ADHDの子供を育てる方法

共同執筆者 Trudi Griffin, LPC

この記事には:家庭に日課と秩序を子供に肯定的に接する因果関係と一貫性を明確にするADHDへの理解と対処39 出典

ADHD (注意欠陥多動性障害)の子供の育児は大変なもので、通常の子育てとは異なる独特の対処法が必要です。適切な対応をしないと、親は子供の行動についてむやみに周囲に弁解をしたり、逆に行き過ぎた厳しさで子供に接することになります。厳しさと優しさのバランスの取り方は難しい問題ですが、親が何とかするしかありません。ADHDを持つ児童のケアに携わる専門家もこういった児童の指導は大変困難な仕事であることを認めています。しかし、親、保育士、教師などの大人が忍耐とぶれない態度をもって臨めば、ADHDを持つ児童を正しく指導することができます。[1]

パート 1
家庭に日課と秩序を

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    最大の課題は家庭での生活リズムを整えること ADHDの子供は計画を立てる、段階に沿って考える、時間を計画的に使うなどの日常生活に必要な技術の習得が苦手です。そのため、ADHDの子供がいる家庭の日常生活にはしっかりとした生活リズムの構築が不可欠です。言い換えれば、きちんとした日課の順守によって子供が好ましくない行動をとる可能性が減り、そもそも指導の必要性がなくなるということです。
    • 子供の問題行動の多くは、家庭内の秩序不足が原因かもしれません。例えば、ADHDの子供とその親は家事の手伝い、部屋の掃除、宿題などに最も悪戦苦闘を強いられます。しかし、子供が良い生活習慣を形成できるようなきちんとした生活環境が整っていれば、こういった戦いを避けることは可能です。さらに、良い生活習慣は子供が将来的に成功を収める能力の基礎になります。
    • 日課には基本的に毎朝するべきこと、宿題の時間、就寝時間、それにテレビゲームの使用時間などが含まれます。
    • 子供に期待することを「はっきりと」伝えましょう。「部屋を片付けなさい」ではあいまいすぎて、ADHDの子供には何から始めてどのように達成すればよいのかがわからず、混乱して集中力を失ってしまいます。もっと短く明確な行動を指示したほうがよいでしょう。例えば「おもちゃを拾って」「じゅうたんに掃除機をかけて」「ハムスターのケージを掃除して」「服を片付けて。クローゼットの中にね!」などと具体的に指示を出します。
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    明確な日課とルールを定める 家庭内でのルールと各自の役割をはっきりと家族に周知徹底します。ADHDの子供にほのめかしは通用しません。親が期待する行動や毎日するべきことは、きちんと明確に子供に伝えます。
    • 家庭での平日の日課を作成したら、子供部屋などに日課表を張りましょう。ホワイトボードにカラフルに書き、シールなどで飾り付けて楽しく仕上げます。その内容のすべてをひとつひとつ説明し、子供が正しく日課を理解できるように手を尽くします。
    • 日々するべきことはすべて日課に記載します。大抵のADHDの子供にとっては大問題の宿題も、その一部として組み込みます。子供に毎日その日の宿題を予定帳に記載させて、毎日決まった時間に決まった場所で取り組ませましょう。親は子供が宿題を始める前に目を通し、終わったら一緒に見直しをします。[2]
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    大きな課題は小分けにする ADHDの子供によく見られる無秩序さは、大抵、視覚的な負担がかかりすぎた結果であると理解する必要があります。[3]つまり、「自分の部屋の掃除」や「洗濯物をたたんで片づける」といった大きな作業は、その都度小分けしてあげる必要があります。
    • 例えば洗濯が済んだ衣類をしまう場合、まず子供に自分の靴下を全部探して片付けさせます。これをちょっとしたゲームにします。CDをかけて「最初の曲が終わるまでに靴下を全部見つけて、靴下の引き出しにちゃんとしまえるかな?」などと持ちかけます。完了したらまずきちんとできたことを褒めて、次も同様にパンツ、パジャマなどを探して引き出しに片付けさせます。これを洗濯物が全部片付くまで続けます。
