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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は特異性を持つ黄色ブドウ球菌種であり、通常皮膚に存在します。抗ブドウ球菌薬であるメチシリンに耐性を示すことで、スーパー耐性菌とも呼ばれます。皮膚上に存在しても特に有害ではありませんが、切り傷や擦り傷などを介して体内に侵入すると深刻な感染症を引き起こす恐れがあります。MRSA感染症は軽度な感染症の症状によく似ていますが、適切な治療をしないと非常に危険な状態を招く疾患です。以下からMRSA感染症の特定方法を学び役立てましょう。

主な症状

    MRSA感染症を軽く見てはいけません。治療しないと危険な状態を招く恐れがあります。以下の症状を確認し、医療機関を受診しましょう。


    部位 症状
    皮膚 皮膚の損傷腫れ、炎症、発疹壊死(重症な症例の場合)
    水疱、おでき、膿瘍、麦粒腫(ものもらい)
    発熱 38度以上の高熱、悪寒
    頭痛、倦怠感(重症感染症に伴う徴候)
    腎臓・膀胱 尿路感染症(感染拡大の徴候)
    咳、息切れ(感染拡大の徴候)

パート 1
パート 1 の 3:
初期症状を特定する

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    皮膚の損傷を確認する MRSA感染症は、一般的に皮膚の切り傷や刺し傷などの創傷から起こります。毛の根元(毛包)をよく調べましょう。また、体毛の密集する部位(あご、首のうしろ、脇の下、鼠径部、脚、頭、おしりなど)も好発部位となります。[1]
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    皮膚の腫れや発赤を伴う炎症を確認する MRSA感染の特徴として、皮膚に腫れや痛みを伴う発疹が生じます。この症状は、クモの咬傷などの虫刺されやニキビと間違われやすいため、皮膚に発赤、炎症、疼痛、熱感を伴う病変が発生したら注意しましょう。[2]
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    蜂窩織炎を確認する MRSAは蜂窩織炎を引き起こすことがあります。蜂窩織炎とは、表皮下の皮膚層や組織に生じる感染症であり、腫れを伴う湿疹が広範囲に及び出現します。感染した皮膚は赤もしくはピンク色に変色し、熱感、圧痛、腫れを伴います。[4]
    • 蜂窩織炎の初期症状として、小さな赤い吹き出物が発生します。また、皮膚の一部があざのように見えることもあります。[5]
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    発疹に警戒する 発疹とは皮膚に現れる赤い病変であり、広範囲な発疹は注意が必要です。熱感、急速な広がり、痛みを伴う場合は、医療機関を受診しましょう。[6]
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パート 2
パート 2 の 3:
膿を確認する

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    患部が化膿していないか確認する 腫れや傷がある場合、液体で満たされた水疱になっていないかチェックしましょう。水疱の中心が黄色や白く膨らんでおり、膿が出ている場合もあります。[7]
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    おできを確認する おできは毛包の感染で発生し、膿を伴います。頭皮をはじめ、股間部、首、脇などの体毛が密集する部位にできものがないか確認しましょう。[8]
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    膿瘍を確認する 膿瘍は皮膚内部や表皮下に発生する膿の溜まったしこりであり、痛みを伴います。抗菌薬による治療に加え、外科的な排膿が必要な場合もあります。[9]
    • 「よう」の発生に注意しましょう。ようとは膿が漏出した巨大な膿瘍です。[10]
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    麦粒腫(ものもらい)に注意する 麦粒腫はまぶたの皮脂腺に感染症が起きて発生し、目やまぶたに炎症や赤みが生じます。発生する部位により、内性と外性に分類されます。しこりの中心部は通常白や黄色をしており、ニキビに似ています。[11] 瞬きをすると痛みが生じる場合もあります。
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    膿痂疹(とびひ)に注意する 膿痂疹は皮膚に発生する膿疱であり、サイズが大きいものもあります。膿疱が破れると、黄色のかさぶたが感染部位に発生します。[12]
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パート 3
パート 3 の 3:
重症な場合の対処法

