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風とは、気圧の高いところから気圧の低いところに向かってほぼ水平方向に流れる空気の塊のことです。[1] とくに、強風には構造物の表面に負荷をかけるほどの破壊力があります。この負荷の強さのことを「風荷重」と言い、構造物の大きさや形状によってその影響は様々です。この風荷重の算定は、耐風性の高い安全な建物を設計・施行したり、建物の上にアンテナなどの物体を設置したりするときに必要になります。

方法 1 の 3:
一般式を用いて風荷重を求める

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    一般式を定義する 風荷重の一般式はF = A x P x Cdで、Fは風力または風荷重、Aは物体の見付面積、Pは風圧、Cdは抗力係数を表しています。[2] この一般式は、特定の物体にかかる風荷重を概算するのには便利ですが、新築の計画を立てる際の建築基準法の要件を満たしているわけではありません。
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    見付面積「A」を求める 見付面積とは、風を受ける平面積のことです。[3] 風荷重を本格的に求めるには、同じ式を用いて建物の各面積を求めなければなりません。例えば、建物の西面の面積が20m2の場合は、このAの値を用いて西面の風荷重を求めます。
    • 面積を求める式は、面の形状によって様々です。面の形状が平らな場合は「面積=底辺×高さ」という式を用い、丸みを帯びている場合は「面積=直径×高さ」という式を用いて概算します。
    • 国際単位系(SI)で求める場合は、Aを平方メートル(m2)単位で求めましょう。
    • 帝国単位系で求める場合は、Aを平方フィート(ft2)単位で求めましょう。
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    風圧を求める 帝国単位(ポンド/平方フィート)での風圧Pの簡単な求め方はで、Vはマイル毎時(mph)で風速を表したものになります。[4] 風圧をSI単位系(ニュートン/平方メートル)で求める場合は、という式を用いて、風速Vをメートル毎秒で求めましょう。[5]
    • 上記の式は、米国土木学会(ASCE)の規定に基づいています。「0.00256」という係数は、空気の密度と重力加速度の標準値に基づいて計算したものです。[6]
    • 建築技術者は、周囲の地形や工事の種別などの係数も計算に入れて、もう少し正確な式を用いています。この場合、ASCE 7-05に規定されているものの中から選ぶ、または下記の統一建築基準法(UBC)の式を用いるという2つの方法があります。
    • 風速がわからない場合は、電子工業会(EIA)の水準を用いて、お住まいの地域の最大風速を調べましょう。例えば、アメリカではほとんどの地域が風速86.6 mph(約38.7 m/s)の「区分A」に属していますが、沿岸地域によっては風速100 mph(約44.7 m/s)の「区分B」、または風速111.8 mph(約50 m/s)の「区分C」に属している場合もあります。
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    当該物体の抗力係数を求める 抗力とは空気が建物に及ぼす力のことで、建物の形状や表面の粗度など、いくつかの要因による影響を受けます。通常、建築技術者は実験によって抗力を直接測定していますが、大まかな目安として測定している形状の一般的な抗力係数を調べるということも可能です。以下に例を示します。 [7]
    • 一般的な抗力係数は長い円柱で「1.2」、短い円柱で「0.8」となっています。この標準抗力係数は、多くの建物で見られるアンテナパイプに当てはまります。
    • 建物の壁面などの平面の場合、一般的な抗力係数は長い四角柱で「2.0」、短い四角柱で「1.4」となっています。
    • 抗力係数には単位がありません。
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    風荷重を求める 上記で求めた値を用いて、F = A x P x Cdという式で風荷重を求めましょう。
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    (例)秒速30メートルの突風で長さ1メートル、直径1センチのアンテナにかかる風荷重を求める
    • 見付面積の概算から始めましょう。この場合は、となります。
    • 風圧を求めると、となります。
    • 短い円柱の抗力係数は「0.8」です。
    • これらの値を方程式に代入すると、となります。
    • よって、アンテナにかかる風荷重(量)は「4.4136 N」です。
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方法 2 の 3:
電子工業会(EIA)の数式を用いて風荷重を求める