    • 大きな作業を小分けにしてゆっくりと時間をかけて取り組むと、フラストレーションによる子供の問題行動を抑制するだけでなく、子供は成功体験を積み重ねることができ、親は子供を褒めるチャンスを何度も得られます。子供は成功を経験すればするほど「自分はやればできる」という自信を持つことができます。これは子供の成長に最も必要であり、将来的に自信を持って人生を歩むための自尊心を大きく育てることになります。結局のところ、成功が成功を生むのです。[4]
    • 子供を日課に沿って行動させるには、手助けが必要かもしれません。ADHDの子供は気を散らさずに集中したり、興味のない作業をし続けることが苦手ですが、だからと言ってお手伝いをしなくていい理由にはなりません。ただし、子供が一人でお手伝いをすることを期待するのにはやや無理があるかもしれません。これは子供によりけりです。まずは子供と一緒に前向きな姿勢で作業に取り組みましょう。一人でお手伝いすることを子供に期待しすぎてフラストレーションや喧嘩の種にしてしまうよりも、一緒に取り組むことでこれを建設的な経験にしましょう。
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    整理整頓をする 日課を守ることは生涯続く良い習慣となりますが、これを支えるためにはきちんと整った住環境も必要です。子供の部屋の整理整頓を手伝いましょう。ADHDの子供は目に入るすべての刺激が一気に頭の中に入ってきてしまうため、いつも混乱しています。そのため、自分の持ち物をうまく分類できると過剰な刺激への対処が楽になります。[5][6]
    • ADHDを持つ子供たちは整理棚、収納棚、壁掛けフックなどを上手に使って、物を分類したり片づけを行います。[7][8]
    • 色で分類したり、絵や写真で収納場所を表示すると視覚的なストレスを最小限に抑えることができます。ADHDの子供は目に入るすべての刺激が一気に頭の中に入ってきてしまうため、いつも混乱しています。そのため、自分の持ち物をうまく分類できると過剰な刺激への対処が楽になります。[9][10]
    • 断捨離をしましょう。全体的な整理整頓に加えて、まず子供の気を散らす「もの」を減らして子供が落ち着ける環境を整えます。何も置かない部屋にする必要はありませんが、子供が大きくなってもう遊ばないおもちゃ、着ない服、子供がもう興味を示さないガラクタなどを処分すると、調和の取れた環境を作ることができます。
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    子供の注意を引く 大人から子供にお願い、指示、命令などをする時は、子供がきちんと話を聞いていることを確認しましょう。子供が話に集中していなければ何事も達成できません。子供が頼まれた仕事を始めたら重ねて指示を出したり、口出しをして子供の注意を逸らしてはいけません。[11]
    • 子供と話すときは自分に注目させて子供と目を合わせます。これで必ずしも子供が話に集中するとは限りませんが、そのほうがメッセージが伝わりやすくなります。
    • 怒り、フラストレーション、その他否定的な口調は人に伝染しがちです。これは大抵、防衛機制によるものです。ADHDの子供は人を怒らせてしまうことが多く、自分ではコントロールできない行動で人から怒られることを恐れています。そのため、大声を出しても子供の注意を引き付けることはできません。
    • ADHDの子供は楽しいことや予想外の目先の変わったことによく反応します。例えばボールを軽く投げると子供の注意をひきつけることができます。数回、軽くキャッチボールをしてから伝えたいことに移行すると良いでしょう。例えば、簡単なクイズなども効き目があるかもしれません。掛け合いのある歌や手拍子のリズムを真似するゲームなども良いでしょう。こういった楽しい遊びを取り入れた方法は、大抵において功を奏します。
    • ADHDの子供は集中することが難しいため、子供が集中力を見せているときは邪魔したり、その作業を中断させることは避けて、そっとしておきましょう。
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    子供に運動をさせる 様々な運動で体を動かすことによって、ADHDの子供の行動は改善します。脳が求めている刺激を運動から得られるためです。
    • ADHDの子供には週に3‐4日は体を動かす活動をさせましょう。武道や水泳、ダンス、体操、その他様々な体の動きを使うスポーツが良いでしょう。
    • スポーツや運動の予定がない日でも、公園に行ってブランコや自転車に乗るなどさせましょう。