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    症状の経過を観察する 黄色ブドウ球菌感染症であると診断された場合、処方の抗菌薬を服用すれば、通常2~3日以内に症状が改善します。それでも症状の軽快が認められない場合、MRSA感染症の疑いがあります。一度MRSAに感染すると、MRSA感染症が再発しやすくなります。[13] 症状の経過に注意し、必要な時はすぐに医師の診察を受けられるよう準備しておきましょう。
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    頭痛、発熱、倦怠感に注意する これらの症状はブドウ球菌もしくはMRSAによって深刻な感染症が生じた可能性を示します。[14] インフルエンザの症状と似ており、目まいや錯乱を伴うこともあります。[15]
    • 熱があると感じたら検温しましょう。[16] 38度以上の高熱を呈する場合は、注意が必要です。[17]
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    深刻なMRSA感染の徴候を確認する 細菌が体内のあらゆる部位に広がると、肺閉塞、尿路感染を起こし、最悪の症例では組織を壊死させる場合もあります。MRSA感染を治療せずに放置すると、稀ですが「人食いバクテリア」と呼ばれる壊死性筋膜炎を引き起こすことがあります。
    • MRSA感染による肺炎を起こしていないか注意します。MRSA感染症に気づかず、治療が施されていない場合は、感染が肺に及ぶリスクがあります。咳、喘鳴、息切れなどの症状に注意しましょう。[18]
    • 高熱や悪寒は尿路感染症が原因の可能性があり、MRSAが腎臓や尿路などの体内の臓器に感染していることを示します。
    • 壊死性筋膜炎の発生は非常に稀ですが、症例が報告されています。感染患部に激しい痛みを伴います。
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    直ちに医療機関を受診する MRSA感染が疑われる場合は、細菌が体内部に浸食する前に、早急に行動を起こしましょう。感染の確信がなくても、念のため医療機関を受診しましょう。MRSA感染症は重症化すると生命を脅かすため、早期発見と早期治療が重要となります。[19]
    • MRSAの市中感染に対する治療にはST合剤のバクトラミンが使用され、院内感染の場合は、バンコマイシンの静脈注射を使用して治療します。
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ポイント

  • これらの深刻な症状を認めたら、MRSA感染と関係なくても医師の診察を受ける必要があります。
  • 抗菌薬が処方されたら、症状の軽快が認められても、すべて飲み切ることが重要です。
  • おできや膿瘍などの症状が生じた場合、患部を絆創膏で保護して、医師の診察を受けましょう。感染が他部位へ広がる恐れがあるため、自分で膿を出さないようにしましょう。必要であれば医師が排膿処置を施します。
  • 傷口にMRSA感染の疑いが見られたら、医師の診察を受けるまで防漏性の高いドレッシング材で保護し、感染の拡大を防ぎましょう。
  • MRSA感染の検査結果には数日かかるため、まずはクリンダマイシンやバンコマイシンなどのMRSAに効果的な抗菌薬で治療を始める場合があります。
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注意事項

  • 免疫不全のある人は、MRSA感染が重症化するリスクが非常に高く、極めて危険な状態を引き起こす恐れがあります。
  • MRSA感染症の自己診断は難しいと言われています。上記の症状がひとつでも生じたら、医師に相談しましょう。医師はMRSAに感染しているか診断検査を実施します。
  • 膿瘍やおできなど皮膚の病変が生じたら、無理に水疱を破らないようにしましょう。
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このwikiHow記事について

Chris M. Matsko, MD
共著者 ::
家庭医(かかりつけ医)
この記事の共著者 : Chris M. Matsko, MD. クリス・M・マツコ医師はペンシルバニア州ピッツバーグ在住の元内科医です。25年以上にわたって医学研究を続け、コーネル大学最優秀指導者賞を受賞しました。テンプル大学にて栄養科学の学士号を取得後、同大学医学部にて2007年に医学博士号を取得。2016年にha この記事は3,467回アクセスされました。
カテゴリ: 全般的健康
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