汚れていないコンクリートの床に車を一晩停車します。適当な場所がないときは、車のエンジンの真下に明るい色のボール紙を1枚敷いておきます。しかし、ウォーターポンプからの液漏れはエンジンが回転している時ほど酷くなるため、問題の究明方法としては有効性がさほど高くないことも承知しておきましょう。
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2翌朝になったらボール紙の状態を調べます。クーラントで濡れていた場合は、恐らくウォーターポンプ、でなければラジエターホースかヒーターのホース、フリーズプラグ、ガスケット、あるいはラジエーター本体の何れかに液漏れがある証拠です。問題の箇所をさらに特定するため、ボール紙をウォーターポンプの真下に移します。ボール紙に緑色の液体が付着していれば不凍液です。これはどこかにクーラントの漏れがあることを意味しています。
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3ウォーターポンプのプーリー(滑車)を点検します。ウォーターポンプの前面に見える、ベルトが掛かっている丸い部品がプーリーです。プーリーを前後に揺すってみて緩みが生じるようなら、ベアリングが劣化し始めているため、プーリーの交換が必要かもしれません。
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4エンジンの音を聞いてみます。ボンネットを開けてエンジンをかけます。遅いピッチの擦るような音が聞こえた場合は、ウォーターポンプのベアリングの劣化が考えられます。劣化したベアリングの音は簡単に聞き分けられます。類似するベアリングは、エアコン用のコンプレッサーやパワーステアリングのポンプ、オルタネータ(発電機)でも使用されており、エンジンを回した状態での正確な音の発生源の特定は普通困難であるため、集中して音の発生源を聞き分ける必要があります。
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5ウォーターポンプ周辺の液漏れを調べます。水滴や小さな液の流れが見えたなら液漏れが存在します。シールが劣化した場合に水を外に流出すため、ウォーターポンプの多くには排出口がシール前面に設けられています。
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6水温警告灯の点灯に注意しましょう。ウォーターポンプの液漏れや誤作動により十分なクーラントがエンジン内を循環しないと、エンジンの温度が上昇して警告灯が点灯します。
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7水量計が点灯していないかに気をつけます。点灯した場合はクーラント貯蔵タンクの液漏れ、またはウォーターポンプの劣化を知らせる合図かもしれません。冷却システム内の液漏れも原因の一つとして考えられます。広告
ポイント
- 車の下に水溜りを見つけても、暑い日であればウォーターポンプや冷却システムの問題を示しているとは限りません。エアコンを使用すると、車内で結露が起こり水滴が車の下に落ちますが、これはよくあることです。
- 小さな穴を探してみましょう。これがウォーターポンプの劣化や故障時に水が漏れ出す排出口です。
- 時として液漏れやベアリングからの異音もせず、また、その他の部品、例えば冷却ファン、ベルト、ホース、サーモスタット、ラジエター、ヒーターコア、キャップ等のすべてが正常に動作しているにも関わらず、オーバーヒートを起こしたときにキャップから蒸気が噴き出すことがあります。これは多くの場合キャップが他の部品の安全装置として、過度の圧力を外に放出するように設計されているために起こる現象です。
- 一部のウォーターポンプにはプラスチック製の回転翼でクーラントを循環するものがあり、防錆剤が一度磨耗で消失するとクーラントが腐食することがあります(添加剤消失によるエンジン損傷を防ぐには、3~7年に一度クーラントの交換が必要です)。ウォーターポンプの回転翼が摩滅してクーラントを循環しなくなると、自動車のオーバーヒートが起こります。この回転翼の状態を調べるには、ラジエターキャップを外した状態でエンジンをかけ、ラジエター内部の液体の流れを見ます。流れが見受けられない場合は、回転翼のブレードが消失あるいは僅かにしか残っていない可能性があります。しかしながら、自動車にサーモスタットが装備されているならば、作動温度に到達してサーモスタットが開口しない限りクーラントは循環し始めず、この点検方法にはあまり意味がありません。また、高温になっているラジエターキャップを外すのにも躊躇うところでしょう。
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注意事項
- クーラントが少ない状態での運転中またはその直後には、エンジンを先ず十分に冷ましてから水やクーラントを補充しましょう。エンジンが高温になったままで冷水を足すと、激しい温度差によってエンジン本体にひびが入り、折角の節約も大きな出費になってしまうでしょう。
- クーラントの原液100%での補充は、温度上昇さらにはオーバーヒートを誘発するので止めましょう。一般的には50対50に混ぜますが、70対30を推奨する車種もあるので個々の仕様書に従います。近年のエンジンで使用するには沸点が低過ぎるため、水だけでの使用も絶対に止めましょう。
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