パート 2
子供に肯定的に接する

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    肯定的な反応をする まずはきちんとできたことをすべて、目に見えるもの(シール、アイスクリーム、ちょっとしたおもちゃなど)で評価しましょう。そのうちに、徐々に形のないご褒美(「よくできたね!」などの言葉かけやハグなど)に移行しますが、子供が良い習慣を身につけ、きちんとできるようになってからも前向きな反応を続けます。[12][13]
    • 子供が自分の行動に対して満足感を得られるように持っていけば、指導しなければならない状況を回避できます。
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    理性的に行動する 子供に言うことを聞かせる必要がある時は低いトーンの毅然とした声で話し、指示を与える場合はなるべく短く簡潔に話しましょう。長く話せば話すほど子供は内容を忘れてしまいます。
    • 「しゃべるな、行動せよ!」とはある専門家が親に向けて言った言葉です。ADHDの子供にとっては自分の行動に対する因果関係がすべてであり、長いお説教は全くの無駄です。[14]
    • 子供の行動に感情的に反応することは避けましょう。怒ったり怒鳴ったりすると、子供の不安をあおり、自分は何もできない悪い子だと思い込ませます。さらに、親が冷静さを失うことで自分が主導権を握ったという考えを子供に植え付けることになります。[15]
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    子供の行動に直接対処する ADHAの子供には、どうしても平均的な子供よりも多くの指導が必要になります。親としては「うちの子はADHDだから、厳しく指導するのはかわいそうだ」と思うかもしれませんが、結局それは問題行動が長続きする可能性を高めるだけです。
    • 人生における諸問題と同様に、子供の問題行動は無視すると悪化の一途をたどります。そのため、問題行動が起こったら直ちに対応するのが最も確実な手段です。そうすると、子供は自分の行動と親の反応や指導をうまく関連付けることができます。そこから子供は自分の行動とそれに対する結果の因果関係を時間をかけて学び、うまくいけば問題行動を抑制することができます。
    • ADHDの子供は衝動的で後先を考えずに行動します。自分の行動が間違っていたことを理解できないこともよくあります。そのため、自分にとって不都合な結果が問題行動に伴わなければ、子供はその行動が不適切であることが分からず、問題行動は悪化することになります。そのため、子供にはその行動が間違っていることや、そのままその行動を続けるとどうなるかという可能性を教えてくれる大人の助言が必要です。
    • ADHDの子供には忍耐、指導、訓練が少々必要なだけだということを受け入れましょう。こうした子供を「普通の」子供とくらべると、おそらく非常に苛立ちを覚えるでしょう。ADHDの子供に接するには時間やエネルギー、そして思慮も必要です。子供を「手のかからない子」と比較するのはやめましょう。それは、前向きで建設的に子供と接するためには不可欠です。
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    正の強化 (陽性強化) を与える 問題行動に対する罰よりも、良い行動に対するご褒美を頻繁に与えることでADHDの子供の行動改善に成功した例が多くあります。間違いを責めるよりも正しい行動を褒めることを選びましょう。[16]
    • 子供が好ましい行動をした時に正の強化 (褒めること) を集中して与えることで、好ましくない行動(食事中の行儀が悪いなど)の改善に成功している例が多くあります。椅子に座る姿勢が悪い、口に食べ物を入れすぎるなどと子供を叱る代わりに、箸を上手に使えたことや人の話をよく聞けたことを褒めます。こうすると子供は、褒めてもらうために自分の行動に注意を払うようになります。
    • 「褒める」と「叱る」のバランスに注意しましょう。否定的な言葉よりも肯定的な言葉を子供が受け取るようにしましょう。場合によっては、わざわざ「良い行動」を探す必要があるかもしれませんが、処罰よりも報酬を与えることの恩恵は計り知れません。[17]
