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車のボディに発生したサビはとても厄介です。放っておくと下の金属が湿気や空気に晒されてさらなる酸化や腐食を引き起こし、サビはあっという間に広がります。近々売却を考えている人も、売却の予定のない人も、自身の車はサビひとつないきれいな状態にしておきたいでしょう。そのためには今すぐ作業が必要です。早い段階で錆び付いた箇所のサビを取り除き、新たに塗装し直せば、サビが広がる前にダメージを食い止めることができます。

方法 1
方法 1 の 2:

研磨作業と錆び付いた箇所の再塗装

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    安全対策をしましょう。以下の作業ではサンダーやグラインダーといった研磨機を使います。これらの強力な電気工具で削られた頑固なサビや塗装が空中に飛び散ります。怪我を防ぎ、飛び散る破片から身を守るために、グローブ、安全ゴーグル、そしてとりわけ防塵マスクを忘れずに着用して、サビや塗料の粒子を肺に吸い込まないように注意しましょう。
    • 思った以上に大掛かりな作業になる場合もあります。通常の防塵マスクではなく、本格的な防毒マスクの使用も考えましょう。
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    汚したくない箇所はすべて覆いましょう。上記のように、作業中はサビや塗装の細かい破片が空中に飛びます。注意を怠ると車体のいたる所にサビや塗料の粒子が付着し、車体が“汚い”見た目になるとともに、後で汚れを落としにくくなります。そのような事態を避けるために、作業と無関係な箇所には「マスキング」をしましょう(テープとマスキングペーパーでカバーを作ります)。さらに、車の下に防水シートを敷いてマスキングテープで留め、作業エリアを確保するとともに、床を保護しましょう。
    • 車へのマスキングは神経を使う作業です。新聞紙を使用してはいけません。スプレー塗料が下に染み出して車体に見苦しい斑点が残ります。 代わりに、浸透性が低く、塗料を通さない本格的なマスキングペーパーを使いましょう。また、必ずマスキングペーパーのすべての縁をテープで留めましょう。数か所のみにテープの断片を貼って固定するような真似をしてはいけません。往々にして塗料が隙間から流れ込んでしまいます。
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    できる限りパネルのラインに沿ってマスキングをしましょう。総じて、パネルの途中でマスキングが途切れると、塗装作業を終えた際に、新しい塗装と古い塗装の間に一目でそれと分かる境目が出来てしまいます。この境目は、どれほどバフ(研磨用スポンジ)で磨いても、またはどれほどクリヤー塗料でコーティングしても、消すことはできません。塗装作業の成否は、最初の段階で車体に正しくマスキングができるかどうかで決まります。サビの発生したパネルに入り込まないように注意しながら、隣のパネルのラインに沿って正確にテープを貼りましょう。
    • 板金塗装の経験のあるみなさんは、あえてサビの箇所から数枚パネルを空けた状態でマスキングをすることもできます。塗装の際には、カラースプレーを使って徐々に色調を変えていき、パネル同士の色調のコントラストを最小限に抑えます。これは「ぼかし塗装」と呼ばれる高度なテクニックです。
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    ダブルアクションタイプのサンダーでサビ周りの塗装を削ります。シングルアクションタイプに比べて、ダブルアクションタイプは研磨速度を自在に調整しながら塗装を落とすことができます。サンドペーパーの粒度は、粗目の# 80から始めて#150まで徐々に細かくしていきます。ダブルアクションタイプのサンダー(#80~150まで張り替えます)を使って、下塗り塗料(プライマー)、カラー塗料、そしてまだ金属に癒着していない薄サビまですべて削り落とします。塗装部分と塗装を落とした箇所の境界が滑らかになるように研磨しましょう。
    • 作業が終わったら、グローブを装着したまま指で表面を触って滑らかな感触を確かめましょう。
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    グラインダーを用意します。金属加工用のグラインダーを使って分厚いサビを削り落とします。サビを落とした箇所が陥没しているのが分かるでしょう。グラインダーを使用する際は、ゆっくり慎重に作業を行いましょう。グラインダーを不正確に扱うと、車体に大きな損傷を与えてしまいます。研磨作業が終わったら、サビを削った箇所にサビ取り剤を塗り、細かいサビの粒子をすべて落とします。
    • 通常、サビ取り剤として最も効果的なのがリン酸です。リン酸はほとんどのカー用品店で購入できます。
    • 必要とあれば、穴埋め用のフィラー(充填材)を始めとする下地調整材で陥没箇所を塞ぎましょう。その後、塗装を落とした箇所全体にフィラーを塗ります。フィラーを塗った箇所はサンドペーパー(#120)を使って手作業で磨き、金属の表面を滑らかな見た目に仕上げます。フィラーの詳しい使い方については次の項を参照しましょう。
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    研磨した箇所にプライマー(下塗り塗料)を塗る準備をします。金属塗装用のプライマーと、車体と同色のカラースプレーを用意します。それらの塗料はいずれもカー用品店で購入できます。プライマーはメーカーによって違いがあるため、必ず使用上の注意に従いましょう。また、分からないことがあれば用品店の専門スタッフに相談しましょう。通常は塗装作業の前に以下の下準備を行います:
    • 塗装箇所をミネラルスピリットまたはシンナーできれいにします。
    • 塗装箇所の周り1mの範囲に新聞紙を貼ります。
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    プライマーを薄く均等に塗り重ねます。スプレーを使ってプライマーを3層に塗ります。塗料がしっかりと付着するように、1層塗るたびに2、3分間隔を空けて吹き付けましょう。プライマーを塗りすぎてはいけません。1層毎に、滴り落ちない程度に薄く吹き付けるのがポイントです。
    • ほとんどの場合、塗りたてのプライマーが乾くまでに一晩(最低12時間)は掛かります。
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    水に濡らした# 400のサンドペーパーで磨きます。この種のきめの細かいサンドペーパーは、下塗りの表面を滑らかにしたり、ペンキが付着しやすいように艶消しを行う際に使用されます。サンドペーパーが塗料に引っかからないように、頻繁にサンドペーパーを水に浸しましょう。水を入れたバケツを近くに置いておくと作業がしやすくなります。仕上げに、薄い石鹸水で塗装箇所を洗浄しましょう。
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    スプレーでカラー塗料を薄く吹き付けます。塗料が垂れないように、カラースプレーは薄く吹き付け、1層塗るたびに2、3分間隔を空けましょう。好みの色合いになるまで、プライマーの上からカラー塗料を何層でも塗り直しましょう。
    • テープを剥がす前に、少なくとも24時間はそのままにしてカラー塗料が乾燥するのを待ちましょう。生乾きの状態であれば、さらに時間が必要です。辛抱強く待ちましょう。
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    新しい塗装の縁をバフで磨いて古い塗装との間のムラを調整します。必要とあれば、クリヤー塗料を塗って車体の他の部分と光沢を合わせましょう。最後に、48時間そのままにして塗料を硬化させます。
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    車を洗い、スポンジで磨きます。これで作業は終了です!車のサビも取れて、気分新たに運転できます。
    • 注意: 作業後30日は新たな塗装にワックスを掛けてはいけません。バフなどで強く擦ると塗料が剥がれる恐れがあります。
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方法 2
方法 2 の 2:

フィラー(充填材)を使った方法

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    グラインダーでサビを削り、下の板金を剥き出しにします。これは上記の塗装方法とは若干異なりますが、作業の要領はほとんど同じです。特に板金に穴や窪みが出来るほどサビが酷い場合には効果的です。まずは、金属加工用のグラインダーを使ってすべてのサビを削り落とします。たとえ窪みが出来ても、サビのない“きれいな”板金が現れるまで研磨作業を続けましょう。
    • すべてのサビを落とすことが大切です。わずかでもサビの破片が残っていると、やがて塗装の下で腐食を引き起こし、また新たなサビが発生します。
    • グラインダーを使う作業には危険が伴います。ここでも前項で述べた安全対策をしっかりと実践しましょう。すなわち、グローブ、安全ゴーグル、そしてとりわけ防塵マスクを装着して、肺に粒子を吸い込まないように気を付けましょう。
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    サビ止めフィラーで穴を塞ぎます。サビを削った箇所にフィラーを塗ります。一般的なフィラーであれば、ほとんどのカー用品店で安価で購入できます。ただし、穴のサイズがあまりにも大きい場合には工夫が必要になります。大きな穴を塞ぐには、塗料が付きやすく、なおかつサビの出ない、平らで比較的頑丈な素材が必要です。その素材を市販のフィラーで塗り込んで固定し、乾燥させます。
    • 意外にも、ビールや炭酸飲料の缶が穴埋めには効果的です。缶の素材であるアルミニウムは本来防腐効果が高く、最近のアルミ缶の大半は保護膜でコーティングされています。または、薄くて硬いアクリルシートなども選択肢の一つです。
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    サンドペーパーで平らに磨きます。サンドペーパーを使って表面を滑らかにします。穴を塞いだ箇所が車体の他の塗装箇所と同じ高さになるまで研磨作業を続けましょう。これは長く、面倒な作業になります。ペーパー掛けをしている最中、フィラーが過度に削れることも珍しくありません。そうなると、定期的にフィラーを継ぎ足して乾燥させる必要があります。穴埋めと研磨作業が交互に延々と続くでしょう。
    • 最初にきめの粗いサンドペーパーで目立った凹凸を取り除き、その後徐々にきめを細かくしていきましょう。最後は最もきめの細かい(#の大きな)サンドペーパーで表面を完璧に仕上げます。
    • 時間をかけて着実に手作業で研磨するのが最善の方法です。サンダーなどの研磨機を使うとフィラーの表面をズタズタにする恐れがあります。
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    周辺箇所にマスキングをしましょう。いよいよサビを落とした箇所の塗装作業に入ります。その前に、車体の他の箇所にしっかりとマスキングをして下塗り塗料や他の粒子が付着するのを防ぎましょう。窓やタイヤも忘れずにマスキングしましょう。
    • 新しい塗装と古い塗装の間のムラを消すために、できる限り車体の継ぎ目に沿ってマスキングをしましょう(ただし、ぼかし塗装をする場合は、新たに塗装する箇所の周りにスペースを空ける必要があります)。
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    プライマーとカラー塗料を塗ります。プライマーを薄く塗り、1、2分ほど間隔を空けて付着させた後、再び塗り直します。一晩かけてプライマーを乾燥させます。12時間後、カラー塗料が正しく接着するように、水に濡らした# 400のサンドペーパーで表面を磨きます。研磨作業が終わったら、次にカラー塗料を塗ります。プライマーと同様に、1、2分ほど乾燥時間を設けながら、一層ずつ薄く塗りましょう。
    • 最後にバフで塗装箇所の端を磨き、さらにクリヤー塗料でコーティングして車体の他の箇所と仕上がりを合わせましょう。
    • 当然ながら、車体の色に合わせたカラー塗料を用意することが大切です。車にはそれぞれカラーナンバーがあり、エンジンルームやドアの当たり部といった箇所に型番とともに表示されています。カラー塗料を購入する際にはこのカラーナンバーが必要です。表示箇所が分からない場合でも、用品店や板金工場に行けば快く教えてもらえるでしょう。ただし、車の塗装は年月とともに少しずつ変色します。
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ポイント