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    電子工業会(EIA)が開発した数式を定義する 風荷重の式はF = A x P x Cd x Kz x Ghで、Aは見付面積、Pは風圧、Cdは抗力係数、Kzは粗度係数、Ghはガスト応答係数を表しています。この式では、さらにいくつかの媒介変数を計算に入れて風荷重を求めます。通常、この式はアンテナにかかる風荷重を求める際に用いられます。ただし、こちらの方法では、「メートル(m)」などの単位を用いることができず、「フィート(ft)」などの単位に換算しなければなりません。
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    方程式の変数を理解する 方程式を正しく用いるには、まず各変数が何を表しているのか、それに関連する単位が何なのかを理解しなければなりません。
    • APおよびCdは一般式で用いられる変数と同じです。
    • Kzは粗度係数で、地面から物体の中心点までの高さを計算に入れて求められます。このKzの単位は「フィート(ft)」です。
    • Ghはガスト応答係数で、物体の全高を計算に入れて求められます。このGhの単位は「1/feet」または「ft-1」です。
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    見付面積を求める 物体の見付面積は、その形状と大きさによって様々です。見付面積は、風が当たる物体が平らな場合のほうが、丸みを帯びている場合よりも簡単に計算することができます。ただし、この見付面積は、あくまで風が当たる面積の概算値です。見付面積を求める式というものはありませんが、いくつかの基本的な計算を行えば概算することができます。なお、この見付面積の単位は「ft2」です。
    • 四角柱の場合は、「面積=底辺×高さ」という式を用いて、風が当たる面の底辺と高さを求めましょう。
    • 円筒または円柱の場合は、底辺と高さを用いて面積を概算しましょう。この場合、「底辺」は円筒または円柱の直径になります。
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    風圧を求める 風圧を求める式はP = 0.00256 x V2で、Vはマイル毎時(mph)で風速を表したものになります。なお、風圧の単位は「ポンド/平方フィート(psf)」です。
    • 例えば、風速が70 mph(約31.3 m/s)の場合、風圧は0.00256 x 702 = 12.5 psfとなります。
    • ある特定の風速で風圧を求めるのではなく、各風域の水準を用いることも可能です。例えば、電子工業会(EIA)によると、アメリカではほとんどの地域が風速86.6 mph(約38.7 m/s)の「区分A」に属していますが、沿岸地域によっては風速100 mph(約44.7 m/s)の「区分B」、または風速111.8 mph(約50 m/s)の「区分C」に属している場合もあります。
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    当該物体の抗力係数を求める 抗力とは、物体の表面にかかる負荷により流れの方向に働く正味の力のことをいいます。[8] 抗力係数は流体中の物体に働く抗力を表しており、物体の形状や大きさ、粗度によって様々です。
    • 一般的な抗力係数は長い円柱で「1.2」、短い円柱で「0.8」となっています。この標準抗力係数は、多くの建物で見られるアンテナパイプに当てはまります。
    • 建物の壁面などの平面の場合、一般的な抗力係数は長い四角柱で「2.0」、短い四角柱で「1.4」となっています。
    • 四角柱と円柱の抗力係数の差は約「0.6」です。
    • 抗力係数には単位がありません。
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    粗度係数「Kz」を求める Kzを求める式は[z/33](2/7)で、zは地面から物体の中心点までの高さを表しています。
    • 例えば、長さ3フィート(約0.9メートル)のアンテナが地面から48フィート(約14.6メートル)離れている場合、zは46.5フィート(約14.2メートル)になります。
    • Kz = [z/33](2/7) = [46.5/33](2/7) = 1.1 ft
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    ガスト応答係数「Gh」を求める ガスト応答係数を求める式はGh = .65+.60/[(h/33)(1/7)]で、hは物体の高さを表しています。
    • 例えば、長さ3フィート(約0.9メートル)のアンテナが地面から48フィート(約14.6メートル)離れている場合、Gh = .65+.60/[(h/33)(1/7)] = .65+.60/(51/33)(1/7) = 1.22 ft-1となります。
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    風荷重を求める 上記で求めた値を用いて、F = A x P x Cd x Kz x Ghという式で風荷重を求めましょう。すべての変数を代入したら計算を行います。
    • 例えば、時速70マイル(秒速約31.3メートル)の突風で長さ3フィート(約0.9メートル)、直径0.5インチ(1.27センチ)のアンテナにかかる風荷重を求めるとします。また、このアンテナは高さが48フィート(約14.6メートル)の建物の上に設置されています。
    • 見付面積の計算から始めましょう。この場合は、A = l x w = 3 ft x (0.5in x (1 ft/12 in)) = 0.125 ft2となります。
    • 風圧を求めると、P = 0.00256 x V2 = 0.00256 x 702 = 12.5 psfとなります。
    • 短い円柱の抗力係数は「0.8」です。
    • 粗度係数を求めると、Kz = [z/33](2/7) = [46.5/33](2/7) = 1.1 ftとなります。
    • ガスト応答係数を求めると、Gh = .65+.60/[(h/33)(1/7)]= .65+.60/(51/33)(1/7) = 1.22 ft-1となります。
    • これらの値を方程式に代入すると、F = A x P x Cd x Kz x Gh = 0.125 x 12.5 x 0.8 x 1.1 x 1.22 = 1.68 lbsとなります。
    • よって、アンテナにかかる風荷重(量)は「1.68lbs」です。
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方法 3 の 3:
統一建築基準法(UBC)1997年版の数式を用いて風荷重を求める