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    正の強化を与えるシステムを作る 行動改善への動機付けをする方法は色々とありますが、大抵はムチよりもアメの方が効果的です。例えば、朝の決められた時間までに着替えをしてキッチンに来られたら、朝食はワッフルかシリアルかを子供が選べるようにします。子供が望ましい行動をした時に選択権を与えることが正の強化になります。
    • 良い行動をすると子供が恩恵 (お小遣いのボーナスをもらえる、特別なお出かけに連れて行ってもらえるなど) を受けられるポイント制度を導入しましょう。好ましくない行動をすると減点されますが、追加でお手伝いなどの良い行動をするとポイントが加算されます。[18]
    • ポイント制度は親の言うことを聞く動機付けになります。子供が寝る前におもちゃを片付ける気にならなくても、ポイントさえ集めれば特典を受けられるとわかれば子供にとってはお片づけをする十分な動機になるでしょう。このシステムの要は子供が特典を逃したとしても、親が悪者にならないという点です。子供の運命は本人の手中にあり、自分で自分の選択の責任を取らなければなりません。
    • ポイント制度を用いる場合は、するべき事柄のチェックリスト、日課表、期限などをきちんと明示すると成功の確率が高まります。[19][20]
    • チェックリストとスケジュールには限界があることに注意しましょう。ADHDの子供は、やる気はあっても課題に集中することが困難です。親の期待が高すぎたり、課題が不適切で子供が成功を経験できない場合は、このシステムは効果がありません。
      • 例その1 ある子供は作文が苦手で、作文の宿題に時間をかけすぎてバイオリンの練習の開始時刻を守れませんでした。この場合は計画自体が適当ではないと言えます。
      • 例その2 ある子供は行動チェックリストをうまく守れず、ご褒美をもらえるほどのポイントを集めたことがありません。正の強化がないと、この子供はリストを守ろうとせず、逆に問題行動で感情を表すことになるでしょう。
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    否定的な言葉は使わず、すべてを肯定的にとらえる ADHDの子供には問題行動をやめるように言うよりも、「とるべき行動」を伝えましょう。一般的に、ADHDの子供は問題行動の代わりにとるべき正しい行動をとっさに思いつくことができないため、問題行動をやめるのが困難です。指導者としての親の仕事は、子供に正しい行動とは何かを思い出させることです。また、 ADHDの子供は人の話の「しない・ダメ」という部分を正しく聞き取れず、話の内容を正しく理解できていない可能性があります。以下に肯定的な表現の例を挙げます。
    • 「ソファの上で飛び跳ねちゃダメ」の代わりに「ソファは座るものだよ」
    • 「猫のしっぽを引っ張っちゃダメ」の代わりに「猫は優しく触ろうね」
    • 「立ち上がっちゃダメ」の代わりに「あぐらで座ろうね」
    • 肯定的な話し方は、家庭内のルールを設定する場合にも有効です。「家の中でボールで遊ばないで」ではなく、「ボールは外で遊ぶものだよ」と言ってみましょう。また「走らないで!」と言うよりも「居間ではゆっくり歩こうね」と言う方が効果があるでしょう。[21]
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    問題行動に注目しすぎない 事の良し悪しに関わらず、子供は注目されることを喜びます。そのため、良い行動をした時には十分に注目し、好ましくない行動に注目するのは最小限に抑えます。子供は好ましくない行動で注目されても喜びます。 [22]
    • 例えば、夜間に子供がベッドから抜け出して遊ぼうとしていたら、静かに、しかし断固として(ハグや甘えさせることはせずに)ベッドに戻します。おもちゃを没収しても構いませんが、その際には話し合いの余地は与えません。さもないと子供は親の注意を引けたことで喜んだり、話し合えばルールを変えてもらえると考えます。一貫して悪い行動には注目しないようにすると、そのうちにそれらは消えていくでしょう。
    • 例えば子供が塗り絵の本をハサミでずたずたにしていたら、さっとハサミと塗り絵を取り上げます。穏やかに「ハサミで切るのは紙だけ。本は切らないよ」とだけ言えば十分です。