  • 上記のように時間をかけてサビを落とす代わりに、「錆転換剤」を使う方法もあります。錆転換剤を直接サビの発生した箇所に塗ります。従来の研磨→プライマー→カラー塗装の方式とは違い、錆転換剤を使えば、サビ下の板金が剥き出しになるまで研磨する必要もありません。錆転換剤にはタンニンと有機ポリマーという2つの有効成分が含まれています。有機ポリマーはプライマーとして保護膜を形成します。一方、タンニンは酸化鉄と反応して、サビをタンニン酸鉄(黒または青色をした安定性の高い腐食物質)に変換します。
  • 車体の広範囲にわたってしつこいサビが発生している場合は、専門家に任せるのが賢明です。
  • まだサビが発生していない細かいキズの手当にはボトルタイプの錆転換剤が効果的です。まずは少量を紙コップに移しましょう(コップに少しでもサビが入ると転換剤は使い物にならなくなります。その場合、残りは処分するしかありません)。転換剤を付けた歯ブラシを使い、塗装箇所の端に向かってキズを軽く擦ります。数時間そのままにして化学反応を起こした転換剤が乾燥するのを待ちましょう。その間車を動かしてはいけません(薬液が流れない程度まで乾燥すれば運転できます)。転換剤でコーティングした箇所はタールのシミのように黒ずんだ色合いをしているはずです。車体が中間色や暗色またはメタリックカラーであれば、ほとんど目立たないでしょう。その上からタッチアップペンを使ってカラー塗料を塗ることもできます。
  • フェンダー部分またはその周辺にサビが発生している場合は、いずれかの車輪に輪留めをかけ、ジャッキを使って安全に車を浮かすと作業がしやすくなります。車輪を取り外し、さらにホイールハウスを保護しているプラスチック部分も取り外します。そうすれば、凹みがあれば内側から叩いて修理することができます。また、研磨作業や塗装作業の際にも、広い作業範囲を確保できます。
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注意事項

  • グローブ、安全ゴーグル、防塵マスクを装着して怪我を予防するとともに、サビや塗料の吸入を防ぎましょう。
  • スプレーの高圧ガスは可燃性ガスです。サビを落としている最中、作業場では喫煙のような火を起こす行為は厳禁です。
  • リン酸を使用する際は必ずパッケージに記載された使用上の注意に従いましょう。


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Andrew Quinn
共著者 ::
熟練工
この記事の共著者 : Andrew Quinn. アンドリュー・クインはミズーリ州カンザスシティーに住む熟練整備士です。ASE公認自動車技術士であり、Valoline、Instant Oil Change、National Tire & Battery、Tires Plusなどの企業で9年以上自動車整備の仕事を続けています。 この記事は12,608回アクセスされました。
カテゴリ: 自動車
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