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    統一建築基準法(UBC)1997年版の数式を定義する この式は、風荷重の算定ために統一建築基準法(UBC)の一環として1997年に開発されました。風荷重を求める式はF = A x Pで、Aは見付面積、Pは風圧を表しています。ただし、この式とは別に風圧も求めなければなりません。また、こちらの方法でも、「メートル(m)」などの単位を用いることができず、「フィート(ft)」などの単位に換算しなければなりません。
    • 風圧(PSF)を求める式はP= Ce x Cq x Qs x Iwで、Ceは高さ、粗度、およびガスト応答係数を組み合わせたもの、Cqは圧力係数(上記2つの式における抗力係数に相当)、Qsはよどみ点圧力、Iwは重要度係数を表しています。これらの値はすべて該当する表から算出または取得することが可能です。
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    見付面積を求める 物体の見付面積は、その形状と大きさによって様々です。見付面積は、風が当たる物体が平らな場合のほうが、丸みを帯びている場合よりも簡単に計算することができます。ただし、この見付面積は、あくまで風が当たる面積の概算値です。見付面積を求める式というものはありませんが、いくつかの基本的な計算を行えば概算することができます。なお、この見付面積の単位は「ft2」です。
    • 四角柱の場合は、「面積=底辺×高さ」という式を用いて、風が当たる面の底辺と高さを求めましょう。
    • 円筒または円柱の場合は、底辺と高さを用いて面積を概算しましょう。この場合、「底辺」は円筒または円柱の直径になります。
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    高さ、粗度、およびガスト応答係数を組み合わせたもの「Ce」を求める CeはUBCの表16-Gをもとにして選び、高さの異なる3つの地表面粗度区分を参照して、各値に一致する値を求めます。
    • 「地表面粗度区分Bとは、建物や樹木などで周辺20%以上の地表面が凹凸になっている状態が当該地から1.6 km以上にわたって広がっている地域のことをいいます」
    • 「地表面粗度区分Cとは、当該地から0.8 km以上にわたって広がる、広く開けた平坦地のことをいいます」
    • 「地表面粗度区分Dは粗度が最も高く、基準風速が129 km/hr以上で、大きな水域に面した平坦で障害物のない地域のことをいいます」
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    当該物体の圧力係数を求める 圧力係数Cqは抗力係数Cdと同義で、抗力とは物体の表面にかかる負荷により流れの方向に働く正味の力のことをいいます。[9] 抗力係数は流体中の物体に働く抗力を表しており、物体の形状や大きさ、粗度によって様々です。
    • 一般的な抗力係数は長い円柱で「1.2」、短い円柱で「0.8」となっています。この標準抗力係数は、多くの建物で見られるアンテナパイプに当てはまります。
    • 建物の壁面などの平面の場合、一般的な抗力係数は長い四角柱で「2.0」、短い四角柱で「1.4」となっています。
    • 四角柱と円柱の抗力係数の差は約「0.6」です。
    • 抗力係数には単位がありません。
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    よどみ点圧を求める よどみ点圧Qsを求める式はQs = 0.00256 x V2で、上述した風圧の計算式に相当し、Vはマイル毎時(mph)で風速を表したものになります。
    • 例えば、風速が70 mph(約31.3 m/s)の場合、よどみ点圧は0.00256 x 702 = 12.5 psfとなります。
    • ある特定の風速で風圧を求めるのではなく、各風域の水準を用いることも可能です。例えば、電子工業会(EIA)によると、アメリカではほとんどの地域が風速86.6 mph(約38.7 m/s)の「区分A」に属していますが、沿岸地域によっては風速100 mph(約44.7 m/s)の「区分B」、または風速111.8 mph(約50 m/s)の「区分C」に属している場合もあります。
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    重要度係数を求める 重要度係数Iwは、UBCの表16-Kを用いて求めることができます。重要度係数とは、建物の用途を計算に入れて風荷重を求める際に用いる乗数のことです。建物内に危険物がある場合、その重要度係数は従来の建物よりも高くなります。
    • 一般的な用途の建物の場合、重要度係数は「1」になります。
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    風荷重を求める 上記で求めた値を用いて、F = A x P = A x Ce x Cq x Qs x Iwという式で風荷重を求めましょう。すべての変数を代入したら計算を行います。
    • 例えば、時速70マイル(秒速約31.3メートル)の突風で長さ3フィート(約0.9メートル)、直径0.5インチ(1.27センチ)のアンテナにかかる風荷重を求めるとします。地表面粗度区分Bの地域にある高さが48フィート(約14.6メートル)の一般的な建物の上に設置されています。
    • 見付面積の計算から始めましょう。この場合は、A = l x w = 3 ft x (0.5in x (1 ft/12 in)) = 0.125 ft2となります。
    • Ceを求めましょう。表16-Gをもとにして、高さが48フィートで地表面粗度区分BのCeは「0.84」になります。
    • 短い円柱の抗力係数Cqは「0.8」です。
    • Qsを求めると、Qs = 0.00256 x V2 = 0.00256 x 702 = 12.5 psfとなります。
    • 重要度係数を求めます。今回は一般的な建物なので、Iwは「1」となります。
    • これらの値を方程式に代入すると、F = A x P = A x Ce x Cq x Qs x Iw = 0.125 x 0.84 x 0.8 x 12.5 x 1= 1.05 lbsとなります。
    • よって、アンテナにかかる風荷重(量)は「1.05 lbs」です。
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ポイント

  • 風速は、地面からの距離によって様々です。風速は構造物の高さとともに増加し、地面にあるものとの相互作用の影響を受けるため、地面に近いほど予測するのは不可能です。
  • このように予測が不可能な状況下においては、風を正確に計算することが困難な場合があるので注意しましょう。
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カテゴリ: 物理学
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