パート 3
因果関係と一貫性を明確にする

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    主導権を握ること 親は大人です。親が主導権を握る必要があります。しかし大抵は子供の執拗さが親の意思に打ち勝つことになります。[23]
    • 小さな女の子が3分間に5-6回もコーラをねだったとします。一方親は電話中であったり、下の子の世話や夕食の支度をしなければなりません。こうなると親は降参して「わかった!もう勝手にしなさい!」と言いたくなります(結局その方が楽なため)。しかし、これではしつこくねだったものが勝ち、しかも主導権を握るのは親ではないというメッセージを子供に伝えることになります。
    • ADHDの子供には放任主義の子育ては良くありません。こうした子供たちには断固とした、ただし愛情に満ちた指導と境界線が必要です。ルールや、それを守るべき理由について延々と話し合っても効果はありません。始めはこの方法に抵抗を感じる親たちもいます。しかし、ぶれない態度と愛情をしっかりと持って子供にルールを守らせることは、厳しすぎでも残酷でもありません。
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    問題行動には好ましくない結果が伴うことをはっきりさせる 指導は毎回同じ内容をすぐに毅然と行うことが鉄則です。また罰則は問題行動を反映したものでなくてはいけません。 [24]
    • 罰として自分の部屋に行かせることは避けましょう。 ADHDの子供は大抵、部屋にあるおもちゃや持ち物が気になって、それで遊んでしまうでしょう。これでは「お仕置き」のはずがご褒美になってしまいます。さらに、子供を自分の部屋へ行かせることと本来の問題行動とは大抵において関連性がないため、子供は問題行動と罰を結び付けることが難しく、今後それを繰り返さないように学習することはできません。
    • 問題行動に伴う望ましくない結果は、即刻発生する必要があります。例えば、自転車を片付けて家に入るように子供に言っても自転車に乗り続けている場合に、「言うことを聞かないなら明日は自転車禁止!」という罰則は効果がありません。行動に伴う結果が遅れてくると、ADHDの子供にはほとんど、あるいはまったく意味はありません。ADHDを持つ子供は「今、この時」を生きているため、昨日起こったことは今日は実際には意味を持たないからです。結果として、この方法では翌日に罰則が執行された時点で大喧嘩になるばかりで、子供はその因果関係を理解できません。そのかわりに、言うことを聞かない時点で自転車を即刻取り上げ、後で返してもらうための条件を子供に説明します。
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    一貫性を保つ 子供に対する親の反応が常に同じであれば、子供の行動は改善します。例えばポイント制度を使う場合、ポイントの加算や減点は筋の通った、つじつまの合ったものにします。特に親が怒ったり腹を立てたりして勝手に減点するといった行動は避けましょう。子供が正しい行動を学ぶのは、時間をかけた学習と正の強化によってのみ可能です。[25][26]
    • 自らの発言や警告は必ず最後まで徹底しましょう。注意のし過ぎや口先だけの脅しは避けましょう。数回注意をする場合は、2回目、3回目、最終警告といった具合に段階的に罰則をレベルアップさせます。さもなければ子供は今度は同じ注意を何回されるかと毎回親を試すようになります。
    • 両親が同じ指導方針を取るようにしましょう。子供の行動を変えるためには、両親がそれに対して同じ反応をする必要があります。[27]
    • 親がぶれない態度で接すると、場所がどこであれ、好ましくない行動の結末を子供が予測できるようになります。公共の場で子供を罰することがためらわれることもありますが、それは他人がこの状況を見たらどう思うかということが怖いからです。しかし、重要なのはどこにいようと悪い行動は悪いということを子供に示すことです。
    • 子供の学校、保育園、幼稚園などと連携して、子供に関わる全ての人が問題行動に対して同じ態度で直ちに罰則を与えるようにします。子供に曖昧なメッセージを伝えないようにしましょう。
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    子供と言い争いをしない 子供と口喧嘩をしたり、自分の行動指針に及び腰な態度を取らないようにしましょう。[28][29]主導権は親にあるということを問答無用で子供に理解させる必要があります。
    • 口論に応じてしまった時や親の心がぐらついた時、子供の心には「親は自分を同等だと見なしていて、口論に勝てる可能性がある」というメッセージが伝わります。そのため、子供は相手が親であっても自分を通そうとして口論を挑み、向かって来るのです。
    • 指示は常に具体的に出し、毅然として守らせましょう。
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    「タイムアウト」を使う タイムアウトによって、自分で落ち着くチャンスを子供に与えます。お互いに対立しあってどちらのほうが激しく怒っているかを競い合うのではなく、子供に座る、もしくは立つ場所を指定して、落ち着いて話し合いを始められるまで待ちましょう。タイムアウトの間は、お説教などをしてはいけません。子供に一人になる時間と場所を与え、自分自身をコントロールできるようになるまで待ちます。タイムアウトは懲罰ではなく、むしろ初めからやり直すためのチャンスであると子供に伝えましょう。[30]
    • タイムアウトはADHDの子供にとって効果的です。好ましくない行動をした時点で直ちにタイムアウトを命じることができるため、子供にはその行動の罰則として結び付けやすいという利点があります。ADHDの子供は静かにじっとしていることが苦手なため、タイムアウトは悪い行動に対しての効果的な因果応報と言えます。
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    問題を予測し、事前に計画を立てることを学ぶ 子供についての心配事を子供と話し合い、解決のための計画を一緒に考えて問題解決を図ります。この方法は特に公共の場所での行動に対処する場合に役立ちます。状況に応じて、アメ(ご褒美)とムチ(懲罰)として何が最適かを子供と一緒に考え、その計画を復唱させます。[31][32]
    • 例えば家族で外食をする場合に、良い子にできたらご褒美としてデザートを注文しても良い、好ましくない行動をすれば、帰宅後にそのままベッドに行かなくてはいけない、と決めます。レストランで子供の態度が悪化してきたら、約束を優しく思い出させます(「今日はいい子にしてたら何をもらえるんだっけ?」)。必要ならば2度目に少し厳しい注意(「今日は早く寝ることになってもいいの?」)をすると、子供は正しい行動に戻ることができるでしょう。
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    すぐに許す 子供には「何があろうと、君のことが大好きだよ。君はいい子だよ。でも悪いことをしたらその責任は取らなきゃいけない。」ということを折に触れて伝えます。

パート 4
ADHDへの理解と対処

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    ADHDの子供の特性を理解する ADHDの子供には反抗的、攻撃的、言うことを聞かない、手に負えない、感情の起伏が激しい、短期で怒りっぽい、抑制が効かないといった特徴があります。長い間、このような子供は未熟な親の犠牲者だと考えられていましたが、20世紀前半に、研究者たちはADHDの原因が脳にあると考え始めました。[33]
    • ADHDの子供の脳構造を研究する科学者は、これらの子供たちの脳の一部は通常よりも小さいということを報告しています。大脳基底核はその一部であり、これは筋肉の動きを司り、活動が必要な時や休むべき時に筋肉に命令を出す働きをします。通常なら、人は座っている時に手足を動かす必要はありません。しかし、ADHDの子供の大脳基底核は働きが悪く、過剰な筋肉の動きをを阻止することができないため、彼らはじっと座っていられません。 [34]
    • 言い換えれば、ADHDの子供は脳内の刺激不足が原因で、衝動を抑えることができません。そこで、必要な刺激を得るために 彼らはせっせと動き回ったり、感情を行動で表現します。[35]
    • 子供がただ単に頑固でそそっかしいのではなく、ADHDのために脳の働きが普通と少し違うだけだと理解できたことで子供の行動への対応が楽になったという親は多くいます。理解が深まると、子供に対する新たな思いやりが生まれ、子供への接し方を見直すための忍耐強さと意欲がさらに湧いてきます。[36]
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    それ以外の理由を理解する ADHDと診断された子供の親が直面する問題を拡大するのは、それ以外の原因かもしれません。ADHDはそれ以外の障害を伴うこともよくあるからです。
    • 例えば、ADHDの子供の20%が双極性障害あるいはうつ病を併発し、33%は行為障害や反抗的行為障害などの行動障害を抱えています。[37] ADHDに加えて、学習障害や不安障害を抱える子供も多く見られます。[38]
    • ADHDに加えてほかの障害や問題があると、その子供の指導はさらに難しくなります。特に、複数の投薬を行っている場合はその子供に接するにあたって副作用の可能性も考慮に入れる必要があります。
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    子供が「普通に」行動しないことでイライラしない 何が「普通」かという実際の物差しはなく、「普通の行動」という考え方こそが相対的で主観的なものです。ADHDは障害であり、それを抱える子供にはやや多めに注意をしたり、様々な便宜を図る必要はあるでしょう。[39] しかしながら、これは視力の悪い人が眼鏡をかけたり、聴力の悪い人が補聴器を使ったりするのと何ら違いはありません。
    • ADHDを持つことがその子にとっては「普通」なのです。ADHDは効果的な対処が可能な障害です。子供が自ら、楽しく健康的な生活を送ることが十分に可能です。

現実的に起こり得ること

  • 以上の方法を試してみると、癇癪が減少したり、小さな課題を遂行できるなど子供の行動に変化が見られるでしょう。
  • これらの方法は注意力散漫やエネルギー過多などのADHD関連の行動そのものをなくすものではありません。
  • 自分の子供に最適な方法をしばらく実験してみる必要があるでしょう。例えば、タイムアウトが効果的な子供もいれば、そうでない子供もいます。


ポイント

  • ADHDの子供に生涯うまく対応するための秘訣は、しっかりした生活の基盤を構築することです。まず必要なのは思いやり、理解、そして許容です。さらに、問題行動があったとしても子供に愛情を示すこと、十分な動機付けによってルールを守らせること、子供の脳の機能をサポートするために秩序ある環境を整えること、そして問題行動を起こした場合は必ず即座に相応の罰則を与えることです。


出典

  1. Taking Charge of ADHD: The Complete, Authoritative Guide For Parents by Russell A. Barkley (2005).
  2. Putting On The Brakes: Young People’s Guide to Understanding Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD) by Patricia O. Quinn & Judith M. Stern (1991).
  3. Why Is My Child’s ADHD Not Better Yet? Recognizing The Undiagnosed Secondary Conditions That May Be Affecting Your Child’s Treatment by David Gottlieb, Thomas Shoaf, and Risa Graff (2006).
  4. Organize Your ADD/ADHD Child: A Practical Guide For Parents by Cheryl R. Carter (2011).
  5. Putting On The Brakes: Young People’s Guide to Understanding Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD) by Patricia O. Quinn & Judith M. Stern (1991).
  6. Taking Charge of ADHD: The Complete, Authoritative Guide For Parents by Russell A. Barkley (2005).
  7. Putting On The Brakes: Young People’s Guide to Understanding Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD) by Patricia O. Quinn & Judith M. Stern (1991).
  8. Taking Charge of ADHD: The Complete, Authoritative Guide For Parents by Russell A. Barkley (2005).
  9. Putting On The Brakes: Young People’s Guide to Understanding Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD) by Patricia O. Quinn & Judith M. Stern (1991).


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記事の情報

この記事はTrudi Griffin, LPCが共著しています。 トゥルーディ・グリフィンはウィスコンシン州に住む認定カウンセラーです。2011年にマーケット大学にて臨床精神衛生カウンセリングの修士号を取得しています。

カテゴリ: 子供 | 家庭生活 | 教育 | 学び・コミュニケーション

他言語版:

English: Discipline a Child With ADHD, Español: disciplinar a un niño con trastorno de déficit de atención e hiperactividad (TDAH), Italiano: Educare un Bambino con Sindrome da Deficit dell'Attenzione, Português: Educar uma Criança com TDAH, Русский: приучить к дисциплине ребенка с СДВГ, Deutsch: Ein Kind mit ADHS disziplinieren, Français: discipliner un enfant souffrant du TDAH, Bahasa Indonesia: Mendisiplinkan Anak dengan GPPH, ไทย: การฝึกเด็กที่มีภาวะซนสมาธิสั้น, العربية: تهذيب طفل مصاب بفرط الحركة, 한국어: 주의력 결핍 및 과잉행동장애 (ADHD)를 가진 아동 훈육 방법, Nederlands: Een kind met ADHD opvoeden

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